管理会計|ビジネスの真の実力は「創造付加価値」に表れる

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「一般の損益計算書」に表示されている「営業利益」や「経常利益」は業績評価においてはアテになりません。役員報酬みたいに経営者の意思で増減自在なコストである「経営コスト」が混入しているからです。

そこで、管理会計の進化型PLである「MA損益計算書」では「創造付加価値」というオリジナルの利益区分を設けて真の実力である「ビジネスが生み出している価値」を可視化するように工夫してあります。

この記事では「収益性改善の課題発見・課題解決」に欠かせないマネジメント会計(管理会計)の重要指標のひとつである「創造付加価値」について解説しています。

この記事は「中小企業向け|マネジメント会計(管理会計)の設計と運用の概要」の補足です。

PLの欠点:経常利益は本当の実力ではない

経営者
経営者

会社の業績は「営業利益」を見ればいいの?
それとも「経常利益」を見ればいいの?
何が正しんだろう?

ズバリ言います。

「営業利益」や「経常利益」で「ビジネスの真の実力」は分かりません!

ビジネスの真の実力は「創造付加価値」に現れます。

と言っても「一般の損益計算書」のどこを探しても「創造付加価値」は見当たりません。

創造付加価値」は、マネジメント会計(管理会計)の進化型PLである「MA損益計算書」のオリジナルの利益区分であり「ビジネスが生み出している真の価値」を表す利益の概念です。

私は、中小企業の損益計算書を分析するとき、この「創造付加価値」を計算して「どんなビジネスをやってるんだろ?」とチェックするようにしています。

事例:業績は全然違うのに全く同じPL

下記の2社の決算書(損益計算書)を見比べてください。

損益計算書イメージ

まったく同じです。

でも、この両社の業績は「真逆」なのです。

この両社の役員報酬を確認してみると、A社は12,000、B社は6,000で、これらは「販管費」に含まれています。

上記のように「一般の損益計算書」で表すと、両社は「まったく同じ業績の会社」ということになります。

しかし、この両社の損益計算書をマネジメント会計(管理会計)の「MA損益計算書」に変換すると、下記のようになります。

マネジメント会計(管理会計)の進化型PL「MA損益計算書」。創造付加価値のイメージ。

単純に表現すると

「A社は、6,000の事業コストで、その3倍強の20,000の限界利益を稼ぎ出している」

「B社は、12,000の事業コストで、約1.6倍の20,000の限界利益を稼ぎ出している」

といえます。

結果としての「事業利益」は同じですが、役員報酬=経営コストを区分して「創造付加価値」を表してみると、A社のビジネスの方が断然利益率が高いことがわかります。

「営業利益」や「経常利益」が使えない理由

多くの中小企業において「役員報酬」は、それぞれの事情で任意に設定されており、また、年度ごとに増減させている会社も少なくありません。

一般の損益計算書の「営業利益」や「経常利益」は、そんな「役員報酬」に代表される「経営コスト」が混入しているから「業績評価」においては使えないのです。

(関連記事)管理会計の進化型MA損益計算書|経営コストの実務

創造付加価値から推察できること

上記の「MA損益計算書」から、次のような「推察」ができます。

  • A社は、よく儲かってるので、役員報酬を高めに設定して節税してるのかな?
  • A社の役員報酬をB社レベルに下げると事業利益は8,000にもなるな
  • B社は創造付加価値が低いので役員報酬も低めでガマンして利益を出しているのかな?

これらの見方が正しいかどうかはわかりませんが、様々な「推察」をすることができます。このような見方・読み方ができるのが管理会計のメリットでもあります。

まとめ:ビジネスが生み出している真の価値

マネジメント会計(管理会計)の進化型MA損益計算書における「創造付加価値」について紹介しました。

「一般の損益計算書」では見えない「ビジネスが生み出している真の価値」を表す「創造付加価値」は、マネジメント会計(管理会計)における特に重要な指標のひとつです。特に「収益性改善・向上」に取り組む際には欠かせません。

関連記事も含め参考にしてみてください。

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