給与賞与の仕組みやルール。
そこに「経営者の思い」は反映してる?
「ただの計算方法」になってない?
「メンバーとの溝」の原因になってない?
前の記事で
「チームが得る成果」には
「利益」「信用」「機会」の
「3つ」があると紹介しました。
ここでは
「利益」の分配のひとつである
「給与」について整理しておきます。
会計的には
「給与」は「無感情なコスト」にすぎません。
でも、
「給与」は「人の感情」を左右します。
「人の感情」を左右するということは
「チーム」に影響するということです。
百も承知のこの「当然」を言語化します。
この機会に深考してみてください。
【組織戦略】
「分配」の戦略的位置づけ
本題に入る前に
「成果分配」の
「戦略的位置付け」についておさらいです。
「経営戦略」の中の
「組織戦略:分配」の位置付けについて
「おさらい」が必要なら、ここをクリック。
(必要なければ、次に進みましょう)
「成果分配」は
「組織戦略」における重要テーマです。
「中小企業の組織戦略」の目的は
「もっといい会社」に成長すること。
その手段としての「最高のチーム作り」。
その戦略要素は
「組成・採用・育成・評価・分配」の5つ。
「分配」は、そのひとつです。

「成果分配」は、「組織戦略」の一部、
「組織戦略」は、「経営戦略」の一部。
つまり、
「成果分配」は
「経営戦略」の一部であり、
「経営目的を実現するための仕組み」です。
言い換えれば「チーム力を強化する仕組み」。
まず、この「入口」を確認しておきましょう。
だから・・・
上手な成果分配は
↓
モチベーションを高めるので
↓
チームはより強くなり
↓
戦略実行がよりよく進む
↓
もっといい会社になる
この連鎖の構造です。
まず、この
「成果分配の戦略的位置づけ」を共有します。
「成果分配」は、
「戦略テーマ」のひとつです。

【深掘熟考】
給与は誰が支払ってるのか?
この「問」、私の考えをリストします。
私が提案する「給与賞与の仕組み」には、この価値観が根底にあります。
賛否両論あるかもしれません。
しかしこれは、40年近く、税理士として数多くの中小企業経営を観察し、また自分自身の経営者経験からたどり着いた「結論」です。
- 会社は「負担する立場」ではなく、「成果分配する立場」である。
- 「負担する立場」という勘違いは「売上は自分(経営者・会社)のもの」との考えから生じる。
- お客様から頂戴した売上を、会社は「一時預かり」する。
- 成果を全員で分配した後の「残り」が会社の利益である。
- 成果以上の給与支払いで赤字になるのは、経営の失敗であり、メンバーたちに責任はない。
クドイ説明はしなくても、経営者なら「真意」を察してくれると思います。
「給与は誰が支払っているのか?」
つまり…
- 表面的には
「会社が支払ってる」 - 実質的には
「預かっていた成果を分配している」
これが、私の考え方です。
【現実共有】
理想と現実、実際はどうか?

ホリイさん、
キレイごとがすぎない?
そのように思ったかもしれませんね。
そこで、中小企業の給与は、
どうやって決まっているか?
「中小企業の給与のリアル」を整理しましょう。
評価の反映
給与には「評価」が反映されます。
「人事評価の仕組み」に連動して計算されるのが「あるべき姿」です。
とはいえ、現実は、そうでない会社も少なくありません。
でも、きちんとした人事評価の制度がなくても「経営者の内なる評価基準」があって、それに従ってメンバー個々の給与は上がったり下がったりします。



ブラックボックスでの
鉛筆ナメナメ、やね
気遣いの反映
中小企業においては「経営者の気遣い」が、給与に反映されていることがよくあります。
公表ルールの有無に関わりなく、それには様々なものあります。
- 「結婚したから」
- 「子供ができたから」
- 「資格を取ったから」
- 「たまたま手柄があったから」
…などの「プラスの気遣い」が「手当」や「臨時賞与」として支払われます。
反対に、ペナルティとして「マイナスの気遣い」が反映されることもあります。
意識の有無は様々ですが、結果として「メンバーの感情」に作用しようとする「気遣い」です。
意図の反映
「経営者の意図」が反映されているケースもよくあります。
「意図」には
「一時的な感情」や
「特別な気持ち」も含みます。
それが公平なら、それはそれでいいのですが、「目にかけているメンバー」「かわいいメンバー」などに「君だけよ!内緒ね!」なんてやっている「不公平・不公正」な経営者も後を絶ちません。
また、口数の多いメンバーを「おとなしくさせるため」なんてことも少なくありません。
あと「やめさせたくないから」の「上乗せ」も、この類です。
上記同様、これも「メンバーの感情」を動かそうという「意図」です。
世間体の気遣い
あと、意外と多いのが「世間体」。
極端な場合は、評価もせず「30歳だからこれくらいだろう」のような決め方です。
これも「メンバーの感情」に影響しますが、それ以上に「経営者自身の保身」が強いかもしれませんね。
なぜ、こうなるのか?
上記以外にも、給与には、様々な事情や経営者の考え方が反映されていることがあります。
なぜ、このようになるのか?
「成果分配の哲学」がないから、だと思います。
「そもそも、給与とは何か?」という「哲学」。



ちょっと大げさ?
じゃあ「判断の軸」かな
この「哲学・軸」が無いから「その都度、都合で決めてる」というのが「中小企業のリアル」ではないでしょうか?
中小企業経営者の多くは「オーナー」です。
だから「どのように考えようが自由」です。
でも…。
この「オカネのけじめ」が
多くの「イヤな気持ち」の起点になることが少なくありません。
「ケジメのなさ」が、メンバーの様々な感情が「入り込む余地」を作ってしまうからです。
言葉は悪いですが「スキがある」のでしょう。
私は、
「オカネにキレイ」な方が
「断然、経営難易度は下がる」と思います。
「オカネにキレイ」とは
「ケジメ」があるということであり
「スキ」が小さい状態と言えます。
だから、私は、次のような「考え方」に至りました。
【課題解決】
ケジメある給与制度にする
上記で「哲学・軸」がないから、と書きました。
「なぜ?なぜ?なぜ?」
さらに深層を探ると、案外「不器用ゆえ仕方がない」という理由が少なくありません。



「悪気なんてない」
本当は「自分も、メンバーも納得できるオープンで公平公正な給与にしたい」けど、その方法が分からないから「仕方がなく、ブラックボックスにせざるを得ない」というケース。
だったら…
給与の決定において、「評価」以外に上記のような「気遣い」「意図」「世間体」などを含むことは、私は「アリ」だと思います。
むしろ、それが現実であり、杓子定規に「評価のみであるべき」という「タテマエ」を論じるつもりはありません。
給与に反映したい条件や思いを
「ブラックボックス」ではなく
「オープンなルール」すればいいのです。
例えば…
- 評価
- いわゆるスキル評価を制度化する
- 気遣い
- 様々な手当てを制度化する
- 意図や気持ち
- よく観察すると、価値観や考え方など、いわゆる「マインドセット」の相性。であれば「スキル評価」に加えて「マインドセット評価」を制度化する。
- 公表できないような不公平な取り扱いであれば、そのものを根本的に再考するべき。
- 世間体
- 給与制度のチューニングで「どこに出しても恥ずかしくないもの」にすることは可能。
…という具合です。
もちろん、これらの設計過程で、また、運用を開始してからも「メンバーのリクエスト」には積極的に耳を傾けることも忘れてはなりません。
「お互いにとって気持ちのいいルール」として、常にアップデートを重ねることがとても大切です。
経営者とメンバーの間に、かけひきや、探り合いは必要ありません。
経営者も含むチームの各メンバー間の信頼関係、ひいては、心理的安全性にも関わる重要なテーマです。
パフォーマンスの高い「いいチーム」として成長を続けたいのであれば、「オープンなルールで運用すること」が欠かせません。
給与は交渉材料ではなく、
チームの信頼を築くツール。
この「視点」を持てば「経営難易度」を大きく下げることができます。


【要点整理】
給与は諸刃の剣
さて、どうでしょう?
私が言うまでもなく「給与の難しさ」は、日々感じておられると思います。
「難しい」ゆえ
「あいまい」になったり
「その場しのぎ」になったり
「先送り」をしてしまったり・・・
その結果、いつ爆発するかわからない爆発物を抱えたような経営になっているケースが散見されます。
私は
「もったいないな」
「あぶなっかしいな」とよく思います。
腰を据えて
「考えを整理」して
「公表できる仕組み」を作れば
「相互信頼」が深まり
「チームのパフォーマンス」が上がるのに、と。
給与は諸刃の剣。
「チームを活かすも殺すも、給与次第」と言っても過言ではないと思います。
もちろん、「給与とは何か?」は、様々な考え方や、あるいは、個々の会社の事情、さらには、業界、業種、さらに職種の特性や特殊性など、様々な要素が複雑に絡み合っているので「これが正解だ!」と示すことはできません。
経営者自身が「当社の正解」を組み立てる必要があります。
以上、考えるきっかけにしていただければ、と思います。
お役に立ちますように!
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「組織戦略」全記事リスト
1部:概要編
2部:組成編
3部:採用編
4部:育成編
5部:評価編
このサイトでは、ひとりでも多くの経営者の方々のお役に立ちたいという思いを持って、なるべく深く、そして詳しく発信しているつもりなのですが、「ひと」に関することには「どうしても書けないこと=公表できないこと」があります。
特に、人事評価とか給与賞与に関するマネジメントには、その性質上「社員さんたちには知られない方がいいこと」があります。
お察しのとおり、このサイトは経営者の方だけではなく、一般社員さんたちもアクセスし読むことができます。
すべて「理想論」や「タテマエ」で解決できればいいのですが、「人に関する実務」はそんなに甘いものではなく、時には「荒療治」しなければならないシーンがあります。この「荒療治」を文字で誤解なく伝えることはとても困難です。
また、カモフラージュした「事例紹介」であっても、当事者の方々にとっては「あ、この記事、当社のことやん」ってすぐにわかってしまいます。それは、その社員さんにとっても「あ、自分のことだ」とわかってしまいます。「いい話」の場合はいいのですが「よくない話」の場合は、気分を害したり、あらぬ誤解を生じさせたりするリスクがあります。
このような理由で「トラブル解決系」や「裏技的な方法」は、一般公開しているこのサイトでは書けません。
「それが聞きたいのに・・・」と、物足りなさを感じられる方も少なくないと思いますが、何卒ご了承ください。
ただ、トラブルや裏技が必要になるときの共通した原因があります。それは、この「組織戦略」を疎かにしてしまったリバウンドであること。念のために書き添えておきます。


