経営スキル|企業理念と経営計画と人事評価は連動しているか?

この記事は、約 7 分で読めます。
この記事は、更新時の情報と筆者の考えに基づくものです。


「企業理念」と「経営計画」と「人事評価」は、それぞれ「もっといい会社」にするために欠かせないテーマですが、それぞれ「個別テーマ」として別々に取り組んでいないでしょうか?

これらのテーマは「ワンセット」であり、そもそも切り離すことができません。

中小企業における様々な経営課題の本質的な原因は、この「そもそも切り離せないことを切り離してしまうから」ということが少なくありません。

私は、中小企業経営者のマネジメントコーチとして、日々様々な相談を受けますが、これらが「ワンセット」であることに気付いていない経営者が少なくありません。そこで「理念と計画と評価は、ワンセットですよ」とアドバイスすると、「言われてみたら確かに・・・」という反応です。

この記事では「企業理念」と「経営計画」と「人事評価」、それぞれが個別のテーマではなくワンセットであることを整理します。難しい話ではないので「確かに・・・」と再確認し、経営脳トレーニングの参考にしてください。

このブログでは「10人~100人規模の中小企業経営者」の方々に向けて「経営脳の自主トレサポート」を目的に「もっといい会社」にするためのヒントを発信しています。初めてアクセスしていただいた方は、こちら(=「このブログについて」)をまずご覧ください。

【相互連動】企業理念 × 経営計画 × 人事評価

「企業理念」「経営計画」「人事評価」の3つは下記のよう関係し、連動しています。

  • 企業理念=【目的】何を実現するのか?というゴール
  • 経営計画=【手段】企業理念の実現のための戦略ストーリーとキャスティング
  • 人事評価=【育成】経営計画を実行するための要件設定と人材育成

この3点セットが相互連動することで、チームの各メンバーは次のように正しく理解することができます。

  • 我々の目的は?何を目指しているのか?
  • どうやって目的を実現するのか?その戦略は?戦術は?
  • 自分には何が不足しているのか?どういうスキルが必要なのか?

この3つを正しく理解し行動しているチームと、そうでないチームに大きな差が生じることは言うまでもないでしょう。

【課題発見】なぜ、うまくいかないのか?

改めて、「企業理念」「経営計画」「人事評価」の目的をシンプルに表現すると下記のようになります。

  • 企業理念:どんな会社にしたいのか?を言語化すること
  • 経営計画:どうやって理念を実現するのか?を言語化すること
  • 人事評価:経営計画を実行するためにどんなスキルが必要なのか?を言語化すること

会社経営は「チームワーク」です。

経営者というリーダーがいて、このリーダーを中心に集うメンバーで構成されるチームです。

「もっといい会社」にするためには、このチームを「もっといいチーム」として、そのパフォーマンスを高めていく必要がありますが、そのために「企業理念」「経営計画」「人事評価」をチームの全員で共有しなければなりません。

しかし、これらに解決すべき課題がある場合には、様々な不都合が生じ、チームパフォーマンスは思うように高くはなりません。

企業理念に課題がある場合に生じる不都合

シンプルに表現すると「我々は何を目指して仕事をしているのか?」という目的が企業理念です。

別の表現をすると「当社は、何のために存在しているのか?」を言語化したものです。

もし、企業理念が不明瞭であったり、最悪「ないとき」、チームのメンバーは「何のために仕事をしているのか?」が分からないまま日々を過ごすことになります。

その結果、各メンバーは「自分の都合・自分の価値観・自分のスキキライ」を基準にして仕事をすることが多くなり「チーム」としての一体感や連帯は望めない状態となり、それを経営者は「それぞれが好き勝手に考え、行動するからまとまらない」と悩みを抱えることになります。

経営計画に課題がある場合に生じる不都合

立派な企業理念を掲げ、共感する人、賛同する人も少なくないのに、具体的に「どうやって理念を実現すのか?」「その理念はいつ実現するのか?」「何をもって理念実現とするのか?」など、そこに至る具体的な方法や時間軸が曖昧であると、いわゆる「絵に描いた餅」となり、立派な経営理念は、どんどん形式化し、周りの人たちは「どうせタテマエでしょ」と思い始めます。それによって、リーダーは求心力や信用信頼を失っていきます。

この不都合の原因に気付かない経営者は「当社のメンバーはやる気がない・モチベーションが低い」など、他責にしがちです。

どれだけ企業理念に賛同したとしても、その実現性が疑わしいとき、人が本気になれないのは当然です。

人事評価に課題がある場合に生じる不都合

立派な理念があり、そこに至るストーリーやシナリオが明確であっても、それを実行するのは「ひと」です。

人事評価の「評価基準」は、計画を実行するために必要となるスキルのリストです。

この「評価基準」が明確でないと「理念に賛同し、自分も貢献したいのだが、どんなスキルを身につければいいのだろう?」と、各メンバーには迷いが生じたり、方向違いの努力をしたり、中々パフォーマンスが高まりません。

最悪の場合、「気合と根性でガンバル!」といった精神論に傾いてしまうことになります。

【本質理解】どうあるべきなのか?

では、この「企業理念」「経営計画」「人事評価」は、それぞれ、どうあるべきか?です。

企業理念とは何か?どうあるべきか?

企業理念は、ただの「お題目」ではありません。

チーム全員で「企業目的を共有するためのツール」です。

それを掲げる経営者の価値感は様々なので、そのものに「良し悪し」はありませんが、その表現や発信の「上手・下手」があります。

企業理念によって会社の存在目的をわかりやすく表現し、それを上手に発信すればするほど、その価値観に近いメンバーが集まります。

反対に、表現が不明瞭であったり、発信が足りないと、価値観が違うメンバーや、勘違いするメンバーが「混入」することが多くなり、チームマネジメントは益々難易度を増します。

企業理念のあるべきは、経営者の価値観をベースとした会社の目的を分かりやすく表現したものであり、また、それを上手に発信し、より多くの賛同者や協力者を得ることで、その目的を果たすことができます。

この「企業理念」は、「経営計画」によって、実現のための具体的な方法が示され、また「人事評価」によって、実現のために必要とされるスキルとそのレベルが具体的に示され、それぞれと連動することになります。

(詳説記事)【理念創造力】魅力的な理念で人を惹きつける経営者

経営計画とは何か?どうあるべきか?

経営計画は、企業理念を実現するための具体的なストーリーやシナリオです。

そのクオリティは「これなら実現できそうだ!」という読者の期待の大きさで評価することができます。

それがワンシートで事足りる場合もあれば、数十ページのボリュームが必要になる場合もあるでしょう。

要は「実現可能性」と、それによる「人心掌握力」です。

経営者ひとりで実現できないから、チームを編成します。

そのチームの全員が「できそう!やろうやろう!」という気持ちになってくれないと、それはただの「絵に描いた餅」「夢物語」です。

社内外を問わず、会社の周りの人たちに、理解、納得、賛同してもらうため、そして、応援協力してもらうためのツールが「経営計画」であり、また、その本質的な目的は「企業理念の実現」であり、その強い連動が欠かせまん。

(参考記事)経営計画の策定と運用「3つの新視点」

人事評価とは何か?どうあるべきか?

チームのメンバーは「経営計画を実行する人たち」です。

計画の難易度によって、必要なスキルや、そのレベルは様々ですが「評価基準」は「経営計画を実行するために必要となるスキル」という意味で「企業理念」や「経営計画」と連動しています。

評価基準の設計で悩んでいる経営者の相談を受けると、そのほとんどが「経営計画がない」ことが原因です。

これは、冷静に考えればよくわかります。野球かサッカーか?を決めずに、「どんなトレーニングをしよう」と悩んでいるがごとくです。

理念と計画が明瞭であると、評価基準は自然にリストアップされるものです。

「野球で優勝」というゴールがあるから、打率や防御率が評価基準になるのと同じです。もし、ゴールが決まっていないと「どのレベルを求めればいいか」が決められないのは当たり前ですね。

また、人事評価は「成長支援のツール」でもあります。

評価項目に点数を付けることが目的ではなく「点数を上げるためにサポートするためのツール」です。

したがって、人事評価制度を正しく運用すれば、人材が成長します。

人材が成長すれば、経営計画の実行レベルが上がります。

経営計画を着実に実行すれば、「企業理念」によりアプローチしやすくなる、というロジックです。

人事評価を「点数を付けるためのツール」という勘違いをしないように注意しましょう。

(参考記事)最高のチームを作るための人事評価の仕組み「3つの重要視点」

【まとめ】切ってはならないものは切らない

さて、どうでしょうか?

「企業理念」「経営計画」「人事評価」は、ワンセットであり、切っても切れないものです。

中小企業経営において、様々な経営課題がありますが、その原因の多くは「切ってはならないものを、切ったから」です。

関連記事も含め参考にしてみてください。

もし、サポートが必要であれば、いつでも気軽に連絡ください!→「お問い合わせフォーム

以上、お役に立ちますように!