なんとか「人事評価」は定着してきた。
そろそろ「給与賞与」との連動も
精度を上げていかないとな…
さて、どうしよう?
人事評価と給与賞与は、うまくリンクしていますか?
人事評価の結果が、
どのように反映されているか?
メンバーたちは正しく理解していますか?
メンバーの心の中には
「声には出さない思い」があります。
それが「スッキリした思い」なのか?
それとも「モヤモヤした思い」なのか?
もちろん、経営者にも
「給与賞与に対する思い」があります。
お互いの信頼関係に大きく影響する
「両者の思い」。
その「思い」がズレないように
「人事評価と給与賞与の関係」の確認です。
【事前準備】給与とは何か?
「給与賞与」は、メンバーの気持ちに大きく影響します。
諸刃の剣。
「チームを活かすも殺すも、給与賞与次第」と言っても過言ではないでしょう。
デリケートなものです。
だからこそ「慎重さ」が大切です。
釈迦に説法、
すでに痛感されているかもしれませんね。
大切な話なので
「計算実務」に進む前に、
「給与の本質」について、
「おさらい」しておきましょう。
*この記事をまだ読んでない方は「3つの成果分配」の話を先に一読してください。

【給与実務】
人事評価との連動
「成果分配」のおさらいができれば
「計算実務」です。
いわゆる「月給」の要素を整理します。
基本形
私が提案している「基本形」はシンプルです。
月給=
基本給+職能手当+役職手当+時間外手当
- 基本給
- 全員に共通する固定額
- 職能手当
- 人事評価を反映する手当
- 「評価ポイント」×「ポイント単価」で計算
- 通常、半年ごとの評価結果に連動するため、減額の可能性もある(就業規則に明記必要)
- 役職手当
- 部課長等の役職に応じて加算する
- 時間外手当
- 法定の手当
- 上記、基本給、職能手当、役職手当の合計を元にして計算
意図の反映
上記の要素には、経営者の意図が反映されます。
例えば…
人事評価の結果を大きく反映したいなら、「基本給」を小さく「ポイント単価」を高く設定する、という具合です。
また…
業績連動型賞与で年収に差を付けたい場合は「給与」を小さく「賞与」を大きく、というバランスで検討します。
MAXとMINの試算
制度設計のコツは、まず「最高額と最低額の試算」をしてみることをお勧めします。
計算例を示すと…
| MAX | MIN | ||
|---|---|---|---|
| 基本給 | 200,000 | 200,000 | |
| 職能手当 | ポイント単価:1500円 満点ポイント:100点 | 150,000 | 0 |
| 小計 | 350,000 | 200,000 | |
| 役職手当 | 部門リーダー | 50,000 | 0 |
| 小計 | 400,000 | 200,000 | |
| 時間外手当 *注:端数処理概算 | 平均所定時間:8h*22=176h 月間残業時間:2h*22=44h | @2273/h*1.25*44h 125,000 | @1135*1.25*44h 62,500 |
| 合計 | 525,000 | 262,500 | |
| 賞与を除く年収合計 | ×12か月 | 6,300,000 | 3,150,000 |
実際には「満点」の人や「零点」の人はいないと思いますが、「どの範囲で動くのか?」をイメージしておくと試算や検討がやりやすくなると思います。
「基本給を上げればどうなる?」とか「ポイント単価を2,000円にしたらどうなるだろう?」という試算をしながら「最適値」を検討することをおススメします。
コンプライアンス
以上で「原案」ができれば、必ず社会保険労務士などの専門家のレビューを受ける必要があります。
最低賃金の件、時間外手当の計算方法、役職者の時間外手当の支給の有無の件、さらに、評価下げ時の不利益変更の件など、「反則」にならないように、注意点がいくつかあります。
【賞与実務】
貢献度に応じて…
「当社の賞与の考え方」は、似ているようで「百社百様」です。
「業績に応じて支給したい」のは、ほぼ全員「気持ち」は同じでしょう。
しかし、現実は
「業績が悪くても、ゼロってわけにいかない」
…という考え方から
「そりゃナシ!でしょ」まで幅があります。
その反対もあります。
「業績が良ければ、前年比2倍もOK!」
「いくらなんでも年収2倍はダメ!」と。
さらに…
「メンバー間の格差は大きい方が刺激になる!」
「格差が大きすぎると、バラバラになる!」など…。
ただ、いずれにしても「基本の計算式」は同じ。
各自の賞与=業績×分配率×貢献率
カンタンに表現すると…
みんなで稼いだ成果を
みんなで山分けする計算式です。
- 「業績」をどうするか?
- 売上?限界利益?経常利益?それとも別?
- 「分配率」に上限下限を設けるか?
- 業績の一定率?累進率?上限は?下限は?
- 「貢献率」の振れ幅をどうするか?
- 全員同じ?役職者優先?人事評価のポイント割合?それとも?
この「3つの要素」の調整を、私は「チューニング」と言っていますが、上記のような「経営者の意図」は、この「チューニング」によって反映されます。
本記事の「人事評価」は、この計算式の「貢献率」に反映されます。
この「貢献率」が公平公正、さらに、経営者の意図が反映できるように「評価基準を設定する」ことになります。

賞与を
公平公正に
「計算する方法」を教えて!
私が受ける相談で意外と多いのがこれです。
答えは「計算ではなく評価」。
つまり
「賞与」の計算方法に課題があるのではなく
「評価」に課題があることがほとんどです。
「正しく評価」した上で
「上記の計算式で試算」してみて
「分配率」と「貢献率」のウエイトを
「チューニング」する、という順番です。
この「業績連動型賞与」や「チューニング」については、他の記事で、それぞれ詳しく解説しているので参考にしてください。


【そもそも】
経営者の「公平」は様々
ここで「そもそも論」に触れておきます。
経営者は
「公平なルールにしたい」と言います。
「当社の給与は公平だ」とも言います。
しかしです…。
この「公平」が「くせ者」です。
人によって「何が公平か?」が違うからです。
私が今まで出会った中小企業経営者が考える「公平」には、下記のようなものがありました。
- 年功序列が公平
- だから「年齢給」が必要
- 先輩の方が多いのが公平
- だから「勤続給」が必要
- 扶養家族を考慮するのが公平
- だから「家族手当」が必要
- 成果のみで評価することが公平
- だから「年齢給」「勤続給」「家族手当」は不公平
このように様々です。
「正しいのはどれ?」の話ではありません。
「当社は、何を公平とするか?」を
「ハッキリ公表すること」が重要です。
経営者間で意見が分かれることには問題ありません。
「ひと、それぞれ」です。
しかし、社内で意見が分かれることは、不協和音の起点になりがちです。
- 「実力主義的なメンバー」は
「成果のみが公平!」と考えるでしょう。 - 「福利厚生的なメンバー」は
「諸手当が必要!」と考えるでしょう。
残念ながら
「どっちにもイイ顔」はできません。
「最高意思決定権者」である
「経営者」が、
「議論の余地」が無いように
「明確に伝える必要」があります。



「聞く耳がいらない」という話ではない!
念のため。
【実務課題】
アンバランスな給与の調整
「じゃあ、公平なルールにしよう!」と設計し始めると、過去の経緯で生じた「アンバランスな給与」が壁になることがあります。
もうひとつの「実務課題」にも触れておきます。
過去の諸事情で「アンバランス」になっている給与の問題です。
- まだ、制度が未整備だった頃からのメンバー
- 諸事情で「前職給与保証」で採用したメンバー
- 今となっては不公平と思う「いろんな手当」が残ってる
- 年齢は重ねたけど、貢献が伴っていない高給高止まりのメンバー
「シン人事評価&シン給与制度」を実装しようと思っても、このような「アンバランス」や「内緒の特別待遇」が「壁」となって立ちはだかる…。
どうすればいい?
ここでは「ヒント」だけ書いておきます。
結論は「賞与で調整」です。
「年俸ベースで公平に計算」して
「給与のアンバランス」との差額を
「賞与にする」
計算式で表すと…
「年俸」-「給与」=「賞与」
…です。
実務は、アンバランスの原因や諸事情によって方法は様々、かつ、法的な問題もあるため、これ以上は社労士さんなど、専門家と相談してみてください。
【要点整理】
設計思想を共有すること
さて、どうですか?
給与賞与の計算実務について整理しました。
すでにお気付きのように、この話、実は
「計算」の話ではなく
「思想」の話です。
何を公平とするか?という経営者の価値観、思惑、狙いなど、給与賞与の制度の裏には「経営者の思い」があります。
なぜ、このような計算をするのか?
この「設計思想」を全員と共有することで「キレイなルール」が運用され、それぞれが「お互いに気持ちよく働ける環境」を作っていきます。
- 「ぼやけたルール」
- 「ごまかしたルール」
- 「一方的なルール」
- 「非倫理的なルール」
- 「ルールは俺だ!」まで…
私は、様々な「給与賞与のルール」を見てきました。
その上で感じることは
「ルール」と
「カルチャー」は見事に連動する、です。
- 「オカネにキレイな会社」
- 「気持ちいいカルチャー」
「もっといい会社」に成長するため
「とても大切なこと」だと思います。
お役に立ちますように!
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「組織戦略」全記事リスト
1部:概要編
2部:組成編
3部:採用編
4部:育成編
5部:評価編
このサイトでは、ひとりでも多くの経営者の方々のお役に立ちたいという思いを持って、なるべく深く、そして詳しく発信しているつもりなのですが、「ひと」に関することには「どうしても書けないこと=公表できないこと」があります。
特に、人事評価とか給与賞与に関するマネジメントには、その性質上「社員さんたちには知られない方がいいこと」があります。
お察しのとおり、このサイトは経営者の方だけではなく、一般社員さんたちもアクセスし読むことができます。
すべて「理想論」や「タテマエ」で解決できればいいのですが、「人に関する実務」はそんなに甘いものではなく、時には「荒療治」しなければならないシーンがあります。この「荒療治」を文字で誤解なく伝えることはとても困難です。
また、カモフラージュした「事例紹介」であっても、当事者の方々にとっては「あ、この記事、当社のことやん」ってすぐにわかってしまいます。それは、その社員さんにとっても「あ、自分のことだ」とわかってしまいます。「いい話」の場合はいいのですが「よくない話」の場合は、気分を害したり、あらぬ誤解を生じさせたりするリスクがあります。
このような理由で「トラブル解決系」や「裏技的な方法」は、一般公開しているこのサイトでは書けません。
「それが聞きたいのに・・・」と、物足りなさを感じられる方も少なくないと思いますが、何卒ご了承ください。
ただ、トラブルや裏技が必要になるときの共通した原因があります。それは、この「組織戦略」を疎かにしてしまったリバウンドであること。念のために書き添えておきます。


