孤独を感じたら、それは経営者として「成長機会のサイン」

この記事は、約 9 分で読めます。
この記事は、更新時の情報と筆者の考えに基づくものです。


2024年第19週の土曜日、GWもあっという間に終わって、すでに通常モードだと思いますが「経営脳の自主トレ」は順調に進んでいますか?

さて、今週は古くて新しい定番テーマである「経営者の孤独」について整理しておきます。

「経営者は孤独なもんだ」と、それが当たり前のように思っているとすれば、それはもったいないことです。経営者が孤独を感じるとき、その原因は経営者自身の「至らないところ」にあります。その「至らないところ」を解決すれば孤独感は軽減され、そして消えてしまいます。つまり、孤独は「成長機会のサイン」なのです。

週末の自主トレの参考にしてみてください。

*念のため・・・この記事の話は、あくまでも「経営者としての孤独」の話であって、その他のポジションや、プライベートの話ではありません。

このブログでは「10人~100人規模の中小企業経営者」の方々に向けて「経営脳の自主トレサポート」を目的に「もっといい会社」にするためのヒントを発信しています。初めてアクセスしていただいた方は、こちら(=「このブログについて」)をまずご覧ください。

経営者の孤独とは?

孤独とは、精神的なよりどころとなる人や、心の通じあう人などがなく、さびしいこと。

「自分がひとりである」と感じている心理状態を孤独感という。

たとえば、物理的には大勢の人々に囲まれていても、自分の心情が周囲の人から理解されていない、と感じているならば、それは孤独である。

当人が、周囲の人たちとは心が通じ合っていないということに気付いていれば孤独である。

たとえ周囲の人々の側が、その人と交流があると勝手に思っていても、当人が、実際には自分が全然理解されていないと気付いていれば孤独である。

Wikipedia

読むだけで凹みそうな解説ですが、これを「経営者の孤独」に書き換えてみると次のようになります。

大勢の人々に囲まれていても、経営者自身社内外の人から理解されていない、と感じているならば、それは孤独である。
経営者が、周囲の人たちとは心が通じ合っていないということに気付いていれば孤独である。
たとえ社員・メンバーや取引先などの人々の側が、その経営者と交流があると思っていても、経営者が、実際には自分が全然理解されていないと感じるなら、それが孤独である。

さて、どうですか?心当たりはありますか?私は、2022年3月までの20数年の税理士事務所経営において幾度となくこのような孤独感を感じて落ち込んだものですw。

会社の規模に関わらず、経営者はトップリーダーであり「最終責任者」なので、自身の意思決定によって起きる事象はもちろん、その意に反して生じることまで、会社で起きるすべての事象についての「全責任者」です。

この責任の重さから孤独を感じることもありますが、それよりもっとも孤独を感じるのは「人との関わりの場面」です。

上記のウィキペディアのキーワードをピックアップすると次の二つに尽きるのではないでしょうか?

  • 理解されていないと感じたとき
  • 心が通じ合っていないと感じた時

経営者の孤独」は、取引先や社員たちに理解されていない、心が通じ合ってない、と感じる場面でより強く感じるものだと思います。

孤独を感じる場面

上記の「理解されてない」「心が通じ合ってない」というように、孤独を感じる場面は人と人の関わりの中で生じるものなので、お決まりのパターンがあるわけではありませんが「よくあるパターン」についてはいくつか思い当たることがあります。

自分自身の経営者経験も含め、税理士として30数年間にわたって数百人の経営者と関わってきた経験から「孤独を感じている経営者」の共通点をピックアップすると、次のようなパターンが思い出されます。

  • ゴールを示してもメンバーたちは盛り上がらず、冷めている
  • 指示すれば動くが、自主的に動こうとしないメンバーたち
  • 危機感を共有してくれないメンバーたち
  • 新規の商談が成立してガッツポーズしてるのは自分だけ。。。
  • 昇給したり、賞与を支払っても、嬉しそうじゃないメンバーたち
  • 難局に立ち向かってるのは自分ばかり、どこか観客目線のメンバーたち
  • 一体感や仲間意識が希薄・・・どこか他人事のメンバーたち

どうでしょう?これらは私が今思い出した一例に過ぎず、日常の経営の現場においては、他にも大小様々、孤独を感じる場面があると思います。

孤独の原因は支持率の低さ

上記の「孤独を感じる場面」は、なぜ起きるのでしょうか?

私の答えは「支持率の低さ」です。

社内外を問わず、会社に関わる人たちからの支持率が低く、協力や応援が少ない、共感や賛同が少ないと感じるときに、孤独感のみならず、それが疎外感や孤立感を強くしてしまいます。

そもそも、メンバーたちとは「雇用主と雇用されている人」という埋められない距離があるのは仕方がありませんが、それ以上に「人としての距離」を感じた時に、経営者は「孤独」を感じ、また、それは、仕方がないこと、経営者の宿命だと考え、耐え忍ぶ人も少なくありません。

しかし、この「孤独」は、仕方がないことでも、宿命でもありません。

反対に、支持率の高い経営者を観察すると、「この社長についていこう!」「この社長を支えたい!」「この社長に感謝してる!」という人達が周りにたくさんいて孤独とは無縁に見えます。

(参考記事)共感と協力を集めるリーダーシップ

孤独の解決策、まちがった行動

「孤独」に耐えられないとき、それを「解消」するための行動をとらず、「紛らわせる」といった「まちがった行動」をする経営者を私はたくさん見てきました。

なぜか、メンバーたちと敵対するような「強がり」を言ってる経営者は論外として、「現場に入る経営者」です。

小さな組織の中小企業特有の「あるある」ですが、メンバーたちと一緒に「メンバーの仕事」をしていると、同じ仕事をしている者同士「仲間意識」を感じるので「孤独」を紛らわせることができるのです。

また「メンバーの仕事」においては、経営者は「仕事ができる人」が多いので、周りから頼りにされ慕われやすいので、孤独感を紛らわせるどころか「心地よい充実感」すら感じることができます。

もっと言えば、経営者はメンバー二人分以上の仕事をするので、その分の人件費が少なく「まあまあ儲かる状態」が続きます。

でも、それは「一時しのぎ」に過ぎません。

その結果「経営者としての大事な仕事」がどんどん疎かになっていきます。

会計、財務、人事という「経営者の日常業務」に留まらず、中長期的な戦略策定や、様々な制度設計、仕組み作りなど「経営者としての仕事」が疎かになって、最悪の場合「ゆでがえる」になっていきます。

「孤独」から逃れるために(意識はしてないことが多いけど)「メンバーの仕事」に入り込むという行動はまちがいです。

孤独感を消し去る方法

「孤独は、成長機会のサイン」と冒頭に書きましたが、「経営者としての成長機会」とは何か?です。

改めて「成長の定義」をおさらいしておくと「成長とは、もっと役に立つ存在として進化すること」です。

「役に立つ存在」であれば、周りの支持を得ることができます。

少々厳しいことを言うと、支持率が低く、それが原因で孤独を感じるということは、「役に立つ経営者」としての評価が低いということです。

その解決のために、自問自答する本質的なフレーズは「経営者として、会社に関わる人たちの役に立っているだろうか?」です。

さらに、続けるとすれば

  • 「経営者として、迷惑を掛けていないだろうか?」
  • 「経営者として、信頼関係を築くための努力を怠っていないだろうか?」
  • 「経営者として、将来の安心や安全を期待されているだろうか?」

など、得意先、取引先、メンバーたち、自分自身の家族や大切な人たちの顔を思い浮かべて自問自答し、支持率を高めるためにできることに具体的に取り組むことです。

私の経験では、今は十分でなくても「もっと役に立つための考動」が、周りの人たちに伝わるだけでも、支持率は大きく改善し、少なくとも孤独感を感じることは激減します。

「社長は(今はまだ成果はないけど)自分たちの将来をもっと良くするために考え、行動してくれている」と認めてもらうところから始めましょう。

それを続けることで、品質は改善向上し顧客満足度が高まり、取引先との関係が強固になることで「利益の余裕」が生まれ、その結果、職場環境や待遇も改善し、その手腕が評価される時が来ます。

その時には「そういえば、孤独に悩んでたときがあったな」と懐かしく振り返ることが出来るでしょう。

(参考記事)成長とは「もっといい会社」に進化すること

さらに「孤高」を目指すときの注意

補足として、似た言葉「孤高」を紹介しておきます。

私が若いころ、先輩経営者に「孤独です・・・」と漏らしたときに返ってきた言葉。

ホリイ!孤独になるな、孤高になれ!

今でも、その場面を鮮明に覚えています。「孤独をウジウジ考えてるヒマがあれば孤高を目指せ!」とアドバイスしてもらったのです。

孤高」とは・・・

孤高とは、個人の社会生活における1つの態度を表し、ある種の信念や美学に基づいて、集団に属さず他者と離れることで必要以上の苦労を1人で負うような人の中長期的な行動とその様態の全般を指す。本来は俗世間との通行を自ら断って1人で道を求める者の姿を指しており、私利私欲を求めず他者と妥協することなく「名誉」や「誇り」といったものを重視する姿勢から、周囲が「気高さ」を感じるような良い意味での形容に用いられる。

引用元:ウィキペディア

これも「経営者の孤高」に書き換えると、次のようになります。

孤高とは、あるべき経営者の態度を表し、信念や美学に基づいて、あえてメンバーたちと距離を置き、人一倍の努力を重ねる中長期的な考動とその様態の全般を指す。私利私欲を求めず他者と妥協迎合することなく経営哲学を重視する姿勢から、周囲が「気高さ」を感じ「支持者」を引き寄せるような良い意味での形容に用いられる。

カッコいいじゃないですか!

この「孤高」という言葉の響きも合わせて、まだ「ケツが青かった」私には刺さりました。

自分自身の信念や哲学に基づく有言実行によって、周りの共感や賛同、あるいは尊敬を得ることで支持率を上げ「いい会社」を作って「みんなと共に幸せになる経営者」です。

ただ、この続きがあります。

協調性を欠いた独自の態度を軽く批判する場合にも用いられる。

引用元:ウィキペディア

行き過ぎると、こうなってしまうんですよね(笑)。

協調性のない私には「生まれ持った孤高の素質」があったかもしれませんが、行き過ぎると「支持率低下」につながるという思いもしたものです。「孤高」は間違うと「いこじ」「がんこ」になるので要注意です。

(参考記事)経営の原理原則から逸脱していないか?チェックリスト

まとめ

さて、どうでしょう?今週は「経営者の孤独」について整理しました。

この話を経営者にすると、よく「堀井さんは強いなあ」という反応が返ってきますが、この話は「強い弱い」の話ではありません。「みんなで幸せになる」というホンネの想いさえあれば、賛同者や協力者が現れ、孤独感ではなく幸福感を実感することができます。

経営者として孤独を感じることは避けられないと思われがちですが、そうではないのです。

関連記事も含め参考にしてみてください。

もし、サポートが必要であれば、いつでも気軽に連絡ください!→「お問い合わせフォーム

以上、お役に立ちますように!