人生計画|「出口」を知らない経営者はいずれ後悔する

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この記事は、更新時の情報と筆者の考えに基づくものです。


おはようございます!2024年第20週の土曜日です。様々順調ですか?

今週、私は福岡だったんですが、この季節の朝のルーティンは「ももち浜で瞑想」です。

福岡空港に着陸する飛行機を見上げながら「いろいろ」考えていました。平日の朝に、こんな贅沢な時間を過ごせるのも「無事に引退できたからやなあ」と改めてしみじみと関連各位に感謝してました。

・・・ということで、今週は、経営者の出口である「経営者の引退」について整理しておきます。

せっかくのご縁があって、このブログを読んでくれている皆さんには「ちゃんと伝えよう!」と思ってまとめます。ぜひ、参考にしてください。

このブログでは「10人~100人規模の中小企業経営者」の方々に向けて「経営脳の自主トレサポート」を目的に「もっといい会社」にするためのヒントを発信しています。初めてアクセスしていただいた方は、こちら(=「このブログについて」)をまずご覧ください。

【確定未来】 “最後の日”は必ずやってくる

会社を立ち上げて経営者になることは簡単ですが、引退は意外と難しいものです。このブログを読んでくれている若い経営者の皆さんにとっては「遠い将来の話」かもしれませんが、それをあえて発信するには理由があります。それは「後悔してほしくない」の一言に尽きます。

私の同世代前後の経営者でハッピーリタイアができている人、あるいは、できそうな人はどちらかというと少数派です。ハッピーではない「何か」があって困ったり悩んでいる人が少なくありません。日本の中小企業経営者の多くがリタイアで困っています。

私は、税理士として30年以上にわたって多くの中小企業経営者とともに仕事をしてきましたが、そのハッピーでない「何か」の原因の多くは「準備不足」だと思っています。「もっと若いうちから考えておけば、こうはならなかったのに」です。

行政も様々な支援を講じていますが、そんな簡単なものでもありません。

参考資料:中小企業庁:事業承継支援策:https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/know_business_succession.html

「最後の日」は必ずやってきます。

いつか経営者をやめる時が来ます。「死ぬまで仕事するで!」と思ってても「死」とともに「最後の日」がやってきます。

経営者の歴史は、大雑把に言えばみんな同じ3点セットです。

  1. 「入口=経営者になる」
  2. 「経営者として成功する」
  3. 「出口=経営者をやめる」

「なる」のはカンタンですが、「成功」から「やめる」に至る過程でどんどん難易度が上がります。

当たり前ですが、まずは「最後の日」は必ずやってくると自覚することがとても大切であって、「まだ考えるのは早い」というテーマではない!ということを強調して以下続けます。

【二者択一】出口は”売る”か”たたむ”か

突き詰めたことろ、経営者の出口は「売る」か「たたむ」かの「2択」です。

「後継者に承継」も選択肢にして3択、さらに「IPO」も加えて4択という考え方もありますが、「後継者に承継」も「IPO」も大きな意味で「売る」なので「2択」で考えた方がわかりやすいです。

(私も「3択」って言ってることもありますが・・・)

この「売る」とか「たたむ」と言うのは簡単ですが、希望通りに「売れるか?」「たためるか?」と言うとそうでもありません。「ハッピーストーリー」と「バッドストーリー」を比較してみましょう。

ハッピーストーリのリアル

希望通りに「売れた!」「たためた!」というハッピーストーリをリアルにリストアップすると、次のようなものが挙がります。

  • 会社を大切に承継してくれる相手がいる
  • 引退に際して、退職金や株式売却代金など、老後のための資金が手に入る
  • 苦楽を共にしてきた役員や社員たちも失業することなく引き続いて仕事がある
  • 長年にわたってお世話になったお客さんや取引先に迷惑がかからない

希望する日に、希望する形で「着陸」できるソフトランディングです。

バッドストーリのリアル

反対に、希望通りに「売れない・・・」「たためない・・・」というバッドストーリをリアルにリストアップすると、次のようなものが挙がります。

  • 会社を承継してくれる相手が見つからない
  • 内部留保が少なく、老後資金がない・・・
  • 借金が大きくて、完済までまだ時間がかかる
  • 廃業すれば、苦楽を共にしてきた役員や社員たちは失業し路頭に迷うことになる
  • 長年にわたってお世話になったお客さんや取引先に大きな迷惑がかかってしまう

このような状態で売るに売れずに仕方なくたたむ=廃業というハードランディング・・・。多くの犠牲を伴います。

あと付け加えると、絶好調の結果「ピッカピカのバランスシート」なので「株価」が高くなってたけど、対策をしていなかったので、株式の譲渡や相続の税金が大変!という後悔も少なくありません。

ちなみに、「自分さえよければええねん」「社員や取引先のことなんか知らんがな」「借金なんか踏み倒したらええねん」・・・そんな考え方の人は、このブログは役に立たないので、ここでサヨナラです。

【重要視点】「お金」「ひと」「健康」

経営者の引退に必要なものは「お金」と「ひと」と「心身の健康」の3つです。

「お金」・・・時価バランスシート

「お金」というのは、経営的に言えば「時価バランスシート」のことです。

時価ベースで債務超過になっているようでは「買い手」は極端に減ってしまいます。喜んで「借金の肩代わり」をする人は稀です。また、親族承継であっても、子供に借金を引き継いでもらうのは親として心苦しい限りでしょう。

また「売却」ではなく、「たたむ」を選択をしたとしても、残ってる債務返済、社員たちの退職金、清算する手続きコスト、さらに「後片付けのコスト」など、まあまあのお金が必要です。

さらに、老後資金を必要とするなら「十分なおつり」も必要ですね。

私は「バランスシートは、引退のためのパスポートやで」とよく言いますが、貸借対照表をナメてたら痛い目に会います。

(参考記事)こうなってはならない!「ヤバイ貸借対照表」のサンプル

「ひと」・・・承継してくれる人

2つ目の「ひと」ですが、引退のためには「事業を引き続いてくれる人」も含んで「買ってくれる人=買える人」が必要です。さらに付け加えると、自分自身が今まで大切にしてきた「こと」や「もの」を、正しく理解したうえで引き継いでくれる人がより望ましいことは言うまでもありません。

また、事業継続を前提とするなら「自分(経営者)がいなくても大丈夫」というチームにしておくことが必要です。経営者がいつまでも最前線で活躍していては後継者は育ちません。後継者たちから「社長、もう、会社に来なくてもいいですよ!」と言われて「さみしい」かもしれませんが、それ以上に「うれしい」と思うくらいでないと事業承継は成功しません。

あと付け加えると、引退プロセスを通じて親身になって相談に乗ってくれる(私みたいな)「ひと」もいた方がいいですねw。

「心身の健康」・・・カラダが資本!

これは、クドイ説明はいらないでしょう。年齢を重ねれば特に「体が資本」ってことが身に染みてきますが、引退のための準備や正しい意思決定のために「心と身の健康」は欠かせません。

(参考記事)経営脳5つのレイヤー:第2階層:フィジカル「体が資本」

【準備開始】さっそく始める3つのこと

私が若い人にアドバイスすることは次の3つです。

未来想定「理想の引退を想像する」

「大雑把」でもいいです。「望む引退」「望まない引退」を時々想像してみてください。「こんな引退が理想やなあ」とか「こんな引退だけは嫌やなあ」とかを考えるのです。また、その参考として「引退間近な先輩経営者」との交流も情報収集として効果的です。「引退で困ってる経営者」に出会うと、反面教師として特に勉強になるはずです。

長期経営計画を作るのも効果的です。こちらの記事も参考にしてみてください。

(参考記事)中小企業の経営計画は「経営者の人生計画」という視点

内部留保「時価ベースで厚くする」

上述したように「売る」にしても「たたむ」にしても、債務超過では叶いません。若いからこそ間に合うので着実にコツコツと「時価(換金価値)バランスシート」を健全に育てて厚くしてください。いろんな考え方がありますが、ひとつの目安(目標)として「欲しい退職金の額以上」がいいと思います。

(参考記事)管理会計|中小企業経営者のための【進化型】MA貸借対照表

人材育成と人脈拡大は「質にこだわる」

事業を承継してくれる人は、社内?親族?それ以外?、それぞれの選択肢がありますが、どれにしても「突然現れること」はレアケースです。「この人だったら!」と信頼できる人を選び、育て、良好な関係を継続することで成否が決まるといっても過言ではありません。人脈に「数」は必要ありません。「質」が大事です。

あと、付け加えておくと「顧問税理士」は「事業承継に強い人」を選びましょう。

(参考記事)決算書は「経営者の人生の記録」なので大切に積み重ねること

【まとめ】不幸者がいない引退のために

さて、どうですか?

今日は「経営者の引退」について「若い経営者に伝えたいこと」という視点で整理しました。

経営者の引退の成否は、結局「幸福」と「不幸」で決まります。自分自身も含めて「不幸者がいない引退」が成功です。誰かに迷惑が生じたり、犠牲を伴ったり、あるいはガマンをさせたりすれば、その引退は成功とは言えません。

そのために、今から「未来想定」をし、「時価バランスシート」を育て、「信頼できる人」と良好な関係を作りながら「もっといい会社」にしましょう。

関連記事も含め参考にしてみてください。

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