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この記事は、更新時の情報と筆者の考えに基づくものです。
2024年第25週の土曜日、早くも?まもなく今年の折り返し地点です。私は、相変わらず「速いなあ~」とボヤいていますが、あなたはどうですか?年を重ねるごとに速く感じるのは「自分が年々遅くなってるから」と若い頃に先輩から茶化されたことをよく思い出す今日この頃です。
さて、今週の「御題」は「採用力」です。
「採用力」は「育成力」と同等、いや、それ以上に重要なテーマであり、そもそも「伸びしろのある人材」を採用しなければ、せっかくの「育成力」も空振りに終わってしまいます。
今週は、「育成力」の前提と言っても過言ではない「採用力」について整理しておきます。
この記事は「中小企業向け人材育成|人が成長する仕組み作りの概要」の補足です。
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採用力の重要性を再確認
中小企業において、採用力が重要であることは言うまでもありませんが、念のため再確認しておきます。
「採用力」は、会社経営において「競争力」の重要な一部です。
競争力を左右する「販売力」や「開発力・技術力」は、チームのパフォーマンスに左右され、そのチームを構成するメンバーを獲得するための「採用力」は、他に優先するテーマと言っても過言ではないでしょう。
私見ですが、中小企業経営者の多くは「採用力が他に優先する競争力の重要テーマ」という視点が足りないように思います。
採用が必要になったときになって募集を検討するだけ、というように「その時だけ/その時になってから」という取り組み姿勢も散見されます。
改めて「採用力の重要性」を再確認しておきましょう。
(参考記事)必修経営スキル【チームビルディング力】組織最適化のチカラ
定義:採用力とは?
ここで「採用力」を定義しておきます。
私は「採用力とは、必要な人材を、必要なときに採用するチカラ」と定義しています。
「採用力」が低いと、必要な人材を採用できない、または、必要な時に採用できない、ということに悩まされることになります。
収益力が高く、多少の余裕がある会社では、「今は必要なくても、優秀な人材は採れるときに採っておく」というように「常時採用」をしていますが、これも「必要なときに確保できている」という意味で「採用力の高い会社」に含んで考えます。
採用はマーケティング
人材の採用においては、マーケティングの視点が必要です。
「マーケットの中で選ばれる会社」になる必要があります。人手不足が深刻化する環境にあって「採用してあげる」というスタンスで取り組める会社は今や少数派であり、特に中小企業においては「来てもらう」というスタンスで臨む必要があります。
その視点を、商製品やサービスの販売と対比すると下記のようになります。
項目 | 採用の視点 | 販売の視点 |
---|---|---|
ブランディング | 求職者にとって魅力的なブランドイメージを構築する | 顧客にとって魅力的なブランドイメージを構築する |
ターゲティング | 必要なスキルや経験など、求める人材像を明確にする | 求める顧客層を明確にする |
価格 | 競争力のある待遇等条件を最適化する | 競争力のある価格等条件を最適化する |
チャネル活用 | SNS、求人サイト、自社サイトなど多様なチャネルで求人情報を発信する | SNS、広告、自社サイトなど多様なチャネルで商製品・サービス情報を発信する |
データ分析 | 応募数、面接数、採用数、定着率などのデータを分析し、採用プロセスを最適化する | 売上、顧客数、リピート率などのデータを分析し、販売プロセスを最適化する |
誇大広告 | 求人広告に、ウソ偽りはないか? | 商製品・サービス広告に、ウソ偽りはないか? |
採用力を高める実務
売上高を「商品力×販売力×継続力」で表すように、商製品やサービスがどれだけ優れていても販売力が足りなければ十分な売上を獲得できません。反対に、どれだけ販売力があっても商製品やサービスの魅力が低い場合は期待通りの売上を継続することは困難です。
採用は、「会社の魅力×発信力×見極め力」で表すことができます。採用力を高めるため、この3つに分けて整理しましょう。
会社の魅力
必要とする人材にとって「魅力的な会社」とは?です。「何に魅力を感じるか?」は、男女、既婚・未婚、年齢、職種などによって様々です。販売において顧客のニーズが多様化しているように、人材のニーズも多様化しています。
マーケティングの視点を持って「求める人材のニーズ」をリサーチし、それに応えられる会社として課題はないか?あるならば、採用前にその課題を解決しておく必要があります。また、その魅力はライバル会社と比べて優位である必要があります。
私の関与先には「小さなお子さんがいる若いママさんが働きやすい会社」としての魅力を高めるために、柔軟な勤務時間制を取り入れたり、さらに、最近では「週休三日制」への移行を模索し始めている会社もあります。
また、成長意欲旺盛な人材を確保するために研修制度を充実させる、あるいは、働き甲斐を重視する人材のために、企業理念をリニューアルし、社会貢献を明確に打ち出すような取り組みをしている会社があります。
求職者が求める会社の魅力は「給与賞与の待遇」だけではなく、働き甲斐、成長環境、ライフワークバランスの柔軟性、さらには、多様な価値観の許容度など、様々です。
あたらめて「当社の魅力は何か?」「その魅力は、求める人材のニーズをマッチしているか?」「また、その魅力には優位性があるか?」という視点でチェックしてみましょう。
(参考記事)備忘録:中小企業の「週休3日」を考えてみたら「アリ」だった
魅力の発信力
会社の魅力も「伝わってナンボ」です。どれだけ魅力的な会社であっても、それがマーケットに伝わらなければ宝の持ち腐れです。
改めて、上記の「採用力」の定義を再掲すると「必要な人材を、必要なときに採用するチカラ」なのですが「必要となったときだけ発信」しても、その効果は「たまたま求人広告を見ていた人だけ」にしか伝わりません。
「必要となったときに採用」するためには、販売で言うところの「見込み客」を貯めておくことが効果的です。
「いずれ転職するときには、ここだな」「こんな魅力的な会社があるなら転職を考えてみよう」という「潜在的な”顧客”」にもアプローチしておく必要があります。
必要となったタイミングで採用するためには、必要としていないときから発信し、ブランド認知を高めておくことが重要です。
見極め力
「会社の魅力」と「発信力」を高めて、充分な「応募者」を獲得することできたら、次は「見極め」です。
応募者が求めていた人材なのかどうか?を見極めなければなりません。
私のおススメは「理念共感力」と「基礎スキルレベル」のチェックです。
会社が掲げている企業理念について、正しく理解してくれているか?また、その価値観に共感してくれているか?また、それが「正直なホンネか?」を効果的なインタビューで確認しましょう。
また「基礎スキル」の確認においては、「人事評価基準:基礎スキル」シートを用いてセルフチェックをしてもらうことがオススメです。「基礎スキルの高い人材は、伸びしろのある人材」です。多少、実務知識や経験が足りなくても、基礎スキルが一定以上の人材は、入社後のトレーニングで多くはフォローできます。
(参考ダウンロード)5段階人事評価|基礎スキル記録シート
(追記)「理念共感力」は、掘り下げると「能力」の見極めになります。さらに深掘りしたい人は、下記の記事も参考にしてください。
(詳説記事)間違いだらけの人材採用:「スキル」じゃなく「能力」を見極める
アフターフォロー:期待に応える
「採用」は、「手段」であり「目的」ではありません。
せっかく「採用力」を高めて優秀な人材を確保しても、その人材に期待通りに活躍してもらわなければなりません。
貴重な人材がモチベーション高く、存分にパフォーマンスを発揮してくれるよう「看板に偽りなく」採用時に約束したことを厳守し、彼ら彼女らの期待に応えましょう。
期待に応えてもらうのは、その後です。つまり、会社が期待に応えるから、人材も期待に応えてくれるのです。くれぐれも順番を間違わないように!
まとめ
さて、どうですか?今週は「採用力=必要な人材を必要なときに採用するチカラ」について整理しました。
- 採用力は、競争力の最優先テーマであること
- 定義:採用力とは「必要な人材を必要なタイミングで採用するチカラ」であること
- 採用にはマーケティングの視点が必要なこと
- 採用力を高める3つの実務
- アフターフォロー:採用は「手段」であること
関連記事も含め参考にしてみてください。
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