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この記事は、更新時の情報と筆者の考えに基づくものです。
「ひと(他人・他者・他社)のことだったらよくわかるのに、自分のことはよく分からない」と感じたことありませんか?
甲子園球場に行くと「みんな監督?」と思うくらい様々意見や指摘が声高に叫ばれてて、その光景を見ても「客席からは良く見えるんやな」と思います(笑)。
これと同じで、他社の事は「あの会社はあ~だ」「あの経営者はこ~だ」と、まあまあ辛辣に批判批評できるのですが、いざ自社となると「よくわからない」ものです。
もう少し厳しく言うと「自分のことがわかってないことが、わかってない」も少なくありません。
本稿では、この「習性?」を逆手に取って「だったら、自社を他人目線で見ればええやん」という「視点転換」について考えてみます。「課題発見スキル」の自主トレのテーマになるかもです。
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【原因確認】ヒトの事がよく分かるのはなぜ?
なぜ「ヒトのこと(他人・他者・他者)」は、よく分かるのでしょうか?
時には、エライ評論家のセンセのように「あの会社はね~」「あの経営者はね~」と、ダメ出し?あげ足取り?をマウント気味に話す人を見かけます。お酒が入ってたら、それはさらにエスカレートするものです。
自分のことは棚に上げて、ですね。
結論は「感情や気持ち」の影響が大きそうです。
理屈だけで評価するから
自分のことは、理屈では説明できない、あるいは、合理的に割り切れない「感情や気持ち」が影響しますが、ヒトがやってることは、理屈だけで評価することができます。
これがもっとも現れるのが「気持ちはわかるけどね~」というフレーズですね。
他社のことだったら、その事情や気持ちも考慮せず「不採算部門なんてさっさと撤退すればいいのに」など、平気で言い放ちます。
冷静に比較できるから
これも「感情や気持ち」の影響ですが、「ヒトのこと」であれば、冷静に比較評価をすることができます。
例えば、ライバル企業に対して明らかに負けているのに、当事者にはプライドがあって負けを認めるわけにいかず、さらにムダな戦いを続けている・・・というような場面にも、周りは厳しい評価をしています。
「気持ちはわかるけど、降参した方がいいよ、どう見ても負けてる」「いや、最後まで戦うんや!」
過去に影響されないから
自分のことと違って「ヒトのこと」は、目の前で起きている現象の「いきさつ」や「経緯」など過去の情報に影響されないので、損か得か、是か非かと、合理的な判断ができます。
また「過去」に影響されずに「未来」のために「今、どうすべきか?」を考えやすいことも「よくわかる理由」です。
ヒトゴトだから
その人との距離感で評価や判断が変わるのが「人の性(さが)」かもしれませんね。
「ヒトのこと」と言っても、それが親友なら、限りなく当人の立場に沿った考え方をしがちで、政治家や有名人など会ったことがない人には辛辣な批評をぶつけることがあります。
相手との距離が遠いほど、感情的な要素の影響が少なくなるからでしょうね。
「自分には関係のない、ヒトゴト」の場合、案外「合理的」「公平・公正」な評価をしているものです。
【自己内観】自分の事が分からないのはなぜ?
「ヒトのこと」であれば、よく分かるのに、翻って「自分のこと」となれば、たちまち「よく分からなくなる」のはなぜでしょう。
その答えは、お察しの通り、上記「ヒトの事がよく分かるのはなんでだろ?」の裏返しです。
自分のことは「感情や気持ち」が大きく影響しているからです。
「ホントは分かってる」ということも少なくありません。
「負けを認めた方がいいこと」「撤退した方がいいこと」、実は本人もよく分かってるのです。
しかし、プライドや言い訳、さらに厳しく言えば、責任逃れや自己防衛のために「正しい評価・冷静な評価」ができないのです。
もちろん「ホントにわかってない」ということもあります。
「自分は大丈夫」という過信であったり、視野が狭くなって周りが見えなくなっていたり、さらに、正しい判断のための情報が不足していたり、また、先入観や偏見などのバイアス、これらの要因が組み合わさって自分のことがよくわからなくなることが多いようです。
【反省視点】ヒトのふり見て我がふり直せ
「ヒトのふり見て我がふり直せ」という言葉があります。
「ヒトのこと」を見て感じること、思うこと、考えることを「自分」に置き換えてみると「エラそうに言えないな」と気付くことが少なくありません。
「ヒト(他人・他者・他社)のこと」の観察は、自分の行動や態度を振り返るきっかけになります。
言い換えれば「自分を客観視する」ということです。
上述した「自分の事が分からない理由」である、気持ちや感情、思い込みや先入観、偏見など、自分の事を曇らせていることが何なのか?を自覚し、それを意識するだけでも冷静に振り返ることができるものです。
自分のことを棚に上げて「ヒトのこと」を評論している間は、いつまでたっても「自分のこと」は見えないままです。
このように、自分の事を客観視し、ときには反省する視点が必要ですね。
【他人目線】自分をモニタリングする方法3案
「ヒトのこと」が分かるなら、自社の事を「他人目線でモニタリングすれば?」ということが本稿の主旨です。
ひとつの提案は「もし、自分がこの会社のコンサルタントなら、どんなアドバイスやフォローをするだろう?」と、あえて「経営者としての当事者意識」を消して、自社を「よその会社」として観察することです。
それに加えて、他者の意見やアドバイスをピックアップするために、次のような「仕組み」を取り入れて「客観的な視点」を知ることも効果的です。
外部の人にモニタリングしてもらう
「事業別」「部門別」「商品別」「エリア別」など、マネジメント会計(=管理会計)を活用することで、より詳細なデータを得ることができますが、せっかくのデータであっても「自分事」として見ると、ついつい「言い訳」や「思い込み」によって、それから得られる貴重な情報を見落としがちです。
データのモニタリングの席には、外部のコンサルタントやコーチなど「客観視してくれる人」や「耳の痛いことを言ってくれる人」に参加してもらって、その意見に謙虚に耳を傾けるということがとても効果的です。
(参考記事)中小企業の部門別会計|設計から導入までの実務ステップ
複数メンバーでモニタリングする
会計データに限らず、経営に関わる各種データを、部門長やリーダークラスなど、複数のメンバーと共有し、相互に意見交換をしたり、アドバイスをすることで「他部門からの客観的な意見」を得ることができます。
ただ、その前提として、その会議・ミーティングにおける「心理的安全性」が必要なのは言うまでもありません。
課題発見会議でモニタリングする
チームのメンバーは、口にしなくても「当社の課題」を感じているものです。
口にしない理由として、「言いづらい」「言ってもムダ」という企業風土であれば、まず、風土改善に取り組む必要があります。
その上で、「課題発見会議」の開催が効果的です。
「当社の課題をリストアップする」という目的で、半期に一度程度、ブレーンストーミングをするのです。
ただ、参加メンバーの中に「課題を感じているが、自分もエラそうに言えるレベルじゃないから」と、口を閉ざしている人がいれば、開催の意味がなくなってしまいます。
私が、現役時代に開催していたときは「社長は聞き役に徹する」「参加メンバーは自分のことは棚に上げること」をルールにしていました。
また、この会議の目的は「課題のリストアップ」なので、解決策を考えることはしません。解決は、課題をリストアップした後「解決の優先順位」を決めてからになります。
【大前提】素直な心がなければ改善しない
この「他人目線でモニタリング」ができるようになるためには、大前提があります。
それは「素直な心」です。
「素直な心」は、意固地になったり、頑固になったりせず、他者の意見やアドバイスを素直に受け入れる心、自分の誤りを素直に認める心であり、経営者に欠かせないマインドセットのひとつです。
「他人目線でモニタリング」することで、自分にとって不都合なことが見え始めます。
それを「見て見ぬふり」「言い訳」「開き直り」することなく、直視するには「素直な心」がとても重要です。
(参考記事)経営者のマインドセット|「素直な心」を忘れていないか?
【まとめ】”自分は大丈夫”が一番ヤバい
さて、どうですか?「他人目線でモニタリングする効果」について整理しました。
ここまで読んで「自分は大丈夫」と思った人が、いちばんヤバい可能性があります。「自己内観を深めるヒント」です。
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