【プロジェクトマネジメント力】課題解決と育成を両立する経営

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この記事は、更新時の情報と筆者の考えに基づくものです。

解決すべき課題は鮮明だろうか？
課題解決策は正しく計画されているだろうか？
計画は正しく実行されているだろうか？
このPDCAからチームは学び、成長しているだろうか？

「もっといい会社」にするためには、経営脳を整え「もっといい経営者」になることが唯一の選択肢です。

いい経営者になるためのマインドセットと心身のコンディション（L1～L3）を整えたら、次は「L4：経営のためのスキル」のトレーニングです。

このページでは、10人～100人規模の中小企業経営者のために、経営脳５つのレイヤーの「第４レイヤー：スキル」のひとつである「経営者のプロジェクトマネジメント力」について深掘りします。

この記事に書いてあること

課題解決はプロジェクト化され、常に複数のチームが平行して活動している。プロジェクトメンバーは、その経験によって成長する善循環が持続している状態。これらのプロジェクトを束ねてマネジメントしているのは経営者自身。

「プロジェクトマネジメント力」は、これを実現するための必修経営スキルのひとつです。

中小企業経営者にとっての「プロジェクトマネジメント力」とは何か？
「プロジェクトマネジメント力」が不足すると何が起きるか？
「プロジェクトマネジメント力」のセルフチェックリスト
「プロジェクトマネジメント力」を高めるためにどうすればいいのか？

INDEX

【スキルの構造】ヒトも”OSとアプリ”で動いてる
【定義】プロジェクトを通じた人材育成力
【力量不足】解決しない＋育たない悪循環
【自問自答】PDCAをナメてないか？
【コーチング】経験から学ぶカルチャー作り
【まとめ】プロジェクトで人を育てるリーダー

目次へ

【スキルの構造】ヒトも”OSとアプリ”で動いてる

個々のスキルの前に、まず「スキルの全体像」について要点整理しておきます。

「スキル」は、仕事をするための技能や技術などのことですが、大きく・・・

「基礎スキル」と
「経営スキル」の

・・・２つに分類することができます。

スポーツでも・・・

競技の種類に関係なくすべてに共通する「筋力」「走力」「スタミナ」などの基礎的な能力と
「技」「テクニック」「連係プレー」など、その競技特有の能力に分類できますが

・・・それと全く同じです。

（続きを読む・・・）

基礎スキルは「ビジネスパーソンとしてのスキル」であり、新人やベテラン、年齢や性別、ポジションなどの違いに関わらず「全員必修」のものです。

このブログでは、その中でも特に優先的に重要と思われる「課題発見力」「計画実現力」「管理力」「仕組力」「コミュニケーション力」「論理的思考力」「拡深思考力」「リーダ力」の８つについて紹介しています。

一方で、経営スキルは、会社経営特有の技能等であり「ヒト・モノ・カネ＋トキ」をマネジメントするための経営者にとって必修のスキルです。このブログでは「先見力」「理念創造力」「戦略構想力」「チームビルディング力」「会計力」「情報力」「プロジェクトマネジメント力」「伝達力」の８つを特に重要と位置付けて紹介しています。

「基礎スキル」は、パソコンやスマートフォンに例えるなら「OS」に相当する部分です。「OS」がイマイチであれば、どんなに優秀な「アプリ」をインストールしてもサクサク動かない、という現象をそっくりです。

「経営が上手くいかない」という症状において、経営者のアプリ（経営スキル）以上に、そもそものOS（基礎スキル）に課題があるというケースは少なくありません。

（詳しくは「経営脳の第４レイヤー：スキル」を参考にしてください。）

【定義】プロジェクトを通じた人材育成力

必修経営スキルのひとつである「プロジェクトマネジメント力（以下「PM力」）」は「チームで成果を出すために采配を振る」ことはもちろんとして、そのプロジェクトを通じて「人材育成も並行できるチカラ」のことです。

このブログの読者である10人～100人規模サイズの中小企業経営者にとっては、会社経営そのものが最も大きな「プロジェクト」であり、このスキルの必要性の説明は必要ないでしょう。

ここでは一般論として、PMのフレームワークを整理しておきましょう。PMは「チーム単位のPDCA」です。

チーム運営について、このような視点を持って取り組んでいるか？が重要です。

Planning：目標設定と計画立案
Do：実行：指示命令とコミュニケーション
Check：パフォーマンス管理
Action：パフォーマンス改善

Planning：目標設定と計画立案
- まずはプロジェクトの「目標」や「目的」を設定し、そこに至るストーリーやシナリオ、その担当メンバーなどを計画として具体化します。一般的には「ガントチャート」などで可視化しチームで共有します。
Do：実行：指示命令とコミュニケーション
- 計画の実行段階においては、それぞれのタスクの担当メンバーに具体的な指示を行い、適切にコミュニケーションすることや、必要に応じてフォローすることが大切です。
Check：パフォーマンス管理
- 定期的な進捗管理です。期待通りのパフォーマンスによって、プロジェクトが滞りなく進行しているのか？のチェックです。
- プロジェクトの内容によって「毎日」「毎週」「毎月」など頻度は変わりますが、公式な場として関わるメンバーの全員が顔を合わせる「進捗ミーティング」を定例化し、状況や課題解決策を共有します。
Action：パフォーマンス改善
- 計画通りに順調に進捗していれば「この調子で！」でいいのですが、進捗が遅れたり、想定外の障害が発見されたり予見される場合は、その課題解決のためのアクションを起こしパフォーマンスを改善します。

このPDCAを円滑に回すことが「采配」に他なりません。

【力量不足】解決しない＋育たない悪循環

会社でおきる不都合、言い換えれば経営者の悩みは、その本質的な原因が「経営者のプロジェクトマネジメント力」であることが少なくありません。自社で起きている不都合は、その真因を他責ではなく、自責で考えることがとても重要です。下記に典型的な例を示すので、チェックしてみてください。

目標や目的に対するチームのコミットメントが低い
各メンバーが自分の都合で仕事進めるため、結果としてチーム最適より個人最適が優先される
仕事の目的が曖昧でありモチベーションが低い
チャレンジの機会が少なく、成長の糧になりにくい
結果として、目的や目標が達成できず、ときにはプロジェクトそのものがフェードアウトしてしまう

このような状態であれば、目標達成はおろか、課題は解決せず、人材も育ちません。人材が育たないから、さらに課題は山積するといった最悪の悪循環に陥ります。

【自問自答】PDCAをナメてないか？

「プロジェクトマネジメントスキル」は、パフォーマンスの高いチームワークのために欠かすことができません。次に、自問自答のサンプルを紹介するので、このような視点で自己内観し、解決すべき課題がないかを確認してみてください。

【P】プロジェクトのプランニング
- 目標や目的は、客観的に言語化、数値化され、誤解なく共有できているだろうか？
- 目標や目的は、実現可能性やリアリティーがあり、無謀なものではないだろうか？
- 必要なリソース（人材、資金、時間、技術など）を適切に見積もり、割り当てているだろうか？
- プロジェクトに影響するリスクを想定し、それらの事前対処や準備、あるいは第２案を用意できているだろうか？
- プロジェクトに影響する関連者をリストアップし、必要な情報を与え共有しているだろうか？
【D】プロジェクトの実行
- 個々のチームメンバーが、役割と責任を正しく理解していることを確認しているだろうか？
- プロジェクトがスケジュール通りに進行していることをリアルタイムで把握しているだろうか？
- メンバーがモチベーション高く活動できるようにサポート等、配慮しているだろうか？
- チームメンバーと必要なコミュニケーションを取り、異変やトラブルを初期段階で察知するように心がけているだろうか？
- プロジェクトの予算執行を把握するための会計の仕組みを運用しているだろうか？
【C】パフォーマンス評価
- プロジェクトがプラン通りに実行できているか、関連者との情報共有の場を定例化しているだろうか？
- プロジェクトがプラン通りに実行できていない時、必要な支援やフォローを行っているだろうか？
プロジェクトの終了
- プロジェクト終了後、振り返りを行い、成功点と改善点を特定し、関連者と共有しているだろうか？
- プロジェクトから得られたノウハウや教訓を学びとして定着させているだろうか？

【コーチング】経験から学ぶカルチャー作り

コーチングの本質的な目的は「経営者の考え方を整えるサポート」であり、実務的なノウハウや方法論を伝授することではありません。

実務的な方法で解決しても、多くの場合、それは一時的な効果で終わってしまいます。

そのような一時しのぎの解決ではなく、経営者本人の考え方という根本的な解決が必要です。経営者の考え方が整えば、行動が改善します。行動が改善すれば、結果が変わる、というロジックです。

「整える」とは、漠然として言語化できていない考え方や勘違い、間違っている考え方を正しく鮮明にすることを指します。

スキルに何らかの課題がある場合、その原因のほとんどは「考え方」にあります。「考え方」を正しく、鮮明に整えることができれば、ほとんどの課題は解決します。

以下に、スキルの課題解決のためのコーチングのステップを紹介します。このステップを自主トレの参考にしてみてください。

Step１：前提条件を整える

経営脳の５つのレイヤーで紹介しているように、スキルの前提には「マインドセット」「フィジカル」「メンタル」という３つのレイヤーがあります。

「うまく行かない原因はスキルなのか？」という「本当の原因」の確認が最初のステップです。

もし、不都合の本質的な課題が「マインドセット」「フィジカル」「メンタル」のいずれかにあるならば、スキルの前にこれらの前提となるレイヤーの解決を優先しなければなりません。

下位のレイヤーに問題がなければ、次に「L4：スキルを改善したい」という「WANT」のレベルでの内発的なモチベーションがあるか？です。もし「スキルを改善しなければならない」という「MUST」、つまり「外発的な義務感」が残っているようであれば、改めて「なぜ、欲求ではなく義務感を感じているのだろう？」という自己内観による自己認識が必要です。

これも問題なく、「スキルを改善したい！」というWANTを確認することができれば、次のステップに進みます。

Step２：ゴールを鮮明にする

前提が整えば、具体的に「ＰＭ力」のトレーニングです。

トレーニングとは、課題解決のための具体的なアクションのことですが、そのためには「ゴールを鮮明にする」ことがとても大切です。

ゴールである「プロジェクトマネジメント力が高い自分」とは？のイメージです。

「プロジェクトマネジメント力」は「采配と育成のチカラ」のことです。

例えば・・・

プロジェクトの目的や目標は、関連メンバーと正しく共有しており、個々のメンバーも役割を正しく認識している。
プロジェクトの進捗は、定例化されたミーティングでモニタリングされており、必要な修正やフォローはタイムリーに行われている。
このPDCAサイクルとともに、プロジェクトを通じた人材育成が当社のカルチャーとなっており、常にプロジェクトの成功に自信と期待を持ってマネジメントできている。

これは、ひとつのサンプルですが、あなた自身の気持ちにフィットするあなた自身の言葉で「ゴール」を言語化しましょう。

Step３：基礎スキルの再点検

ゴールが鮮明になれば、それに向かってのトレーニングです。

この「プロジェクトマネジメント力」は、基礎スキルの優劣に大きく左右されるため、最初に行うのは、その再点検です。

もし、基礎スキルに課題があれば、この「プロジェクトマネジメント力」は、なかなか高まりません。前述したように、まさに「ＯＳ＝基礎スキル」と「アプリ＝プロジェクトマネジメント力」の関係性が特に現れるスキルです。

このブログでは、重要な基礎スキルとして下記の８つをピックアップして紹介してます。

「課題発見力」「計画実現力」「管理力」「仕組化力」

「コミュニケーション力」「論理的思考力」「拡深思考力」「リーダ力」

コミュニケーション力やリーダー力など、どれも欠かすことはできないのですが、この８つの中で特に注目すべきは「課題発見力」と「計画実現力」と「管理力」です。これらの詳細は、各ページに譲りますが、このプロジェクトマネジメント力に関わる重要ポイントは次の通りです。

課題発見力
- プロジェクトは課題解決の取り組みであり、そのためには「ゴールイメージ」と「現状」の共有が前提となります。
計画実現力
- ゴール設定、シナリオライティング、キャスティングの３要素からなる「正しい計画」がプロジェクトのプランにほかなりません。
管理力
- 言うまでもなく、プロジェクト進行において想定されるリスクと、その対処や準備もプランには必要です。

「プロジェクトマネジメント力」は、基礎スキルの課題解決とトレーニングに伴って高まるスキルなので、基礎が疎かにならないように注意しましょう。

Step４：反復継続して習慣化する

実務的に「プロジェクトマネジメント力」を高めるには「実践の繰り返し」です。

ＰＤＣＡのフレームワークが思考習慣になるまでの意識的な取り組みです。「ＰＭ力」が高くなると、自然と「ＰＤＣＡ」に沿った思考や判断、意思決定ができるようになります。

コーチングの現場では、特に「C」と「A」に着目し、経験から学ぶことを忘れないようにフォローすることにしています。

特に「上手くいったこと」は、見過ごされることが多く、その成功が「たまたま」の時は、特に「もったいない」ことになります。実は「たまたま」ではなく「ちゃんとした理由」があるものです。「なぜ、上手くいったのか？」を振り返り、当事者と共有することで「再現性」が高まり、次回以降のプロジェクトの成功確率が上がります。また、このプロセスで経験者は成長機会を得ます。

このような、経験から学ぶカルチャー作りをサポートしています。