経営課題がない会社はありません。
「ヒト・モノ・カネ」に加えて「トキ(時間)・ジブン(経営者自身)」の課題解決が「経営」です。
「経営が上手くいってる状態」とは「課題解決が順調に持続している」ということです。
反対に「経営が上手くいってない状態」というのは「課題が解決せず山積している」ということです。
本稿では、この両者の差である「課題解決スキル」について実務視点で整理します。
「課題解決力の自主トレ」の参考にしてください。
本稿は、【経営者の基礎スキル】課題発見のためのゴールファースト思考の補足記事です。
このブログでは「10人~100人規模の中小企業経営者」の方々に向けて「経営脳の自主トレサポート」を目的に、「もっといい会社」にするためのヒントを発信しています。
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【定義】
まずは「課題とは何か?」から
「課題が解決できない…」と悩む経営者の多くは、そもそも 「課題が明確ではない」 ことが原因です。
さらに掘り下げると、「課題の定義が曖昧」 という共通点があります。
課題とは何か?
答えはシンプルです。
「課題=ギャップの発生原因」 です。
たとえば…
- 「理想と現実」の差
- 「あるべき姿と現状」のズレ
- 「スタートとゴール」の開き
このようなギャップが生まれる「原因」こそが、課題の正体です。
また、「課題」は 人によって異なる という特徴があります。
「現状(=事実)」は誰にとっても同じですが、「目指す場所」が違えば、ギャップの大きさも変わるからです。
売上2億円の会社が、3億円を目指すのと、5億円を目指すのとでは、解決すべきギャップも、その発生原因も異なります。
課題解決には 「理想・あるべき姿の解像度」 と 「現状の解像度」 を高めることが重要です。
この2つがクリアになればなるほど、ギャップが鮮明になり、課題の正体も浮かび上がります。
つまり、解決がグッと近づきます。
(関連記事)目標設定|経営計画の良し悪しは「ゴールの解像度」で決まる
【技術】
課題解決の4つのステップ
課題解決に必要なのは、手順です。
課題解決が進まない多くの経営者に共通しているのが「感覚的な取り組み」です。
解決の確率やスピードを高めるためには、「感覚」ではなく、「パターン」を使うことが効果的です。
課題解決のための「4つのステップ」を紹介します。
- STEP1:ギャップを鮮明にする
- STEP2:原因特定
- STEP3:解決策の立案
- STEP4:実行管理
これは、ひとつのパッケージです。
このパッケージを使えば、課題解決の精度とスピードを向上させることができます。
STEP1
ギャップを鮮明にする
課題解決の最初のステップは、理想やあるべき状態に対するギャップを鮮明にすることです。
ここでの注意点は「解像度」です。
より「鮮明にすること」というのは「表面的な差」ではなく「その奥に潜む差」まで掘り下げることです。
「売り上げ低迷」について検討するケース。
例えば、「目標1000万円:実績600万円」という状況の時、「表面的なギャップ」は、400万円ですが、これでは「解像度が高い」とは言えません。
取扱商品やサービスによって異なりますが、「単価×客数」のように「要素分解」することが重要です。
- 「現状の単価」と「あるべき単価」のギャップは?
- 「現状の客数」と「あるべき客数」のギャップは?
というような具合です。
このような「要素分解」をすることによって、「売上高のギャップ」は、「単価のギャップ」と「客数のギャップ」に分けることができ「ギャップの発生原因」にアプローチしやすくなります。
他のテーマについても、要素分解のサンプルを示すと下記のようになります。
- 人材育成:「価値観共有度」「基礎スキル」「実務スキル」
- 販売力:「商品力」「広告力」
- 顧客数:「新規獲得力」「継続力」
これを参考に、いま生じている不都合には、どんな要素が関係しているか?を分解してみてください。
このプロセスが「ギャップを鮮明にする=解像度を高める」という意味です。
(関連記事)フレームワーク|アタマがもっと良くなる「分解思考」
STEP2
原因の特定
次は、課題そのものである「ギャップが生じている原因の特定」です。
「なぜ、ギャップが生じているのか?」の原因を明らかにします。
たとえば、上記のように「売り上げ低迷」を「単価」と「客数」に要素分解したなら、「単価にギャップがあるのはなぜか?」「客数にギャップがあるのはなぜか?」について「考えられる原因はいったん全部出し切る」ことが重要です。
大切なことは「網羅すること」です。
最初から原因を絞り込まず、考えられるものはすべてリストアップします。
それによって、「思い込み」や「もれ」を少なくすることができます。
原因として考えられることをすべて洗い出した後は、いくつかの仮説に絞り込みます。
絞り込みのコツは「それを解決すればギャップは解消するか?」という確認です。
例えば、様々な仮説のうち「商品力を改善すれば、ギャップはなくなる」という確認ができれば「原因特定」をしたことになります。
STEP3
解決策の立案
STEP2で原因について仮説を立てましたが、実務は「やってみなければ分からない」ということがほとんどです。
立てた仮説を検証しなければなりません。
上記に続けると「商品力強化」が解決策として仮説を立てたなら、具体的な「実行計画=解決策の立案」です。
「G:ゴール」「S:シナリオ」「C:キャスティング」を具体化し「正しい計画」を立案します。
- G:ゴール:目指す品質のレベルの言語化
- S:シナリオ:ゴールに達するための具体的な方法
- C:キャスティング:計画の各項目について担当責任者を選任
例えば、「商品力を強化する」という解決策を立てたなら、次のような具合です。
- G:どのレベルまで商品力を高めるのか?
- S:どんなプロセスで改善するのか?
- C:誰が担当するのか?
(参考記事)経営者の計画達成力:バックキャスト思考なら必ず実現できる
STEP4
実行管理
あとは「やるだけ」ですが、次は「解決策の実行管理」を忘れてはなりません。
実行のポイントは 「計画通りに進んでいるか?」と「計画自体が正しいか?」、行動とともに計画もチェックすること。
「正しい計画」と思っていても、いざ実行してみると「いや、ちがうぞ!」ということが往々にしてあります。
そんなときは素早い計画修正が必要です。
大きく外れてしまってからでは手遅れになることもあります。
実行管理は「日々」「週ごと」など短いスパンで行うようにしましょう。
【結論】
課題は”感覚”ではなく”技術”で解決
さて、どうでしょう?「課題解決の技術」について整理しました。
- STEP1:ギャップを鮮明にする
- STEP2:原因特定
- STEP3:解決策の立案
- STEP4:実行管理
経営は「課題解決の連続」です。
次々に発生する新たな経営課題を解決し続けることで「もっといい会社」に成長していきます。
そのためには「感覚的に解決」するのではなく、「技術的に解決する」という視点が重要です。
関連記事も含め参考にしてみてください。
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