人材定着の課題|誰も辞めない会社に潜むデメリットとリスク

HORII
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おはようございます!

今日は、2024年第40週の土曜日。

今年も残り3カ月。「いい年」として締めくくれそうですか?

さて、今週は「誰も辞めない会社」について気になることを整理しておきます。

一般的には「いい会社」と評価されることが多い「定着率のいい会社」ですが、中小企業において「本当にそれでいいのだろうか?」という話です。

このブログでは「10人~100人規模の中小企業経営者」の方々に向けて「経営脳の自主トレサポート」を目的に、「もっといい会社」にするためのヒントを発信しています。
初めてアクセスしていただいた方は、「このブログについて」をまずご覧ください。

【未来想定】
あなたの会社も高齢化する?

一定規模以上の会社は、毎年一定数のベテラン社員と新人が入れ替わるので、総人数は同じでも中では「代謝」が起きています。

しかし、比較的規模が小さく若い中小企業においては、そのような「代謝」が起きないので、当分の間、平均年齢が毎年上昇していきます。

現在、平均年齢が30歳の中小企業において、規模拡大はせず、また、定着率も良い場合、20年後は「平均年齢50歳の会社」になっています。

つまり「中小企業における高齢化問題」です。

この問題を解決する方法を考えてみようというのが、本稿の狙いです。

【論点視点】
高齢化の何が問題なのか?

上記の「中小企業の高齢化問題」とは、具体的に、どんなデメリットやリスクを指すのか?

下記にリストアップしてみます。

柔軟性の低下

チーム年齢が、年々高くなっていくということは「習熟度・熟練度が増していく」というメリットの反面、「若い考え」から遠ざかっていくことを意味します。

この「若い考え」の必要性については、業種業界によって、その重要度に差があると思いますが、私は「デメリット」のみならず「リスク」と思っています。

私の身近な例では、決裁権を持ったベテランや幹部が高齢化していて、若手社員からの「InstagramTikTokによる広告提案」を「わからん!」の一言で却下した会社があります。

この光景を見た私は「これが企業の寿命ってことか!」と強く感じたものです。

優秀なメンバーの離脱

いわゆる「ピラミッド型」の組織の場合、役職者が固定化され「新たな役職」が生まれることがありません。

このような組織においては、その役職者が離脱しない限り「昇進」はありません。

「責任を持ちたくない・役職者になりたくない」というメンバーにとっては、都合の良いチームです。

しかし、「リーダーシップを発揮して活躍したい」という意欲を持った優秀なメンバーにとっては「夢も希望もない会社」ということになります。

このような「昇進チャンスがない会社」には、優秀なメンバーは残らず、離脱してしまうリスクが考えられます。

困難な組織改編

上記「優秀なメンバーの離脱」と同様の問題ですが、現在の役職者よりも、優秀な若手メンバーがいる場合です。

その優秀な若手メンバーをリーダーに置いた方が、チーム全体のパフォーマンスは改善すると分かっていても「降格人事」がやりづらく、結果として固定化してしまっている、という事例も少なくありません。

苦肉の策的に「副部長・サブリーダー」など、現在の役職者のサポート役に任命するケースもありますが、多くの場合、その若手メンバーにとっての「やり辛さ」は何も変わりません。

数年前ですが、ある会社の若手リーダーから「足かせしたまま走れない」という悩みを打ち明けられたことを思い出します。

本質は「高齢化」ではなく「硬直」

すでにお気付きだと思いますが、「高齢化」は表面的なことで、この話の本質は「組織の硬直」です。

高齢であっても、柔軟な発想力を持った人はたくさんおられます。

また、若手社員とのコミュニケーションに長けており、それが育成にもベテランならではの貢献をしてくれる人も。

本稿では、解説の都合上「高齢化」にフォーカスしていますが、本質は代謝が少ない組織の課題です。

以下、この課題解決策について、この視点で読み進めてください。

念のために、書き添えておきます。

【課題解決】
中小企業の高齢化対策

もし、この話に心当たりがあれば「じゃあ、どうすればいい?」と心配ですよね。

その解決策のひとつの「案」として「フラットにする方法」のヒントを下記に整理するので参考にしてみてください。

ピラミッドから
フラットへ

「ピラミッド型」の組織形態なので、上記のような問題が生じます。

ならば「フラット型」にすればいい、つまり「ナベブタ型」です。

小規模ならではの選択肢。

指揮命令系統をできる限り少なくするために「役職者」を置かず、全員同じレベルになる、ということです。

指示命令から
コミュニケーションへ

「フラット型」にすれば、チームはバラバラになる、という「次の心配」があります。

それに対しては、「指示命令」ではなく「相談やアドバイス」というコミュニケーションによる伝達系統での意思疎通を重視するカルチャーにすることで、バラバラになるのを防ぎます。

「上司・部下」の関係ではなく「先輩・後輩」の関係になり、ベテラン社員は「上司」ではなく「社内アドバイザー」のような「役職」ではなく「資格」を冠することになります。

持ち回り幹事制

とはいえ、完全フラットであれば「全部を見きれない」というトップの新たな悩みが生じます。

そこで「ピラミッド型」と「フラット型」の「エエとこ取り」の方法を検討します。

チームを「職制別の班」にカテゴライズし、その「班の幹事役」を持ち回り制で「全員にその順番が回ってくる」というルールとします。

「幹事役」は、トップの指示命令や意向を現場に伝え、また、逆に、現場情報をトップ層に伝えるという「上下の役割」を担うことになります。

詳しくは、下記の記事も参考にしてみてください。

(関連記事)中小企業向|役職者に関する諸問題を「役職任期制」で解決する

【要点整理】
いずれやってくる重要課題

さて、どうでしょうか?

規模が一定している中小企業特有の「誰も辞めない会社のデメリットとリスク」について整理しました。

チーム内で代謝が起きない場合、20年後には、平均年齢は20歳上がります。

いわゆる「高齢化」すると、次のような問題が生じます。

ただ、ことの本質は「高齢化」ではなく「硬直」であること。

したがって、メンバーの「代謝」が起きる場合は、この問題はありません。

しかし、比較的少人数で規模が安定しているケースにおいては、じわじわとこの問題が迫ってきます。

チームがまだ若い間は、まったく気付きませんが、時の経過とともにいずれやってくる重要な課題です。

この高齢化問題の解決策として「ピラミッド型からフラット型」へのシフトをひとつの案として紹介しました。

他にも解決策があるかもしれません。

一朝一夕に解決できないテーマですが「今なら間に合う!」ので、中長期の組織戦略として検討してみてください。

関連記事も含め参考にしてみてください。

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