「みんなで稼いで、みんなで分かち合う」
理想の「業績連動型賞与」
もう賞与で悩まなくていい!
さて、やる?やらない?
10人~200人規模の中小企業経営者の「自己投資=経営脳トレーニングのサポート」を目的に、「もっといい経営者」「もっといい会社」に成長するヒントを日々更新しています。
40年近く税理士として中小企業経営を支援し、経営計画や管理会計、組織作りを専門とするマネジメントコーチ・堀井弘三が、その現場で得た豊富な経験と知識に基づき執筆しています。
初めてアクセスしていただいた方は、「このサイトについて」をまずご覧ください。
「組織戦略」の
「5つの要素」の5つめ、
(組成・採用・育成・評価・分配)
「分配」の概要について整理します。
「分配」は「給与賞与」の話が中心ですが、その中でも、本サイトでは「成果分配=業績連動型賞与」について紹介します。
これは、上手に運用すれば、
「業績管理」と
「人材育成」を連動させる仕組みとして
「想定以上の効果」が期待できる仕組みです。
しかし、下手をすると、最悪の場合、人材育成どころか、チームが崩壊するほどのダメージを受けます。
「業績連動型賞与」は
「ハイリターン・ハイリスク」の仕組みです。
まずは、その概要を「ざっくり」お伝えします。
【おさらい】
組織戦略としての成果分配
「成果分配」は、
「ヒト戦略」と
「カネ戦略」の両方に関わる話。
「給与や賞与の計算の仕方」という
「計算実務の話」だけではありません。
本題に入るにあたり、
「業績連動型賞与」は
「経営戦略の話」であることを確認しておきます。
「経営戦略」の中の
「組織戦略:分配」の位置付けについて
「おさらい」が必要なら、ここをクリック。
(必要なければ、次に進みましょう)
「中小企業の組織戦略」の目的は「最高のチーム作り」を通じて「もっといい会社」に成長することです。
その戦略要素は「組成・採用・育成・評価・分配」の5つ。

「成果分配」は、「組織戦略」の一部、
「組織戦略」は、「経営戦略」の一部。
つまり、
「成果分配」は
「経営戦略」の一部であり、
「経営目的を実現するための仕組み」です。
チーム力を高め、
もっといい会社にするための
「戦略テーマ」。
上手な成果分配は
↓
モチベーションを高めるので
↓
チームはより強くなり
↓
戦略実行がよりよく進む
↓
もっといい会社になる
この連鎖の構造です。
まず、この
「成果分配の戦略的位置づけ」を共有します。
「成果分配」は、
「戦略テーマ」のひとつです。

【視点転換】
みんなで「稼いで分ける」
私が紹介する
「業績連動型賞与」の基本コンセプトは、
「みんなで稼いで、みんなで分ける」です。
チームで頑張って得た「成果」。
「みんなで稼いだ成果」を
「どうやって分けるか」です。
たくさん稼げば「分け前」はたくさん。
稼ぎが少ない時は「分け前」は少ないし
「ゼロ!」もあり得る。
チームの全員が「成果の当事者」です。

もちろん、赤字の時は
「社長が全責任を負う」
私が経営していた税理士事務所でのエピソードを紹介しておきます。
私は、「給与や賞与をもらって、ボクに礼を言うのは間違ってる」とよく諭していました。
「給与や賞与をもらったお礼は、みんなに」と。
会社に関わる社内外の人たちのおかげだから「お互いにありがとう」が筋というもの。
「社長にありがとう」ではない。
もし、どうしても私に何か言いたいのであれば、「こんなメンドウな仕組みを設計して、運用していること」を褒めてくれ。
…と笑っていたことが、今はいい思い出です。
最初に念押ししておきます。
「会社の利益」から支払うのではありません。
「会社の利益」は、
「成果分配後の残り」です。



ましてや
「社長の財布から」
なんて大きな勘違い
さて、どうでしょう?
成果分配のコンセプトは伝わりましたか?
以下、この「メンドウな仕組みと運用」について続けます。
【仕組概要】
「ざっくり」イメージ
では「成果分配」の仕組みを「ざっくり」と俯瞰しましょう。
これは、基本的に「賞与の話」です。
なぜなら「給与」は「生活保障給」なので、会社の業績に関わりなく支払う必要があるからです。
それに対して「賞与」は「利益分配」なので、業績次第です。
*例外的に給与も業績連動させることがありますが、それは応用なのでここでは触れません。
これを「人的資本経営」の思想に照らして表現すると、次のようになります。
「人材に投資」
→「業績成果は投資のリターン」
→「業績成果の人材への還元」。
その計算方法の「基本形」はシンプルです。


- 「山」の計算
「業績成果」×「分配率」=「賞与総額」 - 「山分け」の計算
「賞与総額」×「貢献率」=「各人の賞与」
これは「人事の仕組み」なので、次のような注意点があります。
- 「成果分配のルール」は公表され、
メンバーは正しく理解しているか? - 「成果とは何か?」が定義され
「計算できる指標」で表現されているか? - 「分配率」「貢献率」の計算ルールは
公平公正か? - 「貢献」を評価する「人事評価」は
適正に運用されているか?
この「仕組み」がなければ
「社長の気持ち」で賞与が決まります。
この「仕組み」があれば、
「公開ルール」で賞与が決まります。
もちろん、気になる「社長の気持ち」は
「ルール」に織り込み済みです。
「毎回、賞与の時に思い悩むか?」
それとも
「初回、仕組作りで思い悩むか?」
この選択です。
【期待効果】賞与で悩まない
賞与・ボーナスの季節になると気持ちが重い…
クライアント経営者から、何度も聞いただけでなく、私自身も「支払う立場」のときは(この仕組みを運用するまで)いつも感じていました。



年末、大阪のタクシーで
「お客さん!ボーナスは、よーけ(たくさん)もらいましたか?」
と、私が「もらう側」と勘違いして声をかけてきた運転手さんに
「へ?よーけ取られた方や!」なんて八つ当たりしたこともあります💦
運転手さん「あ!社長はんでっか…」。
賞与は本来、頑張ってくれたメンバーに報いる喜ばしい機会のはずです。
しかし実際には、多くの経営者が次のようなモヤモヤを抱えています。
- 社員の頑張りに報いてあげたいけど、どれくらい出せばいいだろう?
- 会社として精一杯の誠意で支給しているのに、社員たちは嬉しそうじゃない
- 賞与を支給してもなかなかモチベーションが上がらない
- 賞与の金額を決めるための査定が難しい
- 特別な功労があった者、反対に見過ごせないミスがあった者の金額をどうしよう?
- 賞与の季節になると、社内の空気がギクシャクする
- 社員とハラの探り合いをするのはやめたい
どれをとっても、憂鬱なことばかりです。
では、このモヤモヤの正体は何でしょうか?
それは「納得感の欠如」です。
- 経営者は「精一杯支払っている」と思っている。
- メンバー側は「評価されていない」と感じる。
この認識のズレが賞与の季節のたびに表面化するのです。
私がコーチングの現場で経営者の話を丁寧に聴くと、その奥にあるニーズは主に次の3つにまとめられます。
- シンプルで分かりやすいルールを作りたい
- メンバーの納得性が高いルールを作りたい
- 業績と貢献で計算できるルールを作りたい
つまり、経営者が本当に実現したいのは
「透明性」「公平性」「連動性」の3つです。
この3つを兼ね備えたルールを運用すれば、賞与の悩みはほとんどなくなります。



ほとんど・・・
【判断基準】
成功のための3つの視点
さて「業績連動型賞与」のイメージの解像度は上がったでしょうか?



簡単じゃないなあ・・・
ですよね…はい。
上述したように「ハイリターン・ハイリスク」な仕組みだけに「取り合えず、やってみるか」というわけにはいきません。
以下、私自身、そして、いままで多くの中小企業でサポートしてきた経験から「成功のための3つの重要視点」を整理しました。
「やるか?やらないか?」の判断基準の参考にしてみてください。
視点1:経営者のマインドセット
最初に確認すべきは、経営者自身の「マインドセット(考え方)や気持ち」。
次の3つに「ホンネでYES!」と言えるかどうかを確認してください。
- 成果をチーム全員とオープンに共有したい
- 誰も特別扱いせず、公正公平に分配したい
- 公平性のため精度の高い人事評価をしたい
これらが「たてまえ」ではなく「ホンネ」で「YES」であれば、「もう、8割成功したようなもの」です。
この3つが揃わないと「みんなで稼いで、みんなで分ける」は実現できません。


視点2:精度の高い会計処理
計算はシンプルです。
各人の賞与=業績×分配率×貢献率
だから「業績を正確に把握する必要」があります。
多くの場合、
「会計データ」を使うので
「正しい会計処理」が大前提になります。
「正しい試算表」が「毎月必要」です。


視点3:公正な人事評価
計算式のもう1つの要素「貢献率」は、人事評価から導き出されます。
「公正かつ公平」に成果分配するためには、各人の「貢献率」の精度が求められます。
「人事評価」については、「第5部:評価編」で詳しく解説しているので、課題意識があれば「分配」の前に「評価」について理解と認識を深めてください。
避けて通れません。


【危険共有】ハイリスクのリアル
「業績連動型賞与」は、上述したように「リスク・デメリット」もあります。
こちらの記事→「成果分配の功罪|業績連動型のデメリットとリスク」で、次のようなリスクやデメリットを詳しく解説しているので、引き続き、読み進めてみてください。
- デメリットとリスク
- 業績不調で賞与原資がなくなるリスク
- 人事評価の手間がかかるデメリット
- 業績情報が漏洩するリスク
- コストがかかるデメリット
- 中小企業でよくあるケース失敗事例
- 見切り発車で失敗した事例
- ルール外のお手盛り支給で失敗した事例
- 月次決算の精度が低くて失敗した事例
「最高のチーム」を作るために「戦略」だったのに、真逆のことが起きることがあります。
「失った信頼や信用」を取り戻すのは大変です。
「軽い気持ちで、とりあえず」は厳禁!
改めて「念押し!」しておきます。


【要点整理】
どうせ「しんどい」なら
さて、どうでしょう。
「業績連動型賞与」を「ざっくり」紹介しました。
「業績管理と人材育成を連動させる仕組み」
そのための設計に始まり、
導入、運用、定着まで、
ご想像の通り「簡単」ではありません。
でも「うまく行ったとき」の効果は想像以上です。
そもそも「もう賞与で悩まない」だけでなく…
- 業績に対して、
強い当事者意識を持っているメンバー - 貢献率アップのため
もっと成長しようとするモチベーション - 良い時も、悪い時も
成果を分かち合う一体感
…は、経営者ならみんなが望んでいることです。
「一時の苦労」はあります。
でも、それは「産みの苦しみ」。
中小企業経営者にとって、賞与の仕組みは、あっても、なくても「しんどい」。
繰り返しておきます。
「毎回、賞与の時に思い悩むか?」
それとも
「初回、仕組作りで思い悩むか?」
お役に立ちますように!
【関連記事】
「組織戦略」全記事リスト
1部:概要編
2部:組成編
3部:採用編
4部:育成編
- 01:人を育てる覚悟「ホンキ」で人を育てているか?
- 02:人材育成の準備「優秀な人材」を言語化してるか?
- 03:人を育てる前提「ヒト」を正しく理解しているか?
- 04:人材が育つ文化「成長の定義」を共有しているか?
- 05:人材育成の課題「人が育たない会社」の共通点8選
- 06:人材育成の順序「スキルの3段階」に沿ってるか?
- 07:人材育成の仕組「学校方式のPDCA」で育てる!
- 08:人材育成の仕組「いい会議」をすれば人は育つ!
- 09:人材育成の仕組「定例研修」を「内製化」する!
- 10:人材育成のコツ「いいね!」褒めて育てる重要視点
- 11:人材育成の難問「リーダー」が育たない理由
- 12:リーダー育成│3つの役割をチームで共有する
5部:評価編
このサイトでは、ひとりでも多くの経営者の方々のお役に立ちたいという思いを持って、なるべく深く、そして詳しく発信しているつもりなのですが、「ひと」に関することには「どうしても書けないこと=公表できないこと」があります。
特に、人事評価とか給与賞与に関するマネジメントには、その性質上「社員さんたちには知られない方がいいこと」があります。
お察しのとおり、このサイトは経営者の方だけではなく、一般社員さんたちもアクセスし読むことができます。
すべて「理想論」や「タテマエ」で解決できればいいのですが、「人に関する実務」はそんなに甘いものではなく、時には「荒療治」しなければならないシーンがあります。この「荒療治」を文字で誤解なく伝えることはとても困難です。
また、カモフラージュした「事例紹介」であっても、当事者の方々にとっては「あ、この記事、当社のことやん」ってすぐにわかってしまいます。それは、その社員さんにとっても「あ、自分のことだ」とわかってしまいます。「いい話」の場合はいいのですが「よくない話」の場合は、気分を害したり、あらぬ誤解を生じさせたりするリスクがあります。
このような理由で「トラブル解決系」や「裏技的な方法」は、一般公開しているこのサイトでは書けません。
「それが聞きたいのに・・・」と、物足りなさを感じられる方も少なくないと思いますが、何卒ご了承ください。
ただ、トラブルや裏技が必要になるときの共通した原因があります。それは、この「組織戦略」を疎かにしてしまったリバウンドであること。念のために書き添えておきます。

