これがセンスの正体?「作業」から「作用」に視点を変えてみる

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この記事は、更新時の情報と筆者の考えに基づくものです。


このブログで紹介している「経営脳:5つのレイヤー」ですが、「Layer5:センス」がいちばん難しいと思いませんか?

私自身、他のテーマと違って「センスの伝え方」は難しく、このカテゴリーの記事が極端に少ないです・・・。だから「経営者のセンスの磨き方」については「これ!」という決定版に至らず、今も勉強中で、もはや「永遠のテーマ」となりつつあります。

そこで、本稿では、現段階での私の「仮の答え」を整理するので「こんな視点もあるんだ」と、ひとつの参考にしてみてください。

そのポイントは、視点を「作業」から「作用」に変えてみる、という試みです。

本稿は、経営脳:5つのレイヤー:Layer5:センスの補足記事です。

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気持ちに思いを馳せればセンスがよくなる?

「センス」の話をするとき、私はよく「料理」に例えて話します。

同じ材料で同じ調理法で作った料理も、その盛り付けとか、器の選択によって「美味しさが変わる」はずです。

例えば、両者を目隠しして口に入れれば「同じ」と感じるのに、視覚が加わると印象が変わり「差」があるように思うのです。

これが「スキル」と「センス」の違いを理解するために、いちばん良い例だと思ってです。

「スキル」は同じでも「センス」で差がつく、です。

ただ「センスの良い器に、センス良く盛り付ける」というプロセスにも「落とし穴」があって、「誰のセンサーで良し悪しを選択してるか?」がとても重要です。

作り手が「ええ器でっしゃろ!」「盛り付け、ええ感じでっしゃろ!」とドヤ顔で迫っても、食べる側の好みに合わなければ、「(センス、ワル!)」と内心ガッカリしてしまいます。

「エエ仕事してまんな~」というのは受け手の評価であり、「受け手のセンス」にマッチするかどうか?がとても重要ではないか?という話です。

つまり、相手のセンスに対する感受性が重要であり、そのためには「相手の気持ちに思いを馳せる」ということがポイントではないか?という仮説が立ちます。

「相手に喜んでもらうために、どうすればいいか?」

本稿では、これを「相手の気持ち思考法」として、以下、続けます。

「作業」ではなく「作用」で考える

相手の気持ち思考法」は、文字通り「常に誰かの気持ちをターゲットにする思考のクセ」です。

たとえば、みんなでバーベキューに行くいうシチュエーション。

参加者には、それぞれに役割があります。

  • 場所を確保する人
  • 食材を調達する人
  • ドリンクを調達する人
  • 調理をする人
  • さらに余興の準備をする人

・・・などなど。

参加者の役割を「作業」で表現するとこのようになりますが、これを「作用」に代えて表現すると次のようになります。

  • 広くて清潔でトイレも近くてみんなが喜ぶ「いい場所」を確保する人
  • なるべくコスパ良くみんなが喜ぶ「いい食材」を調達する人
  • あらかじめ参加者の好みをリサーチし、みんなが喜ぶ「いいドリンク」を調達する人
  • 「めっちゃウマい!」とみんなが喜ぶ「いい調理」をする人
  • みんな大爆笑!の「いい余興」の準備をする人

さらに・・・

  • このバーベキューを「みんなの最高の思い出にしよう!」とサプライズを考えている人

などなど・・・。

このように「作業」ではなく「受け手の気持ちへ作用」で考えることで、行動が変わり、成果が変わります。

ただし・・・これには、次に紹介する「落とし穴」があるので要注意です。

ピントがずれると大惨事・・・

「良かれと思ったことが裏目に出る」って誰でも経験があると思いますが、相手の気持ちを考える人ほど、その経験が多いのではないかと思います。そもそも「相手の気持ちなんて気にしない」という人は「表も裏」もないですもんね。

この「裏目」には気を付けなければなりません。

冒頭の「ドヤ顔の料理人」のように「良かれと思った器」「良かれと思った盛り付け」も、そのピントがずれていれば「センス悪い料理人」という、真逆の評価を受けてしまいます。

つまり「相手の気持ち思考法」といっても、その思考が「おせっかい」や「ありがた迷惑」になってしまえば、元も子もありません。

最悪の場合は、それがクレームという大惨事をも招きかねない諸刃の剣という一面も「センス」にはあるので、要注意です。

誰かのための「仕事」と、自分のための「趣味」

上記のような「ピントがずれて大惨事」ということを避けるための大前提があります。

それは「仕事とはなんぞや?」です。

「仕事」には、必ず相手がいて、誰かのためにやるものであって、それが自分の為だけなら「趣味」になってしまいます。

つまり「仕事」には必ず「相手がいる」ということです。

相手がいる限り、その人に「喜んでもらう」ということが、すべての仕事に通じている「ミッション」であり、「本質」です。

この「本質」が、心に沁みついている人は、常に「作用」を考え、逆に「分かってない人」は、自分のための「作業」と考えています。

だから、相手が喜んでくれるなら!と思う人は、面倒なこともやりがいがあります。反対に、相手より自分を優先する人には「面倒は避ける」という考動が目立ちます。

この「仕事には相手がいる」ということを「タテマエ」ではなく「ホンネ」で理解していることが「相手の気持ち思考法」の大前提になります。

(関連記事)中小企業経営者視点で「スキル」と「センス」を考えてみた

相手の気持ちを考えることを考動習慣にする

相手の気持ちを考えることを考動習慣にするために有効なのが「習慣化のステップ」です。

  • STEP1:理解:納得はできないけど、理解はできる
  • STEP2:納得;なるほど!そのとおり!共感できる!
  • STEP3:考動;自分も考動しよう!
  • STEP4:習慣:気付けば無意識に考動してる!

習慣にするためには、この話を、まず「STEP1:理解」できているか?です。そのうえで「STEP2:納得」できるか?です。

「納得」できないことは「考動」できません。

本当に納得できれば、実際に「相手の気持ちを考えて行動する」ことを意識的に継続します。

それを続けると、気付けば無意識に「相手の気持ちを考えて行動してる」という習慣になる、という理屈です。

ただ、三日坊主になる懸念もあるので、続ける自信がない人は、ぜひ「日記」をつけてください。

「今日、誰の気持ちを考えただろう?」と一日を振り返り「文字として可視化する」ことが効果的です。

「センス」はトレーニングで良くなる

服装や持ち物、さらには趣味のセンスは「自分のため」なので「お好きにどうぞ」です。

しかし「仕事のセンス」は、相手にとっての良否であり、成否です。

「どうすれば喜んでくれるか?」を常に考え、そのピントがずれていないか?をこまめにモニタリングし、その結果、ヒット率がアップすれば、「あの人に任せておいたら間違いないやろ」「さすがやなあ」「デキルなあ」と、それが信用となり、評価の量も質もよくなっていくはずです。

この「相手の気持ちに対するセンサーの精度」が「センス」である、というのが、現時点での私の「センスの定義」です。

したがって「センス」は、持って生まれたものでもなんでもなく、トレーニングで開発され、磨くことができるものだと思います。

チームのカルチャーにしてしまえ!

「作業」ではなく「作用」で考える、つまり「相手の気持ちを考える」ことはとても大切なことです。

この「相手の気持ち思考法」を経営者一人のものにしておくのは、もったいないことです。

いっそのこと、これをチームの全員で心がけることができれば、チームのパフォーマンスはかなり良くなるはずです。

常に、相手のことを考えるチーム、それをカルチャーとしているチーム、私は、そんなチームは「とてもいいチーム」だと思います。

チームのみなさんとも共有してください。

まとめ

さて、どうですか?「センスとはなにか?」についての私の現時点での考え方と、それを磨くための「相手の気持ち思考法」を紹介しました。

関連記事も含め参考にしてみてください。

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