
おはようございます!
今日は、2024年第45週の土曜日。
夏の猛暑を忘れてしまうくらい、すっかり秋らしく(てか寒く)なりましたが、会社経営は順調ですか?
さて、今週は「順調な経営者」ほど忘れがちな「経営の前提条件」について整理します。
私たちは、公私に関わりなく日々の生活は何らかの「前提条件」によって支えられています。
特に、平和で順調に過ごしているときほど、この「前提条件」を忘れがちです。
程度の差はあれど、(言葉は良くないですが)ちょっとした「平和ボケ」をしているものです。
もし、心当たりがあれば、この機会に盲点になりがちな「経営の前提条件」を確認してみてください。
重要な「中小企業のリスクマネジメント」の話です。
このブログでは「10人~100人規模の中小企業経営者」の方々に向けて「経営脳の自主トレサポート」を目的に、「もっといい会社」にするためのヒントを発信しています。
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【確認項目】経営の前提条件8選
- 治安が良い
- 経済が安定している
- 水道ガス電気が十分に供給されている
- いつでも必要な食糧を調達できる
日頃、私たちが平和に暮らせているのは、これらの「前提条件」が整っているからです。
これらのひとつでも欠けてしまうと、たちまち生活は一変します。
危機意識が希薄になると、この前提条件の重要性を忘れがちです。
そして、気が付くと・・・
- めったなことで前提条件は崩れないはず
- 前提条件が崩れてほしくない
- 前提条件は崩れない
・・・と、「無防備な前提」を無意識に作り上げてしまいます。
これは、会社経営においても同様です。
会社経営にも「前提条件」があります。
その中から主なものを8つリストアップするので・・・
- 盲点はないか?
- 前提条件への依存度はどれほどか?
- 無意識に「無防備な前提」を作っていないか?
- リスク対策に抜かりはないか?
・・・を確認してみてください。
1)顧客は、今後もずっと絶えないか?
どんなビジネスであっても、今日の売上は、今日のお客様があって成り立っています。
今のお客様は、今後も絶えることなく持続するでしょうか?
今のお客様からもたらされる売上は、突然激減したり、消滅したりしないでしょうか?
コロナによるパンデミックの記憶はまだ新しいところです。
緊急事態宣言によってスイッチを切ったように、売上が止まってしまった中小企業は少なくありませんでした。
また、その事態を想定して、前もって準備していた中小企業は多くありませんでした。
「顧客は、突然消滅したりしない(はず)」という「無防備な前提」があった典型例です。
過去を振り返れば(若い人には実感がないかもしれませんが)・・・
- CDの出現で需要が激減したレコード針
- デジタル化で急減した写真フィルム
- クールビズでめっきり減ったネクタイ
・・・など、災害やパンデミックに限らず・・・
- 突然の競合の出現
- 新たな新技術や代替品の登場
・・・などによって、窮地に立たされるケースは珍しくありません。
最近では、相手国が突然輸入を止めるようなニュースもありました。
補足になりますが、私が若い頃「税理士って法律で守られてるけど、もし、税務業務が自由化されたら?」と、先輩にツッコまれたとき「確かに・・・」と、声が出なかった記憶があります(幸い?今も自由化されていませんがw)。
2)商品や資材は、今後も調達できるか?
上記の売り上げのように、今の商品やサービスに「無防備な前提」はありませんか?
商品や材料は、今後も安定して必要数を仕入れることは可能ですか?
また、その価格は急に変わったりしませんか?
「売るもの」が手に入らなくなることはありませんか?
3)主力メンバーは、今後も退職しないか?
お客様も、商品や資材もある。
しかし、それを製造・販売してくれているメンバーが欠けることは決してないと言えますか?
特に、主力メンバーが退職することはありませんか?
さすがに退職はないとしても、突然の病気や事故によって離脱する可能性はありますよね。
比較的少人数の中小企業ほど、優秀なメンバーへの依存度が高く、また、その影響度は大きいものです。
「主力メンバーは、今後も変わりなく活躍してくれる」ことが「無防備な前提」になっていませんか?
同様に、じわじわと「人手不足」が深刻化しています。
今後も必要な人材は、必ず採用できますか?
(参考記事)経営スキル|人手不足対策|採用競争力を強化する自責の視点
4)経営者自身は、不死身か?
中小企業は、昔から「社長こけたら、皆こける」と言われます。
主要取引先との人間関係も含め、経営者個人の営業力や技術力によって成り立っているビジネスは多いものです。
しかし、経営者自身に万が一があれば、たちまち「前提条件」が崩れます。
チームには混乱が生じ、顧客や取引先にまで大きな影響が及びます。
経営者自身が病気やケガで中長期の離脱を余儀なくされたら、会社はどうなるでしょう?
経営者自身の、健康への過信や、もっと言えば、多少のことは乗り越えることができる「根性」。
そんな精神論で「大丈夫!」と「リスクを封印」してしまったりしてないでしょうか?
まさか、「社長は不死身だ」なんて無防備な前提を持っていませんよね?
(関連記事)メンタル&フィジカル|心身のリセット「正しく休んでる?」
5)銀行はずっと貸し続けてくれるか?
ストレートに言いますが、「銀行は突然、掌(てのひら)を返す」ことがあります。
「社長、うちの資金をもっと使ってくださいよ!」
いつも笑顔で融資の提案をしてきた営業担当者が、ある日突然「もう、追加融資はできません」。
そんな変貌が「無いとは言えない」のです。
赤字続きであっても、資金調達ができる間は会社はつぶれません。
しかし、反対にどれだけ黒字であっても、それを上回る返済や支出が続き、資金が底を突いたらゲームオーバーです。
「必要な時に、必要な資金を調達できる」という「無防備な前提」で安心していないでしょうか?
6)会社は、誰かが継いでくれるだろうか?
遠い将来のことと思って「まだ考えるのは早い」と考えている経営者が少なくありません。
しかし、誰でもいずれ「引退の時」がやってきます。
特に、オーナー中小企業経営者の出口は「廃業」か「売却(譲渡)」の二択です。
「そろそろ」と思った時に、思い通りの「廃業」や「売却(譲渡)」ができるでしょうか?
「なんとかなる!」と楽観的(無責任?)になっていないでしょうか?
「廃業」によるお客様や取引先への影響、その時のメンバーの「次の職場」など、リアルに想像できてますか?
「売却(譲渡)」と言っても「買ってくれる人が必ずいる」と言えますか?
現実は、「タダでもいらない会社」ってあるものです。
「いいタイミングで会社を売って、悠々自適のセカンドライフを楽しむ」
そんな理想を描いているなら、相応の準備が必要です。
「出口の前提条件」を確かめてみてください。
(関連記事)人生計画|「出口」を知らない経営者はいずれ後悔する
7)いきなり法的責任を負うことはないか?
契約不履行や、事故、あるいは、労務問題など。
「寝耳に水」という事態が生じ、経営環境が激変することがあります。
これは「前提条件」というより「リスク想定力」の問題かもしれません。
そもそも「そんなことは起きない」ことが「無防備な前提」になっているかもしれません。
特に、事故や労務問題は、人を雇用して、商品やサービスを提供している限り「ゼロ」にすることはできません。
例えば、突然「不払い残業代」がマスコミに取り上げられ、数日新聞紙面を賑わし、それによる信用失墜、不買運動にまで及んだケースもあります。
「当社に限って、そんなことはない」という認識は、最近良く見聞きする「私は騙されない」という高齢被害者に共通するところがあります。
思い込みは命取りです。
8)悪意の攻撃を受けることはないか?
上記に共通しますが、「犯罪に巻き込まれることは絶対にない」といえますか?
そんな「無防備な前提」を無意識に作ってしまっていないか?ということも再確認しておく必要があります。
システムのセキュリティ侵害などによる情報漏洩が真っ先に思い浮かびます。
それは決してシステム上の欠陥だけではなく「人によるもの」も可能性があります。
また、私の記憶には、「悪意の循環取引」に巻き込まれた善良な経営者が思い浮かびます。
もちろん、犯意などあろうはずもなく、気付けば結果的に「マネーロンダリング」に加担していたというケースです。
「被害者」にならないように日常からディフェンスを固めておくことは当然として、「加害者の加担」になることも想定しておかなければなりません。
【想定被害】
想定するのはダメージ
以上、どこにでもありそうな「8つ」をリストアップしましたが、これら以外にも「リスク」は潜んでいます。
いずれにしても「前提条件」に対する意識の希薄が「リスク」を大きくするという反比例の関係にあるといっても過言ではないでしょう。
ここで大切な視点は、リスクそのものではなく、リスクが引き起こすダメージを想定することが重要です。
万が一が生じた時に、どれくらいのダメージを受けるか?です。
そのダメージが、許容範囲内なら過度な対策は不要かもしれません。
しかし、それが大きく、また影響する範囲も広いものであれば「事前対処・事前対策」を怠ることはできません。
現在の状況は、どんな前提条件で成り立っているか?
「盲点は無いか?」を具体的に書き出し、定期的にアップデートすることが、中小企業のリスクマネジメントには欠かせません。
(関連記事)経営者の管理力:想定と準備で チャンスは最大化 リスクは最小化
【本質確認】当たり前への感謝
最後に、「前提条件」を忘れないための大切な心構えを共有します。
それは、「感謝の気持ち」です。
「前提条件」は「あって当たり前」と考えがちです。
だからこそ、その大切さを見失いがちです。
「当たり前」が多いほど、「盲点」も生まれやすい。
- お客様への感謝
- 取引先への感謝
- メンバーたちへの感謝
- 資金を提供してくれている銀行への感謝
こうした周囲の人々への感謝の気持ち。
さらに・・・
- 健康で仕事ができることへの感謝
- 今日も一日、平和に過ごせたことへの感謝
「誰か」に対するものだけでなく、状況そのものに対する感謝の気持ちもあります。
この感謝の気持ちが、単なる考え方ではなくメンタルの一部になれば、「前提条件」を「当たり前」として忘れることなく、常に意識し続けることができます。
この機会に、ぜひ改めて自問自答してみてください。
(関連記事)経営者の感謝の心:自然に湧き出る「ありがとう」のチカラ
【要点整理】
心からの「おかげさま」
さて、どうでしょうか?
今週は、中小企業のリスクマネジメントの重要視点として「前提条件が盲点になってないか」ということについて整理しました。
業績が順調なときほど、それを支えている「当たり前」への感謝が希薄になりがちです。
会社が順調なのは「おかげさま」であることを忘れないようにしましょう。
関連記事も含め参考にしてみてください。
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