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この記事は、更新時の情報と筆者の考えに基づくものです。
以前、経営者仲間たちと呑んだとき、稲盛さんの話で盛り上がり、それぞれ程度の差や賛否はあっても何らかの影響を受けてるんだな、ということを改めて感じました。
私は、直接お会いすることは叶いませんでしたが、若い頃に出会った「実学(経営と会計)」にいたく感銘し、まだ税理士に成りたての私の「その後の会計観」を決定付けていただくことになりました。
そして、この「実学(経営と会計)」をきっかけにほとんどの書籍を拝読することになり「会計観」を超えて「経営観」まで大きな影響を受けることになり、今やこんな偉そうなブログを発信するまでに至りました。まさに「私の原点」です。
今日は、そんな稲盛さんの影響を受けたひとつでもある「利益とは何か?」について私の考え方を整理して書き留めておきます。
「もっといい会社」に進化成長するために、経営者は「利益とは何か?」ということについて自分自身の考え方を整理しておくことがとても大切だと私は思っています。賛否両論あることは承知していますが、ひとつの考え方として参考にしてみてください。
この記事は「持続的に正しく成長するための経営の原理原則」の補足です。
このブログでは「10人~100人規模の中小企業経営者」の方々に向けて「経営脳の自主トレサポート」を目的に「もっといい会社」にするためのヒントを発信しています。初めてアクセスしていただいた方は、こちら(=「このブログについて」)をまずご覧ください。
利益=(収益-費用)
ここでいう「利益」は、会計上の利益のことであり、丁寧に言えば「(税引後)当期純利益」のことです。ご承知の通り、この会計の利益は「収益と費用の差額」であり、計算式で表すと(収益)-(費用)=(利益)という極めてシンプルなものです。
株式会社等の営利団体は「利益を目的とする存在」なので、もし利益が出ず、資金が枯渇すれば、その会社は倒産し消滅します。
主役は「人」、会社は「道具」
私は「会社は関わる人々の幸せのための存在」と強く思っています。これが、会社の存在意義であり、もっと乱暴に言うと、会社は「幸せのための道具」にしか過ぎません。主役は「人」です。
お客さんを含む取引先や社員さんたち、そして経営者本人、さらにそれぞれの家族や大切な人々を幸福にすることが「経営の目的」です。
経営が上手くいかない会社を観察し、その本質的な原因を探ると、そのほとんどは「経営者が経営の目的を忘れたから、または軽視しているから」にたどり着きます。
お客さん・取引先・社員・家族など、その会社に関わる人々に迷惑を掛けたり、犠牲にしたり、必要以上の負担を強いたり、つまり、経営者が人々の幸せを忘れると「会社が主役となって、人が道具となる」という逆転が起き、会社には様々な不都合が生じます。道理が通っていないからエラーが起きるのです。
あくまでも、経営の目的は「関わる人々の幸せ」であり、主役は「人」、会社は「道具」なのです。
幸せが「目的」、利益は「手段」
前置きが長くなりましたが、ここで今日のテーマ「利益とは何か?」です。
先に結論を言うと「利益は手段」であって「目的」ではありません。
「目的は幸せ」です。
関わる人々の幸福のために利益が必要なのです。
取引先、社員たち、経営者本人、さらに、その家族や大切な人々を幸せにするために利益が必要なのです。
だから「利益の追求」は「みんなの幸せの追求」と言えます。
ちなみに、念のために補足しておくと「経営者だけの幸せの追求」ではありません。
利益が幸せのための「余裕」を生む
「余裕」の源泉は「利益」です。
- 「適正価格で販売できる」のは、適正を超える高値で販売しなくていい余裕があるから
- 「取引業者に負担をかけなくていい」のは、取引先にも十分な利益を得てもらえる余裕があるから
- 「社員たちが安定的に安心安全な生活を送れる」のは、必要十分な待遇と環境を用意する余裕があるから
- 「経営者本人やその家族や大切な人たちが犠牲になったり不必要な負担を抱えなくていい」のも余裕があるから
もし、十分な利益がなければ上記の逆転現象として、お客様・取引先・社員達・経営者本人の誰かが、あるいは、みんなが何らかの犠牲になったり、不必要な負担を抱えなければならなくなります。
たとえば、品質や営業力など、何らかの理由で売上が伸びない=だから粗利が足りない=だから仕入先等取引業者にしわ寄せ=社員たちの待遇も改善されない=経営者自身も家族まで巻き込んで犠牲になったり、負担を抱えたりして・・・という具合にどんどん幸福でなくなります。
利益が幸せのための「余裕」を生むのです。
利益の意味をチームで共有すること
この「利益」の定義や概念は、ぜひチームの全員で共有してください。
売上や利益を維持したりもっと増やす理由は、それによる余裕によって関わるみんなで幸せになることです。
ここで紹介した「利益の意味」に共感がないと「数字を追いかけること」にしか見えなくなり、メンバーにとって現状を維持したり、さらなる増収増益は「しんどい仕事」「面白くない仕事」になってしまいます。
「みんなでもっと幸せになる余裕を維持するため、あるいは、もっと大きくするために頑張ろう」という共通の目的を共有することで「売上や利益の必要性」が正しく理解できるようになります。
この共有は、チームのパフォーマンスを高めることに不可欠であり、また、効果的です。
理想と現実の折り合い
この「利益とは何か?」の話には、必ず「理想論として理解できるが・・・」という意見が出てきます。
その理由は「関わるみんなの幸せの持続」が簡単ではないからです。これが経営の難しさでもあります。
実際は「理想と現実の折り合い」を付けることになりますが、「それが当たり前」にならないようにしなければならない、と私は考えています。
「実際は、こんなもんよ」というところで思考停止すれば、そこで会社の成長は止まります。いや、逆転しだすことも少なくありません。
そんな例を山ほど見てきました。
「100%理想の状態」は、非現実的かもしれませんが、少しでも理想に近づこうという考えと行動が会社の持続的な成長を支えることになります。
あきらめないことです。
まとめ
「利益」についてまとめました。
- 主役は「人」であり、会社は「道具」であること
- 幸せが「目的」であり、利益は「手段」であること
- 利益が幸せのための「余裕」を生むこと
- 利益の意味をチームで共有すること
- 理想論ではなく「可能志向」で考えること
この考え方を共有できる経営者がひとりでも増えたらいいな、と思っています。
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