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04:成果分配の実務|評価と給与の「キレイな関係」

2026 4/29
2026年4月29日
H.HORII

なんとか「人事評価」は定着してきた。
そろそろ「給与賞与」との連動も
精度を上げていかないとな…
さて、どうしよう?

「10人~200人規模の中小企業経営者」の「自己投資=経営脳トレーニングのサポート」を目的に、「もっといい経営者」「もっといい会社」に成長するためのヒントを日々更新しています。
元税理士のマネジメントコーチ・堀井弘三が、40年近くの経験と知識に基づき執筆しています。

人事評価と給与賞与は、うまくリンクしていますか?

人事評価の結果が、
どのように反映されているか?
メンバーたちは正しく理解していますか?

メンバーの心の中には
「声には出さない思い」があります。

それが「スッキリした思い」なのか?
それとも「モヤモヤした思い」なのか?

もちろん、経営者にも
「給与賞与に対する思い」があります。

お互いの信頼関係に大きく影響する
「両者の思い」。

その「思い」がズレないように
「人事評価と給与賞与の関係」の確認です。

INDEX

【事前準備】給与とは何か?

「給与賞与」は、メンバーの気持ちに大きく影響します。

諸刃の剣。

「チームを活かすも殺すも、給与賞与次第」と言っても過言ではないでしょう。

デリケートなものです。

だからこそ「慎重さ」が大切です。

釈迦に説法、
すでに痛感されているかもしれませんね。

大切な話なので
「計算実務」に進む前に、
「給与の本質」について、
「おさらい」
しておきましょう。

*この記事をまだ読んでない方は「3つの成果分配」の話を先に一読してください。

あわせて読みたい
00:3つの成果分配|成果は「利益」だけではない みんなで稼いで、みんなで分ける利益こそ成果!だから、みんなでもっと稼ぐ!ーーーん?!違うの? 組織戦略の要素は5つ。 「組成」「採用」「育成」「評価」「分配」…

【給与実務】
人事評価との連動

「成果分配」のおさらいができれば
「計算実務」です。

いわゆる「月給」の要素を整理します。

基本形

私が提案している「基本形」はシンプルです。

月給=
基本給+職能手当+役職手当+時間外手当

  • 基本給
    • 全員に共通する固定額
  • 職能手当
    • 人事評価を反映する手当
    • 「評価ポイント」×「ポイント単価」で計算
    • 通常、半年ごとの評価結果に連動するため、減額の可能性もある(就業規則に明記必要)
  • 役職手当
    • 部課長等の役職に応じて加算する
  • 時間外手当
    • 法定の手当
    • 上記、基本給、職能手当、役職手当の合計を元にして計算

意図の反映

上記の要素には、経営者の意図が反映されます。

例えば…

人事評価の結果を大きく反映したいなら、「基本給」を小さく「ポイント単価」を高く設定する、という具合です。

また…

業績連動型賞与で年収に差を付けたい場合は「給与」を小さく「賞与」を大きく、というバランスで検討します。

MAXとMINの試算

制度設計のコツは、まず「最高額と最低額の試算」をしてみることをお勧めします。

計算例を示すと…

MAXMIN
基本給200,000200,000
職能手当ポイント単価:1500円
満点ポイント:100点
150,0000
 小計 350,000 200,000
役職手当部門リーダー50,0000
 小計 400,000 200,000
時間外手当
*注:端数処理概算
平均所定時間:8h*22=176h
月間残業時間:2h*22=44h
@2273/h*1.25*44h
125,000
@1135*1.25*44h
62,500
 合計 525,000 262,500
 賞与を除く年収合計×12か月6,300,000 3,150,000 

実際には「満点」の人や「零点」の人はいないと思いますが、「どの範囲で動くのか?」をイメージしておくと試算や検討がやりやすくなると思います。

「基本給を上げればどうなる?」とか「ポイント単価を2,000円にしたらどうなるだろう?」という試算をしながら「最適値」を検討することをおススメします。

コンプライアンス

以上で「原案」ができれば、必ず社会保険労務士などの専門家のレビューを受ける必要があります。

最低賃金の件、時間外手当の計算方法、役職者の時間外手当の支給の有無の件、さらに、評価下げ時の不利益変更の件など、「反則」にならないように、注意点がいくつかあります。

【賞与実務】
貢献度に応じて…

「当社の賞与の考え方」は、似ているようで「百社百様」です。

「業績に応じて支給したい」のは、ほぼ全員「気持ち」は同じでしょう。

しかし、現実は
「業績が悪くても、ゼロってわけにいかない」
…という考え方から
「そりゃナシ!でしょ」まで幅があります。

その反対もあります。

「業績が良ければ、前年比2倍もOK!」
「いくらなんでも年収2倍はダメ!」と。

さらに…

「メンバー間の格差は大きい方が刺激になる!」
「格差が大きすぎると、バラバラになる!」など…。

ただ、いずれにしても「基本の計算式」は同じ。

各自の賞与=業績×分配率×貢献率

カンタンに表現すると…
みんなで稼いだ成果を
みんなで山分けする計算式
です。

  • 「業績」をどうするか?
    • 売上?限界利益?経常利益?それとも別?
  • 「分配率」に上限下限を設けるか?
    • 業績の一定率?累進率?上限は?下限は?
  • 「貢献率」の振れ幅をどうするか?
    • 全員同じ?役職者優先?人事評価のポイント割合?それとも?

この「3つの要素」の調整を、私は「チューニング」と言っていますが、上記のような「経営者の意図」は、この「チューニング」によって反映されます。

本記事の「人事評価」は、この計算式の「貢献率」に反映されます。

この「貢献率」が公平公正、さらに、経営者の意図が反映できるように「評価基準を設定する」ことになります。

賞与を
公平公正に
「計算する方法」を教えて!

私が受ける相談で意外と多いのがこれです。

答えは「計算ではなく評価」。

つまり
「賞与」の計算方法に課題があるのではなく
「評価」に課題があることがほとんど
です。

「正しく評価」した上で
「上記の計算式で試算」してみて
「分配率」と「貢献率」のウエイトを
「チューニング」する、という順番です。

この「業績連動型賞与」や「チューニング」については、他の記事で、それぞれ詳しく解説しているので参考にしてください。

あわせて読みたい
02:成果分配の概要|業績連動型賞与の「ざっくり」 「みんなで稼いで、みんなで分かち合う」理想の「業績連動型賞与」もう賞与で悩まなくていい!さて、やる?やらない? 「組織戦略」の「5つの要素」の5つめ、(組成・…

【そもそも】
経営者の「公平」は様々

ここで「そもそも論」に触れておきます。

経営者は
「公平なルールにしたい」と言います。
「当社の給与は公平だ」とも言います。

しかしです…。

この「公平」が「くせ者」です。

人によって「何が公平か?」が違うからです。

私が今まで出会った中小企業経営者が考える「公平」には、下記のようなものがありました。

  • 年功序列が公平
    • だから「年齢給」が必要
  • 先輩の方が多いのが公平
    • だから「勤続給」が必要
  • 扶養家族を考慮するのが公平
    • だから「家族手当」が必要
  • 成果のみで評価することが公平
    • だから「年齢給」「勤続給」「家族手当」は不公平

このように様々です。

「正しいのはどれ?」の話ではありません。

「当社は、何を公平とするか?」を
「ハッキリ公表すること」が重要です。

経営者間で意見が分かれることには問題ありません。
「ひと、それぞれ」です。

しかし、社内で意見が分かれることは、不協和音の起点になりがちです。

  • 「実力主義的なメンバー」は
    「成果のみが公平!」と考えるでしょう。
  • 「福利厚生的なメンバー」は
    「諸手当が必要!」と考えるでしょう。

残念ながら
「どっちにもイイ顔」はできません。

「最高意思決定権者」である
「経営者」が、
「議論の余地」が無いように
「明確に伝える必要」があります。

「聞く耳がいらない」という話ではない!
念のため。

【実務課題】
アンバランスな給与の調整

「じゃあ、公平なルールにしよう!」と設計し始めると、過去の経緯で生じた「アンバランスな給与」が壁になることがあります。

もうひとつの「実務課題」にも触れておきます。

過去の諸事情で「アンバランス」になっている給与の問題です。

  • まだ、制度が未整備だった頃からのメンバー
  • 諸事情で「前職給与保証」で採用したメンバー
  • 今となっては不公平と思う「いろんな手当」が残ってる
  • 年齢は重ねたけど、貢献が伴っていない高給高止まりのメンバー

「シン人事評価&シン給与制度」を実装しようと思っても、このような「アンバランス」や「内緒の特別待遇」が「壁」となって立ちはだかる…。

どうすればいい?

ここでは「ヒント」だけ書いておきます。

結論は「賞与で調整」です。

「年俸ベースで公平に計算」して
「給与のアンバランス」との差額を
「賞与にする」

計算式で表すと…

「年俸」-「給与」=「賞与」

…です。

実務は、アンバランスの原因や諸事情によって方法は様々、かつ、法的な問題もあるため、これ以上は社労士さんなど、専門家と相談してみてください。

【要点整理】
設計思想を共有すること

さて、どうですか?

給与賞与の計算実務について整理しました。

すでにお気付きのように、この話、実は
「計算」の話ではなく
「思想」の話です。

何を公平とするか?という経営者の価値観、思惑、狙いなど、給与賞与の制度の裏には「経営者の思い」があります。

なぜ、このような計算をするのか?

この「設計思想」を全員と共有することで「キレイなルール」が運用され、それぞれが「お互いに気持ちよく働ける環境」を作っていきます。

  • 「ぼやけたルール」
  • 「ごまかしたルール」
  • 「一方的なルール」
  • 「非倫理的なルール」
  • 「ルールは俺だ!」まで…

私は、様々な「給与賞与のルール」を見てきました。

その上で感じることは
「ルール」と
「カルチャー」は見事に連動する
、です。

  • 「オカネにキレイな会社」
  • 「気持ちいいカルチャー」

「もっといい会社」に成長するため
「とても大切なこと」だと思います。

お役に立ちますように!

【関連記事】
「組織戦略」全記事リスト

1部:概要編
  • 01:組織戦略の本質|最高の経営者人生のために
  • 02:組織戦略の主軸|人的資本経営|消費から投資へ
  • 03:組織戦略の全容|最高のチーム「5つの仕組み」
  • 04:組織戦略の前提|相性の良し悪しがとても大切
  • 05:組織戦略の目的|経営者の自由度を拡げる
2部:組成編
  • 01:組織作り|経営者のチームビルディング・スキル
  • 02:組織作り|最高のチームを作る実務:5ステップ
  • 03:組織作り|「もっといいチーム」の「らしさ」
  • 05:組織作り|「感じのイイ会社」のカルチャー
3部:採用編
  • 01:採用力の課題|「イイ人」はなぜ採れないのか?
  • 02:採用力の強化|「イイ人」を採るマーケティング
  • 03:採用力の改善|「イイ人」を見極めるための視点
  • 04:採用力の改善|「イイ人」に選ばれるための視点
  • 05:採用力の実務|「イイ人」を見極める面接のコツ
4部:育成編
  • 01:人を育てる覚悟「ホンキ」で人を育てているか?
  • 02:人材育成の準備「優秀な人材」を言語化してるか?
  • 03:人を育てる前提「ヒト」を正しく理解しているか?
  • 04:人材が育つ文化「成長の定義」を共有しているか?
  • 05:人材育成の課題「人が育たない会社」の共通点8選
  • 06:人材育成の順序「スキルの3段階」に沿ってるか?
  • 07:人材育成の仕組「学校方式のPDCA」で育てる!
  • 08:人材育成の仕組「いい会議」をすれば人は育つ!
  • 09:人材育成の仕組「定例研修」を「内製化」する!
  • 10:人材育成のコツ「いいね!」褒めて育てる重要視点
5部:評価編
  • 01:人事評価の本質|組織を育てるための道具
  • 02:人事評価の現実|中小企業が失敗する理由
  • 03:人事評価の運用|「成功例」と「失敗例」の比較
  • 04:人事評価の基準|5段階評価のサンプル|無料DL有
  • 05:人事評価の基準|「好みのタイプ」を言語化する
  • 06:人事評価の基準|「マインドセット評価」の追加案
  • 07:人事評価の実装|設計から運用までの実務ステップ
  • 08:人事評価の実務|「評価面談:1-on-1」の進め方
  • 09:人事評価の効果|最大メリットは「経営者の成長」
  • 10:人事評価の別案|評価基準は社員が設計すれば?
  • 11:人事評価は手段|経営計画の実行を支える仕組み
6部:分配編
  • 00:3つの成果分配|成果は「利益」だけではない
  • 01:成果分配の本質|「給与とは?」の軸を持つ大切さ
  • 02:成果分配の概要|業績連動型賞与の「ざっくり」
  • 03:成果分配の功罪|業績連動型のデメリットとリスク
  • 04:成果分配の実務|評価と給与の「キレイな関係」

このサイトでは、ひとりでも多くの経営者の方々のお役に立ちたいという思いを持って、なるべく深く、そして詳しく発信しているつもりなのですが、「ひと」に関することには「どうしても書けないこと=公表できないこと」があります。

特に、人事評価とか給与賞与に関するマネジメントには、その性質上「社員さんたちには知られない方がいいこと」があります。

お察しのとおり、このサイトは経営者の方だけではなく、一般社員さんたちもアクセスし読むことができます。

すべて「理想論」や「タテマエ」で解決できればいいのですが、「人に関する実務」はそんなに甘いものではなく、時には「荒療治」しなければならないシーンがあります。この「荒療治」を文字で誤解なく伝えることはとても困難です。

また、カモフラージュした「事例紹介」であっても、当事者の方々にとっては「あ、この記事、当社のことやん」ってすぐにわかってしまいます。それは、その社員さんにとっても「あ、自分のことだ」とわかってしまいます。「いい話」の場合はいいのですが「よくない話」の場合は、気分を害したり、あらぬ誤解を生じさせたりするリスクがあります。

このような理由で「トラブル解決系」や「裏技的な方法」は、一般公開しているこのサイトでは書けません。

「それが聞きたいのに・・・」と、物足りなさを感じられる方も少なくないと思いますが、何卒ご了承ください。

ただ、トラブルや裏技が必要になるときの共通した原因があります。それは、この「組織戦略」を疎かにしてしまったリバウンドであること。念のために書き添えておきます。

6部-分配編
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この記事を書いた人

H.HORIIのアバター H.HORII マネジメントコーチ

思考のスパーリング・パートナー

もっとエエ会社にしたいなら、
もっとエエ経営者になればええねん!

これが口ぐせ。

1999年に税理士事務所を創業し、
勤務時代も含めると約40年近く
300人を超える中小企業経営者の
成功と失敗を特等席で見てきた
「超実務家」。
2022年に幸せな事業承継を遂げ、
自ら「経営の入り口から出口まで完走」。

現在はマネジメント・コーチとして、
20〜40代の次世代経営者を
「あおって、いやして、元気づけて」
パフォーマンスを最適化するのが仕事。
その現場で得た「もっとよくなるヒント」を
惜しみなく日々発信中。

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