マトリックスで整理する「量」の目標設定と「質」の目標設定

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この記事は、更新時の情報と筆者の考えに基づくものです。


経営者は「会社の成長」を願い、それを「目標」として設定します。

「売上目標**億円!」「シェアナンバーワン!」「海外進出!」など、さらなる高みを目指すことは決して悪いことではありませんが、「ナニか忘れてない?」といつも気になります。

ここまでの「勢い」が、これからも続くという自信の表れかもしれませんが、量的拡大に伴って、経営の難易度はどんどん高くなっていきます。「これまでの勢い」では、対応しきれないことが次々と発生するものです。

年商や規模など「量的成長」は大切ですが、それに見合う「質的成長」が伴わないと「成長」どころか、いつ破裂してもおかしくない「膨張」になってしまうことが珍しくありません。

本稿では、成長を量と質のマトリックスで整理する視点を紹介するので「経営計画」を検討するときの参考にしてみてください。

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「さらなる高み」を目指すのはいいが・・・

上述したように、売上高や規模の拡大を目指すことは決して悪いことではなく、むしろ「当社がお役に立てる範囲を広げる」という意味では「使命」と言っても過言ではなく、さらに言うと「成長の大義」でもあります。

世の経営者には、大いに「さらなる高み」を目指して、社会の繁栄に貢献して欲しいと思います。

しかし、このような拡大志向の経営計画のサポートでは、必ずと言っていいほど、次のようなシーンがあります。

社長
社長

次の中期経営計画では「年商2倍」を目標にしようと思う。

ホリイ
ホリイ

いいね~!

そのシナリオは?

社長
社長

~して、~して、~すれば達成できると思う。

ホリイ
ホリイ

なるほど。

それは、現メンバーで可能なん?

社長
社長

いや、新たに採用しないとね

ホリイ
ホリイ

さすがに、その規模なら、リーダークラスの役割や責任も大きくなるね。

社長
社長

確かに「ナベブタ組織」では限界だね・・・

多くの場合「どうやって売るか?」についてのマーケティング戦略など、「外のこと」は比較的リアルにイメージしていても、その拡大に伴う「内のこと」のイメージが結構「あいまい」です。

「売上規模」や「活動範囲・拠点数」の拡大に伴って、組織作りや人材育成の難易度が上がりますが、その適応が遅れると、目標は「絵に描いた餅」になるケースが多く、また、仮にチカラ技で量的拡大ができたとしても、そのリバウンドが様々な不都合となって表れるものです。

「さらなる高み」を目指すことは、決して悪いことではありませんが、それに伴う「内のこと」を忘れないように考える必要があります。

成長を目指したのに膨張してしまう会社

歴史を振り返っても「規模拡大」による「成長」ではなく「膨張」してしまう会社は少なくありません。時代の寵児のように華やかなデビューをしても、数年経つと「あの人は今」みたいになるケースもそうです。

また、表面的にはどんどん規模が大きくなり、知名度も増していても、内情を覗くと、その代償のように社員や取引業者の犠牲があったり、あるいは、規模拡大にクオリティーが追い付かず顧客離れが起きていたり、といった「バランスを欠いた経営」になるケースは多々あります。

これらは「量」に偏った目標設定が原因であり、「質」を疎かにした当然の結果だと私は思っています。

(関連記事)「成長企業の幸福」と「膨張企業の不幸」

量的拡大と組織作りのバランス

この話、どっちが大切か?という話ではありません。

「量」と「質」は切り離せないワンセットであり、あえて書くと「量」と「質」ではなく、「量と質」なのです。

「量の目標」のための「質の目標」を設定する必要があり、この「質」の多くは「組織作り=チームビルディング」がテーマとなります。

「量の拡大」のために必要となる人材の採用や育成、さらには、指示命令系統、権限や職務分担などのルールなど「拡大する量」に見合う「質の向上」について目標設定をし、その目標実現のためのストーリー、シナリオを言語化しなければなりません。

この「量的拡大と組織作りのバランス」の視点が疎かにすると、いつ破裂するかわからない膨張へまっしぐらです。

(関連記事)必修経営スキル【チームビルディング力】組織最適化のチカラ

マトリックス「質と量」で整理する

量と質のマトリックス

頭の整理はシンプルなマトリックスで整理します。

横軸に「量的拡大」を取り、その拡大過程において、どの程度の「質の向上」が必要か?を整理するためのフレームワークです。

シンプルに例示すると「売上2倍なら、チームは?」「売上3倍なら、チームは?」と、その規模に応じたチームの想定です。

このマトリックス(フレームワーク)で考える際のテーマの例をリストアップしておくので参考にしてみてください。

顧客満足

量的に拡大しても、顧客満足に問題は生じないか?品質やサポート体制をキープできるか?あるいは、スケールメリット等によって、さらに向上させることができるか?

優先順位

「量」と「質」、バランスを取るのが困難と見込まれる場合、成長過程のリスクテイクとして「量」を優先させるか?それとも「質」が伴うのを待つか?

増員とリーダー育成

「量的拡大」に伴って必要となる人員の採用計画、および増員に伴う役職者(ミドルマネジメント)の配置や育成をどうするのか?

リスクリスト

「量」の拡大に応じて、どのようなリスクが想定されるか?そのリスクに対して、どのような準備や対策を講じるか?その体制は?

モニタリング

「量」は、販売データや顧客リスト等でモニタリングをしますが「質」は、どのようにしてモニタリングするのか?「質の低下」をどのようにして早期発見するのか?

まとめ

さて、どうですか?「成長目標を量と質で整理する視点」について紹介しました。

本稿では「組織作り」にフォーカスしましたが、お気付きのように「量的拡大」とともに「動く資金規模」も大きくなるので「会計視点」においても「質」を高めなければならないことは言うまでもないでしょう。

このように、人のこと、お金のことなど、「量的目標」とともに「質的目標」を検討すると「量的目標の下方修正」も選択肢になります。「イケイケ!」の勢いも大切ですが、それは「質が伴ってこそ」です。勢いで膨張してしまっては本末転倒です。

関連記事も含め参考にしてみてください。

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