経営の原理原則「3Gマネジメント」~「三方良し」と比較解説

三方良し

HORII
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おはようございます!

さて、今回は、このブログの基本コンセプトでもある「3Gマネジメント」についてです。

近江商人の三方良しとは、どう違うの?」とご質問をいただいたので、改めて整理しておきます。

今週の「自主トレ」の参考にしてみてください。

この記事は、「経営の原理原則|正しい成長のための経営の軸と道理」の補足です。

「10人~100人規模の中小企業経営者」の方々に向けた「自己投資=経営脳トレーニングのサポート」を目的に、「もっといい会社」に成長するヒントを毎週発信しています。
初めてアクセスしていただいた方は、「このブログについて」をまずご覧ください。

【近江商人】「三方良し」とは?

商いの精神として語り継がれる「近江商人の三方良し」。

売り手良し、買い手良し、世間良し

三方良し:世間+買い手+売り手

これは、江戸時代に滋賀県を拠点に全国で活躍した近江商人が実践していた商売哲学です。

日本最古のビジネスフレームワークと言えるでしょう。

この言葉の通り、自分たち(売り手)だけでなく、お客様(買い手)が喜び、さらにその商いが地域や社会(世間)のためになること。

この三つ全てが満たされる商売こそが良い商売である、という考え方です。

近江商人たちは、短期的な利益追求ではなく、関わる全ての人々との良好な関係性を築くことで、商圏を広げ、時代を超えてその名を残しました。

これは、どんなに時代が変わっても変わらない、いや、変えてはいけない、とても重要な普遍的な原理原則と言えます。

では、この「近江商人の三方良し」と、このブログで紹介している「3Gマネジメント」は、どこが違うのか?

続けて、この新旧ふたつのフレームワークの違いを詳しく紹介します。

【マーカス】
「3Gマネジメント」とは?

「三方良し」と「3Gマネジメント」の違いは「会社に関わる人たちのグルーピング」です。

経営の原理原則における「3Gマネジメント」=(社会・顧客・取引先)+(社員たち)+(経営者)

会社経営の目的は「関わる人たちの持続的な幸せ」です。

「3Gマネジメント」は、この「関わる人たち」を次の3G(3つのグループ)に分けたものです。

  • グループ1:社外
    得意先、取引先を含む社会全般
  • グループ2:社内
    社員たちと、その家族や大切な人たち
  • グループ3:ジブン
    経営者自身と、その家族や大切な人たち

このグループの誰一人欠けることなく、犠牲になることなく、また、負担が偏らないようにマネジメントするためのフレームワーク。

3つのグループの幸せを同時に実現するという意味では「三刀流マネジメント」とも言え、「二刀流の大谷選手」以上に難易度の高い考え方かもしれませんね。

このグルーピングの特徴は、以下の通りです。

「社員たち」を明示している

特に特徴的なのは、「三方良し」では「売り手」に含まれていた「社員たち」を独立させたことです。

「三方良し」が生まれた時代背景を想像すると「丁稚」「奉公」というようなキーワードの香りがするので、現代において誤解があってはならないという思いです。

「会社」は3Gに入ってない

「三方良し」では「売り手」とされている「会社」は、どのグループにも含まれていません。

なぜなら、関わる人たちの幸せを目的とすると「会社は手段」と考えるからです。

会社に関わる人たちのための会社であり、
会社のための人たちではないという考え方
です。

(関連記事)正しい成功のための最重要視点「会社は手段にすぎない」

「取引先」を明示している

「三方良し」には、商売の大切なパートナーである仕入先や取引先が明示されておらず、どこに含まれるか?解釈が分かれるところです。

例えば、仕入先は「世間」なのか「売り手」の一部なのか、判断が分かれることがあります。

「3Gマネジメント」では、これらを明確に「グループ1:社外」に位置づけています。

両者比較

以上を整理すると、「近江商人の三方良し」と「3Gマネジメント」のグルーピングの違いは次のようになります。

三方良し=(世間)+(買い手=顧客)+(売り手:会社・社員・経営者)

3Gマネジメント=(社会・顧客・取引先)+(社員たち)+(経営者たち)

続けて、これら3G(3つのグループ)の人たちと、会社の関りについて深めます。

両者のイメージを再掲します。見比べてみてください。

【共通目的】
「良し=幸せ」の2つの意味

「三方良し」の「良し」とは?

私は「幸せ」と解釈しています。

売り手が幸せ、買い手も幸せ、世間も幸せ」です。

「3Gマネジメント」が目的としている「関わる人たちの持続的な幸せ」と同じです。

とはいえ、「幸せ」は、奥が深く、難しい概念です。

このブログでは「会社経営に求める幸せ」に二つの意味を持たせています。

ひとつの意味は「イヤな思いをさせない(=不幸にしない・幸せの邪魔をしない・迷惑を掛けないなど)」という社会の一員として守るべき最低限のライン。

もうひとつは、その最低ラインを守った上で「できるかぎり幸せを支援する」という意味です。

これは、中長期的な成長を持続するために、忘れてはならない重要視点であり、「三方良し」に共通する目的です。

(詳説記事)【幸せの定義】会社経営の目的は幸せというけど、「幸せ」ってなんだ?

【三方視点】
関わる人たちの持続的な幸せ

3つのグループの人たちとの関わりを掘り下げて共有しましょう。

得意先、取引先、そして社会全般

「3Gマネジメント」は、大きく「社外」「社内」を区分しています。

そのうち「社外」は、「三方良し」の「買い手」のみならず、仕入先や外注先、その他の取引先も含み、さらに「世間(社会全般)」も含んでいます。

「幸せ」という言葉がフィットしづらいグループですが、上述したように「イヤな思いをさせない」と言い換えれば、理解しやすいと思います。

  • 「顧客満足」
  • 「いい取引先」という評価
  • 「いい会社」という世間の評判

これらを忘れないようにするためのグループです。

詳しくは、この記事を参照してください。

「いい会社」の3つの条件(その1)取引先や顧客の満足度

社員と、その家族や大切な人たち

なぜ「3Gマネジメント」では「社員たち」を独立させたのか?

その理由は「もっといい会社」にするためには、「社員たちの幸せ感」が、特に中小企業にとってはとても重要だからです。

中小企業経営者、特に昭和世代の古いタイプの経営者には「お客さんのため、会社のためだったら、社員は滅私奉公するのが当然」というような考えや態度を示す人が少なくありません。

私は、そんな犠牲者の上に成り立ってるような会社は「アカン会社・アカン経営者」と思っています。

「近江商人の三方良し」であっても「売り手良し」と表現しているので、そこには社員さんたちも含まれますが「どうも影が薄いなぁ」と感じたから「分けよう!」と思ったのです。

そのため、「近江商人の三方良し」とは異なる形で「社員たち」を強調し「3Gマネジメント」のフレームワークを作りました。

理解を深めてもらうために、ひとつ象徴的なエピソードを紹介しておきます。

その会社は業績が好調で、規模も徐々に大きくなり、「外見上」はとても「いい会社」に見えていました。

しかし、その裏で営業担当者たちは残業や休日出勤も珍しくなく、彼らは慢性的なストレスや疲労を抱えながら数字を追いかけていました。

その中の一人は、家庭に帰れば小さな男の子の父親です。

毎日、帰宅すればくたくたで、たまにある休日も外出せずにぐったりしていました。

その男の子は父親と遊んでもらえないどころか、不機嫌な父親に気を遣う始末でした。

この経営者は、「社員の家族」にまで思いが至っていませんでした。

むしろ、会社の数字を上げる営業担当だから、それくらいのハードワークは当然だと思っていたのです。

しかし、結果として、会社の数字のために小さな男の子が犠牲になっていたと言わざるを得ません。

「3Gマネジメント」の考え方では、これはNGです。

もちろん「三方良し」であってもNGでしょう。

グループ2の「社員たち」には、社員本人のみならず、「その家族や大切な人」にも思いを馳せることができているか?という問いを含んでいるのです。

経営者にとっての「社員」は、みんな「誰かの息子さん・娘さん」であり、中には「お父さん・お母さん」であったり、「婚約者」「彼氏彼女」であったりします。

必ず、もう一つの「顔」があることを忘れないようにするためのグループです。

詳しくは、この記事を参照してください。

「いい会社」の3つの条件(その2)社員たちの満足度

経営者自身と、その家族や大切な人たち

グループ3の「経営者自身と、その家族や大切な人たち」についても、要点だけお伝えしておきます。

なぜなら「あなたが一番よく分かっておられる話」だと思うからです。

その要点は

  • 「経営者自身が幸せにならないと、他の人を幸せにできない」
  • 「家族や大切な人を幸せにしないと、自分は幸せになれない」
  • 「そもそも、大切な人生のために会社を経営している」

クドイ説明はいりませんよね。

経営者自身が幸せになることは「経営責任」といっても過言ではありません。

この大切なことを見失わないように「グループ3」があります。

詳しくは、この記事を参照してください。

「いい会社」の3つの条件(その3)経営者自身の幸せ

【要点整理】
そして「ずっといい会社」に

さて、どうでしょう?

今日は、「近江商人の三方良し」と、経営の原理原則である「3Gマネジメント」について整理しました。

  • 「近江商人の三方良し」
    1. 「世間」
    2. 「買い手」
    3. 「売り手」
  • 「3Gマネジメント」
    1. 「社会・取引先・顧客」
    2. 「社員と、その家族や大切な人たち」
    3. 「経営者と、その家族や大切な人たち」

この「3Gの幸せ」が増すにつれて、会社は間違いなく「もっといい会社」となり、それが企業文化となれば、必ず「ずっといい会社」として成長することができます。

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