中小企業の人材育成|経営者のホンキを「カタチ」にすること

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この記事は、更新時の情報と筆者の考えに基づくものです。


私は、税理士として30年以上にわたって、また、現役を引退した今でもマネジメントコーチとして多くの中小企業経営者と仕事をしていますが、人材が成長している会社を観察していて感じるのは「人材育成に対する経営者のホンキ度」です。そのホンキ度は「具体的な仕組み」に表れています。

この記事では、人材育成に対する経営者のホンキの証である「人材育成の仕組み作り」の事例を紹介します。

この記事は「中小企業向け人材育成|人が成長する仕組み作りの概要」の補足です。

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人材育成に関する経営者の悩み

「成長は、本人の自助努力だ」という考え方の人がいます。このような考え方を持っている経営者は、自分自身が今まで相当な努力を重ねてきた人なので、自社のメンバーにも「そうあるべき」と考えていることが多いと感じます。

この考え方に共感し、自己の成長のために高いモチベーションを持って継続的に努力するメンバーが集まれば、放っておいても成長するので、経営者には大きな悩みもなく、それはある意味「最強」だと思いますが、現実はそのような中小企業は少数派です。

  • 成長モチベーションが低い人
  • 成長のための具体的な方法を知らない人
  • 長続きしない人
  • 挫折してしまった人
  • 自分は十分できていると自信過剰な人

中小企業には、このような人たちが少なくありません。

経営者は、このようなメンバーたちに「どうすればいいのか?」と頭を悩ませています。

  • どうやってモチベーションを上げればいいのか?
  • どうやって成長のための具体的な方法を教えればいいのか?
  • どうやって継続させればいいのか?
  • どうやって立ち直らせればいいのか?
  • どうやって自己認知を修正すればいいのか?

人材育成に対するホンキが大前提

上記のような悩みを解決するために必要なのは「人材育成に対するホンキの想い」です。

この「ホンキ」とは、「心の底からホンキで悩んでいる」という意味ではなく、「課題解決に対してホンキか?」ということです。

メンバーの成長が遅い、あるいは、メンバーが成長しないというのは、会社の将来に対するとても深刻な経営課題です。

この人材育成という経営課題の解決のためには、具体的な方法論の前に、そもそも「ホンキか?」ということがとても重要です。なぜなら「人材育成」は「根気との勝負」だからです。「ホンキ度」が低いと、経営者自身が途中で挫折してしまい(あきらめてしまい)、ずっと「イマイチなメンバーに悩み続ける経営」になってしまいます。

まずは「人は必ず成長する。そのためにホンキで取り組もう!」という自身のマインドセットをセルフチェックしましょう。

これが、人材育成を成功させるための大前提となります。

(参考記事)経営者のマインドセット|「可能」を前提に考動しているか?

ホンキを「カタチ」にする4つのステップ

人材育成には、具体的な「仕組み」が必要です。

中小企業においては、下記の4つのステップで「ホンキ」を「カタチ」に、つまり「人材育成の仕組み化」を進めます。

下記の3つのステップを具体的に示すことで「ウチの社長は、ホンキやな!」とチームの全員が感じてくれるはずです。

Step1:成長の定義を伝え「下地」を作る

まず「成長とは?」について、その定義と意義を全員で共有しましょう。

「成長したいですか?」という問いかけに対して、メンバーたちが素直に「成長したいです!」と答えてくれるように成長の意味合いを共有して「下地」を作りましょう。

「成長しなければならない」という、義務感やプレッシャーを持っている場合は、この取り組みがメンバーの精神的な負担になってしまいます。

「成長とは、もっと役に立つ存在になる」ということです。もっと役に立てば、周りから認められ、褒められ、感謝されます。その幸福感が、成長のための原動力になります。

それぞれが「もっと幸せになるためにもっと成長したい!」というWANT思考になるように、丁寧に説きましょう。

Step2:理想の人材像を具体的に伝える

次に「ゴール」を示しましょう。

「優秀な人材が欲しい」「理想の人材に成長して欲しい」と言っても具体的にはよくわかりません。「おいしいものを食べたい」と言ってるのと同じです。せめて「豚骨ラーメンが食べたい」と言えば「好み」がわかるように、まずは、経営者として「どんな人材を求めているのか?」という「ゴール」を示すことが必要です。

具体的には「人事評価基準」が、そのツールとなります。

Step3:理想の人材になる方法を伝える

次は「プロセス」です。

「どうすれば求めている理想の人材になれるのか?」という具体的な方法を伝える必要があります。

経営者が理想とする人材になるために、「どんな視点が必要か?」「どんな知識が必要か?」「どんな経験が必要か?」「どんなトレーニングが必要か?」など具体的なアクションなど「プロセス」を伝えます。

実務的には「人事評価の点数を上げるための方法」です。定期的な研修を実施したり、日常業務の中で伝えていくことになります。

Step4:理想に近づくための後押しする

「Step2:ゴール」と「Step3:プロセス」を伝えたら「行動あるのみ」ですが、多くは「外部刺激」が必要です。

例えるなら、Step2で「合格ライン」、Step3で「教材」を示した段階です。あとは「自習」ってことで理想の人材に成長してくれればラクチンなのですが、なかなかそうはいきません。「プロセス」の階段を上がるための「後押し」が必要です。

そのためには、日常の声掛けであったり、タイムリーなカウンセリングに加え、最も大事な「評価の共有」が必要です。

「社長は、自分のことを正しく見てくれている」という納得感を持ってもらうことが効果的です。

誤解されると大きなリスクになる

この「人材育成へのホンキの取り組み」におけるリスクも書き留めておきます。

人材育成は、「経営者のホンキがメンバーに伝わり、お互いが成長のためにガンバル」という効果を期待する取り組みですが、この「経営者のホンキ」が誤解されると、チームが崩壊するほど破壊力を持ったリスクになります。

それは「メンバーたちの成長をホンキで望んでいる理由」が「メンバーの幸せか?」という視点です。

ベースにあるのは「経営の原理原則」である「3Gの幸せ」という考え方です。会社は、関わる人たちの持続的な幸せのための道具です。

  • あなたが成長すると、チームが成長する
  • チームが成長すると、会社が成長する
  • 会社が成長すると、チームが幸せになり、あなたも幸せになる

この理屈の「ホンキ度」です。

「会社の成長のために、成長してほしい」ではなく「あなた自身の幸せのために、成長してほしい」です。

この「真意」が「ホンキ」として、誤解なく伝わることが、とても重要です。

まちがっても誤解されないように注意しましょう。

まとめ

人材育成に対する経営者の「ホンキ度」は、仕組みとなって表れるという話を紹介しました。

「人材育成は、手間がかかるなあ」という経営者がほとんです。しかし、人材育成は「投資」です。「投資」せずにリターンだけ求めるのは虫が良すぎる、と私は思います。

そして、どうせ「投資」するなら、効率的かつ成功確率の高い方法で行うべきですよね。

それが「仕組み化」に他なりません。

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