中小企業の経営計画の成否は「ゴール設定」で決まる

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おはようございます!

2024年第9週の土曜日、3月に入って「花粉のピーク」でイマイチ気分が上がらない日々を送っていますが、皆さんはどうですか?

さて、今日は「経営計画のゴール設定」について整理しておきます。

タイトルにあるように、私は「経営計画の成否はゴール設定で決まる」と思っています。ゴール設定の良し悪しで経営計画のクオリティは大きく左右されます。経営計画のクオリティーとは、目的や目標の実現確率のことです。

経営計画のゴール設定について、いくつかのサンプルを紹介しながら整理するので参考にしてください。

この記事は「中小企業向|経営計画の策定と運用、3つの新視点」の補足です。

ゴールは具体的に言語化する

設定するゴールは「目的」や「目標」のことです。例えば「旅行のゴール」。

  • 「3年後、ニューヨークに行くぞ!」というゴールと
  • 「3年後、ニューヨークの5つ星レストランでディナーするぞ!」というゴール。

「良否」ではありません。「何が目的なのか?」です。

  • NYに行くことが目的なのか?
  • NYの特定のレストランのディナーが目的なのか?

本当は「特定のレストランのディナー」が目的なのに「NYに行くぞ!」というゴール設定をしてしまうと、現地で予約が取れず「せっかくNYまで来たのに。。。」と悔しい思いをするかもしれません。

ゴール設定において注意すべき基本は「目的を具体的に言語化する」ということです。

経営計画は、ゴールありき

一般に「中期経営計画」と言われている計画は「3年後の目標や目的を実現するための計画」であり、その良否は「G・S・C」の3要素に左右されます。

  • G:ゴール=目的・目標は何か?
  • S:シナリオ=ゴールまでの具体的な行動は?
  • C:キャスティング=シナリオに関連する人は?

この3つのGSCの「鮮明度」がとても重要ですが、そもそも「ゴールありき」です。鮮明なゴールがないと、シナリオもキャスティングも鮮明にすることができません。

(参考記事)【経営者の基礎スキル】計画実現のためのバックキャスト思考

ゴール設定の視点=企業理念との整合性

ゴールの「起点」となるのは「理念」です。

「経営計画」は「理念実現のためのシナリオ」です。

「中期経営計画」のゴールは「3年後の理念の実現状態」の目標設定に他なりません。この「整合性」が大前提です。

例えば「社会貢献」という企業理念なら、「3年後の社会貢献の状態」が中期経営計画(36か月のシナリオ)のゴールです。

「悪い例」の方が分かりやすいでしょう。

「社会貢献」という理念を掲げている会社の経営計画の目標が、売上10億円という「数値目標だけ」で、その内容は「予算だけ」というケースは少なくありません。売上10億円が、社会貢献とどう結びついているのか?が明示されていないのです。せめて「ユーザー数を増やすことで、当社のサービスがさらに広まり、社会貢献度がアップする」くらいのことは「最低限」言語化し「企業理念と計画の整合性」を保たなければなりません。

そういう意味において「企業理念」は「経営計画」の前提になるものなので、疎かにできません。

「経営計画の作り方がよくわからない」という経営者を観察していると「そもそも理念が鮮明でない」ということがよくあります。「この事業で何を成し遂げたいのか?」が不鮮明であるので、計画作りでつまづいているのです。

まさに、上記の「GSC」の「G」が不鮮明なので「S」が作れない、という症状です。

(参考記事)必修経営スキル【理念創造力】理念で人を惹きつけるチカラ

ゴール設定と3Gマネジメント

規模や業種に関わらず、すべての会社の経営目的は、表現は百社百様ですが、その内容は「関わる人たちの幸せ」です。

得意先や取引先を含む社会全体、社員たち、さらに経営者自身やそれぞれの家族も含めて会社に関わる人たちがみんな幸せになるために会社は存在します。

会社に関わるこれらの人たちの幸せが持続するように(=不幸にならないように)マネジメントすることが「筋」であり「道理」であり、業種や規模に関わらず、すべての会社に共通するものです。

(参考記事)持続的に正しく成長するための「経営の原理原則」

【3Gマネジメント】得意先や取引先を含む社会全体、社員たち、さらに経営者自身やそれぞれの家族も含めて会社に関わる人たちがみんな幸せになるための経営。

3Gマネジメント

  • Group1:社会・得意先・取引先
  • Group2:社員たちと、その家族や大切な人たち
  • Group3:経営者自身と、その家族や大切な人たち

経営目的が「関わる人たちの幸せ」であり、それが「企業理念」で明示されているなら、経営計画のゴール設定は、この3つのグループの人たちの「幸せ」となることは、自然な流れです。

3つのグループの人たちに対する課題抽出

ここまでを整理すると「経営計画のゴールは、関わる3つのグループの人たちにもっと幸せになってもらうこと」ということになります。

つまり、中期経営計画(36カ月のシナリオ)は「36カ月後、3つのグループの人たちにもっと幸せになってもらうための計画」に他なりません。

そのため、ゴール設定においては、3つのグループの人たちに対する当社の課題を抽出しなければなりません。

3つのグループの人たちに対して「当社はどうあるべきか」「現状はどうか」を明確にします。

それを明確にしたうえで「36カ月後の目指すべき、あるべき状態」を言語化すれば、それが「36カ月後のゴール」となります。

この自己認知を進めるにあたり、次のような自問自答を繰り返しましょう。

  • 社会・得意先・取引先・社員の満足度はどうだろうか?
  • 自分自身、経営者としての満足度はどうだろうか?
  • 自分の家族や大切な人たちの満足度はどうだろうか?
  • 3Gの人たちに対して、迷惑や過度な負担をかけていることはないだろうか?
  • 3Gの人たちに対して、当社がもっとできることはないだろうか?
  • どうすれば、3Gの人たちの満足度を高めることができるだろうか?

「実現目標」のための「手段目標」

3Gの人たちに対して「36カ月後の当社のあるべき姿」が明確になれば、それが「実現目標」となりますが、次に、それを実現するための「手段」を具体化しなければなりませんが、それが「手段目標」となります。

下記のように、一般に目標設定されているものの大半が、この「手段目標」です。

  • 収益性の向上・利益率の改善
  • 市場シェアの拡大
  • 社員満足度の向上
  • 顧客満足度の向上
  • ブランド価値の向上
  • 内部留保の充実・持続可能な経営力

これらの「手段目標」を達成することによって得られるのは「3Gの幸せ」です。

「もっと儲かる」ではなく「もっと幸せになれる」、という経営者の考動がとても大切です。

この「ゴールと成果の整合性」があるから、社内外の人たちは賛同し、共感し、協力してくれることを忘れないようにしましょう。

(参考記事)経営計画の重要視点|仲間と共に幸せになりたい経営者の人生計画

「手段目標」のための「数値目標」

当然ですが「経営計画」は「ビジネスの実務」です。

「手段目標」には、測定や評価ができるように「数値目標」が必要です。

それぞれの「手段目標」について、具体的な数値目標を設定し、36カ月を通じて、常に測定、評価し、そして、メンバーたちと共有することを習慣化しましょう。

「数値目標」の進捗状態によって「手段目標」の達成状態を確認し、それが近い将来の「実現目標」に近づいているという実感が、当事者意識を高め、チームのパフォーマンスを高める原動力となっていきます。

売り上げを上げること、利益率を上げること、内部留保を厚くすること、そのために、品質をあげること、また、新商品や新サービスが必要なことなどなど、、、日常の取り組みによって「数値目標」をクリアし、「手段目標」をクリアし、そして「実現目標」をクリアしたとき、社内外の満足度=幸せがまたワンランク上がるのです。

(参考記事)中小企業の経営計画|目標は「定量」「定性」の両面で設定する

まとめ

さて、どうですか?

経営計画の成否はゴール設定によって決まること、そして、そのゴールを設定するときの重要視点について整理しました。

関連記事も含め参考にしてみてください。

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