人が育つ人事評価|目的は「経営計画実現」という重要視点

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この記事は、更新時の情報と筆者の考えに基づくものです。


中小企業にとっての「ベストな人事評価」とは、企業理念の実現や経営目標の達成のため、その担い手である社員・メンバーたちの成長支援ツールとして機能しているものです。

経営計画を具体的に示すと同時に、人事評価基準によって、その実現のための必要スキルを示すことが重要です。

  • 経営計画=ゴールと、そこに至るストーリー示す
  • 人事評価=ゴールのために必要とされるスキルを示す

この記事では、10人~100人規模の中小企業が、経営計画と人事評価を有機的にリンクさせる実務について解説します。

この記事は「中小企業向け人事評価|仕組み作りと運用のアウトライン」の補足です。

【目的確認】経営計画実現のための人材育成

まずは「そもそも論」です。

「人事評価」は「経営計画」を実現するためのツールなのですが、そのロジックは次のとおりです。

  • 「人事評価」を活用する
  • 「人材が成長する」
  • 「チームが成長する」
  • 「経営計画」の実現可能性が高まる

もちろん、ここでいう「人事評価」は「成長支援型人事評価の仕組み」のことです。

単に、給与や昇給のためにする「採点目的の人事評価」のことではありません。

成長支援型人事評価の仕組み」を活用することで人材が成長するので、企業理念や経営目的・経営目標を言語化・可視化した「経営計画」の実現可能性が高まるのです。

(参考記事)成長支援型人事評価の仕組み作りと運用のアウトライン

【評価項目】経営計画実現のためのスキルセット

経営計画を実現するためにどんなスキルが必要か?をリストアップしましょう。

それが「人事評価基準」のベースとなります。

経営計画のゴールは会社によって様々です。

どんどん規模拡大を目指すような「攻撃型ゴール」もあれば、今の状態をキープしようとする「守り型ゴール」もあります。あるいは、新商品や新サービスのリリースを準備するような「開発型ゴール」もあります。当然、これらの「複合型ゴール」も少なくないでしょう。

社員たちにどのようなスキルが必要なのか?はそれぞれのゴールによって変わります。

「攻撃型ゴール」であれば「営業系のスキル」が優先されるだろうし「開発型」であれば「開発系のスキル」が優先される、という具合です。

「目指すゴール」と「求めるスキル」が結びつくことが非常に重要です。

【成果分配】貢献度で給与賞与が決まる業績連動

人事評価の仕組みを運用する際に、社員たちが誤解しないように伝えておくべき大切なことがあります。

スキルが上がるから給与や賞与が増えるのではない!ということ。

スキルが上がり「ゴールへの貢献度が増すから」給与や賞与が増えるのです。

給与や賞与など待遇がよくなるために必要なのは「貢献」です。

この大切なことを社員やメンバーたちに伝えておくことがとても重要です。

別の言い方をすれば「保有能力」ではなく「発揮能力」です。

「屁理屈」や「言葉遊び」に聞こえるかもしれませんが、参考までにひとつの例を紹介しておきます。

たとえば、「英会話を勉強して、最近は日常会話には困らなくなりました。」とアピールする社員がいたとします。

この場合、その英語力によって会社が目指すゴールへの貢献が認められるなら待遇はよくなるでしょう。でも「英会話スキル」を磨いても「会社のゴールのために英語は必要ない」のであれば、待遇は変わりません。あくまでも「ゴールへの貢献」で評価されるのです。

「私が英会話を一生懸命勉強しているのに、なぜ評価されないのですか?」

「いま目指しているゴールに英語は必要ないからだよ。でも、いずれ英語が必要になるときがくれば、その時は評価基準に入れるよ。」

・・・ということです。

給与や賞与は、ゴールという成果に連動させ、その成果への貢献度に応じて分配するという考え方です。

【目的連動】ゴールが変われば人事評価も変わる

以上、目的・目標と人事評価制度の関連を整理しました。

繰り返しますが「経営計画を実現するために人事評価がある」です。

したがって「人事評価基準」は、ゴールが変われば、改定が必要になることもあります。

次の新しいゴールのために、新たなスキルが必要になるなら追加しなければならないし、必要性が低くなったスキルがあるならそれは評価基準から削除です。

【一体運用】経営計画と人事評価は同時リリース

いままで私が相談をもらった会社で「経営計画」と「人事評価基準」を同時リリースしているところはありませんでした。

しつこいようですが「経営計画」と「人事評価基準」は一体のものです。

この2つを同時リリースすることで、社員たちの理解度は全く違ったものになります。

ちなみに制度運用のスケジュールは次のようになります(3月決算の場合)。

時期イベント
3月前期末前期末人事評価面談
短期経営計画と人事評価制度のリリース
「来期の目標」と「期待する貢献」とそのために
「必要とするスキル」を全員にプレゼンテーション
4月期首
5月
6月夏季賞与(または7月)
1Qレビュー(評価面談)
7月
8月
9月中間期
10月2Qレビュー(評価面談)
11月
12月冬季賞与
1月3Qレビュー(評価面談)
2月
3月期末期末評価面談
新年度経営計画・人事評価制度のリリース
4月新年度期首

【まとめ】二者択一 “手間” をかける?かけない?

「経営計画」と「人事制度」の整合性について紹介しました。

まあまあ「手間」がかかりますよね・・・でも、ここで経営者の選択。

  • 手間はかかるけど「経営目標」のために「成長支援型人事評価の仕組み」を運用して「貢献するための人材育成」をするか?
  • ゴールに無関心な社員たち?あるいは、貢献したい気持ちはあるけど、具体的なスキルアップが分かってない社員たち?とストレスを抱えながら事業を継続するか?

少々、極端な選択の表現ですが、貢献度合いに応じて報いるためにも検討してみてください。

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