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人事評価の結果をどのように給与や賞与に反映させるか?ということについて基本形を紹介します。ポイントは「給与はスキルにリンク」「賞与は成果にリンク」です。
この記事は「中小企業向け人事評価|仕組み作りと運用のアウトライン」の補足です。
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【基本形】給与は “スキル”、賞与は “成果”
「給与はスキルにリンク」「賞与は成果にリンク」という方法が、私がサポートしている会社でもっとも多い方法です。それぞれの基本形は次のようになります。
給与=基本給+評価給+役職手当
スキルにリンクさせるため、毎月の給与は、基本給に評価給を加算した金額とし、役職者はさらに役職手当を加算します。
評価給は、人事評価によって付与されたポイントに「ポイント単価」を乗じて計算します。
(1)基本給=200,000円
(2)評価給=@2000円*60ポイント=120,000円
(3)役職手当=30,000円
月給合計=(1)+(2)+(3)=370,000円
基本給のウエイトを小さくすれば、評価給の割合が大きくなり、評価の変化がより大きく給与に反映します。反対に、基本給を大きくすれば、評価給の割合は小さくなるので、人事評価の影響は小さくなります。
制度設計にあたっては、様々なシミュレーションをしながら「基本給とポイント単価の最適バランス」を決定します。
また、見落としがちなのですが、人事評価による「満点」が月給の最高額になります。「もし、満点を取ったらいくらになる?」という上限を試算するように注意しましょう。
例えば「100点満点」の人事評価を上記に当てはめると、評価給は「@2,000円*100ポイント=200,000円」となるので、上限が40万円になります。
【基本給が小さいケース】
(1)基本給=150,000円
(2)評価給=@2,500円*100p=250,000円
合計:(1)+(2)=400,000円(満点の場合)
【基本給が大きいケース】
(1)基本給=250,000円
(2)評価給=@1,500円*100p=150,000円
合計:(1)+(2)=400,000円(満点の場合)
(参考記事)中小企業の人事評価|5段階評価「5点=満点」の大切な意味
賞与=賞与原資×貢献率
賞与は業績とリンクさせます。このブログのテーマのひとつでもある「業績連動型賞与」がオススメです。
業績を反映した賞与原資200万円を各自の貢献率(=人事評価のポイントの比率)によって5人でシェアする例
* | 評価P | 貢献率 | 賞与 |
---|---|---|---|
Aさん | 90点 | 30% | 60万円 |
Bさん | 60点 | 20% | 40万円 |
Cさん | 60点 | 20% | 40万円 |
Dさん | 60点 | 20% | 40万円 |
Eさん | 30点 | 10% | 20万円 |
(合計) | 300点 | 100% | 200万円 |
この方法は、いわば「山分け」です。決められた「総額」をそれぞれの貢献に応じてシェアするという考え方によって計算します。
貢献率は、各自の評価ポイントの割合で計算しますが、それ以外に「営業成績」や「表彰実績」など、それぞれの会社の業種や事情に応じて貢献を数値化し加減算し決定します。
具体的な計算を体験していただくための「業績連動型賞与の仕組みを理解するためのサンプルシート(エクセル)」をビズオーシャン(https://www.bizocean.jp/)から無料でダウンロードしていただけます。是非、参考にしてください。
【諸手当】賛否両論、反対派の考え方
給与の内訳をひも解くと人事評価とは関係がない様々な「諸手当」が加算されていることが少なくありません。
これには、次のように様々な考え方があるので、それぞれの会社の事情によって検討します。
代表的な諸手当と、それに対する意見の一例を紹介しておきます。
- 年齢給:年齢に応じて毎年昇給。年齢を重ねるだけで給与が増えるっておかしくないか?
- 勤続給:勤続年数に応じて毎年昇給。年齢給と同様、勤続年数によって増えるのはおかしくない?年齢や勤続年数によるスキルアップは人事評価のポイントに反映されるので「二重取り」とも考えられる。
- 資格手当:国家資格などを持っているだけで給与に加算っておかしくない?資格を活用して仕事に活かしているなら、それは人事評価で反映されているはず。これも「二重」ではないか?取得時に「御祝い金」として一時金を支給するなら納得できるが・・・。
- 家族手当:扶養親族がいる場合に加算する手当。家族の人数は、業績貢献とリンクしないのに、なぜ加算してもらえるの?不公平だ。いや、結婚や出産を促進したいという会社の考えを反映している。
- 住宅手当:住宅ローンや家賃補助を理由で支給される手当。家族手当と同様、福利厚生的な理由で支給する。実家通いは支給しない?実家通いにも様々な理由や事情があるが・・・。
以上、「人事評価」とは別に支給される給与の一部としての「諸手当」ですが、このように様々な意見があります。
私は、公正性について社員たちの意見を集約することが困難、また、制度が複雑化する、などの理由で「諸手当反対派」です。
いずれにしても、諸手当を支給する場合は、「その理由」を明確にしておくことがとても大切です。
【まとめ】給与賞与と人事評価は表裏一体
さて、どうですか?
中小企業の給与と賞与について、人事評価を金額に反映する計算例の基本を紹介しました。
ここで重要なのは「どうリンクさせるか?」ということであり「リンクが前提である」ということです。
表裏一体、人事評価の結果を給与や賞与に反映しない、という選択肢は(特別な例を除いて)ありません。
関連記事も含め参考にしてみてください。
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