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プロジェクト型ビジネスなどの一部の例外を除いて、ほとんどの中小企業の本質的な経営目的は、関わる人たちの持続的な幸せのための長期的な成長または安定であり、この経営目的を実現するための手段が「利益」です。
この「利益」を、中長期的な時間軸で数値目標として可視化し、その進捗管理のための手段のひとつが「データドリブン経営」です。
この記事では、10名~100名規模の中小企業における「データドリブン経営」について整理します。
カンの精度を高める「データドリブン経営」
最近、特に目にするようになった「データドリブン経営(Data Driven)」という用語ですが、これは「経験やカン(勘)ではなく、データを活用して経営すること」と一般的に説明されています。
その対象範囲は経営全般にわたっており、必要とするテーマについてデータで可視化し戦略立案や意思決定に役立てることを想定していますが、中小企業においてはマーケティングや生産性などの個別テーマ以前に、そもそも「経営そのもの」をデータで可視化することが先決です。
「経営そのもの」とは「経営目的の進捗状況」です。
目指す「定量目標」と「定性目標」の達成のために
「十分な利益を確保できているか?」
「利益を確保するための課題は何か?」
「その解決方法は何か?」
です。
これらについて、データを活用して経営しようという考え方が「データドリブン経営」です。
「独特のカン」を持った経営者が多い中小企業ですが、それには限界があります。会社の成長に応じて「カンの精度」を高めていく必要があり、そのための経験(=トライ&エラー)は欠かせません。ただ、その結果を「主観的な解釈」で済ませるのではなく「客観的なデータで可視化し、根拠とすること」がとても大切です。
(関連記事)中小企業の経営計画|目標は「定量」「定性」の両面で設定する
データドリブン経営の軸は「マネジメント会計」
マーケティングや人事など、データドリブンの対象となるテーマは様々ですが「すべては利益に通ずる」という意味で、その軸となるのは「会計」です。
マーケティングの優劣、人事の優劣も、その結果のすべては利益や資本など「会計の値」に反映されます。個別データがどれだけ優秀であっても最終的な利益や資本の充実に結びつかなければ意味がありません。
会社の成長や安定のために「利益のモニタリング」は必須であり、欠かすことはできません。この「利益のモニタリング」を実務的に可能にするのが「マネジメント会計(管理会計)」です。
試算表や決算書のための「財務会計」に加えて、「マネジメントレポート」のための「マネジメント会計(管理会計)」が、中小企業経営におけるデータドリブン経営の軸となります。
マネジメント会計による「利益のモニタリング」
「マネジメント会計」による「利益のモニタリング」とは何か?ですが、その一例として、下記のような「Q」について、常に明確な「A」を持っておくことです。
- 災害などの非常事態に備えて、どれだけの内部留保が必要か?
- 従業員満足度(安心感や期待感)を満たすために、どれだけの利益が必要か?
- 顧客満足度、また、その拡大のための投資に、どれだけの利益が必要か?
- 経営者自身が引退するとき、セカンドライフの資金確保に、どれだけの利益が必要か?
これらについて経営者が「カン」で「わかったつもり」になるのは経営リスクそのものです。これらの「A」に対して「現状はどうなのか?必要な利益は確保できているのか?」、つまり「利益のモニタリング」を行い、また、それを関係者と共有し、経営の課題解決を重ねる仕組みである「データドリブン経営」は、ワンランク上の経営に欠かせません。
(関連記事)管理会計フル活用|内部留保を高める中小企業の重要KPI-8選
まとめ
さて、どうですか?「データドリブン経営」の軸は「マネジメント会計」という話を整理しました。
中小企業経営の目的は長期的な成長や安定であり、そのためには経験やカンだけに頼るのではなく、客観的なデータを活用する必要があります。そのデータを提供する「マネジメント会計」によって利益の状況をモニタリングし、常に経営課題を明確にし、その解決を通じて「もっといい会社」を作ること。それが「データドリブン経営」の本質です。
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