こうなってはならない!「ヤバイ貸借対照表」のサンプル

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この記事は、更新時の情報と筆者の考えに基づくものです。


「貸借対照表:バランスシート」は、会社の財務的健全性を表す重要なシートですが、本稿では、反面教師として「ヤバい貸借対照表」のサンプルを紹介します。

「こうなってはならない!」というイメージの解像度を高める参考にしてみてください。

本稿は「決算書中小企業向け|決算書活用マニュアル」の補足です。

このブログでは「10人~100人規模の中小企業経営者」の方々に向けて「経営脳の自主トレサポート」を目的に「もっといい会社」にするためのヒントを発信しています。初めてアクセスしていただいた方は、こちら(=「このブログについて」)をまずご覧ください。

ヤバイ状態の会社の貸借対照表

さっそくですが、下記が「ヤバイ状態の会社の貸借対照表」の一例です。

資産より負債が大きい、いわゆる「債務超過」の状態です。

これを見たあなたの「感想」はどうでしょうか?(単位は千円です)

ヤバい貸借対照表のサンプルイメージ

貸借対照表は換金価値に置き換える

このブログの「あっちこっち」で何度も出てくる「換金価値」。

貸借対照表は「生食厳禁」です。

貸借対照表は必ず「換金価値に調理してから」食べましょうw。

サンプルの貸借対照表も「生:簿価(帳簿価格)」と「調理済:換金価値」を対比しています。

下の貸借対照表は、黄色い部分が「換金価値」に置き換えて「実質的な内部留保」を表しています。

このように、貸借対照表をチェックするときは、必ず「換金価値」に置き換える「クセ」がとても大切です。

税理士や金融機関の人でも「簿価の貸借対照表で、ど~の、こ~のとウンチクを語る人」には要注意です(笑)。

貸借対照表のチェックポイント

上記のサンプルから読み取れることは、下記のとおりです。

  • 総資産60,000千円に対して負債は95,000千円、簿価の段階で「35,000千円の債務超過」
  • 換金価値に置き換えると、総資産は33,000千円しかなく、実質的な債務超過額は「62,000千円」
  • 仕入原価6,300千円の在庫の評価は2,600千円しかない。逆ザヤ販売しかできない不良在庫かも。
  • 土地建物は、帳簿上は40,000千円だけど、換金価値は25,000千円。ということは、15,000千円の「評価損(=含み損)」を抱えてる。
  • 役員貸付金が帳簿上は7,000千円あるけど、換金価値がゼロってことは、社長から回収することが出来ないのか・・・。
  • この段階のキャッシュ500千円と売掛金3,000千円を合計しても3,500千円。買掛金の4,000千円は無事に支払できるのか?
  • 全資産を換金して負債を支払っても「長期借入金62,000千円」がそっくりそのまま残ってしまう。

どうですか?同じように読むことはできましたか?

憶測すると、他にもいろいろ考えられそうですが、ハッキリしているのはこれくらいだと思います。

この貸借対照表、ヤバいでしょ?

この会社が生き残るためには?

さて、この「瀕死の状態」の会社が生き残るためにはどうすればいいでしょうか?

「追加資金を調達する」という方法で資金的には楽になりますが、多くの場合、それは「延命措置」にしかならないし、そもそも「純資産は変動しない」ですよね。

「返さなくていい増資をする」という方法もありますが、さて、この会社に出資する人はいるでしょうか?

あと「借入返済を免除してもらう」という手もありますが、非現実的です。

そうです、この会社が生き残るためには「利益を出す」しかないのです。

短期的な資金繰りは「あの手この手」で切り抜けられるかも知れませんが「根本的な解決」ではありません。

今後、それなりの利益が見込めるなら、追加資金を借りても返済のメドが立ちます。また、その利益が大きければ「出資したい!」という人が現れるかもしれません。

繰り返しますが、その根本は「利益」です。

「ヤバい貸借対照表」を「普通の貸借対照表」に修復するために必要なのは「利益」です。

ヤバい状態にならないために・・・

貸借対照表は、気を付けないと「じわじわと悪化」するのでタチが悪いものです。

「ゆでガエル現象」という言葉がありますが、この言葉が貸借対照表にはピッタリ当てはまります。

損益計算書は、ほとんどの経営者は「毎月見ている」ものですが、「貸借対照表を毎月チェックしている」という経営者は少数派です。

本稿で紹介したような「ヤバい貸借対照表」にならないためには「時々、サラッと見る」ではなく「毎月、丁寧に見る」ことが重要です。

ここに紹介したサンプルになっては手遅れです・・・

  • 「直近の総資産、総負債は、いくらですか?」
  • 「直近の純資産は、換金価値ベースでいくらですか?」
  • 「直近の実質的な内部留保は充分ですか?」

・・・という質問に即答できるレベルが「毎月、丁寧に見ている経営者」の姿です。

(関連記事)中小企業の貸借対照表|内部留保が分かる経営者になること!

まとめ

さて、どうですか?反面教師として「ヤバい貸借対照表」のサンプルを紹介しました。

ヤバい状態にならないように、日ごろから「貸借対照表:バランスシート」のチェックを怠らないように気を付けてください。

関連記事も含め参考にしてみてください。

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以上、お役に立ちますように!