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この記事は、更新時の情報と筆者の考えに基づくものです。
職場環境は思っている以上に人材の成長に対する影響が大きいものです。人材育成において大切な視点は「個」ではなく「チーム」です。個々のメンバーがチームをもっと良くすることに貢献し合うという職場環境、つまり「成長カルチャー(企業文化)」を創り、さらに醸成すれば、チームのパフォーマンスは、もっともっと良くなります。
この記事では、少数精鋭チームが多い中小企業における「成長カルチャー創り」について整理します。
この記事は「中小企業向け人材育成|人が成長する仕組み作りの概要」の補足です。
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カルチャー(企業文化)と企業風土の違い
「カルチャー(企業文化)」によく似た「企業風土」という言葉がありますが、一般的に次のように区別しています。
- カルチャー(企業文化):意図的に創り上げるもの
- 企業風土:自然発生的に生まれた習慣や慣例、暗黙の了解など
「カルチャー(企業文化)」は、全社員で共有すべき「好ましい価値観」であり、意図的に創り上げるものであるのに対して、「企業風土」は、自然発生的なものなので、必ずしも「好ましい」とは限りません。
極端な例を示せば、「社長にNOを言えない」という「企業風土」は少なくありませんが、ちょっとした例外を除いて「社長にNOを言ってはならない」と意図的にルール化し、それを「企業文化」とすることはありません。
中小企業だからこそ「カルチャー」が必要
「カルチャー(企業文化)」は、経営者を含む全社員で共有する価値観であり、それぞれの考えや行動の根拠となるものです。
全員が同じ価値観を持って考え、行動することでベクトルが統一され、チームのパフォーマンスが向上します。
人的余裕が少なく、比較的少人数である中小企業においては、個々のパフォーマンスがチームのパフォーマンスに大きく影響するので、私は特に「良いカルチャー」が欠かせない思っています。
特に「成長カルチャー」が必要と思う理由
「カルチャー(企業文化)」で検索すると、Netflixの事例が多く紹介されており、同社のWEBサイトにも紹介されています。
https://jobs.netflix.com/culture?lang=%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E
- 社員自身の意思決定を積極的に促す
- 情報は、広く、オープンかつ丁寧に共有する
- 率直かつ直接的なコミュニケーションをとる
- 優れた人材でチームを構成し続ける
- ルールをつくらない
このNetflixの例は「理想的」と思いますが、まだ小さな中小企業においてはハードルが高く感じます。
私の思考は「もっとシンプルに!」なので、いきなりハイレベルなカルチャーを掲げるのではなく、まずは、取り組みやすいワンテーマから始めることが良いと思っています。
そのワンテーマとは「成長カルチャー」です。
経営者も全社員も「もっと成長しよう!」という価値観を共有し、お互いの成長を相互にサポートし合い、チームをもっとよくしよう!という「カルチャー(企業文化)」が、今後、ますます大切になっていくと思います。なぜなら、少子化、人材不足、多様な価値観、などによって「チーム作りの難易度」がますます上がっていくと予想しているからです。
かつての日本、昭和の高度成長期の頃は「企業文化」というより「社会文化」として、価値観が似た人たちが多かったので、あえて「企業文化」を創らなくても、自然に「好ましい企業風土」が醸成されることも少なくなかったので、中小企業において「企業文化」なんて考える必要がなかったのだと思います。
でも、これからは違います。
成長の目的、成長の方法、成長の価値をメンバーに説き、それは決して「口だけ」ではなく、実際にそのためのフォローやサポート、そして、その仕組みも含め、「成長することが当たり前の環境」という企業文化=成長カルチャーを意図的に創っていくことが必要です。
成長は幸福の手段という「成長カルチャー」
「成長カルチャー」を定義すると、次のようになります。
「成長することがもっと幸せになるための手段なのだ」と、全員が正しく理解、納得、賛同し、それが個々の思考や行動の習慣の根拠となって「チームの進化」に貢献している企業文化
- 個々のメンバーがもっと成長する
↓ - チームがもっと成長する
↓ - 会社がもっと成長する
↓ - 関わる人々がもっと幸せになる
チームの成長=会社の成長に、もっと貢献できるように全社員がそれぞれ自発的、自主的にモチベーション高く、自らの成長に取り組んでいる、という姿をイメージしてみてください。
「成長カルチャー」とは、これを是とする「カルチャー(企業文化)」であり、少数精鋭を求める中小企業において「いらない理由はない」はずです。
目的は「もっといいチーム」に成長するため
「成長カルチャー」を実務的に創り上げる際に大切なのは、ひとつのゴールである「いいチーム」のイメージの共有です。自分たちは、どんなチームに進化成長したいのか?というゴールを共有しなければなりません。
この「いいチーム=理想のチーム=ゴール」は、トップリーダーである経営者が示し、掲げる必要があります。
「いいチーム」とは、次のような要件で表現されることが一般的です。
- 全員で明確な目標(ゴール)を共有している
- 目標(ゴール)に至るシナリオ、ストーリー、プロセスを正しく理解している
- 個々のメンバーは、ゴールに至る過程での自分の役割を正しく理解し当事者意識をもって行動している
- 個々のメンバーは、常に「チームファースト」で考え、行動し、相互支援が習慣化している
- 「タテの関係」「ヨコの関係」において深い信頼関係がある
- チーム内のコミュニケーションは良好であり、情報共有は適切に行われいている
ザっとリストアップするとこんな感じですが、それぞれのチームにおいて「理想のチームとは?」について、このように具体的に言語化し、全員で「目指すところ」の具体的なイメージを共有することから始めます。
すべてを「成長カルチャー」に関連付ける
「カルチャー(企業文化)」をチームに浸透させるためには「べた」ですが反復することです。そのために、何でもかんでも全て「成長カルチャー」に関連付けます。
- 企業理念:会社の価値観は?当社の事業目的は?社会における存在意義は?
- 経営理念:経営者の価値観は?経営者としてチームに約束することは?
- 経営計画:短期・中期・長期の目標は?
- 人事評価:どんな人材に成長してほしいか?理想の人材像の言語化
- 成果分配:成果は何を基準にシェアするのか?
これらの表現やルールの根拠となるのが「カルチャー」です。
- 「企業理念」を実現するために成長が必要
- 「経営理念」を実現するために(経営者の)成長が必要
- 「経営計画」を実現するために成長が必要
- 「人事評価」で成長を支援する
- 「成果分配」で成長に報いる
このような感じで「何でもかんでも」関連付けます。逆に、関連付けがなかれば、それぞれが「たてまえ」と化してしまうので注意が必要です。
悪い企業風土に良い企業文化は乗っからない
中小企業の場合、良くも悪くも「経営者のパーソナリティが企業風土となっている」という現実です。
最後に、少々厳しいことを書き加えておきます。
上述した「自然発生した企業風土」の話です。
すでに「良い企業風土」だったら「良いカルチャー」も浸透しやすいのですが、もし「好ましくない風土」であるとすれば「カルチャー」の前に「風土改善」から始めなければなりません。
「悪い企業風土」の上に「良いカルチャー(企業文化)」は、乗っからないからです。
多くの場合「悪い(好ましくない)企業風土」の原因は経営者本人にあるので、自責で自己内観し「スタートラインの修正」から始めるようにしましょう。
繰り返しますが、中小企業の場合、良くも悪くも「企業風土」は、経営者のパーソナリティが反映したものです。チーム内で好ましくないことがあるならば「なぜ、そうなったのか?」という原因を自らに求めましょう。
まとめ
さて、どうですか?「チームのパフォーマンスを高めるためのカルチャー(企業文化)」について整理しました。
- カルチャー(企業文化)と企業風土の違い
- 中小企業だからこそ「カルチャー」が必要であること
- 今後、特に「成長カルチャー」が必要と思う理由
- 成長は幸福の手段という「成長カルチャー」を創り、醸成すること
- 目的は「もっといいチーム」に進化成長し、みんなで幸せになること
- 何でもかんでも「成長カルチャー」に関連付けること
- 悪い企業風土に良い企業文化は乗っからないこと
少人数がゆえにメンバーの一人ひとりの成長がチームのパフォーマンスに大きく影響する中小企業だからこそ「成長カルチャー」が必要です。
個々のメンバーがモチベーション高く成長に向き合い、チームをもっと良くすることに貢献し合うという価値観を共有する「カルチャー(企業文化)」。
そのような「成長カルチャー」を創り、経営者を含む全員が、その価値観のもと「もっといいチーム」にしていく・・・それが「もっといい会社」になるために不可欠です。
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