中小企業が「経営の質」を見直す10の視点を紹介します。
「質」は「タチ」とも読みます。
「タチが悪い会社」になっていないか?定期的に確認するための参考にしてください。
「10人~200人規模の中小企業経営者」の「自己投資=経営脳トレーニングのサポート」を目的に、「もっといい会社」に成長するヒントを日々更新しています。
40年近く税理士として中小企業経営を支援し、経営計画や管理会計、組織作りを専門とするマネジメントコーチ・堀井弘三が、その現場で得た豊富な経験と知識に基づき執筆しています。
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【辛口視点】
「会社の質」は「経営者の質」
オーナー型中小企業において「会社と経営者は表裏一体」です。
したがって「経営の質」は、突き詰めれば「経営者の質」と言えます。
「質の悪い会社」になっているとしたら、それは「経営者の課題」です。
ここで紹介するリストは「会社の状態」でチェックする形式をとっていますが、それを通じて「経営者の課題」を見つけることが目的です。
- 会社はどんな状態か?
- その状態になったのは、ジブンの何に原因があるのか?
- 改善が必要なら、ジブンの考動をどう変えればいいのか?
この視点で、10のテーマをセルフチェックしてみましょう。
【経営の質】
3Gマネジメントの実現度
「経営の質(経営品質)」とネット検索すると、いろんな解釈や説明が出てきますが、私の定義は、このWEBサイトのテーマでもある「3Gマネジメントの実現度」です。

- Group1:得意先や取引先を主とする社会全般
- Group2:社員と、その家族や大切な人たち
- Group3:経営者と、その家族や大切な人たち
この3つのグループの人たちの幸せが持続しているか?
この人たちの幸せをジャマしてないか?
その実現度が高いほど「経営の質が良い」という考え方です。
【比較対比】
質の良い経営 vs 質の悪い経営
「3Gマネジメント」を実現するための実務的なテーマとして下記に10項目をピックアップしました。
「質の良い経営:理想レベル」と「質の悪い経営:最悪レベル」の両極端を見比べながら、自社の「経営の質」をチェックしてみてください。
明確なビジョンと
目標設定
質の良い経営では、長期的なビジョンを持ち、それに向かって具体的な目標を設定します。チームが共通の目標に向かって一体感を持って動いています。
質の悪い経営では、ビジョンや目標が曖昧で、チームがどこに向かっているのか不明確であり、一体感がありません。
もし、「質の悪い経営」に近ければ・・・
- ビジョンを明確に言語化し、具体的な目標に落とし込む力が不足
- ビジョンや目標をチームに浸透させる努力が不足している
・・・などが考えられます。
Check!
- 自社の長期ビジョン(5年後、10年後の姿)を明確に言語化している
- 年度目標を具体的な数値で設定している
- ビジョンと目標をチームに繰り返し伝えている
- チームがビジョンを理解し、共感していることを確認している
メンバーの育成と
エンゲージメント
質の良い経営では、継続的な教育と研修を実施し、メンバーとチームのスキルアップに積極的です。また、メンバーの意見を尊重し、働きがいのある環境を提供することで、エンゲージメントを高めています。
質の悪い経営では、人材育成に消極的であり、自助努力が暗黙の方針になっています。また、メンバーの意見や考えが軽視されるため、モチベーションが高くありません。
もし、「質の悪い経営」に近ければ・・・
- 人材育成を「投資」ではなく「コスト」と捉えている
- メンバーの声に耳を傾ける姿勢が不足している
・・・かもしれません。
Check!
- メンバーの育成計画を立て、実行している
- 定期的にメンバーとの1on1ミーティングを実施している
- メンバーの意見や提案を積極的に聞いている
- メンバーの成長を認め、フィードバックしている
効果的な
コミュニケーション
質の良い経営では、コミュニケーションがオープンなので情報がタイムリーに共有できています。また、意思決定のプロセスが明確なのでチーム内の信頼関係が良好です。
質の悪い経営では、コミュニケーションが断片的でチーム内での共有が希薄です。その結果、意思決定プロセスが不透明なので、エラーも多く、不信感が渦巻いています。
もし、「質の悪い経営」に近ければ・・・
- 情報を抱え込みがち
- 情報伝える努力を怠っている
- 意思決定の理由を説明することを面倒に感じている
・・・などが考えられます。
Check!
- 重要な情報をタイムリーにチームと共有している
- 意思決定の理由や背景を説明している
- メンバーが質問や相談をしやすい雰囲気を作っている
- 自分の考えを分かりやすく伝える努力をしている
顧客主義
質の良い経営では、顧客のニーズと期待を理解し、それに応える製品やサービスを提供しています。また、顧客からのフィードバックを積極的に取り入れ、改善が持続的です。
質の悪い経営では、製品やサービスのクオリティーが顧客のニーズや期待に応えられる十分なレベルではなく、顧客からのフィードバックも軽視され改善が進んでいません。
もし、「質の悪い経営」に近ければ・・・
- 顧客との直接接点が少なく、現場の声を把握できていない
- フィードバックを改善に活かす仕組みを作っていない
・・・などが考えられます。
Check!
- 主要顧客と定期的に直接面談している
- 顧客のニーズや期待の変化を把握している
- 顧客からのフィードバックを改善に活かしている
- 顧客満足度を定期的に確認している
長期利益の視点と施策
質の良い経営は、持続性の高いジネスモデルを構築しています。また、短期的な「形式的成長」より、長期的な「正しい成長」を重視します。
質の悪い経営は、短期利益を優先しています。長期的な成長戦略がなく、持続可能性に欠けます。また「正しい成長」を軽視しがちです。
もし、「質の悪い経営」に近ければ・・・
- 目先の利益に追われ、長期的な視点で考える余裕がない
- 「正しい成長」の定義が曖昧になっている
・・・かもしれません。
Check!
- 3年後、5年後の成長戦略を持っている
- 短期利益のために長期的な価値を犠牲にしない判断をしている
- 持続可能なビジネスモデルを意識している
- 「正しい成長」(3Gマネジメントの実現)を優先している
財務健全性
質の良い経営は、管理会計を活用し、リアルタイムで状況を把握し、課題をスピーディーに共有する仕組みが構築され運用してます。
質の悪い経営は、会計の活用が十分でなく、財務的課題が不明瞭です。その結果、リスクの認識が高くありません。
もし、「質の悪い経営」に近ければ・・・
- 会計を「税務申告のため」としか捉えていない
- 経営判断のツールとして活用していない
- 数字を見ることを避けている
・・・などが考えられます。
Check!
- 月次決算を実施し、予実対比を確認している
- 貸借対照表を時価評価で把握している
- 損益分岐点と固定費の推移の変化を理解している
- 財務状況を経営会議等で関係者と共有している
革新と適応力
質の良い経営は、新しい技術やアイデアを積極的に取り入れ、革新を推進しています。市場の変化に迅速に対応し、柔軟に経営戦略を調整します。
質の悪い経営は、新しい技術やアイデアに無頓着な傾向が強く、そのため、市場の変化に対応できず、競争力が低下傾向にあります。
もし、「質の悪い経営」に近ければ・・・
- 過去の成功体験に固執し、変化を恐れている
- 新しいことを学ぶ意欲が低下している
・・・かもしれません。
Check!
- 新しい技術やトレンドを定期的にチェックしている
- 新しいアイデアや提案に対してオープンである
- 市場の変化に応じて戦略を柔軟に調整している
- 「変わること」を恐れず、むしろ楽しんでいる
社会的責任
質の良い経営は、地域社会や環境に配慮した経営を行い、社会的責任を理解しているので「評判」は良好です。
質の悪い経営は、環境や社会への配慮が不足し、ネガティブな影響を与えており「評判」がよくありません。
もし、「質の悪い経営」に近ければ・・・
- 利益優先で社会的責任への意識が薄い
- 法令遵守を軽視している
・・・などが考えられます。
Check!
- 法令遵守を徹底している
- 環境への配慮を意識した経営をしている
- 地域社会との良好な関係を築いている
- 自社の社会的責任を理解し、行動に反映している
運営管理
質の良い経営は、生産性や合理化への意識強く、業務プロセスを常に最適に保ち、効率的に運営しています。
質の悪い経営は、属人化された業務プロセスが多く、それが、無駄や高コスト体質の原因となっています。
もし、「質の悪い経営」に近ければ・・・
- 仕組み化より「人に任せる」ことを優先し、属人化を放置している
- 業務改善を軽視している、または後回しにしている
・・・かもしれません。
Check!
- 業務プロセスの効率化を常に意識している
- 属人化を避け、仕組み化を推進している
- 無駄なコストを定期的に見直している
- 生産性向上のための施策を実行している
リーダーシップと
ガバナンス
質の良い経営は、経営者自身がリーダーシップを発揮しチームを導いています。また、透明性の高いガバナンス体制が確立されています。
質の悪い経営は、経営者自身のリーダーシップに課題があり、チームが混乱しがちです。ガバナンス体制も弱く、不正や不祥事が発生しがちです。
もし、「質の悪い経営」に近ければ・・・
- 自らの言動で模範を示せていない
- 「自分は特別」という意識があり、ルールを自ら破っている
・・・などが考えられます。
Check!
- 自らの考動で模範を示している
- 透明性の高い意思決定をしている
- 法令や社内ルールを、経営者自身が最も厳格に遵守している
【要点整理】
関わる人たちの幸せのために
さて、どうですか?
「3Gマネジメント」の実践に大きく影響する「経営の質」について10のテーマをピックアップしました。
- 明確なビジョンと目標設定
- メンバーの育成とエンゲージメント
- 効果的なコミュニケーション
- 顧客主義
- 長期利益
- 財務健全性
- 革新と適応力
- 社会的責任
- 運営管理
- リーダーシップとガバナンス
これらは、「負けない経営」の視点においても、重要なテーマばかりです。
チェックできなかった項目があれば、それは「経営者としての成長課題」です。
ぜひ、今後の「自主トレ」の参考にしてください。
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