「社員の幸せな人生」、経営者に責任はあるのか?

HORII
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おはようございます!

さて、今回は「社員たちの幸せ」について深掘りします。

社員の幸せな人生、経営者に責任はあるのか?

少々重いテーマですが「正しい経営」のために避けて通れない問いです。

私の結論は「ある」です。

なぜ、そう考えるのか?

本稿は、その理由を私なりの視点で整理したものです。

あなたの考えを整理するきっかけとして参考にしてみてください。

本稿は、「いい会社」の条件:その2「社員たちの幸せ」の補足記事です。

このブログでは、「10人~100人規模の中小企業経営者」の方々に向けた「自己投資=経営脳トレーニングのサポート」を目的に、「もっといい会社」に成長するヒントを毎週発信しています。
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【原理原則】
起点は「正しい経営」

話を始めるにあたって、話の軸足を共有しておきます。

このテーマの起点は、「経営の原理原則」です。

会社に関わる人たちの持続的な幸せを、正しい経営の「筋道・道理」として位置付ける考え方です。

これに沿うなら「社員たちの持続的な幸せ」も「経営目的」のひとつです。

でも、それは現実的なのか?ただの理想論なのか?

(参考記事)
「正しい経営」について深掘りして解説しているので、併せて参考にしてみてください。
【経営の原理原則】正しい成長のための筋道と道理

【定義共有】
「幸せ」とは?

「社員は幸せか?」を考えるにあたり「幸せとは?

「幸せの定義」を明確にしておかなければなりません。

「幸せ」は人によって価値観が異なるため、「これ」と決めつけることはできません。

そこで、あえてシンプルに「イヤな思いをしていない」ことを「幸せ」と定義します。

「幸せ」について深掘りして解説しているので、併せて参考にしてみてください。

・「幸せ」に含む2つの意味
・関わる人たちの幸せ
・幸せとは、まず「不幸」でないこと
・会社は小さくても、関わる人たちは多い

・合格:関わる人たちに「イヤな思い」をさせない
・満点:よりよい幸せの機会をさらに増やす
・理想論か?そうではない経験談

【思考背景】
中小企業をを取り巻く環境

私がこのテーマを「経営の原理原則」に基づいて整理する理由には、次のような気付きや経験があります。

1)コーチング経験から

下記のようなシーンを見ると「いい会社やなあ」と思います。

  • 採用において「選ばれる確率」が高い
  • 不平や不満による退職者が少ない
  • 育成が上手で、社員の成長意欲に応えている
  • 心理的安全性が高く、社員満足度が高い
  • ハラスメントは無縁である
  • 自分の人生を大切にしている人材が多い

つまり「いやな思い」をしている人が少ない会社です。

結果として、優秀な人材が多く、モチベーションも高いチームが組成されています。

当然、パフォーマンスが高いので、業績も悪くありません。

2)時代の変化から

一昔前は、「成果主義」「生産性」「リストラ」というように、業績や効率を優先する言葉をよく見聞きしました。

さらに、現在でいう「ブラック」「パワハラ」「セクハラ」は、当たり前でもありました。

しかし、最近では「人的資本経営」「エンゲージメント」「心理的安全性」「ウェルビーイング」といった、社員の気持ちに寄り添うキーワードの方が重視されています。

この変化に対して、中小企業経営者はどのように向き合えばいいか?を深く考えるに至った理由です。

【雇用責任】
社員の人生に影響を及ぼす自覚

経営の目的を再掲します。

「会社に関わる人たちの持続的な幸せ」

この目的には「持続的な」という言葉が入っています。

言い換えれば「一時的なものではない」ということです。

「今回は、臨時賞与を多めに出した!」

「慰安旅行で楽しかった!」

これらも、社員たちにとって喜ばしいことでしょう。

しかし、それは「いっとき」のこと。

この誤解が生じないように「持続的な」という一言が入っています。

ここで、この「持続的な」の意味について、もう少し掘り下げておきましょう。

社員を一人雇ったその瞬間から会社には「雇用責任」が生じます。

一般的には、法令遵守、安全な労働環境、平等な待遇、教育・研修 などが挙げられます。

しかし、私は、これらの「当たり前」も含む、もうひとつ大きな概念として
「社員の人生に対する影響」こそが、「雇用責任の本質」 だと思います。

どの会社で働くか?

その選択ひとつで、社員の人生は大きく変わります。

経営の良し悪しが、社員たちの人生に影響する

この「経営者の自覚」がとても大切なのです。

【経営実務】
「幸せ」のための3つの視点

では、具体的にどうすればいいか?

実務に落とし込んでいきましょう。

視点1:イヤな思いをさせない

「社員にイヤな思いをさせない」

これは、よくある「イヤな思い」をリストする方が理解しやすいと思います。

たとえば、次のような経営。

  • 心身の健康を損なうような働き方
  • 人間関係の悪化を放置する職場環境
  • 安心して生活できない給与体系
  • ハラスメントを見て見ぬふりする風土
  • 価値観を否定されるマネジメント
  • 残業続きで自由時間が奪われる業務設計

例示するとこんな感じです。

程度の差はあっても、中小企業でよく見かけるシーンです。

さて、心当たりはありますか?

視点2:チャンスを与える

「イヤな思いをさせない」は、守るべき最低ラインです。

積極的に考えるなら「社員たちのチャンス」にも思いを馳せましょう。

「もっと幸せになれるチャンス」をどれだけ提供できるか?

具体的には「成長の機会」です。

  • 成長課題を共有する機会
  • 研修やトレーニングの機会
  • 成長を目的とする仕事の機会

このように、社員たちの成長を後押しする様々な施策が「社員たちにチャンスを与える経営」です。

経営側が提供するこれらの成長機会を「モノにするかしないか」は、もちろん社員たちの自己責任であることは言うまでもありません。

しかし、少なくとも「チャンス(機会)を提供する責任」は経営側にあります。

さらに付け加えるなら、それらの機会があるにも関わらず、奪うようなことはあってはなりません。

視点3:モニタリング

上述したように、会社経営は社員たちの人生に影響します。

その意味で、経営者自身も、彼ら彼女らの人生の「当事者」と考えることができます。

つまり「他人事」ではない。

  • 社員たちは、日々楽しく仕事に取り組めているだろうか?
  • 社員たちは、安心して年齢を重ねることができるだろうか?
  • 社員たちは、当社でよかった!と思ってくれているだろうか?

これらをひっくるめて「社員たちは当社に満足してくれているだろうか?」。

常に、モニタリングを欠かさず、時にはコミュニケーションも怠らないように注意しましょう。

社員たちの人生に影響を及ぼす当事者としての視点を持つことです。

「社員満足度」は、「顧客満足度」と同列です。

【要点整理】
経営の原理原則は普遍

さて、どうですか?

社員たちの幸せに対する経営責任について整理しました。

  • 社員たちの幸せは「雇用責任」であること
  • 社員たちに「イヤな思い」をさせないこと
  • 社員たちが「もっと幸せ」になるように、積極的に関わること
  • 社員たちの人生を「当事者」として、目を離さないコト

これが、経営の原理原則に沿った経営です。

最後に、私がこの考え方に至ったエピソードを紹介しておきます。

自分の税理士事務所の事業承継を計画しているときでした。

メンバーの幸せってなんだろう?と考えると、自分もそうだったように「一国一城の主」として独立することでした。

そう考えたとき、事務所は「道具」にすぎないと気づき、「モノ(事務所)を残す」という自我は消えていきました。

その後、自分より後継者にとってのベストを優先した結果、二人の後継者が育ち、お客さんを承継し無事に独立してくれました。

もし「何が何でも自分が築いた事務所を引き継がせたい」という自我にこだわっていたら、後継者が育たないばかりか、彼らは私の引退を待たずに退職し、事務所は途中で崩壊していたかもしれません。

改めて「関わる人たちの幸せ」という「経営の原理原則」は普遍であるという思いを強くしたので、今日の話を整理しました。

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以上、お役に立ちますように!

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