「仕組み化を仕組み化」すればもっといい会社になる

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この記事は、更新時の情報と筆者の考えに基づくものです。


突然ですが、あなたの会社は「ムダなく、効率的に動いていますか?」

同じような作業をしている、相変わらずアナログ作業、言った言わないのトラブル、優先順位の逆転、連携ミスやトラブル、ミスや不具合の再発などに「ため息」をつくことはありませんか?

これらの現象を観察していると、属人化された業務、ブラックボックス化されたプロセス、責任者不在などが共通の原因として浮かび上がってきます。

本稿では、このような憂鬱なことを一気に解決する「仕組み化」について整理しておきます。

タイトルには「仕組み化を仕組み化する」と少々ややこしい表現をしていますが、言い換えれば「仕組み化することが当たり前のカルチャー(企業文化)を作る」ということです。

このブログでは「10人~100人規模の中小企業経営者」の方々に向けて「経営脳の自主トレサポート」を目的に「もっといい会社」にするためのヒントを発信しています。初めてアクセスしていただいた方は、こちら(=「このブログについて」)をまずご覧ください。

進まない「仕組み化」

属人化された業務は、効率においても、セキュリティにおいても、さらに、後進の育成という人材育成に及ぶまで何も良いことはなく、会社の成長にとってリスクとも言うべき阻害要因です。

しかし「属人化された業務はリスクやで」と言ったところで、多くの経営者は「そんなのは百も承知」という反応です。

「わかってる!みなまで言うな!」と(笑)。

経営者は、そのリスクを十分認識しているのに、いつまでたっても属人化された業務は減ることなく、むしろ会社の成長と共に増加かつ複雑化していき、ついには「ブラックボックス」のカタマリみたいになっている中小企業は少なくなく、むしろ経営者全員に心当たりがあるのでは?と思うくらい「仕組み化」が進んでいないのが中小企業の現実です。

その進まない理由は、「やり方が分からない」「動いている仕事を止められない」「やり方を変えるとさらに悪化するかも?という心配」「現場の反発や抵抗」などありますが、私には「後回しにしてる」としか映りません。

もったいないことです。

属人化された業務のリスク

仕組み化の方法の前に、属人化された業務のリスクを整理しておきましょう。

  • 特定の人にしかできない、あるいは、わからない「属人化された業務」は、その人の力量によって業務品質が左右され、「その人がスタンダード」となり、遂には「立ち入り禁止エリア」と化してしまう。
  • 「その人のペース」で業務が進むため、往々にして非効率、非生産的。
  • 「その人」がいなくなったら、たちまち業務がストップする。
  • 「その人」が抱え込んでいるため、情報やノウハウが会社のものにならない。
  • 「その人の仕事」を他者に取られないように「教えない」ので、後進が育たない。

ざっと挙げると、こんな感じでしょうか?

「属人化された業務」はロクなことがありません。

ところが、「Aさんのおかげで助かってるよ!Aさんがいなくなったら、と思うとゾッとするよ!」というように「属人化している張本人」に対する感謝の気持ちを満足げに話してくれる経営者も少なくありません。私は、このような経営者に会うと「(ヤバいのに笑ってるでこの社長・・・)」と思ってしまいますw。

改めて、自社を見渡して「属人化された業務のリスク」がどこに潜んでいるかを確認しましょう。

なぜ属人化されてしまうのか?

なぜ属人化されてしまうのか?という理由についても確認しておきましょう。

表面的にはいろんな理由が考えられますが、私は「社長の依存心」「社長の甘え」「社長の怠慢」が本質的な理由と思っています(言い過ぎかな?)。

上記のリスクを踏まえてもっと厳しく言うと「危機感欠如」です。

「あの人に任せておけば大丈夫!」って・・・「大丈夫ちゃうし!」です。

「じゃあ、どうすればいい?」を次に整理します。

先に結論「仕組み化を仕組み化する」

先の今日の結論を整理しておきます。

「仕組み化を仕組み化する」とは前述したように「仕組み化することが当たり前のカルチャー(企業文化)を作る」ということです。

「属人的な業務を排除して、仕組みにしてしまうこと」が、チームにとって、さらに個々のメンバーにとって「当たり前」とすることがとても重要です。

さらに言えば、もし属人化された業務、あるいは、属人化されそうな業務を見つけたら、誰からとなく「仕組み化してしまおう!」と声が上がるチームにすることです。

一時的な業務改善とは似て非なるもの。

「仕組み化」は、チーム単位で標準化したり、マニュアル化したり、あるいは、自動化したりすることですが、会社の成長や、人員の増加、配置換えなどに対応すべく、常にアップデートしなければ、陳腐化したり、形骸化したり、あるいは、かえって非効率の温床になることもあります。

仕組みとは、そのような性質のものなので、トップダウンで取り組むものではなく、チーム全員で、その必要性やリスクを正しく理解、認識しておくことが必要なのです。

「カルチャー(企業文化)」まで求めるのは、それが理由です。

仕組み化の手順=経営者の仕事

「仕組み化を仕組化する手順」は以下の通りですが、この手順を「実行」するのは、経営者、あなた自身です。

ここをメンバーに任せてはなりません。

なぜなら「仕組み化が属人化する=仕組み自体がブラックボックス化する」という笑えない本末転倒が起きかねないからです。

間違っても「どんな仕組みになっているのかわからない経営者」になってはいけません。

では、始めましょう!

STEP1:合意形成「重要性を全員で共有」

仕組み化は「会社(チーム)全体のこと」です。

まずは「合意形成:仕組み化の重要性を全員で共有する」ことから始めます。

「仕組み化することが当たり前のカルチャー」にするためには、前述したように、チームの全員が「仕組み化の重要性」を正しく理解していることが大前提です。

仕組み化が成功するかどうか?これが8割と言っても過言ではありません。

これは「重度に属人化が進んでいるチーム」ほど、時間がかかるプロセスです。

「自分の仕事を邪魔されたくない」「マニュアル化する時間がない」「今のままでええやん!」など、少なからず「抵抗勢力」がいるものです。ここを「強行突破」しても「いい仕組み」は作れません。「納得・賛同」を前提にした協力を取り付けることが大切です。

全員を集めて「仕組み化プロジェクトを立ち上げる」など、多少イベント感を出しながら、その勉強会を開催することなどが効果的です。

さらに、意識付けの為にも「人事評価(基礎スキル)に組み入れること」は特におススメです。

このブログでも「基礎スキル8選」のひとつに、ムリ・ムダ・キケンを防ぐ仕組み化思考をピックアップしていますが、実は、この「仕組み化」は、下記のように、基礎スキルの集大成のようなテーマです。それぞれのフル稼働が求められます。

STEP2:可視化:属人化してる仕事を丸裸に

まずは「現状把握」です。

対象となる業務の全体像を可視化することが必要です。

フローチャートや業務フロー図などを利用し、今、誰がどのように仕事をしているのか?、丸裸にしてしまいましょう。

STEP3:効率化:この機会にムダを取り除く

可視化できれば、つぎは「効率化」です。

属人化している業務は「その人のやりかた」で「その人にとって最適化」されていますが、中には「え?これ、手書きしてたん?」「え?毎回電卓叩いてたん?」「え?プリントアウトしてたん?」など、ビックリするような前時代的な方法やアナログな方法で処理している業務が出てきたりします。

そのようなムダや非効率は、この際に徹底的に取り除きましょう。

STEP4:標準化:いつでも誰でも誰とでも

効率的な業務フローに置き換えられたら、次は「標準化」です。

キーワードは「いつでも」「だれでも」「だれとでも」できる仕事のフローに組み立てることです。

途中のプロセスに「特定の人」が組み込まれないように注意です。

「仕組み化してるのに当たり前やん」と思われるかもしれませんが「ここだけは、(誰々)を頼らないと仕方がないねん」というように「特定の人に頼らざるを得ない部分」が往々にして出てきます。

ここが「正念場」。

さらに思考と議論を重ね、徹底的に「特定の人」を排除しましょう。

STEP5:マニュアル化:新人も読めば分かる

実務的にマニュアル化は、上記の標準化プロセスと同時進行することが多いのですが、ポイントは「新人が見ても分かるか?」です。

そのための最も良い方法は「入社歴の最も浅いメンバー」に担当してもらうことです。

ベテランが「これくらいわかるやろ」と省略してしまいがちなところの漏れが少なくなります。

マニュアル制作はベテランに任せてはなりません。

あと「印刷物」ではなく「デジタル」にするべきです。タイムリーなアップデートが重要だからです。

STEP6:オフィシャル化:断捨離して一新

さらに必要に応じて、氾濫している様々な書式を一掃一新してしまいます。

会社の中には、様々な書式やテンプレート、フォーマットが流通していますが、いったんリセットし、バージョン管理するなど、担当者を配置してオフィシャル化します。

ルールは「自分用は自由に、チーム用は厳格に」です。

仕組みのメンテナンスと更新

仕組み化は一度行えば終わりではありません。

前述したように、フェードアウトすることもしばしばです。

また、環境や業務内容の変化に対応し、常に最適な状態を保つためには、定期的なメンテナンスと更新が必要です。

「マニュアル通りに仕組みで回っているか?」のチェックを定期的に行います。

「マニュアルメンテナンス日」を四半期ごとに定例化するなど、スケジューリングすることを忘れてはなりません。

これが「仕組み化を仕組み化する」という形です。

「仕組み化を仕組み化」した後のゴールイメージ

さて、晴れて「仕組み化を仕組み化するカルチャー」が育てば、会社はどのように変わるでしょうか?

そのゴールイメージは、前述の「リスク」の裏返しです。

  • 「属人化された業務」がないので、その内容やプロセスは、オープンにされている。
  • 「標準化」によって、効率的に無駄なく業務が進む。
  • 万が一担当者がいなくなっても、バックアップが容易であり、業務はストップしない。
  • 業務の内容やプロセスが、オープンであるため「会社のノウハウ・経験」となって蓄積される。
  • 「標準化」された業務が「マニュアル化」されているため、仕事が理解しやすく、また、実践しやすくなっているため、人材育成も進みやすい。

さて、どうですか?「仕組み化しない理由」は見当たらないはずです。

まとめ

さて、どうですか?「仕組み化を仕組み化するカルチャー作り」について整理してみました。

関連記事も含め参考にしてみてください。

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