最高の人生のための「経営者のタイムマネジメント」

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この記事は、更新時の情報と筆者の考えに基づくものです。


2024年第11週の土曜日、忙しくしてますか?私は、仕事が立て込んでパツパツになったときに「あ~忙しっ!」と小さなパニックになることが少なからずありましたが、その都度「時間の使い方がヘタクソやなあ~」と自己反省したものです。

時間を上手に使うその本質は「パフォーマンスの最大化」であり、その結果「満足度の高い日々」を過ごすことができ、さらに、その延長線上には「最高の人生」があります。

今日は、少々長くなりますが、そんな最高の人生を送るための「経営者の時間活用=タイムマネジメント」について整理しておきます。

このブログでは「10人~100人規模の中小企業経営者」の方々に向けて「経営脳の自主トレサポート」を目的に「もっといい会社」にするためのヒントを発信しています。初めてアクセスしていただいた方は、こちら(=「このブログについて」)をまずご覧ください。

タイムマネジメントの2つの重要視点

経営者に限らず、成果を求めるすべてのビジネスパーソンにとって、時間の有効活用がとても重要であることは言うまでもないでしょう。

その中でも、特に重要な2つの視点について確認しましょう。

視点1:満足度の高い日々のために

限りある時間の中で「インプットする質と量」「アウトプットする質と量」で、ビジネスパーソンのパフォーマンスは決まります。必要十分なインプットやアウトプットがなければ、その人の本来のパフォーマンスを引き出すことはできません。

また、タイムマネジメントは、基礎スキルである「計画実現力」をはじめとして、経営者にとって必修スキルの「戦略構想力」「プロジェクトマネジメント力」のベースになるものでもあり、これらのスキルを身に付けるためにも欠かせない「素養」や「素質」と言っても過言ではないでしょう。

質の高い十分なインプットやアウトプットを行い、また、必要なスキルを磨き、その結果として得られる「満足度の高い日々」を過ごすためにタイムマネジメントは欠かせません。

視点2:満足度の高い人生のために

日々の積み重ねの延長が「人生」です。少々大げさかもしれませんが、人生の満足度はタイムマネジメントの良し悪しで決まると言っても過言ではないでしょう。

無計画な人生のハプニングに価値を感じる人もいますが、それはいわゆるハイリスクハイリターンな人生であり、その選択ができるのは一部の特別な人たちです。

特に、多くの人に影響を及ぼす経営者という人生を選択をした私たちは、そんなリスクに周りの人たちを巻き込むわけにいきません。「確率の人生」ではなく、満足度の高い「最高の人生」のためにもタイムマネジメントはとても重要です。

Step1:目的「どうしたいのか?」

経営者としてタイムマネジメントに取り組む際に、まず最初に整理しなければならないのは「目的は何か?」です。

経営者としての人生を選択して「どうしたいのか?」です。

その目的を実現したり、目標を達成するための手段がタイムマネジメントです。

  • 経営者としてどうしたいのか?
  • 一個人としてどうしたいのか?

この「経営者としての目的」と「一個人としての目的」の両面で「ホンネ」で自分と向き合い、自己認知を高めることが、質の高いタイムマネジメントにつながります。

24時間*365日という限られた時間を「仕事だけ」でタイムマネジメントに取り組むと、プライベートを犠牲にすることになり、結果としてストレスを抱え、それが仕事のパフォーマンスを低下させてしまうという本末転倒が起きることがあります。

プライベートが大切であるという人生観もあれば、経営者は滅私奉公、プライベートは必要ないという人生観もあり、これは「個人の価値観」の話なので、優劣の話ではありません。

しかし、それも含めて、自分自身の人生に対する価値観についての自己認知を高めることが「質の高いタイムマネジメント」の準備として大切です。

Step2:時間を有効活用したいか?

先に、身もフタもない話をしておきます。

「そもそも、時間を有効活用したい」と思っていますか?

「時間の有効活用=タイムマネジメント」は「MUST動機」ではなく「WANT動機」でないと、うまくいきません。なぜなら、タイムマネジメントは「考動習慣」だからです。「やらなければならない=MUST動機」の場合、その負担感から三日坊主で終わり習慣化に至らないことが少なくありません。

WANT動機である「時間を有効活用したい!=タイムマネジメントをやりたい!」という思いが弱いときは、上記の目的への「思いの強さ」を自問自答しましょう。

「どうしても達成したいこと」「どうしても実現したいこと」への思いが強ければ「タイムマネジメントしたい!」という思いも強くなります。

「できれば達成したい」「実現できればいいなあ」という場合は、タイムマネジメントは「面倒なこと」と感じ、三日坊主で終わってしまうのです。

「面倒なタイムマネジメントをやらずに目的実現、目標達成する方法はないのか?」と、ムシのいいことを考えている人は、このブログを読むのをやめて「神様にお祈り」でもしてください(笑)。

Step3:時間イメージの解像度を上げる

Step1:目的」と「Step2:強い思い」が確認できれば「実務」です。

タイムマネジメントが上手でない人に共通しているのは「時間イメージが曖昧」ということです。

まず、マネジメントする対象である「時間」のイメージを鮮明に持つことから始めます。

時間の総数を可視化する

改めて書くことではありませんが「時間は有限」であり「万人に平等」ですが、あえて、計算式で可視化してみます。

  • @24時間×7日=1週間は168時間
  • @24時間×30日=1カ月は約720時間
  • 365日÷@7日=1年は約53週間
  • @12か月*3年=3年は36ヶ月

「ざっくりイメージしている時間軸」をこのように確認してみると、「長いなあ」「短いなあ」と、自分なりの印象を持つと思いますが、その印象やイメージを持つことが大切です。タイムマネジメントは、この限られた時間をいかに効果的に使うか?という取り組みだからです。

「マネジメントする相手」をよく知りましょう。

使える時間は何時間か?

上記の「時間の総数」のうち、睡眠や食事などの「生活時間」を差し引いた時間が「使える時間」です。ショートスリーパーの人は「使える時間」は長くなり、また「食事はゆっくり楽しみたい」という人は「使える時間」が短くなりますが、睡眠や食事には個人差があるので「自分はどうなんだろう?」と計算してみましょう。

1日あたり24時間
睡眠時間6時間
食事時間:朝+夜2時間
入浴など衛生時間1時間
差引:使える時間15時間

ちなみに、これは、私の「使える時間」です。

今は、睡眠は6時間で十分で、食事は朝夕の2食なので、若い頃に比べて「使える時間」が増えました(笑)。

この15時間を「どう使うか?」が、私のタイムマネジメントの基本です。

さて、あなたの「使える時間」はどうですか?

時間は柔軟に作れる

時間は柔軟性があり「ちりつも」の典型です。

例えば、上記のように「食事=朝夜=2時間」の私も、若いころは、当然「ランチ」も必要だったので、3時間が毎日の食事時間でした。それが、2食生活になったとたんに、毎月「使える時間」が約30時間(=@1時間×30日)増えました。30時間といえば「約2日」です。

つまり、毎日1時間は決して小さくなく、年間にすれば、なんと1時間*365日=365時間、毎日の「使える時間」を15時間とすると「365÷15=約24日」、1年がまるで13カ月になったようなお得感すら感じることができます。

このように「毎日の小さな時間」も「ちりつも」で1カ月分になるなど「時間は柔軟に作れる」ということを確認しておくことが「可能志向」を高めることにもつながります。

(参考記事)経営者のメンタル|周囲もポジティブにし善循環を生むリーダーの「可能志向」

Step4:標準の時間割作り

Step1:目的」と「Step2:強い思い」を確認し「Step3:鮮明な時間イメージ」を持つことができれば、次は「標準の時間割」を作ります。

1日あたり24時間
睡眠時間6時間
食事時間:朝+夜2時間
入浴など衛生時間1時間
差引:使える時間15時間

上記の「使える時間」を「何に使うか?」です。

コツは「自分に正直に」です。

「べき論」ではなく「やりたい」を優先する方が、モチベーションに良い効果があるからです。

日々の生活の中で「やらなければならないこと」が多いとストレスになってしまいます。

「自分に正直に、やりたい時間割」を考えましょう。

ただ、冒頭に書いたように「インプットする質と量」「アウトプットする質と量」でパフォーマンスは決まります。自分自身のパフォーマンスをさらに高めるための「インプットとアウトプット」は意識的に組み込んでください。

使える時間15時間
ウォーキング2時間
INPUT:新聞や読書や録画2時間
OUTPUT:ブログや開発3時間
趣味や遊び2時間
クライアントワーク4時間
予備枠2時間

参考までに、私の平日の標準時間割の中の「使える時間」の部分を紹介します。

これは「やる順番」ではなく「やりたい順番=優先順位」で並んでいます。

「え?クライアントが最後?」と、お叱りを受けそうですが、私のような「コーチング」のクオリティは心身のコンディションに大きく左右されるからです。

クライアントを元気付ける立場のコーチが疲労感やストレスを滲ませていたら本末転倒です。

常に、自分の心身のコンディションを良好に保ち、高いパフォーマンスをキープするために、ウォーキングも、趣味や遊びも重要なテーマだからです。

あと「予備枠」も十分に取っておくことをお勧めします。日々、想定外のことがあったり、延長するテーマもあるからです。そんなときに、他のテーマへの影響を最小限にするためには「余裕」が必要です。パツパツに詰め込むと、何かがズレるとほかにも連鎖してしまいます。「予備枠」は、少々多めに取っておきましょう。

Step5:経営者としてのタイムマネジメント

中小企業経営者には、プレーイングマネジャーとしてプレーヤーとしての仕事を「兼業」しているケースが大半ですが、その割合が多く、マネジャーとしての仕事の比率が低くなっている人が少なくありません。

マネジャーとしての仕事、つまり「経営の仕事」を十分確保することが「経営者のタイムマネジメント」として重要です。この視点を忘れると「プレーヤーとしてのタイムマネジメント」になってしまいがちなので要注意です。

ここで、改めて「目的」を確認しましょう。

経営者にとって「満足度の高い人生」は、「満足度の高い自社」の影響が大きく、それどころか「自社の満足度」イコール「人生の満足度」という人も多いでしょう。だとすると「満足度の高い自社」をマネジメントするための「経営の仕事」は、優先的に重要であり、それが「満足度の高い人生」のために避けられません。

その代表的なテーマは「戦略的経営計画」「チームビルディング・人材育成」そして「会計・予実管理」です。

これらの重要な経営テーマに取り組むための十分な時間を、週や月の単位で「標準の時間割」に組み込んでおくことが必要です。

下記は、ほんの一例ですが、これを参考にして「経営者としてのタイムマネジメント」を検討してみてください。

月~木毎週金曜日毎月1回休日
使える時間15時間15時間15時間15時間
通勤時間/情報収集2時間2時間2時間
ジム・ジョギング1時間1時間1時間2時間
プレーヤー業務6時間2時間3時間
会議・打ち合わせ3時間1時間1時間
経営業務:人材育成3時間
経営業務:月次決算・予実確認3時間
経営計画の進捗確認3時間
経営脳の自主トレ3時間
タイムマネジメント(後述)1時間1時間1時間
家族との時間3時間7時間
予備枠:接待等や休息を含む(前述)2時間2時間2時間2時間

この「経営者のタイムマネジメント」を検討する際の注意点やコツは下記のとおりです。

優先順位

「毎日、ジムやジョギングの時間は取れないなあ」「会議や打ち合わせの時間が足りないなあ」など、限られた時間の枠内になかなか「収まりきらない」ということがあるかもしれません。

テーマごとの所要時間の見直しが必要ですが、それでも足りない場合は、優先順位を付けなければなりません。

その基準は、前述の「どうしたいのか?」です。「目的」に照らし合わせて「優先的に時間投資すべきことは何か」という視点とともに「自分自身のモチベーションやテンションが上がるテーマは?」という視点に注意しましょう。

規模の大小にかかわらず、チームのトップリーダーである経営者のモチベーションやテンションが、結果として「経営者としてのパフォーマンス」につながります。

「べき論」で、むりやり押し込むような組み方は、上述したように「習慣」として続きません。

取捨選択

時間枠に収まりきらないとき、思い切って「やらない」という選択肢もありますが、「そういうわけにはいかない」ことも多々あるでしょう。

そんな時は「自分でないとダメか?」の再考です。「プレーヤー業務」を精査すると、今すぐはムリでも近い将来実は「他者に任せられる(まかせるべき)仕事」も多いはずです。

また「経営者のパフォーマンス」という観点においても、「得意なこと」を優先して「苦手なこと」は他者や社外にバトンタッチするなど、「やりたいこと」「やりたくないこと」という基準で取捨選択することも「タイムマネジメントの習慣化」には効果的です。ここにも「べき論」は不要です。

時間の見積もり

標準の時間割を検討する際に、時間の「見積もり精度」は、とても大切ですが、この「精度」を高める唯一の方法は「詳細記録を継続すること」です。

「何にどれくらいの時間を使っているか?」を日々記録することで「何に、どれくらいの時間が必要か?」の理解が深まり「精度」が高くなっていきます。

おおよその感覚で「時間割のたたき台」を作った後は「見積もり精度」を高めて「標準の時間割」をアップデートしていきましょう。

Step6:習慣化:PDCAの高速回転

「標準の時間割」が完成すれば、次は「運用」です。

いよいよ「タイムマネジメント」によって、時間を有効活用する日々が始まります。

そのための方法が「PDCA」です。最初は、意識しないとできませんが、この「PDCA」を「日々・毎週・毎月」の単位で繰り返すことによって徐々にタイムマネジメントが「考動習慣」として、身に付いていきます。

P:Planning:スケジュール作り

上記で作成した「標準の時間割」を、Googleカレンダーなどのスケジューラーを使って具体的にスケジュールに落とし込んでいきます。

このときのコツは「起床時間」「就寝時間」「入浴」「朝食・昼食・夕食」などの「生活時間」も登録することです。それによって、日々の「使える時間」がより鮮明に可視化できます。

タイムマネジメントを考動習慣にまで落とし込むには「時間が空いたら***しよう」「終わったら寝よう」というような「規則正しくない生活」はデメリットです。「どうせ毎日すること」は「毎日、決まった時間」に登録してしまいます。

D:Do:ストイックに実行

スケジュールは「自分との約束」です。約束は守りましょう。こまめにスケジュールを確認し、確実に実行するようストイックに取り組みましょう。「絵に描いた餅」にしてはなりません。自分に厳しく取り組むことが早期習慣化のコツです。

C:Check:行動記録

スケジュール通りにこなしているか?を、日々、毎週、毎月の単位で振り返りましょう。

前述の「標準の時間割」のサンプルにも「タイムマネジメント:毎日1時間」を組み入れてあります。

「え?チェックに毎日1時間も必要?」と思われるかもしれませんが「考動習慣」にするためのおすすめは「日記を書くこと」です。

毎日を振り返り、内容が伴った日記を書こうと思えば、1時間くらいはあっという間です。これは、経営脳の自主トレに効果的な「経営脳の自主トレ」でもあります。

単に「やったか?やらなかったか?」ではなく、スケジュールを実行する際に感じたことや考えたことなど「現象」だけではなく「現象の理由や原因」さらに、自分がどう感じているか?という「感想」にまで掘り下げて考える時間はとても有効です。

「タイムマネジメントによって充実感や満足感が得られているか?」です。充実感や満足感が不足している点について日記に記録することで感覚を言語化することができます。

A:Action:改善

上記のチェックによって課題や反省が生じたら、2つの視点で改善を進めます。

「計画の実現」は「正しい計画」と「正しい行動」の掛け算です。

計画は正しいのか?改善点はあるか?という視点と、行動は正しいのか?改善点はあるか?という2つの視点で改善を進めることで、計画の実現、つまり「目的の実現」や「目標の達成」の可能性が高まります。

(参考記事)【経営者の基礎スキル】計画実現のためのバックキャスト思考

タイムマネジメントを邪魔する敵たち

上記のPDCAを回していると、最初は「うまくいかない」ことも多々あります。

タイムマネジメントを邪魔する敵たちとの戦いです。

外的要因

  • 自然災害や事故などの緊急事態
  • 家族や大切な人からの緊急リクエスト
  • PCクラッシュやネット接続不良などの環境障害
  • 関連者の遅延や変更等の影響
  • 交通渋滞等

内的要因

  • 先延ばしクセ
  • 完璧主義
  • 心身の不調
  • 集中力の欠如
  • 優先順位や時間見積もりのミス

「外的要因」への対処法は「セカンドプランを用意しておく」という、リスクマネジメントのスキルを高めることで対応します。

(関連記事)【経営者の基礎スキル】チャンス最大化・リスク最小化の管理力

また、自分自身の問題である「内的要因」の多くは、スキルではなくメンタルやマインドセットに原因があるので「経営脳:第1レイヤー:マインドセット」や「経営脳:第3レイヤー:メンタル」の自主トレを重ねることで克服しましょう。

(関連記事)経営脳5つのレイヤー:第1階層:経営者のマインドセット
(関連記事)経営脳5つのレイヤー:第3階層:経営者のメンタルマネジメント

最大効果=時間の価値を共有する人たちの輪

時間にルーズな人達は「類とも」で、その周りの人たちもルーズな人が多かったりします。

同様で、時間の有効活用が苦手な経営者の会社は、その影響をメンバーも少なからず受けています。

一方で、時間にシビアな会社を観察していると、その多くはリーダーである経営者自身が時間に厳しく、それが、企業文化(カルチャー)となっていることが少なくありません。いわゆる生産性や納期厳守や、ムダの無い会議、さらにオフィスに置いてある時計の正確性に至るまで、そのほどよい緊張感は心地よさでもあります。

経営者がタイムマネジメントを考動習慣にすることで、経営者個人がその効果を得ることはもちろん、それはチームにも良い影響を及ぼし、さらには取引先など社外にもそれは及びます。結果として、時間の価値の大切さを共有する人たちの輪が広がっているのです。

これは、タイムマネジメントの考動習慣の最大効果と言ってもいいでしょう。

まとめ

「経営者のタイムマネジメント」について整理しました。

関連記事も含め参考にしてみてください。

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