中小企業が「業績連動型賞与」の仕組みを設計する際、「個々の賞与」を計算する「貢献率」をどうするか?
この記事では、「人事評価」の獲得ポイントに応じてシェアするための基本的な実務について整理します。
その検討にあたっては、次の2点を考慮しなければなりません。
- レベルの「差」を調整する
- 職種の「差」を調整する
…その前に、必要であれば…
「業績連動型賞与」の概要は、この記事で紹介しています。

また、「業績連動型賞与」の実装ステップについては、下記の記事で紹介しています。

【全体像】
業績連動型賞与の計算過程
「業績連動型賞与」は、簡単に言うと
「みんなで稼いで」
「みんなで分ける」という仕組みです。
要するに「山分け」。
「貢献率」は
「山分け比率」の話。
下記のイメージ図にあるように、「賞与総額」に乗じる計算要素です。

基本形を例示すると次のようになります。
「業績×分配率」で計算した
「賞与総額:2,000万円」に、
「各自の貢献率」を乗じて計算します。
| 全20名 | Aさん | Bさん | Cさん | 中略 | Tさん | 合計 |
| 評価 ポイント | 80点 | 56点 | 48点 | ・・・ | 16点 | 800点 |
| 貢献率 | 10% | 7% | 6% | ・・・ | 2% | 100% |
| 支給額 万円 | 200 | 140 | 120 | ・・・ | 40 | 2,000万円 |
【大前提】
人事評価のルールは公開
「業績連動型賞与」の基本的な考え方は
「みんなで稼いで、みんなで分けよう!」。
当然ながら「公平」でなければなりません。
そのためには
「ルールが公開されていること」が
「大前提」です。
つまり「人事評価のルール」は、全員が正しく理解し、納得しておく必要があります。
「賞与の公平性」は
「評価の公平性」が前提です。
「おかしな評価」であれば
「公平、納得の賞与」は計算できません。
また、
「人事評価のルール」を公開せずに
「公平に計算したよ」と言ったところで、
「どうせ、社長の鉛筆ナメナメでしょ」と、
「不信感の温床」になってしまいます。

もちろん
「個々の評価の結果」は
「未公開」
とはいえ…



ウチには立派な評価制度なんてない
…という場合もあります。
最初は「簡易的な評価」でも構いません。



個人面談において
「A評価~E評価」で
「5ランク」に分ける、みたいな。
時間をかけて「立派」にしていけばいいです。
重要なのは…
「社長の頭の中」
「=ブラックボックス」ではなく、
「目に見えるルール」で
「貢献度」を決めるというプロセスです。


【注意点】
公平にするための調整
残念ながら、多くの場合「人事評価」の結果は「そのまま」使えません。
「公平な分配」のため、次のような「調整」が必要になります。
「評価の差」を調整
私がコーチングの現場で活用している「人事評価基準」は、1点~5点の5段階です(0点項目もあるので事実上「6段階」)。
この点数によって「p(ポイント)」の計算をするのですが「そのまま」計算すると、次のようになります。
| 評価レベル | 理解 レベル | 行動 レベル | 成果 レベル | 習慣 レベル | 指導者 レベル |
|---|---|---|---|---|---|
| 評価点 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
| 付与するp | 1p | 2p | 3p | 4p | 5p |
各個人の「p」は、各評価項目の合計点になります。
例えば20項目で評価する場合…
- オール4点のAさん:80p
- オール2点のBさん:40p
…という「差」になります。
このまま賞与計算をすると、Aさんの賞与は、Bさんの2倍になります。
さて「これでいいか?」という検討です。
人事評価基準の難易度等で変わるので、それぞれの会社の事情によって「そのままでよい場合」「調整が必要な場合」があります。
「調整が必要な場合」にもっとも多いのは…
- 「1点→2点」にアップする難易度
- 「4点→5点」にアップする難易度
この「1点アップ」が「同じ1p」というのは公平じゃない、という考え方です。
このような場合は、次のように調整します。
| 評価レベル | 理解 レベル | 行動 レベル | 成果 レベル | 習慣 レベル | 指導者 レベル |
|---|---|---|---|---|---|
| 評価点 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
| 付与するp | 1p | 2p | 4p | 6p | 10p |
この例によると…
- 「0点→1点」にアップしたら
「1p」が追加される - 「4点→5点」にアップしたら
「4p」が追加される
…という計算になります。
このように、評価点数に応じて付与するポイントが公平になるように5段階評価の「差」をチューニングすることを検討しましょう。


「職種の差」を調整
次に検討が必要なのは「職種の差」です。
例えば…
- 営業担当の50点と
- 総務担当の50点は
…同レベルでいいのか?という検討です。
同点であると分配率も同率になるので両者の賞与は同額になります。
もし、それが不公平なのであれば、それぞれ職種別の「ウエイト付け」という調整が必要になります。
たとえば…
- 営業職のウエイトは「3」
- 総務職のウエイトを「2」
…とする場合、上記のケースであれば…
- 営業=150p
- 総務=100p
…となります。
調整事例
これら「評価の差」と「職種の差」を調整して「テーブルのサンプル」を作ると、次のようになります。
| 評価レベル | 職種 ウエイト | 理解 レベル | 行動 レベル | 成果 レベル | 習慣 レベル | 指導者 レベル |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 評価点 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | |
| 基準p | 1p | 2p | 4p | 6p | 10p | |
| 営業部門 | 2.0 | 2p | 4p | 8p | 12p | 20p |
| 開発部門 | 1.5 | 1.5p | 3p | 6p | 9p | 15p |
| 管理部門 | 1.0 | 1p | 2p | 4p | 6p | 10p |
このサンプルの場合、20項目について「オール3評価」の3人を比較すると、次のようになります。
- 営業担当者:60点:120p
- 開発担当者:60点:90p
- 管理担当者:60点:60p
また、翌年度、あるひとつの項目が
「3評価→4評価」にアップすれば…
- 営業担当者は、4pアップ
- 開発担当者は、3pアップ
- 管理担当者は、2pアップ
…となります。
【まとめ】
結局「人事評価」の話
さて、どうでしょう?
すでにお気付きですね?
身も蓋もない話…
これ「賞与の話じゃない」ですね。
「公平公正な賞与」は
「公平公正な評価」の結果です。
改めて「人事評価の精度」について見直してみてください。
お役に立ちますように!
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