この記事は、更新時の情報と筆者の考えに基づくものです。約 8 分で読めます。

おはようございます!
2025年第7週の土曜日です。
今週もアタマは冴えていましたか?
さて、3週続けて「会計の話」だったので、今週は「思考」の話を提案します。
「ネガティブ」にもメリットがあるという話です。
一般的には「ポジティブ思考」が大切と言われますが、それには「よくある落とし穴」が潜んでいます。
その落とし穴を防ぐためには、ネガティブを起点に考えることも併せて必要という話です。
それぞれの性格にもよるのですが、私は、この思考法で考えるといつも「冴えてるなあ!」と思えるので、オススメです。
このブログでは「10人~100人規模の中小企業経営者」の方々に向けて「経営脳の自主トレサポート」を目的に、「もっといい会社」にするためのヒントを発信しています。
初めてアクセスしていただいた方は、「このブログについて」をまずご覧ください。
【提案概要】
ネガティブ起点でアタマを回す
本稿は、中小企業経営者の皆さんに「ネガティブを起点にした方が、アタマはよく回るよ!」という提案です。
「アタマがよく回る」というのは、カンや根性の勢いとは違って、いわゆる「冴えてる!」と言う状態。
物事を広く、深く考えやすくなり、「よりロジカルに!」「よりクリティカルに!」意思決定できるようになります。
誰でも「アタマが回らないなあ」「冴えてないなあ」と思うときがありますが、あなたはどうですか?
そんなときは、ロジカルでも、クリティカルでもなくなるので、結局「カン」や「根性」で意思決定することが多くなり、結果、有効なアイデアが出てこなかったり、計画立案や課題解決においても、ピント外れが多くなってしまいませんか。
最悪の場合は「思考停止」・・・。
なんとか「アタマを回そう!」と意気込んだところで「そんなに簡単に回りだすなら誰も苦労するかい!」ですよね。
でも、あるのです!「アタマを簡単に回す方法」が!それが「ネガティブ起点で考える」です。
- 数多くのアイデアを出すのが苦手
- 先を見通すことが苦手
- 計画倒れが多い
- 課題解決を先送りすることが多い
もし、このような心当たりがあるなら、ぜひ参考にしてみてください。
【提案詳細】
ネガティブ起点とは?
話を進める前に・・・
ここで言う「ネガティブ起点」とは、「後ろ向きなネガティブ思考」ではなく、「考える起点をネガティブにする」という話であり、簡単に言えば「最悪の事態を想定しよう」という思考法のことです。
そうすることで、思考が拡がったり、深くすることができ、さらに「盲点や弱点」にも気付きやすくなります。
また、この思考法は、仕事に限らずプライベートでも有効です。
例えば「どんな時にゴキゲンになりますか?」と問われるより「どんな時にフキゲンになりますか?」の方が答えやすくないですか?
お任せ料理のお店では、板前さんが「苦手なものはありませんか?」って聞いてくれますが、意外と「お好きなものはなんですか?」とは、聞かれたことがありません。おそらく「答えやすい質問」をしてくれていると私は解釈しています。
私も、コーチングの現場で、経営計画のサポートのときは「どんな会社にしたいの?」ではなく「こうだけはなりたくない!ってある?」と聞いたりすることがあります。
このように、「悪い結果」や「望まない結果」を想像することで、思考の幅を広げたり、深めたりする考え方を「ネガティブ起点で考える」と言います。
ちなみに、これは、あくまでも「思考の起点」の話であり、思考を整理するときの「使い分け」の話です。
もちろん、「ポジティブ起点」が有効なときもあります。「どうしたい?」「どうあるべきか?」と考えることで、スムーズにアタマが回るときは、それでOK。
でも、「どうしたい?」「どうあるべきか?」などポジティブ起点で考えてもアタマが回らない時は、逆に「したくないことは?」「ありたくないことは?」と「ネガティブ起点」で考えてみてください。
また、アタマが回り始めると思います。
【提案背景】
ポジティブ思考の落とし穴
そもそも、私がこの「ネガティブ起点で考える」という思考法にたどり着いたのは、「ポジティブ起点の落とし穴」 に気付いたからです。
その代表的な落とし穴は、目標が「願望」になってしまうケースです。
例えば、「3年後の目標は?」と聞くとーー
「売上倍増!」「経常利益は5倍に!」と、超ポジティブな「夢」を語ってくれる経営者がいます。
もちろん、前向きでポジティブな姿勢は、決して悪いことではありません。むしろ、経営者には必要なことです。
でも、目標を語るとき、「現実的にどう達成するか?」よりも、「実現したいこと・達成したいこと」が強くなってしまいがちです。
「足が地から離れていく」——この感覚、覚えがありませんか?
そんなとき、私はあえて「ネガティブな質問」を投げかけます。これは、目標を否定するためではなく、「現実的に達成できる計画」へと落とし込むためであり、つまり、目標達成のための課題やリスクを経営者自身に言語化してもらうためです。
- 「売上が倍増しても、人材はついてこれる?」
- 「社員が疲弊するリスクは?」
- 「その成長スピードで、適切な人材を採用できる?」
- 「資金繰りは大丈夫?」
これらの問いを投げると、経営者はハッと気づきます。「そうか、裏側のリスクを考えていなかった」と。
マネジメントコーチの仕事は、経営者を元気づけることでもありますが、時にはこうして「水を差す」役割も果たさなければなりません。「現実離れした目標」も、ネガティブ起点の質問を投げかけることで、グッと現実的な計画に変わることが多く、この「ネガティブ起点で考える効果」をよく感じるのです。
【実践事例】
ネガティブ起点のフレーズ集
さて、ここで具体的な練習として、あえて「自分にとって耳の痛い質問」を投げかけてみましょう。
自己内観のための自問自答サンプルとして「ポジティブ起点」と「ネガティブ起点」のフレーズを紹介します。
「避けたい自分」「ありたい自分」「あるべき自分」さらに「どう変わるべきか」「解決すべき課題は何か?」の解像度が高まると思います。
ポジティブ起点では見えづらい「潜在的な課題」に気づくため、あるいは「見て見ぬふりをしている課題」に直面するためのトレーニングとして試してみてください。
経営脳の
5つのレイヤーで自問自答

まず、手始めに「経営脳の5つのレイヤー」について「ポジティブ起点」と「ネガティブ起点」の両方で自問自答してみてください。
それぞれのレイヤーを高めるための「答え」は、同じでしょうか?それとも「違い」があるでしょうか?
ポジティブ起点 | ネガティブ起点 | |
---|---|---|
マインドセット | 「正しい考え方」をしていると どんな「いい事」があるだろうか? | 「間違った考え方」をしていると どんな「悪い事」が起きるだろうか? |
フィジカル | コンディションが良好であれば どんな「いい事」があるだろうか? | コンディションを崩すと どんな「悪い事」が起きるだろうか? |
メンタル | ゴキゲンであれば どんな「いい事」があるだろうか? | フキゲンになれば どんな「悪い事」が起きるだろうか? |
スキル | スキルが高いと 今後、どんな「いい事」があるだろうか? | スキルが低いと 今後、どんな「悪い事」が起きるだろうか? |
センス | センスのいいと 今後、どんな「いい事」があるだろうか? | センスの悪いと 今後、どんな「悪いこそ」が起きるだろうか? |
さて、どうですか?どちらの自問自答もそれなりの有効性がありますが、もし「ポジティブ起点」だけだと、意外と自分の弱点や盲点に気付かず「いい事しか思い浮かばない」ので「悪い事」が見えなくなってしまうことが往々にしてあります。
いや、実は見えてるのに、見たくないから、考えたくないから回避してしているのかもしれません。
経営実務で自問自答
続けて、経営実務の場面を想定して自問自答してみましょう。
前述しましたが「ポジティブ起点」か「ネガティブ起点」かという選択ではありません。
ひとつのテーマであっても、両方の起点を行ったり来たりすることで「思考の幅を広げたり、深めたりすることができる」。
これが、本稿で伝えたかった「ネガティブ起点の活用法」です。
【要点整理】心はポジティブに!
さて、どうだったでしょうか?
今週は「ネガティブを起点で考えること」について提案しました。
ネガティブ起点とは?とは「悪い結果」や「望まない結果」を想像することで、思考の幅を広げたり、深めたりする考え方のことであり、私がコーチングの現場で気づいた思考法のひとつです。
自己内観のためのネガティブ起点のフレーズ集を紹介したので、さっそく試してみてください。
最初の一歩として、「自分がフキゲンになる時」をリストアップするだけでもOK です。
さて、最後に大切なことを書き添えておきます。
「ネガティブ起点」は、あくまで思考の技術です。
心の在り方とは、まったく別のもの。
つまり、これは「考える技術」であって、「ネガティブな心を持て」という話ではありません。
むしろ、この思考法を最大限に活かすには、「もっと良くなりたい!」という「ポジティブな心」が大切です。
「心はポジティブに! 思考はネガティブに!」
このバランスを大切にしてくださいね。
関連記事も含め参考にしてみてください。
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以上、お役に立ちますように!