管理会計|中小企業経営者のための【進化型】MA貸借対照表

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進化型のMA貸借対照表」は「一般の貸借対照表」を中小企業経営者のために「資産や負債が直感的に分かるフォーマット」に組み替えたものです。

頭についてる「MA」は、マネジメント会計「Management Accounting」の頭文字です。開発した私が命名したものなので、一般的な名称ではありません。

財務会計のルールで作成された「一般の貸借対照表」は「流動」「固定」という区分になっていますが、「MA貸借対照表」は、性質に応じたカテゴリーに区分しているので、その内容が理解しやすく、また、覚えやすくなっています。

この記事は「中小企業向け|マネジメント会計(管理会計)の設計と運用の概要」の補足です。

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なぜ「一般の貸借対照表」ではダメなのか?

なぜ「一般の貸借対照表」ではダメなのか?その答えは「経営者にとって分かりにくいから」です。

決算書の一部である「一般の貸借対照表」は、銀行や税務署など外部に公表するため「財務会計」のルールで作成されています。その目的は「結果を伝えること」であり、多くの経営者にとっては「ピンとこないフォーマット」です。なぜなら「経営の感覚」とズレているからです。

その代表的な点は「流動・固定」の区分です。多くの経営者は「流動・固定」に分けられている資産や負債のデータを経営に活かしているか?というと、多くはそうではありません。ほとんどの経営者は、顧問税理士や金融機関から「流動比率が低いですよ」とアドバイスされても「ふ~ん、そうなのか」程度だと思います。

経営者が貸借対照表(BS:バランスシート)から読み取る必要があるのは「内部留保」です。その「内部留保」を裏付ける「実質的なキャッシュ」はどれだけあるのか?を少なくとも決算時に、可能であれば毎月チェックする必要がありますが、「一般の貸借対照表」から直感的にそれを理解できる経営者は少数派でしょう。

そこで「経営感覚にフィットしたフォーマット」が必要となり、そのために工夫されたのが、マネジメント会計(管理会計)の進化型BSである「MA貸借対照表」です。

「一般のBS」を経営者のためにアレンジする

MA貸借対照表」は、財務会計のルールで作成された「一般の貸借対照表」を、中小企業経営者のために組み替えたものですが、百聞は一見に如かず・・・まずはそのフォーマットを見比べてください。

管理会計の貸借対照表フォーム

(参考記事)初めての管理会計|マネジメント会計入門

「実質純資産」を正しく理解する

私が、中小企業経営者に「MA貸借対照表」を推すのは

本当の財務力である実質純資産を正しく知ってもらうため」に尽きます。

「本当の財務力」とは「実質純資産=会社の換金価値」です。もし、今、会社を解散・清算すれば、どれだけのキャッシュが手元に残るか?という金額です。資産をすべて換金し、その時点での負債をすべて支払い、返済したときの「おつり」です。

この「おつり=実質純資産=会社の換金価値」から「資本金」を差し引いて残る金額が、設立以来稼いだ最終的な利益です。反対に、万が一「支払いきれない・返済しきれない」という状態ならば、それは「実質的な債務超過」ということになります。

この「実質純資産」を把握するとき、「流動・固定」と区分された「一般の貸借対照表」に比べて「MA貸借対照表」は、直感的にイメージしやすく、経営者の頭にインストールしやすくなります。

下記に、各区分ごとの代表的な内容(科目)をリストアップしておくので、参考にしてみてください。

MA貸借対照表:資産の部

  • 現金預金
    • 現金
    • 普通預金
    • 定期預金
  • 事業債権
    • 受取手形
    • 売掛金
    • 立替金
  • 棚卸資産
    • 商品
    • 製品
    • 仕掛品
    • 貯蔵品
    • 前渡金(仕入に関わるもの)
  • 設備資産
    • 土地建物
    • 車両運搬具
    • 工具器具備品
    • ソフトウエア
    • 前渡金(設備に関わるもの)
  • 財務資産
    • 短期貸付金
    • 長期貸付金
    • 社員貸付金
  • 金融資産
    • 有価証券
    • 投資有価証券
    • 生命保険積立金
  • 非資金資産
    • 前払費用
    • 長期前払費用
    • 仮払金

MA貸借対照表:負債の部

  • 事業債務
    • 支払手形
    • 買掛金
    • 未払金
    • 未払費用
    • 預り金
  • 借入債務
    • 短期借入金
    • 長期借入金
    • 設備未払金
  • 引当金等
    • 貸倒引当金
    • 賞与引当金
    • 退職金引当金
  • 税金債務
    • 未払法人税等
    • 未払消費税等
    • 仮払消費税等
    • 仮受消費税等
    • 繰り延べ税金勘定
    • 未収税金等

多くの場合「負債」は、額面通りの評価額になりますが、「資産」は、含み損を抱えている場合がほとんどです。「現金預金」や「事業債権」は、額面通りですが「棚卸資産」や「設備資産」の評価は、額面に対して低くなることが多く、精査し「換金価値」を算出し、「負債」と比べることで「本当の財務力=実質自己資本」を把握することができます。

当然、この計算は「一般の貸借対照表」でも可能ですが、経営者の頭に残るイメージには大きな差が出ます。「経営者が正しく理解し、インストールしなければ意味がない」のです。

まとめ「経営者のための貸借対照表」

さて、どうですか?マネジメント会計(管理会計)の「MA貸借対照表」を紹介しました。

管理会計は、財務会計とは違い「経営者のための会計」です。

「MA貸借対照表」は「一般の貸借対照表」では把握しづらい「本当の財務力=実質自己資本=会社の換金価値」を明確にすることができます。

関連記事も含め参考にしてみてください。

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