経営の原理原則とは?
「原理原則」とは、「物事の最も根本的で、基礎となる、従うべき法則や決まりごと」のことです。
「経営の原理原則」は、正しい成長を持続するために欠かせない考え方であり、「筋」や「道理」を指しています。
企業の不祥事の歴史からも学べるように、どんなに規模や業容が拡大しても、それからズレると中長期的な成長は困難となります。
様々のテクニカルな方法論やノウハウの前に、まずは「経営の原理原則」を確認しておきましょう。
【要点】
経営の原理原則:目的は「幸せ」
経営の原理原則とは
「筋」「道理」
先に結論を示しておきましょう。
経営の目的は「会社に関わる人たちの持続的な幸せ」です。
「社外:得意先や取引先を主とする社会全体」、「社内:社員たち」、「ジブン:経営者自身」、さらにそれぞれの家族や大切な人たちも含めて会社に関わる人たちのみんなが幸せになるために会社は存在します(3Gマネジメント)。
会社に関わるこれらの人たちの幸せが持続するように(=不幸にならないように)マネジメントすることが「筋」であり「道理」であり、業種や規模に関わらず、すべての会社に共通するものです。
経営の原理原則とは、この「筋」や「道理」を指し、正しい成長を持続するために欠かせない基本的な考え方です。
(関連記事)真の成功のための最重要視点「会社は道具」
3Gマネジメント
=社外+社内+ジブン

- Group1:社外の人たち:社会・得意先・取引先
- Group2:社内の人たち:社員たちと、その家族や大切な人たち
- Group3:ジブン:経営者自身と、その家族や大切な人たち
*詳説;「3Gマネジメント」とは?
【解説】
経営の原理原則がなぜ重要なのか?
経営者の考動の軸となる
原理原則
何事であれ、良い状態が中長期的に持続しているのは、多くの場合「筋が通っている」「道理にかなっている」からです。
会社経営も同じで、良い状態が持続するための「筋」「道理」があり、それが「経営の原理原則」です。
経営者は、一時的な成功や失敗に一喜一憂することなく、長期的・持続的な視点で考動する必要があります。
その軸となるのが、原理原則です。
この経営の原理原則から外れ、軸がブレると、多くの場合その会社の状態は悪化します。
例えば、利益追求は必要ですが、それは手段です。
経営の目的である「関わる人達の幸せ」を実現するために利益を追求するのです。
しかし、利益が目的化してしまうと、本来「関わる人たちを幸せにするため」のはずの経営が、「誰かを犠牲にしてでも数字を追いかける」ことになりかねません。
(関連記事)真の成長のための最重要視点「利益は目的ではない」
意思決定の基準は「幸せ」
みんな幸せになれるか?
誰も不幸にならないか?
意思決定の際に自問自答するフレーズは
「これで、みんなは幸せになれるか?」
「これで、誰も不幸にならないか?」。
もちろん、厳しいビジネス環境において「やむを得ない場面」は少なくありません。
しかし、それを「仕方がない」と当然視するのではなく、「これはオカシイ」「なぜこのような状況になったのか?」と問題意識を持ち、原因となる課題を早期に解決する姿勢が重要です。
万が一、誰かが犠牲になったり、特定の人に負担が偏ったりする状況になったとしても、その後のリカバリーを適切に行い、マイナス面を最小限に抑えることも「原理原則」に沿った経営です。
(関連記事)「社員の幸せな人生」、経営者に責任はあるのか?
迷わない、悩まない、
間違わないために
原理原則の理解と共感で
スピーディーかつ正しく
意思決定ができる
意思決定が遅かったり、間違った判断をしてしまうのは、「経営の原理原則」に対する理解と共感が不足していることが大きな原因です。
「経営の原理原則」を正しく理解し、心から納得し共感できれば「筋の通った」「道理にかなった」意思決定が自然にできるようになります。
その結果、迷いや悩みが少なくなるので意思決定のスピードが上がります。
さらに、間違うことも少なくなるので失敗する確率が低くなり、成功する確率が上がっていくことになります。
このように、「経営の原理原則」は、経営者にとって非常に重要な能力である「スピーディーで正しい意思決定」の基礎となるものなのです。
原理原則は成長や成功の前提
セオリーやノウハウも
「原理原則」に沿って正しく使うこと
- 「筋が通った経営」
- 「道理に適った経営」
「経営の原理原則」は、成長や成功のための「前提条件」です。
どんなセオリーやノウハウも、すべて「原理原則」の実行や実現のためにあります。
「原理原則」という前提が崩れ、そこから逸脱してしまうと、犠牲を強いられたり、我慢をさせられたりするなど、「不幸な人」を生み出すことになります。
便利な道具も、使い方を間違えれば人を傷つける凶器になり得るように、セオリーやノウハウも「原理原則」に沿って正しく使うことが重要です。
原理原則からズレると、
リバウンドが来る
「筋」や「道理」から外れた経営をすると、遅かれ早かれそのリバウンドが来ます。
- 顧客を欺くような商売
- 相手に必要以上の悪条件を強いるような取引
- ウソやごまかしが潜んでいる経営
- 従業員に過剰な負担や犠牲を強いるような経営
- 家族や大切な人の必要以上の負担や犠牲を伴う経営
これらによって、一時的な効果はあるかもしれません。
しかし、中長期的には業績悪化、法務・労務問題、社会的な信用の失墜など、様々なトラブルを引き起こす可能性が高くなります。
経営者は、常に中長期の視点で
「筋は通っているか?」
「道理に適っているか?」
という自問自答をしながら意思決定をしなければなりません。
【確認】
自問自答のためのチェックリスト
原理原則に沿って考動できているか?
定期的に自問自答することが経営脳のトレーニングにとても効果的です。
月に1度は、自己内観の時間を設けて自問自答してみましょう。
Googleカレンダーなどのスケジューラーを使っている人は「毎月末」に、このページのリンクを貼って定期登録しておくのが習慣化のためにおススメです。
- 経営の原理原則の理解と共感
- 経営の原理原則を正しく理解し、心から共感しているだろうか?
- 日常の考動は、筋が通っており、道理に合っているだろうか?
- 関連する人たちの持続的な幸せを考えて考動しているだろうか?
- 原理原則から逸脱した場合のリバウンドやリスクを十分に認識しているだろうか?
- 過去の振り返り
- 経営の原理原則に沿った考動によって、うまくいっているだろうか?
- 迷ったり、悩んだとき、その理由は何だっただろうか?
- 意思決定をためらい、決断が遅れたとき、その理由は何だっただろうか?
- 3Gマネジメント
- 社外:顧客や取引先は、当社との取引に満足してくれているだろうか?迷惑をかけていないだろうか?
- 社内:社員とその家族や大切な人たちは、当社に満足してくれているだろうか?迷惑をかけていないだろうか?犠牲を強いていないだろうか?
- ジブン:私の家族や大切な人たちは、当社に満足してくれているだろうか?迷惑をかけていないだろうか?犠牲を強いていないだろうか?
- ジブン:自分自身を犠牲にしたり、過度な負担を抱え込んでいないだろうか?
【結論】
経営の原理原則は持続的成長の前提
さて、いかがですか?
経営の原理原則は、「筋」であり「道理」であり、建前(たてまえ)ではありません。
経営者は、経営の原理原則を正しく理解し、日々の意思決定や考動の軸とすることで、関わる人たちの幸せを持続することが可能となります。
原理原則を体現する「もっといい経営者」になれば、必ず「もっといい会社」になります。
「もっといい会社」の先には
「ずっといい会社」があります。
その足元を固めるための
普遍的なロジックです。
改めて、次の5つのポイントについて確認しておきましょう。
- 経営の目的は、3つのグループの幸せを持続すること
- 経営の原理原則は、経営者の考動の軸となるものであること
- 原理原則の正しい理解と共感で「スピーディーに正しい意思決定ができるようになる」こと
- セオリーやノウハウも原理原則に沿って正しく使うこと
- 原理原則からズレるとリバウンドがくること
以上、お役に立ちますように!
【補足】
経営の原理原則は理想論か?
人はそれぞれに異なる「考え方」や「価値観」を持っています。
そのため、「筋」と「道理」は、リーダーによって異なる場合があります。
極端な例ですが、「全体のために犠牲者が出ることは仕方がない」という考えを持つリーダーもいます。
また、口には出さなくても「自分ファースト」なリーダーも少なくありません。
先述した原理原則に対して、「自分はそう思わない」「これはキレイごとだ、理想論だ」と異論を唱える人もいるでしょう。そうした方々にとっては、残念ながら、このブログのどの記事を読んでいただいても響くことはないでしょう。
しかし、ここで紹介した経営の原理原則に共感していただけるのであれば、このブログは必ず役立つはずです。
私たちは、関わる人々を幸せにし、不幸にしないことを目指しているリーダーの力になりたいと思っています。
まずは、この前提となっている価値観があなたの価値観と合致するかどうかを確認してみてください。
そして、もしお役に立てるようでしたら、引き続き下記の関連記事もぜひご覧ください。
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