経営脳を最適化する
フレームワーク
中小企業が直面する「会社の経営課題」は、その多くが「経営者自身の成長課題」を映し出したものです。
経営課題を解決するとき「会社をどうすればいいか?」と考えると同時に、「自分自身をどうすればいいか?」を考える必要があります。
経営者が変わらないと、会社は変わりません。
経営者が変わると、会社を変えることができます。
会社経営のカギを握っているのは「経営者の経営脳」であり、これは「会社を持続的に成長させるための経営者自身の能力」のことです。
本稿では、経営者の経営脳を整え、最適化するためのフレームワークである「5つのレイヤー」を紹介します。
【課題共有】
なぜ経営脳を最適化するのか?
本題に入る前に「なぜ、経営脳を最適化しなければならないのか?」を整理しておきます。
経営課題の本質は
「経営者の課題」だから
中小企業が直面する問題の多くは、外部要因ではなく、経営者の考え方や行動が根本原因です。
例えば:
- 売上が低迷した
- 社員のモチベーションが低下した
- 資金繰りが悪化した
これらの「現象」は「経営者の考え方と行動」の結果であり・・・
- 売上を低迷させた
- 社員のモチベーションを低下させた
- 資金繰りを悪化させた
この自責での捉え方が正しい表現であり「最適化」する大前提となる視点です。
自責で「経営脳」の課題を改善し、最適化するためのフレームワークが、次に紹介する「経営脳の5つのレイヤー」です。
経営者が変われば
会社が変わるから
会社は、経営者の価値観、判断基準、行動がそのまま反映される存在です。
会社を良くしようとして、外部のノウハウやリソースをどれだけ投入しても、経営者自身が変わらなければ、効果は限定的あるいは短期的になってしまいます。
経営者が変われば、会社が変わります。
そのために、経営者自身を「最適化」することを提案します。
【本稿要点】
経営脳は5層構造で整理する

- Layer5:Sense:センス
- Layer4:Skills:スキル
- Layer3:Mental:メンタル
- Layer2:Physical:フィジカル
- Layer1:Mindset:マインドセット
経営脳は、最下層の「マインドセット」から最上層の「センス」まで、5つの層に分類することで体系的に理解しやすくなります。
「経営脳」のパフォーマンスは、この各階層(レイヤー)の良し悪しによって左右されますが、下層ほど優先されます。
何よりも優先するのは「L1:マインドセット」であり、「経営者としての考え方は正しいか?」から最適化は始まります。
「考え方」が正しくなければ、スキルもセンスも間違った方向に使ってしまいます。同様に、心身(フィジカル・メンタル)」に課題があれば、十分なパフォーマンスを期待できません。
経営上の諸問題の本質的な原因である経営者自身の課題を、5階層で整理し、それぞれの改善によって経営脳を最適化するためのフレームワークです。
【5層概要】
5つのレイヤー
前述したように「経営脳」は、5層構造(5つのレイヤー)になっており、それぞれの概要は下記の通りです。
このブログでは、マインドセット、メンタルについては8項目を、スキルは「基礎スキル」と「経営スキル」に大別しそれぞれ8項目をピックアップして紹介していますが詳細は各ページを参照してください。
人の考動は
5つのレイヤーの
組み合わせ
Layer1:マインドセット | 相手の幸福が 自分の幸福であるという考え方 |
Layer2:フィジカル | 体調万全 |
Layer3:メンタル | 喜んで欲しいという感情 |
Layer4:スキル | 美味しいカレーを作る技術 |
Layer5:センス | 食器選び、盛り付けなど |
「5レイヤー」は、経営に限ったことではなく、人の考動はすべてこの5つの階層(レイヤー)の組み合わせで説明することができます。
例えば「大切な人のために、美味しいカレーライスを作る」という料理に当てはめると表のようになります。
大切な人に美味しいカレーを振舞って喜んでもらうためには、どのレイヤーも欠かすことができません。
これを真逆に表現すると・・・
- L1:マインドセット:相手の幸福に関心がない
- L2:コンディション:体調が悪い
- L3:メンタル:喜んで欲しいという気持ちになれない
- L4:スキル:そもそもカレーを作る技術がない
- L5:センス:せっかくの美味しいカレーなのに盛り付けがダサい
・・・と「どうしようもないヤツ」になってしまいます。
楽しく幸福な料理のためには5つのレイヤーが必要であることが分かります。
事例「自分ファースト」な
経営者のケース
Layer1:マインドセット | NG | 自分さえよければいい |
Layer2:フィジカル | 〇 | 体調万全 |
Layer3:メンタル | 〇 | 喜んで欲しいという感情 |
Layer4:スキル | 〇 | 美味しいカレーを作る技術 |
Layer5:センス | 〇 | 食器選び、盛り付けなど |
理解を深めていただくために、もう一つの例を紹介しておきます。
最初の第1階層「マインドセット」が間違っているケースです。バリバリのやり手に見える経営者なのに、うまく行かないケースがこのパターンに当てはまっていることが少なくありません。
心身のコンディションは万全で、見た目にも活力があり、スキルもセンスも十分な経営者なのになぜか会社経営がうまくいってない。このような「症状」をよく観察すると「マインドセット」がズレていたり、間違っていることがあります。
「考え方や価値観が自分ファーストな経営者」です。
お客様や取引先、あるいは社員たちより、自分自身の都合や会社を優先させるので「リーダーとして支持率」が低いのです。このような場合、一時的にはなんとかなっても長期的な真の成長は望めません。
*上記のカレーに例えると、相手の好みを無視して「オレのカレー」はスゴイから黙って喰ってみろ!って感じです。(*奇跡的にウマければいいのですがw)
経営脳を最適化すると
会社はもっとよくなる
自己内観によって
成長課題を鮮明にする
繰り返しますが、中小企業の成長は、経営者の成長と密接にリンクしています。
経営脳を最適化し「もっといい経営者」になれば必ず「もっといい会社」になります。
- マインドセットの課題は?
- フィジカルの課題は?
- メンタルの課題は?
- スキルの課題は?
- センスの課題は?
自己内観によって各レイヤーごとに、自らの成長課題を鮮明にし、そのうえで一つひとつ丁寧に根気よく解決することが、実は近道であり、そのためには「自主トレ」を習慣化することがとても効果的です。
【要点整理】
経営者のための
フレームワーク

さて、いかがですか?
経営者のためのフレームワークである「経営脳の5つのレイヤー」のアウトラインを紹介しました。
会社の成長と経営者の成長は表裏一体です。経営者自身の考え方と行動をもっと良くすることで、必ず「もっといい会社」に成長することができます。
5つのレイヤーごとに、自己認識を深め、成長課題をピックアップし、その解決に取り組むことで「もっといい経営者」に成長することが可能です。
経営脳の最適化のため、大いに活用してみてください。
お役に立ちますように!