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この記事は、更新時の情報と筆者の考えに基づくものです。
チームの管理職や、部門リーダー、ミドルマネジメントの育成に腐心している中小企業経営者は少なくありません。この記事では、10人~100人サイズの中小企業の管理職・部門リーダー・ミドルマネジメントの育成についての実務ステップを紹介します。
この記事は「中小企業向け人材育成|人が成長する仕組み作りの概要」の補足です。
中小企業の中間管理職の3つの役割
一般に「中間管理職」といわれている部門リーダーやミドルマネジメントですが、このポジションのメンバーには担当部門において「上下」「左右」「中心」の「3つの役割」が求められます。
上下の役割
担当部門と上位部門との連携を円滑にする役割です。
「上意下達」のみならず「下意上達」現場の情報や意見を適切に上位部門に届ける双方向の役割です。
左右の役割
いわゆる「横連携」。セクショナリズムに陥ることなく会社全体のパフォーマンスを最適化するため他部門と効果的な連携をマネジメントする役割です。
中心の役割
担当部門の中心的存在であり支持されるリーダーとして所属メンバーをマネジメントする役割ですが、さらに加えて「人材育成」も重要な役割です。
想定チームのイメージ
「育成の話」に入る前に、まず、この記事で想定しているチームのイメージを示しておきます。
一般的な30名~40名前後のピラミッド型ですが、主な特徴は次の通りです。
- (トップ:社長)+(マネージャー・室長)+(リーダー)の3階層
- 経営支援室は、チーム全体に関与する部門なので上下関係ではなくヨコのライン
- マネージャー・室長には、万が一のためのバックアップ機能としてアシスタント(サブ)を配置
- 8人~10人でひとつの部門を構成
- 必要に応じて部門内に複数グループを設置
この記事では、この想定チームの管理職=ミドルマネジメント層である「マネージャー」「リーダー」の育成について整理します。
ミドルマネジメントの育成ステップ
上記のようなピラミッド型チームにおける管理職=ミドルマネジメントを育成する手順(ステップ)は、次の通りです。
「え?!メッチャ大変やん!!」と思われるかもしれませんが「中間管理職(ミドルマネジメント)が育たない会社」のチェックリストとも一致しているステップです。これらのステップのどこかが手薄であると中間管理職(ミドルマネジメント)はなかなか育ちません。
それぞれのステップについて「丁寧に取り組むこと」が成功の秘訣であり、とても大切なのでskipしないように注意してください。
ステップ1:事前準備「ガバナンス」
中小企業におけるガバナンスとは「形とルール」を指します。
上記サンプルのような「組織図」でチーム全体を可視化し、それが実体と伴っていることが重要です。
「組織図」を見れば「上下関係」「指示命令ルート」が分かるようにしておく必要があります。
ステップ2:事前準備「職務権限等の定義」
上記のガバナンスの一環ですが、中間管理職(=ミドルマネジメント)の「業務の範囲」と「権限の範囲」及び「責任」について明文化し定義付けしておく必要があります。
これは、業種や規模等、それぞれの会社によって個別具体的なものになりますが、特に「ポテンヒット」が起きそうな業務や権限については細かく明文化しておくことで、無用なトラブルを避けることができます。
管理職(=ミドルマネジメント)の育成においては「あなたの仕事・権限・責任はこれ」と明確に伝える手段となります。
ステップ3:育成カリキュラムの作成
「組織の形」「業務の範囲」「権限と責任」が、明確になれば「そのポジションにふさわしい人」として、いよいよ育成ステップです。
私のおススメは「教材を作ること」です。この教材作りは少々メンドーに思うかもしれませんが「カリキュラム」に沿ってひとつ作っておくと後々重宝します。
以下、目次サンプルを紹介するので参考にしてみてください。
- ミドルマネジメントの役割
- 上下の役割
- 左右の役割
- 中心の役割
- 業務の範囲
- 権限と責任
- メンバー育成
- 基礎スキル指導要領
- 個人面談と評価
- 会議のファシリテーション
ステップ4:スキルチェックシートの作成
「中間管理職(=ミドルマネジメント)としてのスキルレベルはどうか?」を評価するための評価基準となる「スキルチェックシート」を作成します。基本的に上記の「カリキュラム=目次」と同じタイトルが並びます。
この「スキルチェックシート」によって、経営側と本人との「レベル感」を共有することができ、また、これを人事評価の基準として、そのまま活用することも可能です。
ステップ5:研修の反復継続
中間管理職(=ミドルマネジメント)に限らず、人材育成は反復継続することが必要です。
教材を「一回、説明しただけ」で人が育つほど単純で簡単なものではありません。定期的に反復継続が大切です。
その理由は「頭で理解していること」が、自然に考動となって表れるまでには時間がかかるからです。「理解できていること」が「考動で表れている」という状態になるまでは反復継続しましょう。
上記の想定チームであれば「室長」「マネージャー」「アシスタント」「リーダー」の12人が対象者です。研修講師になるのは、当面は「社長」ですが、早い段階で「室長」や「マネージャー」が持ち回りで担当するのが効果的です。
ステップ6:定期レビュー(1on1面談)
「人材育成」のマストプロセスである「個人面談:1on1面談」で定期的にレビューしましょう。多くの管理職=ミドルマネジメントは「日常の悩み」を抱えています。
- 左右の役割=横連携がうまくいかない
- 中心の役割=メンバーの支持率が上がらない
- 中心の役割=メンバーがなかなか成長しない
これら「あるある」以外にも、それぞれ抱えている固有の悩みごとについて、共有するとともに「一緒に解決しよう」という連携がマネージャーやリーダーの勇気や自信につながります。
定期レビューによって、成長をフォローしましょう。
まとめ
さて、どうですか?
10人~100人サイズの中小企業・スモールカンパニーの管理職(=ミドルマネジメント)の育成実務について、中小企業の中間管理職(=ミドルマネジメント)の3つの役割として「上下の役割」「左右の役割」「中心の役割」があること、そして、その育成のための6つのステップとして、下記を整理しました。
「え!?大変やなあ・・・」と思われる方も多いと思いますが、前述したように「管理職=ミドルマネジメント」が育たない会社は、このステップのどれかが欠けています。これらのステップは「セット」なので「1~6」のステップ(プロセス)が必要です。
それでも、やっぱり難しい・・・と思われるなら「役職任期制」も一考の余地ありです。
(関連記事)中小企業向|役職者に関する諸問題を「役職任期制」で解決する
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