中小企業の経営計画は「経営者の人生計画」という視点

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オーナー経営者にとって「経営計画」は「人生計画」。
社内外の仲間と共に幸せな人生を送るための人生計画であるという視点が重要。

この記事は「中小企業向|経営計画の策定と運用「3つの新視点」の補足です。

「経営計画」と「事業計画」と「予算」

本題に入る前に、まず言葉の整理をしておきます。

けっこう曖昧に使われている「経営計画」「事業計画」「予算」ですが、私は「経営計画」と「事業計画」は、次のように区別しています。

  • 経営計画:文字通り、会社経営の計画
  • 事業計画:こっちはビジネスの計画

だから「事業計画」は「経営計画」の一部、という区別です。

例えば「レストラン」と「バー」を営んでいる会社だとすれば「レストランの事業計画」と「バーの事業計画」が「経営計画」に盛り込まれている、というイメージです。

いずれも「行動計画」という意味では同じですが、この「行動計画」を数字で表したものが「予算」です。

私のブログでは、このように「経営計画」と「事業計画」と「予算」を区別しています。

「経営計画」は「経営者の人生計画」

オーナー経営者が多い中小企業において、「経営計画」は「経営者の人生計画」と多くの部分で重なります。むしろ、私は「人生計画ありき」と考えています。「どんな人生を送りたいのか?」が「経営計画」に大きく影響するからです。

この経営者の人生の中で特に重要なイベントが「やめどき=引退」です。いわゆる「経営者の出口」ですが、これには「事業承継」「売却」「解散」の3つしかありません(あえて付け加えるなら、あと「IPO」の4つ)。

どの出口から出るにしても「今日言って明日」というわけにはいかず、それなりの準備期間が必要です。この難易度は「経営計画」によって決まります。「ソフトランディング」できるか、反対に「ハードランディング」となってしまうかの差は準備で決まります。「なんとかなるやろ!」でなんとかなる経営者は少数派であり、それは「たまたまラッキー」なケースだけです。

いま、多くの中小企業で「後継者問題」を抱えていますが、その原因は、私に言わせると「経営計画に経営者の人生計画を反映していなかったから」です。

このような理由から、私が「経営計画」をサポートするときは、その経営者の人生計画(ライフプラン)を必ずヒアリングするようにしています。

「経営計画」の実現には経営者のモチベーションが大きく影響します。「こうしなければならない」という「MUST」ではなく「こんな会社にしたい!」「こんな人生を送りたい!」という「WANT」な動機が大切であり、そのためには「歩みたい人生」に沿った計画かどうか?を素直な気持ちで自問自答をしながら計画作りをしましょう。

「長期計画」と「中期計画」と「短期計画」

会社の「経営計画」は、経営者の「人生計画=出口」と強く関連するので「長期計画」がベースとなります。

ちなみに、私は2022年3月に、1999年に開業した税理士事務所を二人のスタッフに分割譲渡し、無事に事業承継できましたが「長期計画」を持っていて良かったな、とつくづく思っています。当時は漠然としたもので「計画」ではなかったにせよ18歳のときに「60歳でやめる」と決めて税理士になりました。開業してからは、引退する2022年をゴールとして「事務所を大きくしすぎない」「自分がいなくても回る体制」「独立志向の強いスタッフの採用」「税理士試験にパスできるレベルのスタッフの見極め」、さらに「引退までに老後資金を貯める」など、様々な点で「計画通り」に経営した結果、いま、こうして自由度の高い幸福な第3の人生「EPISODE3」を過ごせていると思っています。

(参考)堀井弘三プロフィール:価値観を共有できるクライアントとともに

このように「経営者の出口」は経営者の人生にとってとても大切なイベントであり、私が皆さんに「長期計画」を強くオススメしている理由です。

私がサポートしている「経営計画」は、「長期計画のゴール」にソフトランディングするための「36カ月の中期計画」を軸として、それをさらに「期ごと」に具体的に落とし込んだ「12カ月のアクションプラン(=短期計画)」を作成する、という構成にしています。

「中期経営計画」36カ月のシナリオ

大きな方向性としての「長期計画」のプロセスの一部として、実務的に「経営計画」の中心になるのは「中期経営計画」です。

一般に「中期」といえば3年を差しますが、私は「36カ月のシナリオ」と表現しています。その理由は「36カ月は連続しているから」です。「3年計画」とすると、数字に落とし込んだときに「1年目・2年目・3年目」が不連続になることが多く「変な予算」になりがちです。だから、最初から「36カ月」の時間軸でプランニングするようにサポートしています。

ちなみに「中期経営計画」は「3年ごと」に作成するのではなく「毎期、次の3年分」を計画します。一般に「ローリング方式」と呼ばれている方法です。

「経営計画」は「ビジョンありき」

「経営計画」は「ビジョンありき」です。

幸せな経営者人生を送るために「どんな会社にしたいのか?」という根本です。

私の答えは「いい会社=関わる人たちの幸せが持続する会社」ですが、それぞれの経営者の価値観において「こんな会社にしたい!」というビジョンが必要です。

そして、重要なのは「そのビジョンは魅力的か?」という視点です。

当然ですが「経営計画」は「実行してナンボ」です。「絵に描いた餅」ではありません。この実行には「仲間」が必要です。経営メンバーや社員さんなど社内の人たち以外にも、取引先や家族や大切な人々など、会社経営には多くの仲間の共感や賛同、協力や応援が必要です。

この共感や賛同、協力や応援をえるためには、その人たちにとっての「魅力」が必要です。

経営者にとってどれだけ魅力的なビジョンであっても、仲間にとっての魅力がなければ、ただの「独りよがり」になってしまいます。「仲間にとっても魅力的なビジョン」という視点を忘れないようにしましょう。

(参考記事)【会社とは?】真の成功のための重要視点「幸せのための道具」

まとめ

さて、どうですか?「経営計画」を重要視点である「経営者の人生計画」という切り口で整理しました。

関連記事も含め参考にしてみてください。

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