中小企業が「もっといい会社」に成長するためには、経営脳を最適化し「もっといい経営者」に成長することが唯一の選択肢。
そのため、特に大切なのは、他のレイヤーに優先する「第１レイヤー：マインドセット」＝「正しさを考えるチカラ」を整えることです。
本稿では、この「マインドセット」が試されるテーマのひとつ、「柔軟志向」について詳しく紹介します。
要旨・結論は次の通りです。
忙しい人は、これだけでもインプットしてください。
- 「柔軟志向」とは、最適解のために、合理的に行動しようとする「アタマのクセ」のこと。
- 「志向」とは「心が向いている」こと。
- 「合理的」とは「理にかなっている」こと。
- 「理」とは、経営目的。
- 「柔軟志向が強い経営者」が、会社に「柔軟志向カルチャー」を根付かせる
- 「ジブンの柔軟志向は正しいか？を常に考える習慣」。
この習慣が「経営者のマインドセット」をより強くしてくれる。
「アタマの固さ」が気になってる経営者の方は、ぜひ読んでみてください！
「10人～100人規模の中小企業経営者」の方々に向けた「自己投資＝経営脳トレーニングのサポート」を目的に、「もっといい会社」に成長するヒントを日々更新しています。
本記事は、35年以上にわたり税理士として中小企業経営を支援し、管理会計や経営計画を専門とするマネジメントコーチ・堀井弘三が、その現場で得た豊富な経験と知識に基づき執筆しています。
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【おさらい】
経営脳のマインドセットとは？
本稿は「Layer１：経営者のマインドセット」を深掘りする８つの記事のひとつです。
経営者のマインドセット８つのテーマ
先に「経営脳：５つのレイヤー」をおさらいしておきましょう。
- Layer１：マインドセット
経営脳の全体を「正しく」マネジメントするチカラ - Layer２：フィジカル
カラダをマネジメントするチカラ - Layer３：メンタル
ココロをマネジメントするチカラ - Layer４：スキル
仕事をマネジメントするチカラ - Layer５：センス
違いや差をマネジメントするチカラ
「経営脳」は、経営者が持っている「ジブンをマネジメントするチカラ」のことです。
「経営脳」を整えると「経営者としてのパフォーマンス」が良くなります。
経営者のパフォーマンスが良くなると、それにつれて会社も成長する、というロジック。
では「経営脳」を整え、
「アタマをよくする」ために
どうすればいいか？
そのためのフレームワークが
「経営脳の５つのレイヤー」です。
ヒトとパソコンやスマートフォンはそっくり。
ヒトも「ハードウエア＋ソフトウエア」に例えることができます。
これは、その「ヒトのソフトウエア」を５つに分けたものです。
最下層の「マインドセット」の役割は、
経営脳全体を正しくマネジメントすること。
いわば、ハードウエアやアプリを制御する
「OS（Operating System）」に相当するレイヤーです。
パソコンやスマートフォンが「OS」で制御されているように、ヒトも「マインドセット」によって制御されています。
つまり、「人は考え方次第」です。
経営者の「ココロやカラダ」、「スキルやセンス」が正しく動くように制御する「マインドセット」。
本稿で紹介する「柔軟志向」は、この「マインドセット」を整えるための大切な視点のひとつです。
経営脳の５つのレイヤーは、下記の記事で詳しく解説しています。
まだの方は先に一読していただくと理解が深まります。
●主な内容
・経営者と会社の成長は表裏一体
・経営課題の本質は「経営者の成長課題」
・レイヤーごとに課題を整理して自主トレ
・レイヤーの前提は「自責」で取り組むこと
・レイヤーの効果は「自己効力感」が高まる
【重要定義】
最適解が気になるアタマのクセ
「Layer１：マインドセット」は、「正しさを考えるチカラ」。
この「経営者のマインドセット」を整えるための８つの視点のひとつが「柔軟志向」です。
「柔軟性」とは？
「柔軟」という言葉には、 「臨機応変」「合わせる」「受け入れる」といったポジティブな印象もあれば、 「八方美人」「優柔不断」といったネガティブな誤解もつきまといます。
そこで、私は次のように定義しています。
柔軟性とは、
「最適解のために、合理的に考動するチカラ」のこと。
- 理に適っていれば、考え方や行動を変える。
- 理に適ってなければ、無理に受け入れたり、合わせたりはしない。
「最適解」とは
「最も合理的な解」、
「最も理に適った解」。
だから、 理に適わないのに流されてしまう人は、「柔軟」なのではなく「ジブンを持っていない人」と言えるでしょう。
「合理性」を問う考動習慣
「柔軟志向」とは、
最適解のために柔軟であろうとする志向です。
ポイントは「思考」ではなく「志向」。
つまり、意識しなくても、自然と「合理的な選択」へと志（こころ）が向く。
これは「考動習慣」、すなわち「アタマのクセ」です。
では、ここで言う「合理的」とは何か？
それは、経営の理にかなっていること。
会社経営の目的に合致していることです。
経営の目的＝関わる人たちの持続的な幸せ
この目的に照らしてズレていないか？
ズレていなければ、「理にかなっている」＝合理的
ズレていれば、「理にかなっていない」＝非合理
つまり、「柔軟志向」とは、
常に目的にかなった最適解を考え、実行するアタマのクセです。
最も理にかなっているなら、
考えも行動もさっさと変える柔軟性。
軸もなくコロコロ変わるのは「優柔不断」。
だからこそ、「軸＝目的」がとても大切。
「目的はカタク、手段はヤワク」です。
【軽視危険】
柔軟志向が低いと「シンドイ」
理解を深めるため、あえてネガティブな想像をしておきましょう。
経営者の「柔軟志向」が低く、柔軟性を軽視するとどうなるか？
その結論は、ますます「シンドイ経営」になる、です。
なぜなら
「合理的な考動が少ない」
「理に叶わない考動が増える」からです。
もっと合理的な選択肢があるにも関わらず…
- 陳腐化した過去の成功体験に固執する
- これまでの慣習にこだわる
- 経営者のプライドを優先する
- 多様性を受け入れない
- 時代の変化に気づかない
- 目の前の短期的な損得を選択する
いわゆる「ジブン最適」な考動をとってしまう。
つまり「チーム最適」でもなく、ましてや「ミンナ最適」でもない。
そのような考動は、ほとんどの場合、誰かにイヤな思いをさせてしまいます。
- イヤな思いをする人が増えると
↓ - 支持率低下
↓ - 社内外の協力や応援が少なくなる
↓ - チームのパフォーマンスも低下
↓ - 成果が出づらくなる
↓ - シンドイ…
おまけに「ガンコな経営者」「カタイ経営者」「セマイ経営者」など、ロクな評判を聞きません。
【課題発見】
柔軟性を自問自答
さて、あなたの「柔軟性」はどうですか？
自問自答のためのチェックリストを紹介します。
もし、ひとつでもNOがあれば、それは「解決すべき成長課題」です。
- 目的はカタイか？
- 「経営の原理原則」はハラ落ちしてるだろうか？
- 「関わる人たちの幸せ」を軸にしているだろうか？
- 手段はヤワイか？
- より合理的であれば朝令暮改しているか？
- ジブンとは異なる意見や価値観、つまり多様性をムリなく受け入れているか？
- 過去の成功事例を現在にアレンジしているか？
- 誰が言ったか？ではなく、何を言ったか？に耳を傾けているか？
- より良いモノコトを素直に認め、受け入れているか？
- 複数の選択肢を比較検討するクセはあるか？
【目標設定】
柔軟な考動カルチャー
これから、柔軟性を高めるにあたりゴール設定をします。
それは「柔軟な考動カルチャー」。
この柔軟性は、経営者だけではなく、チームにとっても大切なマインドセットです。
「柔軟志向を持ったチーム」
- 明確な目的意識を持っているチーム
- 目的のために何が最適かを考えるチーム
- 目的のために最も合理的に行動するチーム
最強です。
経営者の柔軟性が試される大きなテーマのひとつです。
つまり「関わる人たちの幸せ」という目的のために「理にかなったチーム」を作る柔軟な経営者。
そのために、
まずジブンの柔軟性を高める。
次にチームの柔軟性を高める。
そのステップは次のとおりです。
- ステップ１：理解
柔軟性とは何か？を伝える - ステップ２：納得
柔軟志向の大切さを伝える - ステップ３：行動
「それ、最適か？柔軟に考えよう！」をチームのクチグセにする - ステップ４：習慣
継続によって最適を考動することが習慣となる。
この「習慣化のステップ」に従ってコツコツ続けましょう。
「柔軟な考動カルチャー」が根付けば、間違いなく「もっといい会社」に成長です！
（参考記事）
フレームワーク｜経営者の「勝ちグセ」を高める習慣化ステップ
【課題解決】
アタマをヤワヤワにする
まず「ジブンの柔軟性」からです。
課題解決は「リカバリー」と「アドバンテージ」の２軸で取り組みましょう。
- リカバリーは、
「カタイアタマ」を「ヤワイアタマ」にするステップ
=軽いストレッチレベル - アドバンテージは、
「ヤワイアタマ」をさらに「ヤワヤワ」にするステップ
=トレーニングレベル
ゼロ線思考法で取り組みましょう。
「カタイアタマ」からいきなりトレーニングレベルに取り組むとケガのリスクがあるので、課題解決は必ずリカバリー課題を解決してから。
つまり、「ゼロ線」を越えてからです。
（参考記事）
【ゼロ線思考法】優先順位を間違うと努力がムダになる
１）リカバリー課題の解決
何らかの理由や事情もあって、非合理的な考動が多い「カタイアタマ」。
「柔軟にならなければ=must」と考えているなら、まず最初は
「もっと柔軟になりたい=want」と、動機を変えるところから。
なぜ
「want=したい！」ではなく
「must=しなければならない」なのか？
非合理的な考動の原因は何か？
私が今まで出会った数百人の「カタイアタマの経営者」の共通点ベスト（ワースト？）４をリストすると次の通りです。
- 非合理的な選択肢を、合理的と思い込んでる
- ベストの選択肢と気付いているのに、プライドが邪魔している
- 変えるリスクより、変えないリスクを選択するクセが抜けない
- 時代バイアス（=昔が正しくて、今が間違ってる）に囚われ、適応できない
「カタイアタマの経営者」が、これらに自覚がなければ、残念ながら「ジブンは柔軟だ」と思ってるので、課題解決は難航します。
しかし、「思い当たるな」と感じるなら「チャンス到来！」。
課題を自覚できれば、すでに解決に向かって動き出している証拠です。
「カタイアタマ」が「ヤワイアタマ」になれば、徐々に経営は好転しだします。
- アタマがヤワくなる
↓ - 「ミンナ最適」の意思決定が増える
↓ - 「ミンナ」の評判が好転しだす
↓ - 「ミンナ」からの支持率が上がり出す
↓ - 協力や応援が増える
↓ - 成果が出始める
↓ - 経営が楽しくなりだす
↓ - 「シンドイ経営」が「ラクチン経営」に向かう
ほら、「must」が「want」に変わるでしょ？
２）アドバンテージ課題の解決
リカバリー課題を解決して「ゼロ線」を越えれば、徐々に「合理的な考動」をし始めているはずです。
人は「したい=want」と思えば、特別な支障がない限り、それをやり始めるからです。
そして、次の「want」。
「ヤワクアタマ」を、もっと「ヤワヤワ」にしたい=want。
アドバンテージ課題を解決しましょう。
文字通り「優位な柔軟」。
「もっといい選択をするジブンへの成長」。
ここで忘れてはならないのは
「目的はカタク、手段はヤワク」というフレーズ。
そうです。
柔軟は「手段」です。
「目的」のための「手段」。
だから
「手段」からのアプローチではなく
「目的」からのアプローチが大切です。
つまり
「手段：もっと合理的な考動」のために
「目的：もっとミンナを深く考えること」が大切であり、効果的な方法です。
３Ｇの人たちのため、もっと役に立てることはないだろうか？
- 得意先のために
- 取引先のために
- 社員と、その家族や大切な人たちのために
- ジブンの家族や、大切な人たちのために
この思考を深めれば深めるほど
「あーすれば」「こーすれば」とアイデアが出てくることでしよう。
すると「正解はひとつじゃない」と気付くことが多くなります。
「これが正解だろうか？」が
「他にも正解はないだろうか？」に変われば、もう十分に
「ヤワヤワ」です。
この記事では、近江商人の「三方良し」との比較で「３Gマネジメント」の詳細を解説しています。
- 「近江商人の三方良し」
- 「世間」
- 「買い手」
- 「売り手」
- 「３Gマネジメント」
- 「社会・取引先・顧客」
- 「社員と、その家族や大切な人たち」
- 「経営者と、その家族や大切な人たち」
【要点整理】
正しさをヤワク考える
さて、どうですか？
「経営脳：５つのレイヤー」の最下層「マインドセット」を深める視点のひとつ「柔軟志向」を紹介しました。
最後に要点をまとめておきます：
経営者の柔軟志向とは、
「最適解のために、柔軟であろうとする志向」です。
意識しなくても自然に「最適解」や「合理的な考動」に「志（ココロ）が向いている」という「アタマのクセ＝考動習慣」。
- 「ジブン最適」から「チーム最適」
- 「チーム最適」から「ミンナ最適」
経営の目的からブレず「関わる人たちの持続的な幸せ」を考え、そのために常に最善を尽くす経営者。
- 「これでいいのだろうか」
- 「これで正しいのだろうか」
- 「もっといい方法はないだろうか」
「カタイアタマ」では考えなかったことを
「ヤワイアタマ」なら考えるようになります。
やがて、それが「クセ」になり、気付いたときには「ヤワヤワ」になっているはずです。
経営者のマインドセットを整え、
「正しさを考えるチカラ」を強くし、
「ヤワヤワアタマ」にする。
この「柔軟性」を考え続ける習慣＝アタマのクセは「一生ものの財産」になります。
もちろん、そのご褒美が「最高の経営者人生」であることは言うまでもありません。
もし、サポートが必要であれば、いつでも気軽に連絡ください！
以上、お役に立ちますように！
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