改めて「中小企業経営者」のリーダーシップを整理してみた

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この記事は、更新時の情報と筆者の考えに基づくものです。


私は、1990年に税理士になってから多くの中小企業経営者に出会いましたが、今も昔も「あなたはナニモノ?」と仮に問うとすれば、「私は、経営者」「私は、社長」という人がほとんどで「私は、リーダー」と回答する人は少数派という印象です。

その理由を観察してみると「リーダーとは?について考える機会が少ないから」であることが分かります。

私は、経験上「経営者として・社長として」より「リーダー」を起点として考えることの方が、中小企業経営において、より実践的にアタマの整理が進むと思っています。

そこで、本稿では、分かってるようで曖昧にしている「リーダーシップ」について、中小企業経営者の視点で整理します。

もし、心当たりがあれば、この機会に「リーダーとは?」について考える参考にしてみてください。

このブログでは「10人~100人規模の中小企業経営者」の方々に向けて「経営脳の自主トレサポート」を目的に「もっといい会社」にするためのヒントを発信しています。初めてアクセスしていただいた方は、こちら(=「このブログについて」)をまずご覧ください。

リーダーシップについて自己内観する

自分は、良いリーダーだろうか?

この自問自答から始めましょう。

比較的小さなチームである中小企業においては、その小ささゆえ、リーダーの影響がとても大きく、「もっといい会社にするためには、もっといい経営者になればええねん!」が私の口癖になっている理由でもあります。

リーダーが良くなれば、チームが良くなります。

いい経営者、いい社長は、もれなく、いいリーダーです。

彼ら彼女らをお手本にするときも「どんなリーダーなんだろうか?」という視点で観察することが大切です。

「どんな経営者だろう?・どんな社長だろう?」という視点で観察すると、ついつい会社の規模や業績など「結果」に目が行ってしまい、その規模や業績に至る過程における彼ら彼女らの「チームのパフォーマンスを最大限に引き出すリーダーシップ」であるプロセスを見逃しがちです。

上述したように「経営者として・社長として」ではなく、「リーダーとして」を起点とすることで、今まで見落としていたことに気付き、また、リーダーとして大切なことが見えてくるはずです。

まずは「自分は、良いリーダーだろうか?」という自問自答によって、自信のリーダーシップを自己内観することから始めましょう。

(参考記事)共感と協力を集めるリーダーシップ

ゴールイメージ「最高のチーム」を言語化する

当然のことですが「チームがあってこそのリーダー」です。

「自分は、どんなチームの、どんなリーダーか?」を整理しましょう。

そのためには「どんなチームにしたいのか?」を先に言語化しなければなりません。

「攻撃的なチーム」もあれば「堅固な守りのチーム」もありますが、その特性は大きく違うので、おのずと必要なリーダーシップも変わります。

「専門性の高いプロ集団」もあれば「外部専門家とのコラボレーションに長けたチーム」もあります。また、これらの複合的なチームもあるでしょう。

「良いリーダー」の定義は、この「どんなチームか?」の定義とセットであり、切り離すことができません。

「攻撃的なチーム」には「攻撃に長けたリーダー」が必要です。

「専門的なチーム」には「専門家を集め、そのパフォーマンスを引き出すリーダー」が必要です。

さて、あなたにとっての「最高のチーム」とは、どんなチームでしょうか?

「最高のチーム」とは、「あなたの理念・目的・目標を現実のものとして実現するチーム」であるはずです。

例えば、下記のように箇条書きでもいいです。具体的にアウトプットしましょう。

  • 理念に共感し、賛同してくれるメンバーが集まっている
  • 個々の価値観や能力を尊重し、相互支援ができるメンバーが集まっている
  • 個々の役割を正しく認識し、その役割を果たすための成長カルチャーが根付いている
  • 常に課題発見に努め、その解決のための健全なディスカッションが日常となっている
  • 競争意欲が高く、競合や同業の動向について、新鮮な情報共有が行われている

そこにはどんなリーダーが必要か?

あたなにとっての「最高のチーム」が鮮明になれば、やっと本題の「最高のリーダー」の言語化作業です。

最高のチームには、どんなリーダーが必要なんだろうか?

このプロセスでの注意点は「自分自身の事である」ことを忘れないようにすることです。

「他人事」であれば、純粋に理想像を描けばいいのですが、ここは「自分事」なので「デキないこと」「苦手なこと」をリストアップしても意味がありません。

この話の主役として「自分は、どんなリーダーになればいいのだろうか?」です。

そのガイドラインとして、私がいつも提案するのが、次に紹介する「独裁型と民主型のハイブリッド型リーダー」です。

ハイブリッド型リーダー像

中小企業においてのひとつの理想であり、また、現実的なのが、「独裁型」と「民主型」の両者の「良いとこ取り」である「ハイブリッド型リーダー」です。

独裁型と民主型

下記に「独裁型リーダーシップ」と「民主型リーダーシップ」の特徴を比較するので、あなたが考える「リーダー像」をイメージする参考にしてみてください。

特徴独裁型リーダーシップ民主型リーダーシップ
意思決定プロセスリーダーが単独で意思決定を行う。リーダーがメンバーの意見を取り入れて意思決定を行う。時と場合によっては多数決。
意思決定へのメンバーの関与ほとんどなし。
リーダーの指示に従うのみ。
高い。メンバーが意思決定プロセスに参加し、意見を述べる。
コミュニケーション一方的。
リーダーからの指示が主で、メンバーはそれに従う。
双方向。
リーダーとメンバーが意見を交換しながら進める。
迅速な意思決定非常に迅速。
リーダーがすべてを決定するため、プロセスが短縮される。
やや遅い。
意見調整に時間がかかることが多い。
メンバーのモチベーション低下しやすい。
メンバーは単に指示に従うため、自発性を損なう。
高まる。
意思決定に参加することで、責任感ややる気が向上。
創造性とイノベーションリーダーの限界がチームの限界となる。全員にチャンスがあり、新規性の高いアイデアが出る可能性がある。
リーダーの権威非常に強い。権限移譲が進む。
適した場面有事平時
デメリットチームのための犠牲者が出やすい多様性が分断や派閥を招くことも

この比較でお分かりのように、それぞれ「一長一短」です。したがって、どちらかに偏ることはオススメできません。

前述したように、それぞれの「良いところ」と取り入れた「ハイブリッド型」が、現実的です。

私は、このリーダーシップを「聞く耳を持った独裁者」とか「気は優しくて力持ち」と例えて言うことがあります。

多少、独裁的な強さを基本としながらも、チーム内の健全なコミュニケーション、心理的安全性などに配慮し、時には、大胆に権限を与え成長のためのチャンスを創造できるリーダーが中小企業には求められていると思っています。

(参考記事)独裁・ワンマンが悪いわけではない=メリットとリスクと注意点

今はどちらが必要か?の柔軟性

上記の比較表にもありますが、独裁型と民主型は、その時の「場面」によっても使い分けが必要です。

緊急度や重要度が高い場面においては、躊躇わずトップダウンで統制する、平時で、時間に余裕がある場面においては、全員参加型をサポートする、という具合です。

独裁色を強くする、民主色を強くする、といった場面による柔軟性も忘れないようにしましょう。

まとめ

さて、どうでしょうか?改めて中小企業経営者のリーダーシップについて、考えてもらうきかっけを整理しました。

チームが、それぞれ個性を持った個人の集団である以上、それに適したリーダースタイルは、百者百様です。

関連記事も含め参考にしてみてください。

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