人が育つ仕組み|人は「学校方式のPCDA」で育てる

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この記事は、更新時の情報と筆者の考えに基づくものです。


かつては、メンバーを叱責するときに「会社は学校じゃない!」というフレーズを発する経営者も多く、それに対して各々が自助努力をし、それが成長につながった時代がありました。

しかし、今の時代、「会社は仕事をするところ=勉強はプライベートの時間でするもの」というスタンスで期待通りに人材育成が進めば何も問題はないのですが、現実は厳しいのではないでしょうか?

メンバーの成長がますます会社の成長に大きく影響する時代です。特に中小企業においては、自習が苦手なメンバーも多く、「外部刺激」、つまり「積極的な成長支援」が必要です。「採用力」とともに「育成力」の良し悪しが会社の業績、成長を左右します。

この記事では「育成力」を高め「人が育つ会社」にするためのひとつの方法である「学校方式による育成」について整理し紹介します。

この記事は「中小企業向け人材育成|人が成長する仕組み作りの概要」の補足です。

このブログでは「10人~100人規模の中小企業経営者」の方々に向けて「経営脳の自主トレサポート」を目的に「もっといい会社」にするためのヒントを発信しています。初めてアクセスしていただいた方は、こちら(=「このブログについて」)をまずご覧ください。

【提案理由】なぜ「学校方式」なのか?

改めて、学校の仕組みを整理すると「学年別のカリキュラム」に基づいて「授業」を行い、定期的な「テスト」によって、習熟度をチェックし、必要に応じて「補習」を行うというプロセスになっています。

これは、伝統的なフレームワークである「PDCAサイクル」そのものです。

カリキュラムによって「何を学べばいいのか?」を理解した上で、学習を進め、定期的なテストによって「足りていること・足りていないこと」を先生と生徒が共有し、足りていないことは、個別に補習を行うことで、それぞれが成長していきます。

  • P:Planning:カリキュラム
  • D:Do:授業
  • C:Check:テスト
  • A:Action:補習

この「学校方式=PDCA」は、人を育てる方法論として合理的なプロセスであり、これを会社の人材育成に取り入れようという提案です。

ちなみに、この「学校方式」を提案するにあたって、この方法以外にもっと合理的でかつ効果的な方法があるか?と比較検討しましたが、結論は「学校方式」に至りました。この「学校方式」を取り入れなくても人材が成長する会社はたくさんありますが、そんな会社を観察すると、結局、この「学校方式」の変形である「個別指導方式」がほとんどであり「集合形式」かどうかの違いだけです。

あと、レアケースとして、先輩と後輩が小さなグループを作る「師弟方式」がありますが、この方法を採用できる会社は少数派です。

【重要視点】事前準備 “なぜ成長が必要なのか?”

我々が幼少の頃「いい大学に入るため」「いい会社に入るため」というように「なぜ勉強が必要か?」についての「シンプルな理由」を、親や先生から言われたものです。

これは、大人になっても同じです。人材育成に取り掛かる前に、まず「なぜ成長が必要なのか?」についての「シンプルな理由」を伝えておく必要があり、これはとても重要な前準備となります。

この「シンプルな理由」を経営者自身が体現する共に、正しく自らの言葉で伝えるところから始めます。

  • 成長の定義「成長とはもっと役に立つ存在に変化すること」を伝える
  • 成長の目的「もっと幸せになるためであること」を伝える
  • ヒトの構造「パソコンやスマートフォンと同様、OSとアプリで成り立っていること」を伝える

これらについては、下記の記事を参考にしてください。

【PDCA】学校方式の実務ステップ

「成長の定義と目的」「ヒトの構造」を正しく伝える「前準備」が整えば、具体的なPDCAをグルグルと回す実務です。

P:カリキュラムの3つのカテゴリ

人材育成のカリキュラムは、大きく3つのカテゴリーで構成されます。

  1. マインドセット:心構えや考え方
  2. 基礎スキル:年齢や職種に関わりなく、すべてのビジネスパーソン必修のスキル
  3. 実務スキル:職種別の技術や技能に関するスキル

さて、このカリキュラムは「誰が作るのか?」という「大きな関所」がありますが、これは「経営者の仕事」です。先にお伝えしておきます。このカリキュラム作りは、時間も労力も必要です。完成まで半年や1年を要するかもしれません。

「そんな時間も、能力もないよ!誰か、代わりに作ってよ・・・」という気持ちがあるかもしれません。でも「だから、経営者自身が作る」のです。このカリキュラム制作の過程で、大きな学びや、数多くの気付きがあります。それによって「経営者の育成スキル」が飛躍的に向上します。

カリキュラムのベースとして参考になるのが「経営脳のレイヤー」であり、また、これらが「人事評価の評価基準」にもなります。下記の記事を参考にし、自ら修得した上で、メンバー用にアレンジしましょう。

ちなみに、補足しておきます。

「育成力」は「どこかで買ってくるもの」ではなく「自ら作るしかない」ものです。

さて、「育成力」をあきらめるか?それとも「一生モノの財産となるカリキュラム」を作るか?です。

D:実践

カリキュラムの内容について、具体的にインストールしていくプロセスです。学校では「授業」に相当する部分です。これには、経営者自身が定期的に授業を行う、外部研修を活用するに加えて「OJT(On the Job Training)」が有効です。

日常の仕事の中で「課題は?」「仕組み化できた?」「ロジカルに考えてみよう!」など、様々な場面でカリキュラムのテーマを想起させるコミュニケーションをとることがとても効果的です。

(詳説記事)中小企業の人材育成|単発研修に効果なし=定例研修を仕組化

C:人事評価

学校においては「定期テスト」に相当するプロセスが「人事評価」です。

「人事評価」は、カリキュラムのテーマごとに習熟度を評価し、個別に「成長課題」をピックアップし、共有するためのツールです。「コミュニケーションスキルは4点だけど、課題発見力が2点なので、それが優先課題だね」というような活用イメージです。

詳細は、人事評価カテゴリーの記事を参考にしてください。(順不同)

A:成長フォロー

人事評価で明らかになった「成長課題」の解決にフォローが必要な場合、学校で言うところの「補習」を行います。

たとえば「課題発見力」に課題があれば、その考え方やフレームワークの基本の学び直しをフォローしたり、日常業務の中で、特に意識をしてもらうようなコミュニケーションを増やしたりといった具合です。

このプロセスは、各自の成長課題の解決という効果以上に「社長は、自分の成長にホンキで関わってくれている」という信頼関係を築く絶大な効果があり、ますますリーダーとしての求心力が増していきます。

ここで手を抜かないように注意しましょう。

【実務課題】実施のハードルと対策

「学校方式」の導入には時間と労力がかかるため、特にリソースの限られた中小企業にとっては実施が難しい場合があるので、そのような場合は、下記を参考にしてみてください。

段階的な導入

全面導入ではなく、まずは一部の部門やリーダー層限定など少人数から試験的に導入し、徐々に全社的に展開していくことが実務的です。

柔軟なカリキュラム

カリキュラムにおいても、上記の3つのカテゴリーが揃ってからではなく「マインドセット」から始めるなど、小さくスタートしましょう。ただ、注意点は「マインドセット」「基礎」「実務」の順番なので「マインドセット」を後回しにして「実務」から始める、ということはオススメしません。

プロジェクトチームを編成する

この「学校方式」を経営者ひとりで設計~導入するには、負担が大きすぎると思います。ある一定上のスキルを持ったベテランメンバーや、外部コーチ(コンサルタント)などとプロジェクトを組んで取り組むのも一考です。ただ、前述したように、プロジェクトチームのリーダーはあくまでも経営者自身であることを忘れないように注意しましょう。

【まとめ】人が育つ仕組み作り

さて、どうでしょうか?中小企業の「育成力」を強化するためのひとつの方法として「学校方式」について整理し提案しました。

中小企業の成長には「採用力」に加えて「育成力」が益々必要かつ重要な時代です。自助努力を期待したり、あるいは、外部に任せても、その効果は大きくありません。「もっといい会社」にするためには「人が育つ会社」に変化する必要があります。

関連記事も含め参考にしてみてください。

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