経営の目的は「会社に関わる人たちの持続的な幸せ」です。
会社は・・・
- 得意先・顧客や取引先を含む社会
- 社員たち
- 経営者自身
さらに、それぞれの家族や大切な人たちも含めて
会社に関わる人たちがみんな幸せになるために存在します。
これら「3つのグループの人たち」の幸せを持続している会社。
私は、この「目的を実現している会社」が「いい会社」だと思っています。
本稿では、この3つのグループのひとつであり、
今後ますます重要となると思われる
「社員たちの幸せ」について深掘りします。
「もっといい会社」にするため、
社員の幸福度(満足度や評価・評判)を高める重要視点です。
本稿は、「持続的に正しく成長するための経営の原理原則」の補足記事です。
このブログでは「10人~100人規模の中小企業経営者」の方々に向けて「自己投資=経営脳トレーニングのサポート」を目的に、「もっといい会社」にするためのヒントを発信しています。
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【原理原則】
いい会社の3つの条件
まず「3Gマネジメント」について、おさらいしておきます。

- Group1:得意先・顧客や取引先を含む社会
- Group2:社員とその家族や大切な人たち
- Group3:経営者自身とその家族や大切な人たち
会社は、関わるこれらのグループの人たちのみんなが幸せになるために存在します。
これらの人たちの幸せが持続するように(=不幸にならないように)マネジメントすることが「筋道」であり「道理」であり、業種や規模に関わらず、すべての会社に共通する経営の原理原則です。
(関連記事)経営の原理原則「3Gマネジメント」~「三方良し」と比較解説
【幸せ定義】
社員・メンバーたちは幸せか?
上記の「3Gマネジメント」の考え方によると「Group2:社員とその家族や大切な人たち」の幸せを持続することも経営目的の大きな一つであり、会社はそのための道具と言えます。
しかし、この考え方には誤解を招く可能性があるため、「幸せ」の定義について先に書いておきます。
このブログで頻繁に出てくる「幸せ」という言葉は、過度に贅沢な幸福感ではなく、「不幸でなければ十分」という意味です。
ここでいう「不幸」とは、誰かの考動によって迷惑を被り、不快や辛い思いをしている状態を指します。
したがって、「Group2:社員とその家族や大切な人たち」の幸せについて考える際、重要な問いは
「当社は、社員・メンバーとその家族や大切な人たちに迷惑をかけたり、不快な思いや辛い思いをさせていないか?」です。
また、「3Gマネジメント」の根底には、「幸せになるのは自分次第」という考え方があります。
つまり、社員・メンバーに対して「君たちを幸せにしてみせる!」というように、彼ら彼女らの幸せに積極的に関与する話ではありません。
「3Gマネジメント」で求めているのは、
「彼ら彼女らの幸せの足を引っ張ってはいけない・幸せの邪魔をしてはならない」ということです。
なので「あなたの会社の社員・メンバーは幸せですか?」という問いかけは、
- 「社員・メンバーの幸せの邪魔をしていませんか?」
- 「社員・メンバーの幸せのサポートをしていますか?」
と言い換えることができます。
(関連記事)【幸せの定義】会社経営の目的は幸せというけど、「幸せ」ってなんだ?
その他のグループの幸せ
現在の
社員・メンバーたちの幸せ=満足度
現在、会社で活躍してくれている社員・メンバーの「幸せ」は、彼ら彼女らの「満足度」に現れます。
この「満足度」を決めるのは、彼ら彼女ら自身であり、会社の価値観・モノサシで測るものではないことに注意しましょう。
例えば「残業がないから満足だろう」と会社側が考えたとしても、「残業して早期に多くの経験を積みたい」と希望している人からすれば「残業が禁止されているから不満」というように、真逆の結果になってしまいます。
社員・メンバーの満足度を観察する際に「彼ら彼女らの真のニーズ」を正しく把握することがとても重要です。
(関連記事)基礎スキル|経営者にありがちなコミュニケーションの盲点?
関わる人たちの想定外の多さ
「会社に関わる人たちの持続的な幸せ」
この「関わる人たち」は、想定している以上に多いものです。
社員・メンバーには、家族や大切な人たちがいます。
あなたにとっての「社員」は、家に帰れば「夫・妻」であったり、子供たちの「お父さん・お母さん」でもあります。
また、ご両親にとっては「かわいい息子・娘」です。
あるいは、大切な彼氏彼女、婚約者かもしれません。
社員・メンバーたちの幸せは、その家族や大切な人たちの幸せにも大きく影響しています。
例えば、平均家族3人だとすると、社員数10人の小さな会社であっても、30人が影響を受けるのです。
社員数が50人にもなれば、実は「150人の会社」と言っても過言ではありません。
経営者は、人を雇用するとき、その影響力を自覚しておくことがとても重要です。
未来の
社員・メンバーたちの評判
「いい会社」は、もれなく「いいチーム」です。
「いいチーム」には「いいメンバー」によって組織されています。
「いいメンバー」とは、善良で心身健全な人たちです。
つまり、「もっといい会社」になるためには、善良で心身健全な人たちを増やしていくことが大切です。
社会の中のどこかに「未来のメンバー」がいます。
その「未来のメンバー」にとっても「いい会社」であることが、彼ら彼女らを引き寄せることになります。
つまり「良い評判」が必要です。
「良い評判」は、作るものではなく、にじみ出るものです。
「未来のメンバー」のためにも「いい会社」である必要があることを忘れないようにしましょう。
【自己診断】
満足度や評判のチェックリスト
さて、「Group2:社員とその家族や大切な人たち」の幸せの邪魔をしていないでしょうか?
彼ら彼女らの幸せをサポートしているでしょうか?
次に、簡単なチェックリストを紹介するので、セルフチェックの参考にしてみてください。
現状把握のための
コミュニケーション
- 1on1ミーティングを定期的に行っている
- 社員・メンバーの意見や提案を積極的に聞いている
- 退職者には、退職理由を丁寧にヒアリングしている
働きやすいルール
- 給与制度が明確で公平である
- 安心して将来設計をするためのキャリアプランニング事例が豊富である
- 人事評価による成長支援の仕組みを運用している
- 成長を促す研修やスキルアップの機会を提供している
- フレックスタイムや在宅勤務などワークライフバランスを重視した制度がある
- 育児・介護支援制度を含む福利厚生が充実している
- 残業削減や有給休暇取得促進に取り組んでいる
- メンタルヘルスケアの仕組みがある
- 新入社員向けに導入研修を実施し、入社後3ヶ月以内にフォローアップ面談を実施している
働きやすい環境
- メンバー間のコミュニケーションは健全かつ良好である
- 諸ハラスメントはない
- オフィス環境の改善に取り組んでいる
- 退職者とも良好な関係維持に努めている
評判を高める採用活動
- 就職サイトやSNSで自社の魅力を発信している
- インターンシップや会社見学会を実施している
- 採用面接で会社の魅力を効果的に伝えている
- 業界内で「働きたい会社」として認知されている
- 社員による口コミ評価が良好である
【傾聴姿勢】
小さなエラーに要注意!
人事に関して、ほとんどの経営者は、ここで書き連ねることも憚れるような「痛い目」にあった経験があります。
かくいう私も20数年にわたる経営者人生において「いろんな目」にあってきました。
そんな経営者経験やコーチ経験を踏まえて言えることは
「人事は、早期発見・早期治療に尽きる」ということです。
「小さな火種」を見逃したことによって「大炎上」に見舞われることは珍しくありません。
初期段階で対処しておけば、誰も「イヤな思い」をすることがなかった。
しかし、それを見逃したり、軽視したり、放置することで、もともと「圏外」だった人たちまで巻き込んで、みんなが「イヤな思い」をするのが人事の怖さです。
「Group2:社員とその家族や大切な人たち」の幸せのために、また、その邪魔をしないように「日常的なモニタリング」は欠かせません。
小さなことを見逃してはなりません。
日常の社員・メンバーたちの会話、発言、行動をよく観察し「エラーを見逃さない」ことが、「幸せ」につながっています。
積極的に幸せをサポートすることと同様に、
幸せの阻害要因を早期解決するように注意しましょう。
(参考記事)失敗しない「評価面談/ONE-on-ONE」のコツ
【改善実務】
満足度や評判をもっと良くする
3Gマネジメントを実現し「もっといい会社」に成長するため「Group2:社員とその家族や大切な人たち」の満足度や評判を向上させるには、下記のような取り組みが欠かせません。
まず、課題を整理する
まず、社員やメンバーの幸せ=満足度に関わる課題を整理しましょう。
経営課題は、「アドバンテージ課題」と「リカバリー課題」の二つに大別できます。
「リカバリー課題」は、「足りてないことを解決する対象」です。
他社に比較して満足度が低いことや、評判が悪いことの原因を特定して「普通の状態に戻す」ことを急がなければなりません。
例えば「給与の決定プロセスが不透明」「人事評価制度がない」等の制度の課題に加えて「ブラックな部分」があるなら、それは早急に解決すべき「リカバリー課題」です。
一方「アドバンテージ課題」は、「さらに優位性を高めるための対象」です。
つまり、「リカバリー課題」を解決したのち、さらに「優位な状態」に引き上げるため何に取り組むか?
例えば「福利厚生制度の充実」「ワークライフバランスを配慮した制度の導入」などが考えられます。
「Group2:社員とその家族や大切な人たち」の満足度や評判を、もっとよくするための課題を「リカバリー課題」と「アドバンス課題」に整理したうえで下記に取り組むようにしましょう。
「リカバリー課題とアドバンテージ課題」の考え方は「ゼロ線思考法」で詳しく解説しています。併せて参考にしてみてください。
・努力をムダにしないゼロ線思考
・リカバリー課題とアドバンテージ課題に分けて整理すること
・努力しているのに成果に結びつかない原因
・中小企業でよくある放置され気味なリカバリー課題
・急がば回れ!焦ると成果は遠ざかること
理念や実績を
積極的に発信・共有する
価値観と目的を共有できる仲間たちと共に、その実現や達成のために日々を過ごす。
これは、ほとんどの人にとって「幸せな状態」であるはずです。
その前提である「価値観」や「目的」を具体的に示すのは経営者の役割です。
「幸せになるための環境整備」と言うこともできるでしょう。
また、成果を仲間と共に分かち合うことも、幸せの瞬間です。
これらの前提を常にアップデートするため、理念の発信や浸透、良い時も悪い時も業績の公表による成果と課題の共有が必要です。
また、日頃忘れがちな「社員・メンバーの家族や大切な人たち」にも、それが伝われば、チームはさらに強固なものになるはずです。
理念や実績を積極的に発信・共有するようにしましょう。
(参考記事)理念は伝わってナンボ=子供にも響く3つの視点
健全で良好なコミュニケーション
風通しの良さ、心理的安全性、相互理解、相互支援、思いやり・・・
これらのために健全で良好なコミュニケーションが欠かせません。
日常の何気ない会話から、会議の品質、1on1面談まで。
社員・メンバー相互間、もちろん経営者との意思疎通に至るまで、信頼感や期待感を強めるためのカルチャー醸成にも努めましょう。
(関連記事)人が育つカルチャー|成長が当たり前という「企業文化」創り
【要点整理】
満足度や評判が「いい会社」
さて、どうですか?
「いい会社」の3つの条件のひとつである「Group2:社員とその家族や大切な人たち」の視点で深堀しました。
- 社員・メンバーたちに「イヤな思い」をさせてないか?
- 社員・メンバーたちの「幸せ」をサポートしているか?
- 会社に関わる人たちが想定以上に多いことを自覚しているか?
- 満足度や評判を向上させる取り組みを怠っていないか?
- 日常的なモニタリングをしているか?
その他、実務的な詳細は「満足度や評判の自己診断用チェックリスト」でセルフチェックをしてみてください。
ただ、社員たちの満足度や幸福について「そこまで考えなかればならないのか?」という疑問が生じたなら、下記の記事も読んでみてください。
(関連記事)「社員の幸福な人生」、経営者に責任はあるのか?
関連記事も含め参考にしてみてください。
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以上、お役に立ちますように!
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