経営者の感謝の心:自然に湧き出る「ありがとう」のチカラ

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この記事は、更新時の情報と筆者の考えに基づくものです。


常に感謝しているだろうか?
その感謝は自然に湧き出る感情だろうか?
その感謝は相手に伝わっているだろうか?
お互いが感謝し合ういい仲間たちに囲まれているだろうか?

「もっといい会社」にするためには、経営脳を整え「もっといい経営者」になることが唯一の選択肢です。

それには「心技体」の「体」に該当する「心身」のコンディション、つまり「心:メンタル」と「身:フィジカル」の状態が大きく影響します。

経営脳5つのレイヤーの第3レイヤー「メンタル」のセルフマネジメントに大切な「感謝の気持ち」。この記事では、経営者の心をほんのり適温に温める「ホンモノの感謝」について、メンタルトレーニングを習慣化する方法と併せて詳しく解説します。

このブログでは「10人~100人規模の中小企業経営者」の方々に向けて「経営脳の自主トレサポート」を目的に「もっといい会社」にするためのヒントを発信しています。初めてアクセスしていただいた方は、こちら(=「このブログについて」)をまずご覧ください。

メンタルの真の強さ

まず「メンタルの強さ」についてお話します。

気持ちや感情を指すメンタルは、フィジカルと並んで経営者のコンディションを大きく左右する重要な要素です。メンタルに課題があると十分なパフォーマンスを発揮できないことは言うまでもありません。

経営者は、その役割と責任から「強いメンタル」が求められますが、この「強さ」とは、一般にいう「耐え忍ぶ強さ」のことではなく「自分自身の感情や気持ちをセルフマネジメントするチカラ」のことであり、これが「メンタルの真の強さ」です。

  • 自分のメンタルには何が影響しているのか?
  • どうすれば、上機嫌になれるのか?
  • どんなとき、テンションが下がってしまうのか?

これらについて明確な答えを持つことで自分自身の感情や気持ちを客観的に見ることができ「メンタルマネジメント」のチカラが身に付きます。

「メンタルの真の強さ」をトレーニングしてもらうため、このブログでは、自己内観の切り口としてメンタル8選(「ポジティブ」「冷静」「集中」「余裕」「自信」「勇気」「感謝」「ストレス」)を紹介しています。

メンタルを良好に保つ「感謝の気持ち」

メンタル8選のひとつである「感謝の気持ち」は、メンタルを良好に保つことに欠かせません。

些細な事であっても「ありがとう」という感情を持つことで、熱すぎず、冷たすぎず、ほんのり温かく優しい気持ちになり、メンタルに良い影響を及ぼします。その例を、いくつか挙げてみましょう。

  • 協力してくれる人や応援してくれる人たちに感謝の気持ちが伝わることで、その人たちも温かく優しい気持ちになる。
  • 感謝する相手の存在によって、孤独感が軽減され、安心感が増す。
  • 感謝する相手の存在で、さらにポジティブになったり、勇気を強くしたりする。
  • 社内外の人たちに感謝の気持ちが伝わることで信頼関係が増す。
  • 感謝の気持ちを持つことによる幸福感や安心感で、睡眠の質が向上したり免疫力強化など、フィジカル面にも良い影響があると言われている。
  • 感謝の気持ちが、過去の困難やネガティブな出来事を再評価するきっかけとなり「あの困難があったから今がある」など「良くない記憶」が「良い記憶」に上書きできることがある。

このように「心から自然に湧き出る感謝の気持ち」は、心を落ち着けたり、上機嫌になるなど、メンタルを良好に保つためにとても効果的です。

いい人の輪を広げる「感謝の気持ち」

また、この「心から自然に湧き出る感謝の気持ち」が相手に伝わると、相手のメンタルにも好影響を及ぼします。それが、信頼関係や相互支援を強くすることにつながり「いい人の輪」を広げることになります。

そのような意味で、経営者の感謝の気持ちは「大切な経営資源」と言っても過言ではないでしょう。

自然に湧き出る「本当の感謝」

ただ、注意しなければならないのは、ここでいう「感謝」は「感謝しなければならない」という義務的な感情ではなく「自然に心から湧き出てくる感情」であるということです。

「プレゼントをもらったら、感謝しなければならない」というのは「礼儀」の話であって「感謝」の話ではありません。

プレゼントをしようと思ってくれた人の気持ち、そのプレゼントを選んでくれたときの気持ち、また、その経済的な負担をしてくれたことなど、そのプレゼントという「モノ」を通じて、相手の「気持ち」に想いを馳せて、その気持ちに対して「ホントにありがとう」と湧き出てくる感情が「本当の感謝」です。

自己内観「本当の感謝」だろうか?

自己内観とは、自分と向き合い「自分の本質を知ること」であり、いつも上機嫌でいるためのメンタルケアに欠かせないプロセスです。次に、自問自答するためのサンプルを紹介します。

自分自身の感謝の気持ちが、義務的なものではなく、素直な心から自然に湧き出ているものか?さらに、それは相手にきちんと伝わっているか?セルフチェックしてみてください。

  • 当社の事業に関連する方々の「ナニ」に感謝しているのだろうか?
    • お客様
    • 仕入先や外注先または金融機関など
    • その他、自社のビジネスでお世話になっている方々
    • 社員や、その家族や大切な人たち
    • 自分自身の家族や大切な人たち
  • 目は行き届いているだろうか?
    • 自分にとっては簡単なことでも、慣れない人たちにとっては苦労や努力を伴うこと
    • 日常、見逃しがちなことでも、目立たないところで小さな気遣いをしてくれている人たち
    • 当たり前のことを当たり前に考動してくれている人たち
  • 当たり前をスルーしていないだろうか?
    • 会議の席上、勇気をもって意見してくれたり、提案してくれる「その気持ち」
    • 評価するのは「成果」、感謝するのは「過程」。成果の有無に関わらず、その背景の行動や気持ち
    • ミスや失敗を叱責しても、それをきっかけに新たな発見や学びがあったとき
  • チームビルディング
    • メンバーが成長してくれていることに
    • リーダークラスが、リーダーシップを発揮してくれていることに
    • 秩序正しく、ルールを守ってくれていることに
    • お互いを思いやり、お互いが助け合っている姿に
  • 自分自身の行動・言動
    • 感謝の気持ちを素直に「ありがとう」と伝えているだろうか?
    • 自分自身の「ありがとう」の気持ちは、相手に正しく伝わっているだろうか?
    • 些細なことでも「ありがとう」と自然に声に出ているだろうか?
    • 感謝の言葉を伝えることに、恥ずかしさやためらいを感じていないだろうか?
    • 「耳の痛いこと」を言ってくれる相手には、それが年少者や下位のメンバー、その他誰であっても感謝し、それを素直に伝えているだろうか?
    • 相手によって、感情的に感謝の気持ちをシャットアウトしていないだろうか?
    • 順調に物事が進んでいるとき「誰の助けもなく、自分だけの成果」と思っていないだろうか?
    • お中元やお歳暮、お返しなど謝意を伝えるとき、形式的に「モノ」で済ませてないだろうか?
    • 気が付けば「思い上がり」「傲慢」「勘違い」などによって感謝の気持ちが希薄になっていないだろうか?
  • さらに視野を広げて
    • 衣食住に関するインフラに大きな問題がないこと
    • 治安が良いこと
    • 平和なこと
    • 自由なこと

さて、どうですか?「気になる項目」や「心当たりのある項目」はありましたか?もしあったなら、その理由を深く考えることで「自分の本質」をより鮮明に知ることができます。自己内観によって自己認識を深め、自分自身の感謝の気持ちの背景を知ることが必要です。

メンタルを良好に保ち、常に上機嫌でいるために、このような自己内観を定期的に繰り返すことが大切であり、また、とても効果的です。「自己内観の日」を定例スケジュールに登録してメンタルトレーニングを習慣化しましょう。

心から感謝するために

上述したように、感謝は、義務的なものではなく、素直な心から自然に湧き出てくる気持であることが重要です。また、その気持ちが常に心に常駐していることが望ましい状態です。もし「足りないなあ」という自覚がある場合は、それが自然体になるまで意識してメンタルをトレーニングしなければなりません。

下記に、そのヒントを紹介するので、参考にしてみてください。

  • 日記を書く
    • 今日、出会った人に対する感謝の気持ちを毎日記録する
    • 何がありがたいのか?感謝の理由を必ずアウトプットする
    • 手書きでなくても、スマートフォンにメモするだけでもよい
    • たくさんの人の浅い記録より、誰か一人の深い記録の方が効果的
  • 「ありがとう」を声に出す
    • チームメンバーなど、仕事関連の人たちに「いつもありがとう」と声に出す
    • 仕事以外にも、タクシーを降りる際、食事で会計を終えた時など「ありがとう」を口癖にしてしまう
    • 「こちらこそ、ありがとう」という、リターンの心地よさをたくさん体験することが効果的
    • 「ありがとう」という言葉に「理由」を付けて伝える。(例:いつも美味しいお茶をありがとう)
  • 恥ずかしさに慣れる
    • 照れや恥ずかしさがあるなら、感謝を伝えることを日常にすることで、恥ずかしさに慣れることを意識する
  • 当たり前のありがたさを感じる
    • 「もし、これがなかったら」「もし、この人がいなかったら」と当たり前がなくなることを想像をする
  • メンバーへの理解を深める
    • あえて現場の仕事を自ら体験する
    • チームの各階層ごとに、日常困っていること、苦労していること、あるいは、独自に工夫していることに焦点を合わせてヒアリングの機会を設ける
  • 企業カルチャーにしてしまう
    • 感謝の気持ちが、チームに良い影響があることを共有し、メンバー同士が感謝の気持ちを伝えることを啓蒙し、習慣とすることでチームのカルチャーを醸成する

まとめ:メンタルトレーニングを習慣化する

さて、どうですか?

経営脳の第3レイヤー「メンタル」の切り口のひとつとして「感謝」について整理しました。

仕事が忙しくなったり、気持ちに余裕がなくなった時は、心が内向きになり易く、周囲の人にまで意識が届かず、ついつい感謝の気持ちが希薄になることがあります。それが続くと周囲との関係がギクシャクし、その環境が益々メンタルにダメージを与えるという悪循環が始まるリスクがあります。そうならないように「感謝の気持ち」を忘れないようにしましょう。

感謝が自然体になれば、ついつい見逃しがちな小さなこと、些細な事でも「ありがたい」という気持ちが常駐し、心がほんのりに温まります。そんな、冷たすぎず、熱すぎず、ちょうど「ええかんじ」の適温の心を持ったリーダーが、もっと必要です。

「自己内観の日」を定例スケジュールに登録してメンタルトレーニングを習慣化しましょう。

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