中小企業向|初めての管理会計「マネジメント会計入門」

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中小企業のデータドリブン経営の軸となるマネジメント会計(管理会計)とは何か?

マネジメント会計(管理会計)は初めてという10人~100人規模の中小企業の経営者の方のために「基礎のキソ」を解説します。

この記事は「中小企業向け|マネジメント会計(管理会計)の設計と運用の概要」の補足です。

このブログでは「10人~100人規模の中小企業経営者」の方々に向けて「経営脳の自主トレサポート」を目的に「もっといい会社」にするためのヒントを発信しています。初めてアクセスしていただいた方は、こちら(=「このブログについて」)をまずご覧ください。

「誰かのための会計」と「経営者のための会計」

会計は「財務会計」と「管理会計」の2つに大きく分類されます。

「財務会計」が「誰かのための会計」であるのに対して、「管理会計」は「経営者のための会計」ということができます。

まずは「百聞は一見に如かず」、この両者の違いを整理します。株式を公開していない中小企業の場合は下記のようになります。

財務会計
=必須=
管理会計
=オプション=
重要な視点事務処理情報処理
時間軸過去過去・現在・未来
目的「誰かのための会計」
=財務状況や業績の外部報告
「経営者のための会計」
=経営状況の内部把握
対象者株主、金融機関、税務当局、
その他取引先等の「外部」
経営者や部門リーダー
時にはチーム全員の「内部」
期間と帳票年度:決算書
月次:試算表
月次:管理会計レポート
*決まった名称や帳票はない
情報の詳細度会社単位会社単位に加えて部門別、製品別など
ルール会計基準など公のルールがあるので
それに従わなければならない。
ルールがないので自由に設計できる。
ツール市販されている会計ソフトや
クラウドサービス
エクセルやスプレッドシートによる
オリジナルフォーマット
活用範囲特になし経営計画
予算管理
部門別会計
業績分配給与賞与制度
原価計算等
人材育成

繰り返しますが、「財務会計」が金融機関や税務当局など「誰かのための会計」であるのに対して、「管理会計」は、経営者にとって「自分のための会計」である点です。

「試算表」や「決算書」は、金融機関や税務署などの外部に報告することが目的なので、公のルールである「財務会計」のルールに従って作成します。したがって、そのフォーマットは残念ながら経営視点ではなく、債権者や投資家視点になっています。

それに対して「管理会計」のフォーマットは「自由」なので、経営者が必要とする経営情報を得るために、様々なアレンジをすることができます。

ちなみに、このブログで紹介している「マネジメント会計」も「管理会計」の一種であり、当社オリジナルのフォーマットです。また、コーチングしている経営者には、それぞれの業種や規模、KPIに応じて個別にカスタマイズして提供しています。

(関連記事)会計は「事務処理」ではなく「情報処理」であるという視点

「二刀流?」財務会計は必須、管理会計はオプション

このふたつは「どっちにしよう?」という選択ではありません。

「財務会計」に加えて、オプションとして「マネジメント会計(管理会計)」を使うか?使わないか?の選択です。

したがって、財務会計の試算表や決算書で充分という経営者に「管理会計」は必要ありませんが、経営状態を正しく把握したり、意思決定をするにあたって試算表や決算書では物足りない、あるいは、むつかしいと感じる場合はオプションとして「マネジメント会計(管理会計)」を追加して活用することを強くオススメします。

その場合、結果として「財務会計」と「マネジメント会計(管理会計)」の両方を活用することになり、いわば「二刀流経営者」になることになります。

「管理会計」の定義:財務会計をカスタマイズ

上述したように「管理会計」のレポートはデータドリブン経営を目的とする「内部資料」なので、自由に設計することができますが、それゆえに「管理会計」という用語の範囲は広範囲です。

そこで、このブログでは「マネジメント会計」と表現し、その定義は下記としています。言ってみれば「大区分:管理会計」「中区分:マネジメント会計」というイメージです。

  • 対象:10人から100規模の中小企業の経営者
  • フォーマット:中心は「MA貸借対照表」「MA損益計算書」「MAキャッシュフロー計算書」の3つ
  • 運用方法:財務会計と分離せず、試算表や決算書をカスタマイズ(=個別運用しない)

つまり、実務的には一般的な会計ソフトによって通常の会計処理を行い「財務会計」の試算表をアウトプットし、そのデータをエクセルやスプレッドシートでフォーマット変換して「マネジメント会計」のレポート(「MA貸借対照表」「MA損益計算書」「MAキャッシュフロー計算書」+「必要に応じて個別レポート」)をアウトプットする、というフローになります。

*MA:Management Accounting:管理会計

「マネジメント会計」で見える重要KPI

「なぜ、わざわざ二刀流なのか?」

それは、前述したように「財務会計」は、外部用であり「経営者が必要とするデータ」が「見辛い」からです。

では、「経営者が必要とするデータ」とは何か?です。

それは業種や規模によって様々ですが、その中ですべての経営者に共通しているのは次の3つの重要データであり、これらは「最上流のKPI」です。

  1. 収益構造:損益分岐点
  2. 収支構造:収支分岐点・キャッシュフロー
  3. 時価自己資本:キャッシュに裏付けされた実質的な内部留保

収益性を高め、キャッシュフローを高め、そして時価ベースでの自己資本(実質内部留保)を厚くすること。これが「マネジメント会計」を活用したデータドリブン経営の「キモ」であり、その最大のメリットです。

残念ながら、これらのKPIは「財務会計の試算表や決算書」には表示されておらず、必要な時は「別途計算」が必要になります。その都度「面倒な計算」をするくらいなら「二刀流」になって、月次でチェックできる体制にすればいい、という考え方です。

まとめ

さて、「マネジメント会計(管理会計)」がどういうものか?をご理解いただけたでしょうか?

「マネジメント会計」は、もっといい会社にするために欠かせないツールであり、強くオススメします。

設計や導入、活用イメージは「実務マニュアル:マネジメント会計」を参照してください。

もし、サポートが必要であれば、いつでも気軽に連絡ください!

以上、お役に立ちますように!

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