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01:成果分配の本質|「給与とは?」の軸を持つ大切さ

2026 4/28
2026年4月28日
H.HORII

給与賞与の仕組みやルール。
そこに「経営者の思い」は反映してる?
「ただの計算方法」になってない?
「メンバーとの溝」の原因になってない?

「10人~200人規模の中小企業経営者」の「自己投資=経営脳トレーニングのサポート」を目的に、「もっといい経営者」「もっといい会社」に成長するためのヒントを日々更新しています。
元税理士のマネジメントコーチ・堀井弘三が、40年近くの経験と知識に基づき執筆しています。

前の記事で
「チームが得る成果」には
「利益」「信用」「機会」の
「3つ」があると紹介しました。

ここでは
「利益」の分配のひとつである
「給与」について整理しておきます。

会計的には
「給与」は「無感情なコスト」にすぎません。

でも、
「給与」は「人の感情」を左右します。

「人の感情」を左右するということは
「チーム」に影響するということです。

百も承知のこの「当然」を言語化します。

この機会に深考してみてください。

INDEX

【組織戦略】
「分配」の戦略的位置づけ

本題に入る前に
「成果分配」の
「戦略的位置付け」
についておさらいです。

「経営戦略」の中の
「組織戦略:分配」の位置付けについて
「おさらい」が必要なら、ここをクリック。
(必要なければ、次に進みましょう)

「成果分配」は
「組織戦略」における重要テーマです。

「中小企業の組織戦略」の目的は
「もっといい会社」に成長すること。

その手段としての「最高のチーム作り」。

その戦略要素は
「組成・採用・育成・評価・分配」の5つ。

「分配」は、そのひとつです。

「成果分配」は、「組織戦略」の一部、
「組織戦略」は、「経営戦略」の一部。

つまり、
「成果分配」は
「経営戦略」の一部であり、
「経営目的を実現するための仕組み」です。

言い換えれば「チーム力を強化する仕組み」。

まず、この「入口」を確認しておきましょう。

だから・・・

上手な成果分配は
↓
モチベーションを高めるので
↓
チームはより強くなり
↓
戦略実行がよりよく進む
↓
もっといい会社になる

この連鎖の構造です。

まず、この
「成果分配の戦略的位置づけ」を共有します。

「成果分配」は、
「戦略テーマ」のひとつ
です。

あわせて読みたい
中小企業の組織戦略|「やたら組織に強い経営者」になればいい 最高のチームを作る中小企業のための組織戦略「人的資本経営」を実践するための「5つの重要視点」 「もっといい会社」にするために「もっといいチーム」にしたい。 そ…

【深掘熟考】
給与は誰が支払ってるのか?

この「問」、私の考えをリストします。

私が提案する「給与賞与の仕組み」には、この価値観が根底にあります。

賛否両論あるかもしれません。

しかしこれは、40年近く、税理士として数多くの中小企業経営を観察し、また自分自身の経営者経験からたどり着いた「結論」です。

  • 会社は「負担する立場」ではなく、「成果分配する立場」である。
  • 「負担する立場」という勘違いは「売上は自分(経営者・会社)のもの」との考えから生じる。
  • お客様から頂戴した売上を、会社は「一時預かり」する。
  • 成果を全員で分配した後の「残り」が会社の利益である。
  • 成果以上の給与支払いで赤字になるのは、経営の失敗であり、メンバーたちに責任はない。

クドイ説明はしなくても、経営者なら「真意」を察してくれると思います。

「給与は誰が支払っているのか?」

つまり…

  • 表面的には
    「会社が支払ってる」
  • 実質的には
    「預かっていた成果を分配している」

これが、私の考え方です。

【現実共有】
理想と現実、実際はどうか?

ホリイさん、
キレイごとがすぎない?

そのように思ったかもしれませんね。

そこで、中小企業の給与は、
どうやって決まっているか?

「中小企業の給与のリアル」を整理しましょう。

評価の反映

給与には「評価」が反映されます。

「人事評価の仕組み」に連動して計算されるのが「あるべき姿」です。

とはいえ、現実は、そうでない会社も少なくありません。

でも、きちんとした人事評価の制度がなくても「経営者の内なる評価基準」があって、それに従ってメンバー個々の給与は上がったり下がったりします。

ブラックボックスでの
鉛筆ナメナメ、やね

気遣いの反映

中小企業においては「経営者の気遣い」が、給与に反映されていることがよくあります。

公表ルールの有無に関わりなく、それには様々なものあります。

  • 「結婚したから」
  • 「子供ができたから」
  • 「資格を取ったから」
  • 「たまたま手柄があったから」

…などの「プラスの気遣い」が「手当」や「臨時賞与」として支払われます。

反対に、ペナルティとして「マイナスの気遣い」が反映されることもあります。

意識の有無は様々ですが、結果として「メンバーの感情」に作用しようとする「気遣い」です。

意図の反映

「経営者の意図」が反映されているケースもよくあります。

「意図」には
「一時的な感情」や
「特別な気持ち」も含みます。

それが公平なら、それはそれでいいのですが、「目にかけているメンバー」「かわいいメンバー」などに「君だけよ!内緒ね!」なんてやっている「不公平・不公正」な経営者も後を絶ちません。

また、口数の多いメンバーを「おとなしくさせるため」なんてことも少なくありません。

あと「やめさせたくないから」の「上乗せ」も、この類です。

上記同様、これも「メンバーの感情」を動かそうという「意図」です。

世間体の気遣い

あと、意外と多いのが「世間体」。

極端な場合は、評価もせず「30歳だからこれくらいだろう」のような決め方です。

これも「メンバーの感情」に影響しますが、それ以上に「経営者自身の保身」が強いかもしれませんね。

なぜ、こうなるのか?

上記以外にも、給与には、様々な事情や経営者の考え方が反映されていることがあります。

なぜ、このようになるのか?

「成果分配の哲学」がないから、だと思います。

「そもそも、給与とは何か?」という「哲学」。

ちょっと大げさ?
じゃあ「判断の軸」かな

この「哲学・軸」が無いから「その都度、都合で決めてる」というのが「中小企業のリアル」ではないでしょうか?

中小企業経営者の多くは「オーナー」です。

だから「どのように考えようが自由」です。

でも…。

この「オカネのけじめ」が
多くの「イヤな気持ち」の起点になることが少なくありません。

「ケジメのなさ」が、メンバーの様々な感情が「入り込む余地」を作ってしまうからです。

言葉は悪いですが「スキがある」のでしょう。

私は、
「オカネにキレイ」な方が
「断然、経営難易度は下がる」と思います。

「オカネにキレイ」とは
「ケジメ」があるということであり
「スキ」が小さい状態と言えます。

だから、私は、次のような「考え方」に至りました。

【課題解決】
ケジメある給与制度にする

上記で「哲学・軸」がないから、と書きました。

「なぜ?なぜ?なぜ?」

さらに深層を探ると、案外「不器用ゆえ仕方がない」という理由が少なくありません。

「悪気なんてない」

本当は「自分も、メンバーも納得できるオープンで公平公正な給与にしたい」けど、その方法が分からないから「仕方がなく、ブラックボックスにせざるを得ない」というケース。

だったら…

給与の決定において、「評価」以外に上記のような「気遣い」「意図」「世間体」などを含むことは、私は「アリ」だと思います。

むしろ、それが現実であり、杓子定規に「評価のみであるべき」という「タテマエ」を論じるつもりはありません。

給与に反映したい条件や思いを
「ブラックボックス」ではなく
「オープンなルール」すればいいのです。

例えば…

  • 評価
    • いわゆるスキル評価を制度化する
  • 気遣い
    • 様々な手当てを制度化する
  • 意図や気持ち
    • よく観察すると、価値観や考え方など、いわゆる「マインドセット」の相性。であれば「スキル評価」に加えて「マインドセット評価」を制度化する。
    • 公表できないような不公平な取り扱いであれば、そのものを根本的に再考するべき。
  • 世間体
    • 給与制度のチューニングで「どこに出しても恥ずかしくないもの」にすることは可能。

…という具合です。

もちろん、これらの設計過程で、また、運用を開始してからも「メンバーのリクエスト」には積極的に耳を傾けることも忘れてはなりません。

「お互いにとって気持ちのいいルール」として、常にアップデートを重ねることがとても大切です。

経営者とメンバーの間に、かけひきや、探り合いは必要ありません。

経営者も含むチームの各メンバー間の信頼関係、ひいては、心理的安全性にも関わる重要なテーマです。

パフォーマンスの高い「いいチーム」として成長を続けたいのであれば、「オープンなルールで運用すること」が欠かせません。

給与は交渉材料ではなく、
チームの信頼を築くツール。

この「視点」を持てば「経営難易度」を大きく下げることができます。

あわせて読みたい
06:人事評価の基準|「マインドセット評価」の追加案 「スキル」は充分なのに、なぜか「成果」がイマイチなメンバー。仮に「成果」があっても「期待している結果」とは違う。なぜ、この「ちぐはぐ」が生じるのだろう? 「人…

【要点整理】
給与は諸刃の剣

さて、どうでしょう?

私が言うまでもなく「給与の難しさ」は、日々感じておられると思います。

「難しい」ゆえ
「あいまい」になったり
「その場しのぎ」になったり
「先送り」をしてしまったり・・・

その結果、いつ爆発するかわからない爆発物を抱えたような経営になっているケースが散見されます。

私は
「もったいないな」
「あぶなっかしいな」とよく思います。

腰を据えて
「考えを整理」して
「公表できる仕組み」を作れば
「相互信頼」が深まり
「チームのパフォーマンス」が上がるのに
、と。

給与は諸刃の剣。

「チームを活かすも殺すも、給与次第」と言っても過言ではないと思います。

もちろん、「給与とは何か?」は、様々な考え方や、あるいは、個々の会社の事情、さらには、業界、業種、さらに職種の特性や特殊性など、様々な要素が複雑に絡み合っているので「これが正解だ!」と示すことはできません。

経営者自身が「当社の正解」を組み立てる必要があります。

以上、考えるきっかけにしていただければ、と思います。

お役に立ちますように!

【関連記事】
「組織戦略」全記事リスト

1部:概要編
  • 01:組織戦略の本質|最高の経営者人生のために
  • 02:組織戦略の主軸|人的資本経営|消費から投資へ
  • 03:組織戦略の全容|最高のチーム「5つの仕組み」
  • 04:組織戦略の前提|相性の良し悪しがとても大切
  • 05:組織戦略の目的|経営者の自由度を拡げる
2部:組成編
  • 01:組織作り|経営者のチームビルディング・スキル
  • 02:組織作り|最高のチームを作る実務:5ステップ
  • 03:組織作り|「もっといいチーム」の「らしさ」
  • 05:組織作り|「感じのイイ会社」のカルチャー
3部:採用編
  • 01:採用力の課題|「イイ人」はなぜ採れないのか?
  • 02:採用力の強化|「イイ人」を採るマーケティング
  • 03:採用力の改善|「イイ人」を見極めるための視点
  • 04:採用力の改善|「イイ人」に選ばれるための視点
  • 05:採用力の実務|「イイ人」を見極める面接のコツ
4部:育成編
  • 01:人を育てる覚悟「ホンキ」で人を育てているか?
  • 02:人材育成の準備「優秀な人材」を言語化してるか?
  • 03:人を育てる前提「ヒト」を正しく理解しているか?
  • 04:人材が育つ文化「成長の定義」を共有しているか?
  • 05:人材育成の課題「人が育たない会社」の共通点8選
  • 06:人材育成の順序「スキルの3段階」に沿ってるか?
  • 07:人材育成の仕組「学校方式のPDCA」で育てる!
  • 08:人材育成の仕組「いい会議」をすれば人は育つ!
  • 09:人材育成の仕組「定例研修」を「内製化」する!
  • 10:人材育成のコツ「いいね!」褒めて育てる重要視点
5部:評価編
  • 01:人事評価の本質|組織を育てるための道具
  • 02:人事評価の現実|中小企業が失敗する理由
  • 03:人事評価の運用|「成功例」と「失敗例」の比較
  • 04:人事評価の基準|5段階評価のサンプル|無料DL有
  • 05:人事評価の基準|「好みのタイプ」を言語化する
  • 06:人事評価の基準|「マインドセット評価」の追加案
  • 07:人事評価の実装|設計から運用までの実務ステップ
  • 08:人事評価の実務|「評価面談:1-on-1」の進め方
  • 09:人事評価の効果|最大メリットは「経営者の成長」
  • 10:人事評価の別案|評価基準は社員が設計すれば?
  • 11:人事評価は手段|経営計画の実行を支える仕組み
6部:分配編
  • 00:3つの成果分配|成果は「利益」だけではない
  • 01:成果分配の本質|「給与とは?」の軸を持つ大切さ
  • 02:成果分配の概要|業績連動型賞与の「ざっくり」
  • 03:成果分配の功罪|業績連動型のデメリットとリスク
  • 04:成果分配の実務|評価と給与の「キレイな関係」

このサイトでは、ひとりでも多くの経営者の方々のお役に立ちたいという思いを持って、なるべく深く、そして詳しく発信しているつもりなのですが、「ひと」に関することには「どうしても書けないこと=公表できないこと」があります。

特に、人事評価とか給与賞与に関するマネジメントには、その性質上「社員さんたちには知られない方がいいこと」があります。

お察しのとおり、このサイトは経営者の方だけではなく、一般社員さんたちもアクセスし読むことができます。

すべて「理想論」や「タテマエ」で解決できればいいのですが、「人に関する実務」はそんなに甘いものではなく、時には「荒療治」しなければならないシーンがあります。この「荒療治」を文字で誤解なく伝えることはとても困難です。

また、カモフラージュした「事例紹介」であっても、当事者の方々にとっては「あ、この記事、当社のことやん」ってすぐにわかってしまいます。それは、その社員さんにとっても「あ、自分のことだ」とわかってしまいます。「いい話」の場合はいいのですが「よくない話」の場合は、気分を害したり、あらぬ誤解を生じさせたりするリスクがあります。

このような理由で「トラブル解決系」や「裏技的な方法」は、一般公開しているこのサイトでは書けません。

「それが聞きたいのに・・・」と、物足りなさを感じられる方も少なくないと思いますが、何卒ご了承ください。

ただ、トラブルや裏技が必要になるときの共通した原因があります。それは、この「組織戦略」を疎かにしてしまったリバウンドであること。念のために書き添えておきます。

6部-分配編
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この記事を書いた人

H.HORIIのアバター H.HORII マネジメントコーチ

思考のスパーリング・パートナー

もっとエエ会社にしたいなら、
もっとエエ経営者になればええねん!

これが口ぐせ。

1999年に税理士事務所を創業し、
勤務時代も含めると約40年近く
300人を超える中小企業経営者の
成功と失敗を特等席で見てきた
「超実務家」。
2022年に幸せな事業承継を遂げ、
自ら「経営の入り口から出口まで完走」。

現在はマネジメント・コーチとして、
20〜40代の次世代経営者を
「あおって、いやして、元気づけて」
パフォーマンスを最適化するのが仕事。
その現場で得た「もっとよくなるヒント」を
惜しみなく日々発信中。

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