黒字はタチが悪い|儲かってるから「いい会社」とは限らない

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この記事は、更新時の情報と筆者の考えに基づくものです。


2024年第10週の土曜日、機嫌よく経営していますか?

私は、例年なら花粉でテンションが低いのですが、今週は薬がフィットしたのか、ストレスになるほどの症状もなく、自分に課した@1万/日のウォーキングノルマも順調にクリアし、機嫌よく過ごしています。

さて「機嫌」と言えば「経営者のご機嫌」を左右する業績ですが、今日は「黒字はタチが悪い」という話を整理しておきます。「経営脳の自主トレ」の参考にしてみてください。

このブログでは「10人~100人規模の中小企業経営者」の方々に向けて「経営脳の自主トレサポート」を目的に「もっといい会社」にするためのヒントを発信しています。初めてアクセスしていただいた方は、こちら(=「このブログについて」)をまずご覧ください。

先に結論「タチが悪い」とは?

「タチが悪い」を漢字で書くと「質が悪い」です。

先に結論を示すと「黒字」だからといって「経営の質」が良いわけではないという話です。

心当たりがないか?確認してみてください。

経営の質の悪さが封印されてしまう

黒字であると、表面的には「いい会社」に見えますが、その裏では、取引先、社員、経営者の家族などが犠牲になっている中小企業は少なくありません。そんな「質の悪い経営」は一時的なことであり、改善が進んでいればいいのですが、黒字決算に満足し「順調だ」と勘違いしている経営者の中には、その危険性を軽視してしまっていることがあり「タチが悪い」一例となっています。

どんどん経営の質が低下していく

黒字であると、ムダが生じたり、リスクを軽視したり、さらに過信が大きくなったりと、経営者のマインドに「よくない影響」を及ぼすことが少なくありません。また、過剰な自信から横柄になり、チームのモチベーションを下げることすらあります。黒字が続くことによって、徐々に経営の質が低下していくのも「タチが悪い」現象のひとつです。

黒字でも経営の質を下げない

  • 勝って兜の緒を締めよ
  • 伸びるほどこうべをたれる稲穂かな
  • 初心忘るべからず

先人は「調子に乗るなよ」と様々な格言を残してくれています。

特に「慣れない黒字」や「想定以上の黒字」などは、多かれ少なかれ経営者のマインドに影響を及ぼします。

後から振り返ると「黒字が運命の分かれ道」だったということがあります。

黒字による油断や自己満足が、目や心を曇らせ、意思決定を誤る、という事例はよく耳にすることです。

業績好調時は、まさに、上記格言の「当事者」であることを自己認識し、むしろ、利益の余裕があることによって改善投資が可能であり、まさにチャンスが到来していることを認識することで、さらに「もっといい会社」に進化、成長することができます。

(参考記事)経営者のマインドセット|「正しい成長志向」を持っているか?

黒字を反省する3つの視点

黒字は素晴らしいことです。しかし、上述したように「黒字だから経営の質が高い」とは限りません。

黒字であっても、黒字なりの経営課題がありますが、その課題解決のための視点をリストアップしておきます。

もっと儲かるのではないか?

私は、黒字企業に出会うと「ホントの実力はこんなもんじゃないでしょ!」と思うことがよくあります。

例えば、目標管理もなく、人事評価も雑で、人材育成への取り組みもほとんどなく、それでも「黒字」で、納税額も少なくない。だから、金融機関の評価も悪くありません。

だったら、経営計画等で目標管理を行い、人事評価もきちんとやって人材育成に取り組めば「利益倍増どころか、3倍は行けそう」と思うからです。

黒字決算に満足することなく「本当はもっと儲かるのではないか?」という視点で、経営を振り返ることはとても重要です。

(参考記事)【経営者の基礎スキル】課題発見のためのゴールファースト思考

この黒字は持続するだろうか?

目の前の利益はとても大切ですが、それ以上に大切なのは「長期利益」です。

利益は、平時における3Gの人たちの幸せの原資であるとともに、非常時のリスクヘッジの原資でもあります。

目の前の利益だけではなく、中期長期にわたって持続的に必要十分な利益を獲得し続けることができるように「経営体質」を強くしていくことが大切です。

  • 今の黒字は「たまたま」ではないだろうか?
  • 特定の商品や顧客等に偏っていないだろうか?
  • 中期、長期においても、持続的に黒字を続けることはできるだろうか?
  • そのために、今から準備できることはないだろうか?

短期的な業績に一喜一憂することなく「もっといい会社」にするための視点を忘れないようにしましょう。

(関連記事)必修経営スキル【先見力】未来の解像度を高めるチカラ

この黒字のための犠牲者はいないか?

上述したように、表面的に業績好調な黒字企業であっても、取引先や社員、あるいは、経営者自身であったり、その家族や大切な人たちに過剰な負担を強いていたり、犠牲を伴っている場合は、決して「いい会社」とは言えません。

私が「成長企業ではなく、膨張企業」と表現している状態です。

黒字の犠牲者はいないか?を振り返りましょう。誰かの「イヤな思い」に支えられている黒字は砂上の楼閣といっても過言ではありません。いずれ、高い確率でリバウンドが来ます。

(参考記事)【3Gマネジメント】近江商人の「三方良し」との違い

黒字は課題解決に投資する

黒字が出ると、それに伴って納税額も発生しますが、それを回避するために「誤った節税」をする中小企業も少なくありません。「誤った節税」とは、一方通行の支出であり、リターンがないものです。簡単に言うと「経費の無駄遣い」で納税額を圧縮しようとする行為です。

「誤った節税」は、財務体質をむしばみます。約35万円の納税を圧縮するために100万円が必要です。納税すれば65万円の自己資本が増加するのにもったいないことです。

私のアドバイスは「黒字は課題解決に投資しよう」です。

黒字であっても、様々な経営課題があるはずです。それらの課題を解決するためのコストであれば「一方通行」ではなく、来期以降にリターンが期待できます。

  • 拡販のため・ブランディング強化のための広告投資
  • 新商品や新技術への開発投資
  • 人材育成投資
  • メンバーのモチベーションを高めるための賞与や福利厚生
  • 設備投資

これらは、一例に過ぎませんが「リターンが期待できる投資」に「利益」を使うことを検討しましょう。

まとめ

さて、どうでしょうか?「中途半端な黒字は、タチが悪い」という話を整理しました。

一時的な黒字に満足することなく、また、安心することなく「もっと儲かるのではないか?」「この黒字は持続するだろうか?」「この黒字のための犠牲者はいないか?」を自問自答することで「経営脳の自主トレ」が進みます。

関連記事も含め参考にしてみてください。

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以上、お役に立ちますように!

(関連記事)【利益とは何か】幸せのための手段であるという重要な視点

2024年9月14日追記:そういうことよ

「勝つからおかしなるんよ」

勝ったけど反省点が多い試合だった阪神タイガース、試合後の岡田監督のインタビュー。

勝つからおかしなるんよ