基礎スキル|再発防止=根本的な課題解決「元から断つ」

この記事は、更新時の情報と筆者の考えに基づくものです。約 8 分で読めます。


メンバー
メンバー

すいません!ミスをやらかしました!

リーダー
リーダー

次から気を付けよう!

はい、気を付けます!

メンバー
メンバー

すいません!またやらかしました!

リーダー
リーダー

え?また?

はい、気を付けてたのですが・・・

こんな経験ありませんか?

同じミスが「再発」すること、最悪の場合は「頻発」すること・・・。

本稿では、このような「問題の再発や頻発」を元から断つ、つまり「根本的な課題解決」について整理しておきます。

本稿は、【経営者の基礎スキル】課題発見のためのゴールファースト思考の補足記事です。

このブログでは「10人~100人規模の中小企業経営者」の方々に向けて「経営脳の自主トレサポート」を目的に「もっといい会社」にするためのヒントを発信しています。初めてアクセスしていただいた方は、こちら(=「このブログについて」)をまずご覧ください。

【現状認識】
なぜ同じ問題が再発するのか?

本題に入る前に「問題」と「課題」違いを確認しておきましょう。

このふたつは「問題が生じるのは、解決すべき課題があるから」と表現すると分かりやすいと思います。

例えば、風邪をひいた(=問題発生)のは、過労や不摂生など生活スタイルか、あるいは、そもそも免疫力に何らかの課題があるからと言えます。

風邪をひいたときには薬で症状を抑えられるかもしれませんが、根本的な原因である生活習慣や免疫力を改善しなければ、「風邪をひきやすい体質」は変わりません。

風邪と同様に、経営課題も根本的な解決をしなければ再発してしまいます。

言い換えれば、「根本的な課題解決」を行わない限り、問題は繰り返されるということ。

例えば、殺虫剤で虫を駆除することはできますが、根本的には虫が来ないようにする対策が必要です。

虫対策で重要なのは、「虫が来ないようにする」という発想です。しかし、知らず知らずのうちに「虫が来たらどうするか?」と考える習慣に陥っていないでしょうか?

ここで、以下の内容を参考にして、自問自答してみてください。

【原因特定】
問題発生の根本的原因は何か?

根本的な課題解決」のためには、「問題が発生したらどうするか?」ではなく、「問題が発生しないようにどうするか?」という思考習慣が大切です。これは前述の通りです。

課題は、「本来あるべき(ありたい)姿」と「現状」とのギャップとして言語化できます。このギャップが埋まらない限り、問題は再発し続けます。

例えば、「メンバーのミスが多い」という問題が発生するのはなぜでしょうか?

よくある対応として、冒頭のようにミスが起きたときに「次回から気を付けること!」と声をかけることがあります。もしこれで再発防止できれば、それが「根本的原因」だったかもしれません。しかし、現実には多くの場合、これでは再発を防げません。

それは、「根本的原因」が「気を付け方」ではないからです。

メンバーのスキル不足が原因なのか、モチベーションの低下が原因なのか、あるいはチームワークの欠如なのか?このように根本的な原因を特定しない限り、課題解決にはつながりません。

実際には、モチベーションの低さが原因でミスが多発しているのに、スキル不足を補うためにセミナーに参加させた結果、さらにモチベーションが低下してしまったという、笑えない話も少なくありません。

問題の再発を防ぐためには、まず「根本的原因」を特定することから始める必要があるのです。

【障壁理解】
なぜ根本解決が難しいのか?

実は「根本的な課題解決が重要である」と分かっているのに、日常はついつい「対症療法」してしまうことが多いと思いませんか?

「虫が来ないようにすること」が大切で、また、最優先であると分かっているのに、殺虫剤を常備しているという状態。

なぜでしょう?

なぜ「根本解決」が難しいのでしょうか?

私の結論はシンプルです。

「根本的原因の解明をしていないから」

「やるか・やらないか」の差です。

それも、分かってる・・・じゃあ、なぜ?です。

「対処療法」の方が楽だからです。いや、「楽だと勘違いしているから」です。

「虫が出てこないようにする」より、殺虫剤をまいた方が早く、手っ取り早いので「楽」と感じているのです。

本当に「手っ取り早い対処療法」の方が、時間的にも、コスト的にも、そして、精神的にも「安くついている」のであれば、それも選択肢のひとつです。

しかし、それすら検討していないのではないでしょうか?

実は「根本的解決」の方が中長期的には、時間ロス、コストロスも少なく、何よりムダなストレスを感じない分、精神的に大きなメリットがあります。

ただ「根本的解決」には、それにかかる時間やコスト、さらにストレスが少なくないので、ついつい、短期的に「楽」な方を選択してしまっているのです。

これが、根本解決が難しい理由だと、私は思います。

【視点転換】
対症療法から予防的解決へ

ここまで「虫」で例えてきましたが、これは簡単に言えば「対症療法と予防的解決」と表現できます。

「モグラたたき」に例えるなら、「出たら叩く」のではなく、モグラが出てこないように「電源を抜く」ってイメージです。

この「対症療法」から「予防的解決」に視点や意識を転換するためのコツをリストしておきます(順不同)。

  • 課題は根本的に解決できると可能志向を強くする
  • なぜ、なぜ、なぜを繰り返し可能な限り深い根本を探る
  • 損得は短期ではなく中長期で比較する
  • 二度と問題が再発しない状態をイメージし、その爽快感を想像する
  • 発生した問題は、感情的に受けることなく、冷静に事実の積み上げで解釈する
  • 同じ問題であっても、人によって受け止め方に違いがあるので、様々な意見に素直に耳を傾ける
  • 根本的原因を解明するための時間を惜しまない

【企業文化】
根本解決をカルチャーにする

「対症療法」による再発やストレスは、生産性に対して著しく悪い影響があります。

言うまでもなく「根本的な課題解決」が、チーム全員にとって「当たり前」となることで、チームのパフォーマンスは劇的に向上します。

私は、現役の経営者のとき、メンバーがミスを謝罪してきたら、次のように対応していました。

メンバー
メンバー

すいません!またやらかしました!

ホリイ
ホリイ

謝罪で解決するなら苦労はない。
「再発防止策」のない謝罪はただのポーズにしかすぎないよ!

は、はい・・・すいません

ホリイ
ホリイ

だから、謝らなくていいから・・・

神妙な顔つきで謝っているメンバーの「申し訳ない」という反省の気持ちは伝わってきます。

しかし、そのリカバリーは「次にミスをしないこと」ではなく、「二度とミスが起きないように仕事のやり方、仕組み、チェック体制などを改善すること」であると説いていました。

つまり、「謝ればいい」というカルチャーでは、いつまで経っても良くならないので「ミスをしたら再発防止策を考えることが当たり前」という企業文化(カルチャー)にしたかったからです。

一見、厳しい対応のように感じられるかもしれませんが、メンバーがミスによってストレスを感じることを少しでも減らしてあげたいという「私なりの愛」であったと、今でも思っています。

【参考事例】
元から断つのは難しくない

私が、まだ税理士として実務に勤しんでいた頃「現金過不足」に関する相談を受けることが時々ありました。

「小口現金」の残高が実際の現金と「合わない」という相談です。

「どうすれば、現金過不足を防げるのか?」という相談ですが、その対策として「毎日、実査を欠かさない」「領収書を紛失しない」「領収書のない支出はメモを残す」など様々取り組んでいるが、やっぱり過不足が発生するとのこと。

私も若い頃は、一緒に「あ~だ、こ~だ」と、その一つ一つに回答していましたが、ある日気付きました。

「そもそも、現金があるから過不足が発生するんや・・・」と。

会社に常備する小口現金を無くしてしまって、必要な時は誰かが一時立て替えして、後日精算する方法にすればいい。

最初は「一時立て替え」を躊躇う経営者もいましたが、このような発想のウケが良く「そうするわ!」と、ほとんどの現金過不足は解決しました。

  • 現金過不足を無くすには、そもそも、現金を無くす
  • 経費精算が遅い営業担当がいるなら、期日を経過すれば「自腹」というルールにする
  • 残業が多いなら重要度の低い仕事はやめる、あるいは、担当業務を減らす

など、実際にできるかどうかは別として「いったん制約なしで広く考えてみる」ということで「根本的原因」にたどり着くことが少し簡単になります。

難しく考えず「元から断つ」という柔軟な選択肢を考えることは、案外効果的です。

【自責確認】
すべての道は経営者に通ずる

さて、最後に少々厳しいことをまとめておきます。

例えば「ミスが多いメンバーをどうするか?」という問題に腐心しているとします。

その根本的な原因を考えれば考えるほど、そのメンバーの個人的なパフォーマンスにたどり着きます。

この課題解決のためには「辞めてもらうしかない」という結論に達し、これで「根本的な課題解決ができた」と安心していると、後日また同じような問題が再発しました。

「根本的な解決をしたのに、なぜ?」

「ミスの多いメンバーを採用したこと」が根本的原因なのです。

この解決は「採用力の改善」です。

つまり、メンバーが原因なのではなく、経営が原因だったのです。

このような例は、案外多いもので、会社で発生する様々な不都合、つまり「問題」の原因を「なぜ?なぜ?なぜ?」と深く掘り下げていくと、その多くは「経営者」にたどり着くことが少なくありません。

ストレートに言うと「根本的な解決をしない経営」が何より根本的原因であるというのが、この話の「オチ」なのです。

「思い込み」「偏見」「自信過剰」「他責」による解決のほとんどは「実は解決ではない」ということも少なくありません。

この自責で考えるために必要なマインドセットは「素直」です。心当たりがあれば、下記の記事も参考にしてみてください。

(参考記事)経営者のマインドセット|「素直な心」を忘れていないか?

【要点整理】
「モグラたたき」はもうやめる

さて、どうでしょう?

最後は少々厳しいことを書きましたが「根本的な課題解決」について整理しました。

これでもか?と経営課題が次々に生じるのは、そのほとんどが「手を変え品を変え」であり、本質的な原因は案外少ないものです。短期的な「モグラたたき」はもうやめて「本質的な解決」をすれば、会社はもっと良くなります。

関連記事も含め参考にしてみてください。

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