【工務店向】弥生会計とエクセルだけで原価管理をしている事例

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私がお世話になっている「年商10億円までの中小工務店」では弥生会計とエクセルで原価管理をしていますが、長年順調に運用できています。

この記事では「工務店の原価管理」の事例を紹介します。

原価管理は「材料費」と「外注費」だけ

いきなりですが・・・私は「変動原価」だけで原価管理をするという考え方です。

一般的には、各現場に関わる人たちの「労務費」も原価に含めて計算するべきですが、多くの場合「労務費」は「固定費」であり「売上高と連動しない」ので省いてしまう、という考え方です。

(*専門的には「全部原価計算」か「直接原価計算」かの選択です。)

したがって、原価管理する対象は「材料費」と「外注費」と「その他の変動原価」という3つになります。(その他の変動原価とは、材料費でも外注費でもないけど、特定の現場に紐づいている原価のことです)

現場別に原価を集計する「マトリックス」

まずは、下記のサンプルを見てください。

支払額長嶋邸鈴木邸大谷邸
江川木材店1000700200100
江夏電気店900300400200
川上設計事務所800200500100
小林水道700100300300
松阪園芸60000600
その他500200200100
合計4500150016001400

縦に「支払先」、横に「現場」というマトリックスのシートです。

これを毎月作成し、下記のように仕訳し入力すれば、弥生会計(でなくてもいいのですが:汗)で「現場別損益計算書」をアウトプットすることができます。

工事原価(部門:長嶋邸)1500
工事原価(部門:鈴木邸)1600
工事原価(部門:大谷邸)1400
  工事未払金:小林水道700
  工事未払金:松坂園芸600
  工事未払金:その他500
(合計)4500(合計)4500

*ちなみに「大谷邸」が未成工事であれば、同時に「(借方)未成工事原価:大谷邸/(貸方)工事原価(部門:大谷邸)」という仕訳を追加しましょう。

さて、ここで重要ポイントがあります!

上記の仕訳ですが「借方」の工事原価は「部門別」です。

一方「貸方」の工事未払金は「補助科目」です。

つまり「各現場」を「部門」として弥生会計に設定しておかなければなりません。

「え?完成引き渡しが終わったらどうすんの?」と必ず質問されますが「来期、繰越したら削除してください」という少々面倒な手間が「年に1回だけ」あります。

しかし、難解な「建設簿記」や、詳細過ぎる「建築原価ソフト」を使うことを思えば、かなり楽ちんに目的を達することができます。

*マトリックス(エクセル)のサンプルシートは下記でダウンロードできます。
【工務店向け】原価集計マトリックス_ver.2022.01
https://www.bizocean.jp/doc/detail/545002/

コツ=細かくやり過ぎないこと

このエクセルのマトリックスを活用するうえで大切なのは「細かくやり過ぎないこと」です。

何もかも現場別の振り分けをしていると「手間=効果」の効率がメッチャ悪くなります。

どこまで計算に含めるか?を試行錯誤しながらルール作りをしてください。

間接原価・共通原価は各現場に配賦する

もう一つよくある質問は「どこの現場にも特定されない共通的・間接的原価はどうするか?」ですね。

この場合、上記の「部門」に「共通原価」という部門を作成して、そこに集めましょう。

データが数か月蓄積すると「間接原価の割合」が見え始めます。

この「間接原価割合=配賦率」で各現場に「配賦」すれば、経営者が求めるレベルの原価データがアウトプットできます。

併せて検討してください。

まとめ

さて、どうでしょう?小規模工務店が、弥生会計とエクセルだけで原価管理をしている事例を紹介しました。

  • 年商10億円までの工務店は弥生会計とエクセルで原価管理したほうが実務的に楽ちん
  • 毎月、原価集計マトリックスをエクセルで作成する
  • 弥生会計に「現場は部門別」「支払先は補助科目」で設定する
  • 精緻を求めて細かくやり過ぎない
  • 間接原価は実績データが落ち着いたら「配賦率」を決めて配賦する

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