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07:成果分配の実務|賞与の「総額計算」の「分配率」

2026 5/01
2026年5月3日
H.HORII

中小企業が「業績連動型賞与」の仕組みを設計する際、「賞与総額」を計算する「分配率」をどうするか?

この記事では、その検討にあたって、考慮すべき4つのポイントついて整理します。

  • 人的コスト比率の上限
  • 給与を含むか?賞与限定か?
  • 固定か?変動か?
  • 上限下限を設定するか?

…その前に、必要であれば…

「業績連動型賞与」の概要は、この記事で紹介しています。

先に読んでおきたい
02:成果分配の概要|業績連動型賞与の「ざっくり」 「みんなで稼いで、みんなで分かち合う」理想の「業績連動型賞与」もう賞与で悩まなくていい!さて、やる?やらない? 「組織戦略」の「5つの要素」の5つめ、(組成・…

また、「業績連動型賞与」の実装ステップについては、下記の記事で紹介しています。

先に読んでおきたい
05:成果分配の実務|業績連動型賞与の実装ステップ 賞与・ボーナスは、成果と貢献に連動させたい。さて、どこから手を付ければいいのか?↓↓方針→設計→試験→実装→運用まで順を追って解説します! 【方針選択】まず、おおま…

「10人~200人規模の中小企業経営者」の「自己投資=経営脳トレーニングのサポート」を目的に、「もっといい経営者」「もっといい会社」に成長するためのヒントを日々更新しています。
元税理士のマネジメントコーチ・堀井弘三が、40年近くの経験と知識に基づき執筆しています。

INDEX

【全体像】
業績連動型賞与の計算過程

「業績連動型賞与」は、簡単に言うと
「みんなで稼いで」
「みんなで分ける」という仕組みです。

要するに「山分け」。

「山」となる
「賞与総額=原資」の話です。

下記のイメージ図にあるように、計算過程のふたつ目の要素です。

業績連動型賞与の概要イメージ|(業績)×(分配率)=(賞与総額)×(貢献率)=(各個人の賞与)

たとえば…

  • 「限界利益」が計算の基準
  • 「分配率」は「5%」

…とすると、次のようになります。

項目金額備考
売上高3億円
変動費2億円
 限界利益 1億円 
分配率5%山分けの「山」の比率
 賞与総額 500万円 
あわせて読みたい
06:成果分配の実務|売上?利益?ナニに連動させる? 中小企業が「業績連動型賞与」の仕組みを設計する際、その基準値となる「業績・指標」を何するか? この記事では、次の3つについて、そのメリット、デメリットを検討し…

【着眼点】
検討すべき4つのポイント

Point1 
人的コストの上限に注意

「分配率」の設定が高くて過剰分配による利益圧迫が起きたら本末転倒です。

「払い過ぎ」にならないように「上限シミュレーション」が重要です。

そのための指標となるのが「人的コスト比率」です。

よく似た用語に「労働分配率(付加価値に占める人件費の割合)」がありますが、「役員報酬を除く、メンバーたちの人件費」で計算する必要があるため、少しアレンジして提案します。

(人的コスト比率)=(A:人的コスト合計)÷(B:限界利益)

  • A:人的コスト
    • 役員報酬等を除くメンバーの給与や賞与、通勤手当や社保の会社負担額、さらに福利厚生費など、役員以外に関連するコストの総額です。
    • 必要に応じて「研修費」や「新聞図書費」などを含むこともあります。
  • B:限界利益
    • 売上高から変動原価(仕入れや外注費等)を差し引いた管理会計上の利益です。

この「人的コスト比率」の適正値はそれぞれの会社によって変わりますが、一般的に50%を超えないように注意します。

私は40%を上限目安に検討することにしています。

経験上、一部の例外を除いて「人的コスト」が50%を超えるとほとんどが「赤字決算」になるからです。

計算例を紹介するので参考にしてみてください。

年間見込み(千円)比率備考
売上高500,000
変動原価200,000
 【限界利益】 300,000 100% 限界利益を100%として計算
 給与・雑給75,000
 法定福利費10,000
 通勤交通費1,000
 福利厚生費4,000
 【人的コスト合計】 90,000 30% 賞与以外の人的コストの合計

この計算例によると、賞与を除く人的コストの合計が限界利益の30%と見込まれます。

「人的コスト比率」の上限を40%と設定すると「残り10%」の余裕があります。

このようなケースでは「賞与の分配率の目安は10%」として、人的コスト比率の上限である40%を超えないように検討を重ねますが、その際に「年商2~3倍になったら?」「年商が半分になったら?」など、その企業の事情に応じて、「極端な両ブレ」もシミュレーションし「そんな極端な業績のときでも10%で大丈夫か?」という「耐性」を試算することがとても重要です。

その結果「分配率は5%」と決めれば、限界利益が3億円の場合の賞与総額は「1500万円」ということになります。

あわせて読みたい
収益力改善|中小企業の人件費率は40%が上限か? 管理会計の視点は「人件費」ではなく「人的コスト」その見方は「売上高比」ではなく「限界利益比」さて、その「上限」の計算方法は? 「人件費」は適正ですか? 「儲け…

Point2 
総額方式か?賞与限定か?

上述の「人的コスト比率」のチェックと併せて検討する必要があるのが、
「総額方式か?それとも賞与限定か?」の検討です。

「総額方式」というのは
「人的コストの総額」を意味します。

これも、サンプルで解説します。

総額方式賞与のみ
 限界利益 300,000 300,000
人的コスト(賞与以外)90,00090,000
賞与を除く人的コスト比率30%30%
分配率人的コストの分配率は
限界利益の35%
賞与の分配率は
限界利益の10%
 賞与 300,000×(35%-30%)
=15,000
 300,000×10%
=30,000

「総額方式」の場合は「人的コストは、限界利益の35%とする」というルールなので、賞与はすでに支給積みの30%を控除した「残りの5%」が賞与になります。

一方「賞与のみ」で計算する場合は、支給済みの給与等に関わらず賞与限定で計算するために「限界利益×10%」となります。

「総額方式」の場合は、給与(特に時間外手当)や福利厚生費等の人的コストが増加すれば「残りは減少する」ので、賞与総額は少なくなります。

一方「賞与のみ」であれば、給与等の実績の影響はありません。

ちなみに、私が経営していた税理士事務所では「総額方式」だったのですが、特徴的なエピソードを紹介しておきます。

ある日、「慰安旅行で香港マカオに行きたい!」とメンバーから私に相談がありました。
慰安旅行は「福利厚生費」であり「人的コスト」のひとつです。
当社は「総額方式」だったので、念のため「賞与が減るけど大丈夫なん?」と確認しました。
でも、彼ら彼女らの回答は「賞与が減ってもいいので、みんなと思い出を作りたい」ってことでした。
私は、「んじゃ、いってらっしゃい!」とOKを出しました。

Point3 
固定方式か?変動方式か?

次に検討するのは
「固定方式か?変動方式か?」です。

  • 業績に関わりなく「固定するか?」
  • 業績に応じて「変動させるか?」

百聞は一見に如かず、下記「変動方式」のサンプルを参考にしてください。

限界利益分配率賞与総額の参考値
70,000以上10%7,000
60,000以上9%5,400
50,000以上8%4,000
40,000以上6%2,400
30,000以上4%1,200

この「変動方式」の特徴は、税金のように「高くなれば高率になる」という計算です。

「頑張っても、そうでなくても一律10%」という「固定方式」に比べて…

  • 「一定ラインを越えれば、分配率がワンランク上がるから、もう少し頑張ろう!」
  • 「このラインを割ると、ワンランク下がるぞ!キープしよう!」

…など、ラインを境目でのインセンティブを期待する方法です。

Point4 
上限下限を設定するか?

併せて、検討しなければならないのは
「上限下限」です。

会社経営に「想定外」は付きものです。

今期だけの臨時的な利益が上がったり、
反対に災害等で想定外の減収に見舞われたり

そんな「想定外」の上ブレ下ブレに備えます。

例えば、臨時案件で「今期、たまたま限界利益が倍増した!でも来期はない」というようなケース。

上限設定がなければ「想定外の賞与」になりますが、それでいいかどうか?の検討です。

逆も同様で「想定外の損害発生」で業績に大きなダメージを負った場合、それでも賞与を支給するか?ということも検討します。

この上限下限を設定するかどうかは、それぞれの会社によって事情や考え方があるので、どっちがイイとは言えませんが、設定する場合の表現は次のようになります。

  • 賞与総額の一人当たり平均額は、前期の150%を上限とする。
  • 限界利益が、前期比で50%を下回った場合は賞与を支給しない。

【まとめ】
慎重にシミュレーション!

さて、どうですか?

「業績連動型賞与」の「分配率」の決め方について検討すべき4つのポイントを紹介しました。

  • Point1:人的コスト比率の上限を超えないように注意
  • Point2:総額方式か?それとも賞与限定か?
  • Point3:固定方式か?変動方式か?
  • Point4:上限下限を設定するか?

いったん決めてリリースした「分配率」は、特別な事情が無い限りコロコロ変更することはできません。

設計段階において様々なケースをシミュレーションし、慎重に検討しましょう。

お役に立ちますように!

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  • 07:成果分配の実務|賞与の「総額計算」の「分配率」

このサイトでは、ひとりでも多くの経営者の方々のお役に立ちたいという思いを持って、なるべく深く、そして詳しく発信しているつもりなのですが、「ひと」に関することには「どうしても書けないこと=公表できないこと」があります。

特に、人事評価とか給与賞与に関するマネジメントには、その性質上「社員さんたちには知られない方がいいこと」があります。

お察しのとおり、このサイトは経営者の方だけではなく、一般社員さんたちもアクセスし読むことができます。

すべて「理想論」や「タテマエ」で解決できればいいのですが、「人に関する実務」はそんなに甘いものではなく、時には「荒療治」しなければならないシーンがあります。この「荒療治」を文字で誤解なく伝えることはとても困難です。

また、カモフラージュした「事例紹介」であっても、当事者の方々にとっては「あ、この記事、当社のことやん」ってすぐにわかってしまいます。それは、その社員さんにとっても「あ、自分のことだ」とわかってしまいます。「いい話」の場合はいいのですが「よくない話」の場合は、気分を害したり、あらぬ誤解を生じさせたりするリスクがあります。

このような理由で「トラブル解決系」や「裏技的な方法」は、一般公開しているこのサイトでは書けません。

「それが聞きたいのに・・・」と、物足りなさを感じられる方も少なくないと思いますが、何卒ご了承ください。

ただ、トラブルや裏技が必要になるときの共通した原因があります。それは、この「組織戦略」を疎かにしてしまったリバウンドであること。念のために書き添えておきます。

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この記事を書いた人

H.HORIIのアバター H.HORII マネジメントコーチ

思考のスパーリング・パートナー

もっとエエ会社にしたいなら、
もっとエエ経営者になればええねん!

これが口ぐせ。

1999年に税理士事務所を創業し、
勤務時代も含めると約40年近く
300人を超える中小企業経営者の
成功と失敗を特等席で見てきた
「超実務家」。
2022年に幸せな事業承継を遂げ、
自ら「経営の入り口から出口まで完走」。

現在はマネジメント・コーチとして、
20〜40代の次世代経営者を
「あおって、いやして、元気づけて」
パフォーマンスを最適化するのが仕事。
その現場で得た「もっとよくなるヒント」を
惜しみなく日々発信中。

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