
おはようございます!
2024年第15週の土曜日、今週の西日本は天気も良く、順調に「歩距離」が伸びた一週間でした。
皆さんは順調ですか?
さて、今週は、中小企業特有の問題を踏まえ「役職任期制」について整理します。
中小企業経営者から「役職者」に関する相談を受けることが少なくありませんが、選任、育成、処遇に加えて解任に関することなど、その悩みは広範囲であり、また、それらは少人数の中小企業ゆえの事情が絡んでいることがほとんどです。
この記事では、中小企業における役職者に関する諸問題を解決する一つの方法として「役職任期制」を提案します。
この記事は「中小企業向け人材育成|人が成長する仕組み作りの概要」の補足です。
このブログでは「10人~100人規模の中小企業経営者」の方々に向けて「経営脳の自主トレサポート」を目的に、「もっといい会社」にするためのヒントを発信しています。
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【課題整理】
役職者に関する経営者の悩み
多くの中小企業経営者は「役職者」に関してなんらかの悩みを抱えていますが、その中でも私がコーチングの現場でよく見聞きすることは大きく次の3つに集約されます。
- 役職者としての適任者がいない
- 役職者が期待通りに動いてくれない
- 優秀な人材が流出する
やむを得ず
不適任者を任命
役職者としての適任者がいなければ、採用するか、育成するかの2択しかありませんが、実務的には「今日明日の必要性」から、組織を動かすために、やむを得ず「その中でもマシな人・年長者・社歴が長い人」を任命し、肩書を与えてしまっているケースが散見されます。
肩書を与えたので、当然「役職手当」も支給しています。
ひとつの部署のリーダーになるわけですから、部下を持つことになり、部下からすると「適任者でない人が上司になった」ということになります。
役職者が期待通りに
動いてくれない
役職者が期待通りに動いてくれないという悩みは、上記のような「不適任者の任命」が原因である以外にも、下記のようなケースがあります。
- 適任者と思って期待して任命したが、実際にやらせてみると期待外れだった・・・
- 役職者として中途採用したが、アテが外れた・・・
- 就任時はモチベーションが高かったが、最近はマンネリ化している・・・
- 会社の成長についてこれず、相対的に劣化してしまった・・・
だからと言って、その後の処遇や、後任者の人選を考えると簡単に解任することもできず、腐心しているという話も少なくありません。
優秀な人材が流出する
少人数で、かつ拡大成長の予定がない会社において、特に深刻な悩みです。
組織の代謝が起きないので、成長意欲のある優秀な人材にとっては「チャンスがない会社」であり、それが離職の理由になってしまいます。
また、上記のような「不適任上司」であれば「この上司の下では働きたくない」ということが理由になることも想像に難くありません。
今後、ますます人手不足が深刻化するであろう環境において、優秀な人材の流出は大きなリスクです。
(関連記事)人材定着の課題|誰も辞めない会社に潜むデメリットとリスク
【課題解決】役職任期制の検討
上述したように、比較的少人数の中小企業においては、役職者に関する諸問題がありますが、これらを解決するひとつの方法として「役職任期制」を検討してみます。
「役職任期制」は、文字通り「役職に任期を設定し、一定期間ごとに交代する制度」です。
任期が到来すれば、次の適任者に交代となりますが、「重任」できるルールにしておけば、続投することも可能です。
役職任期制の
メリット
この「役職任期制」のメリットとして、次のようなことが考えられます。
- 不適任者の解任不要:不祥事等を除き、能力的な不適任者は任期到来で役職が外れるので「解任」する必要がない。
- 新鮮な視点の導入:役職者が変わることで、新しいアイデアや斬新なアプローチが期待できる。
- 昇進チャンスの創造:昇進の機会が生まれ、社員満足度=やりがいの向上が期待できる。
- 適切な緊張感:無期限が前提でないため、重任を希望する者にとっては、競争力を保つための緊張が生まれる。
- 人材育成効果:全員に役職者になるチャンスがあるため、全員が「リーダー育成」の対象者となる。
役職任期制に対する
慎重な意見
一方で、この「役職任期制」には、慎重な意見もあるので、紹介しておきます。
- 短期的視点になるのでは?:任期制によって、役職者の視点が短期の成果になるのではないか?という意見ですが、これは、明確な経営計画が共有されていれば問題ありません。
- 経験や知識が失われるのでは?:役職者が定期的に交代することで、その経験や知識が失われるのでは?という意見がありますが、これは、むしろ逆で、その貴重な経験や知識が次の役職者に引き継がれ、共有されることで属人化を防ぐことが期待できます。
- チームが不安定になるのでは?:役職の変更によって、前任者に対する遠慮や配慮をすることになり、その気遣いがかえってチームを不安定にするのではないか?という心配ですが、これについては後述します。
【制度運用】役職任期制の実務
上記の検討を踏まえ、この「役職任期制」の実務項目をリストしてきます。
制度設計と
カルチャー
- 役職者の要件等、明確な基準の設定:役職の任期や適性判断の条件を明確に定め、全社員が理解しやすいようにする。具体的には、人事評価とリンクさせることが望ましい。
- 継続的なトレーニング:役職者交代時にスムーズな移行が行われるよう、平時からリーダー育成のための教育とサポート体制を整える。
- 業務記録の制度化:交代によるトラブルを最小限にするため「前任者の記録」が残るように業務記録のフォーマットや保存について制度化する。
- リーダーの交代が当然というカルチャー:年齢や先輩後輩、あるいは前任者といった「人間関係の序列」ではなく「リーダー適任者」が、役職に就くことが当然であるというカルチャー(企業文化)が前提となる。
上記のいずれもが「役職任期制」を運用する際に欠かせない項目ですが、その中でも特に重要かつ必要なのが「カルチャー」です。
役職は「上下関係(=偉い人とそうでない人)」ではなく「役割」であるという共通認識をすることで、配慮や遠慮といった心配がなくなります。
(関連記事)チームのパフォーマンスを高めるための成長カルチャー創り
役職任期制の
規定サンプル
従来の日本の企業文化に照らすと少々個性的な仕組みであるがゆえに、ルールを明文化しておく必要があります。
下記にサンプルを掲載しておくので、アレンジしてみてください。
役職者任期制規程
第1章 総則
第1条(目的)
本規定は、当社のチーム運営の透明性を高め、革新的なアイデアの導入、社員のキャリア開発機会の拡大、および外部環境の変化への適応力を強化することを目的として、役職者の任期制に関する基本原則と手続きを定めるものである。
第2条(適用範囲)
本規定は、当社における全ての役職者に適用される。
第2章 役職者の任期
第3条(任期の定義)
役職者の任期とは、特定の役職に就任する期間を指し、原則として2年とする。ただし、業務の特性や個人のパフォーマンス、会社の状況に応じて延長または短縮することができる。
第4条(任期の延長)
任期の延長は、役職者の業績評価、後継者の準備状況、および組織のニーズに基づいて決定される。
第3章 役職者の選出と交代
第5条(選出プロセス)
新たな役職者の選出は、公正かつ透明なプロセスを通じて行われる。選出プロセスには、書類選考、面接、および適性評価を含む。
第6条(交代プロセス)
役職者の交代は、円滑かつ効果的に行われるよう計画されなければならない。交代プロセスには、引継ぎ期間の設定、必要な研修の提供、および新旧役職者間の定期的なミーティングを含む。
第4章 評価とフィードバック
第7条(業績評価)
役職者の業績は、毎年12月に評価する。評価基準には、目標達成度、リーダーシップ、イノベーションへの貢献、およびチームワークが含まれる。
第8条(フィードバックの提供)
業績評価に基づき、役職者には定期的なフィードバックが提供される。フィードバックは、強みの強化と改善点の特定を目的としている。
【要点整理】
メンバーの将来を考えること
さて、いかがでしょうか?
今週は「中小企業の役職任期制」について整理しました。
今後、拡大成長を予定しているのであれば、若手のためのチャンス創造が可能ですが、そうでないなら、中小企業経営者は、現メンバーの10年後、20年後の年齢を改めて確認し、彼ら彼女らの将来をイメージする必要があります。
「辞めずに長くいてほしい」のであれば、「長くいると、どうなるか?」も同時に考えることが経営責任なのです。
「役職任期制」は、この問題についてもひとつの解決策になります。
(参考記事)中小企業向|管理職=ミドルマネジメント育成の6つのステップ
関連記事も含め参考にしてみてください。
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