経営者のメンタル:心の負荷に負けない勇気あるリーダー

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この記事は、更新時の情報と筆者の考えに基づくものです。


勇気は「湧いてくるもの」ではなく「湧かすもの」。
勇気のスイッチを必要な時に自在に「ON」できるリーダーになろう。

「もっといい会社」にするためには、経営脳を整え「もっといい経営者」になることが唯一の選択肢です。

それには「心技体」の「体」に該当する「心身」のコンディション、つまり「心:メンタル」と「身:フィジカル」の状態が大きく影響します。

経営脳5つのレイヤーの第3レイヤー「メンタル」のセルフマネジメントに大切な「勇気」は、経営者のメンタルを健全に保つために欠かせません。この記事では、心の負荷に負けない勇気が湧いてくる視点とともに、勇気を自ら生み出すメンタルトレーニングを習慣化する方法と併せて詳しく解説します。

このブログでは「10人~100人規模の中小企業経営者」の方々に向けて「経営脳の自主トレサポート」を目的に「もっといい会社」にするためのヒントを発信しています。初めてアクセスしていただいた方は、こちら(=「このブログについて」)をまずご覧ください。

メンタルの真の強さ

まず「メンタルの強さ」についてお話します。

気持ちや感情を指すメンタルは、フィジカルと並んで経営者のコンディションを大きく左右する重要な要素です。メンタルに課題があると十分なパフォーマンスを発揮できないことは言うまでもありません。

経営者は、その役割と責任から「強いメンタル」が求められますが、この「強さ」とは、一般にいう「耐え忍ぶ強さ」のことではなく「自分自身の感情や気持ちをセルフマネジメントするチカラ」のことであり、これが「メンタルの真の強さ」です。

  • 自分のメンタルには何が影響しているのか?
  • どうすれば、上機嫌になれるのか?
  • どんなとき、テンションが下がってしまうのか?

これらについて明確な答えを持つことで自分自身の感情や気持ちを客観的に見ることができ「メンタルマネジメント」のチカラが身に付きます。

「メンタルの真の強さ」をトレーニングしてもらうため、このブログでは、自己内観の切り口としてメンタル8選(「ポジティブ」「冷静」「集中」「余裕」「自信」「勇気」「感謝」「ストレス」)を紹介しています。

メンタルを良好に保つ「勇気」

経営者は、日々様々な意思決定をしていますが、その中には困難を伴うものもあり、時には思い悩み、即決できないときもあります。そのときの助けになる「勇気」ですが、これが足りないと、意思決定のみならず様々な場面で「ためらう」「逃げる」「避ける」という考動になりがちです。

  • 決断できない
  • 現実を直視できない
  • 多数に迎合する
  • 相手を認めない・受け入れない
  • 不都合な事実を隠蔽する
  • ごまかす・はぐらかす
  • 謝らない・言い訳が多い
  • 自分の意見を言わない

このように、勇気が足りないとメンタルにダメージを受けることになり良好に保つことができません。

なお「勇気」とは、冷静なリスク判断を伴う意思決定のことであり「無謀」とは本質的に違うことを念のため書き添ええておきます。

勇気とは心の負荷に対する考動のチカラ

「勇気とは何か?」について理解を深めましょう。

ここでは「勇気とは、心に負荷がかかることに対する考動のチカラ」と定義します。

例えば「イヤな事」に取り組むとき「やだなあ・・・」と、心に負荷を感じたなら、それを乗り越えるためには「エイ!ヤー!」など勇気が必要になります。この勇気が無ければ「イヤな事」を避けてしまいます。

でも、心に負荷がかかることが全く無くなれば?

この仮定は究極ですが、この定義によると勇気は必要なくなり、勇気が相対的なものであることが分かります。

つまり「勇気」は「心に負荷がかかること」が無くならない限り必要であり、その程度の差がメンタルのコンディションに大きく影響しています。

例として「個人差」と「経験差」の2つの視点で見てみましょう。

個人差

恐怖や不安、恥ずかしさを感じることは、同じことでも「勇気を振り絞る必要がある人」「少しだけの勇気が必要な人」「まったく勇気なんていらない人」など個人差があります。

例えば、「リスキーな事」に対し、躊躇する人が多い中、最初に考動する人は「勇気ある人」と評価される場面はよくあります。

この個人差は、下記の「経験差」以外にも「余裕(心・おカネ・時間」、そもそもの心理的耐性などによる「差」と考えられます。

経験差

上記の個人差の理由でもあるのが経験差です。

「初めてのこと・未経験のこと」は、プロセスも結果も未知数でハラハラドキドキするので、勇気を振り絞っらなければならないことがあります。しかし、それを何度か繰り返し、回数を重ねれば経験知が増し、徐々に勇気は必要なくなります。(新人)「先輩!勇気ありますね!」(ベテラン)「いやいや、長年やってると誰でも慣れるよ!」って具合です。

このように「慣れ」によって、本人の意識からは「勇気の必要性」が軽減していきますが、まだ慣れていない周囲の人から見れば「勇気がある人」という評価になることが少なくありません。

自己内観:勇気を持って考動しているか?

自己内観とは、自分と向き合い「自分の本質を知ること」であり、いつも上機嫌でいるためのメンタルケアに欠かせないプロセスです。次に、自問自答するためのサンプルを紹介します。

下記の各シーンを思い浮かべて「心に負荷を感じるか?」「経営者として勇気を持って考動(考え・行動)しているか?」をセルフチェックしてみてください。

  • 捨てる勇気
    • 他の利益や立場のために、自分を捨てて犠牲になる勇気はあるか?
    • 既存の方法や考え方を捨て、現状から脱却する勇気はあるか?
    • 批判を覚悟で前言撤回し、正しい方向へ軌道修正する勇気はあるか?
    • 新しいアイディアや提案を公平に評価し、必要であれば過去を捨てる勇気はあるか?
  • 決断する勇気
    • 不確実性の中でも決断する勇気はあるか?石橋を叩きすぎて割るようなことはないか?
    • 不人気であったり、反対意見が多い選択肢であっても決断する勇気はあるか?
    • リスクを承知で決断する勇気はあるか?
    • 責任を回避するため、決断を避けることはないか?
    • 他者の意見や評価に依存して、自らは判断等することを避けることはないか?
    • 新しいアイディアや提案を公平に評価し、必要であれば過去を捨てる勇気はあるか?
    • 欲や邪念に引きずられ、正しい判断や決断を躊躇うことはないだろうか?
  • 認める勇気
    • 真実や現実を直視する勇気はあるか?
    • 自らの失敗や劣勢、弱点を認める勇気はあるか?
    • ライバルなど、他者の成功や成功を認め、称える勇気はあるか?
  • 伝える勇気
    • 相手にとって悪いニュースを伝える勇気はあるか?
    • 相手の弱点や欠点を伝える勇気はあるか?
    • 好まれないであろう自分の意思や感情を伝える勇気はあるか?
    • 批判承知で正論を伝える勇気はあるか?
  • 立ち向かう勇気
    • 激しい競争の中で立ち向かい戦う勇気はあるか?
    • ピンチに対して逃げることなく立ち向かう勇気はあるか?
    • 対立や摩擦が生じている人たちに立ち向かう勇気はあるか?
    • 新しい取り組みやチャレンジすることを避けていないか?
  • 受け入れる勇気
    • 自分を否定するような新しいアイディアや提案を受け入れる勇気はあるか?
    • 自分に対する評価や批判を素直に受け入れる勇気はあるか?
    • 現状を受け入れ、いったん引く勇気はあるか?
  • 人間関係や人材育成における勇気
    • 人気や評価が下がることを恐れて妥協していないか?
    • 対立や意見の不一致が生じたとき、その解決の為に考動しているか?
    • ガバナンス保持や、健全なカルチャー醸成のため、時には「イヤなことを言う嫌われ者」になっているか?
    • 相手の成長のため「耳の痛いこと」を正しく伝えているか?
    • チーム内の人間関係を良好かつ健全に保つため、放置せず必要な介入をしているか?
  • リスクテイクの勇気
    • リスクを恐れて、その対処法を検討することなくチャンスを逃していないか?
    • 自らの立場や利益を犠牲にする勇気はあるか?
    • 中長期的に想定されるリスクを鮮明にし直視する勇気はあるか?

さて、どうですか?「気になる項目」や「心当たりのある項目」はありましたか?もしあったなら、その理由を深く考えることで「自分の本質」をより深く知ることができます。自己内観によって、自己認知を高め「経営者としての勇気」に何が影響しているのかを確認しましょう。

メンタルを良好に保ち、常に上機嫌でいるために、このような自己内観を定期的に繰り返すことが大切であり、また、とても効果的です。「自己内観の日」を定例スケジュールに登録してメンタルトレーニングを習慣化しましょう。

勇気を養うために

勇気の背景には、自分の価値や能力を信じる自己肯定感、過去の成功体験、明確な目的や意義、また、外部要因として周囲からの期待など、多くの要因があると考えられます。

勇気を養い、もっと高めるためるヒントをリストアップしておくので参考にしてください。

  • 自己肯定感を高める
    「勇気」は「自信」の表れ。「自信」が強くなれば「勇気」も強くなる。「自信」を持ち自己肯定感を高める。
  • 勇気が湧くスイッチを探す
    「勇気が湧いてくること」「勇気が湧いてくるもの」「勇気が湧いてくる言葉」など、自分の勇気のスイッチを探す。
  • 失敗から学ぶ
    失敗から学ぶことで「二度と同じ失敗はしない」というようにネガティブをポジティブに転換する。
  • 仲間作り
    信頼できる人たちとのコミュニケーションを心掛け、孤独感を軽減する。
  • 将来をロジカルに見通す
    将来をロジカルに見通し、根拠を持つことでリアリティを高め、漠然とした不安や、感情的な期待と悲観を排除する。
  • リスクの明確化
    最悪のケースは何か?を具体的に想定し、漠然とした不安や、思い込みの不安、非現実的な不安などを取り除く。
  • 正義感・倫理観を高める
    正義や倫理に基づく考動や意思決定をすることで「正しいことをしている」という自信を持ち、それを勇気に繋げる。

まとめ:メンタルトレーニングを習慣化する

さて、どうですか?

経営脳の第3レイヤー「メンタル」の切り口のひとつ「勇気」について整理しました。

勇気とは、恐怖や不安、躊躇など、心に負荷がかかることに対する考動のチカラであり、経営者にとって、日々の意思決定や行動において欠かせない大切な要素です。

「メンタルの真の強さ」を養うために「勇気をマネジメントすること」が重要です。勇気は「湧いてくるもの」ではなく「湧かすもの」という自律的な視点で捉え、勇気のスイッチを必要な時に自在に「ON」にするチカラがメンタルを強くします。

「自己内観の日」を定例スケジュールに登録してメンタルトレーニングを習慣化しましょう。

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