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この記事は、更新時の情報と筆者の考えに基づくものです。
ほとんどの中小企業の決算書には「借入金」が計上されています。事業の拡大のために金融機関からの融資は欠かせないものですが、これには「良い借金」と「悪い借金」があります。さて、あなたの会社の決算書に計上されている借入金は「良い借金」ですか?それとも「悪い借金」ですか?この記事では、「借入金」についての基本的な考え方を整理しておきます。
この記事は「決算書中小企業向け|決算書活用マニュアル」の補足です。
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借入の本質は「時間を買うこと」
そもそも「なぜ借りる必要があるのか?」について正しく理解しておきましょう。
借金の本質は「時間を買うこと」です。
「利息」は「その対価=時間のコスト」です。
簡単な例で示しましょう。
たとえば、新たに500万円の設備が必要な時、手元にその資金が無く誰も貸してくれなかったら、500万円を貯めるまで買うことができません。「500万円を貯めるには5年かかる」とすると、新しい設備を買えるのは5年後です。
そんなとき「500万円を年利1%で貸してあげよう」という人が現れれば「今すぐ買える!」に変わります。
つまり「500万円の借り入れで5年の時間を買った」ということになります。
そのコストは「年利1%」です。
これが「借入の本質は時間を買うこと」という意味です。
- 毎年100万円を貯めて「5年後に買う」
- 毎年100万円の元金返済に加えて年利1%の利息を支払う約束で融資を受け「今すぐ買う」
の違いです。
「時間を買う」といっても「時間稼ぎ」ではない
上述したように「借入の本質は時間を買うこと」なのですが「時間稼ぎ」ではありません。
「赤字続きで、このまま継続すれば資金が枯渇してつぶれてしまう」という場合。
例えば・・・
- 手元の資金は残り300万円
- 毎月100万円の赤字で資金不足
- このままだと3か月後に資金が枯渇する
- ここで500万円を調達できれば
- 8か月先まで持ちこたえられる
この500万円の借金も「5か月の時間を買った」ことになりますが、前述の「投資」とは違って、これは「延命」です。つまり「つぶれるまでの時間稼ぎ」ということになます。
「3か月では無理だけど、8か月あれば確実に黒字転換できる」という確信があれば、この500万円の融資による「時間稼ぎ」はOKですが「8カ月あればなんとかなるだろう・・・」という無策の借入、つまり「つぶれるまでの時間稼ぎ」なのであれば「傷が浅いうちに廃業」が最善の策、という場合もあります。
当たり前の話ですが「返済のめど」がない借り入れは慎重に検討すべきです。
利益を生む借金と赤字を埋める借金
上記の2つの大きな違いは・・・
- 借金をして、さらに利益を生む設備を買う投資・・・「良い借金」
- 借金をして損失(赤字)を埋める・・・「悪い借金」
「銀行に融資を申し込みたい」と思ったときに、前者なのか?後者なのか?。
もし「後者」なのであれば、経営課題の解決法は「借金」ではありません。「解決のための時間を借りた」のであれば、この貴重な時間がある間に「黒字転換・体質改善」をしなければ、悪循環になって、ついには取り返しのつかないことになってしまいます。「ホッと一息」している場合ではありません。
銀行はボランティアではない
ときどき勘違いしている中小企業経営者がいます。
「これだけ資金繰りが苦しいと訴えているのに銀行が貸してくれない!」
銀行は慈善事業でもボランティアでもありません。
当たり前ですが、金融機関は「融資」というビジネスをしています。
ビジネスですから「損」をしないようにします。
「資金繰りが苦しい!」と訴えている人ほど敬遠するのは当たり前です。
「資金繰りが苦しい!」と情に訴えて動く人たちではありません。
「確実に返済できる!」という相手だから融資してくれるのです。
だから融資を申し込むときに「これだけ苦しいから貸して!」ではなく「こうやって返済するから!」とアピールしなければならないのは当然ですね。
ヘンな勘違いをしないようにしましょう。
まとめ
さて、どうですか?中小企業における借入金の大切な視点を簡単に整理しました。
関連記事も含め参考にしてみてください。
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以上、お役に立ちますように!