企業理念と人材育成|理念のないところで人は育たない

この記事は、約 5 分で読めます。
この記事は、更新時の情報と筆者の考えに基づくものです。


「人材が育たない」という中小企業経営者の相談に接すると、その原因が「理念」であることが少なくありません。

先に結論を書いておくと「理念のないところ、あるいは、理念に共感がないところで人は育たない」のです。

本稿では、「企業理念と人材育成」の関係について、大切な視点を整理しておきます。

この記事は「中小企業向け人材育成|人が成長する仕組み作りの概要」の補足です。

このブログでは「10人~100人規模の中小企業経営者」の方々に向けて「経営脳の自主トレサポート」を目的に「もっといい会社」にするためのヒントを発信しています。初めてアクセスしていただいた方は、こちら(=「このブログについて」)をまずご覧ください。

目指すゴールがあるから成長する

人は「目指すもの」や「目指すこと」、つまり「ゴール」があるから頑張ることが出来ます。

そのゴールは、人によって様々ですが、目指すゴールがある人と、目指すものがない人では、その成長に差があることは言うまでもないでしょう。

そのゴールを実現するために、人は努力し、そのプロセスにおいて成長していきます。

ゴールがなければ、努力する理由がなく、成長する必要もなくなります。

人は、実現したいゴールがあるから成長するのです。

ゴールへの想いが強いから成長する

成長のために「ゴール」が必要ですが、それに対する「想いの強さ」によっても、成長には差が出ます。

五輪のメダリストのインタビューを聞いていても、その競技の能力差と同じように「メダルへの想いの強さ」も必要だったんだろうな、と想像ができます。「できればメダルが欲しいな~」というレベルとは違い「絶対にメダルを取るんだ!」という強い想いです。

つまり、「ゴールへの想いの強さ」も、成長のレベルや速さに大きく影響すると思われます。

ヒトの特性を知る

元来、ヒトは怠け者らしいです。できれば、楽をしたいし、苦しいことは避けたい、これは生物としての本能であり、生存するためになるべくエネルギーを消耗したくないと、脳に刷り込まれているからで、その証拠に、ヒト以外の動物は、獲物を捕るとき以外は、のんびりしています。

では、なぜ、他の動物と違って、ヒトは努力や修行をするのか?

その理由は、努力や修行によって得られる快楽を知っているからで、その快楽を繰り返し味わいたいから、その代償としての苦しさに耐えられるとのこと。

この話の正否は脳科学の先生に任せるとしても、納得できるロジックです。

元来、怠け者である人材をどのようにして勤勉な人材となってパフォーマンスを高めてもらうか?が人材育成の目的です。

上記の「ヒトの特性」に照らし合わせると「快楽」が必要なのです。

ヘンな意味ではなくw「楽しくなる」「気分が良くなる」「上機嫌になる」というスイッチを入れることが、人の成長に欠かせないことは、自分を振り返ってみても納得できます。

理念でスイッチを入れる

上記を整理すると・・・

  • 成長にはゴールが必要である
  • 成長にはゴールへの想いが必要である
  • ゴールには快楽が必要である

「理念」は、この3つの要素に大きく影響します。

冒頭「理念のないところ、あるいは、理念に共感がないところで人は育たない」と書きましたが、逆に言うと「共感する理念があれば人が育つ」です。

リーダーが掲げる理念は、ゴールに他ならず、そのゴールが魅力的であればあるほど、それに対する想いは強くなり、その実現プロセスにおいて達成感や充実感などの「快楽」を感じることができれば、人は「やりたい!」と「自発的な想い」を持ち、そのゴールを実現するための努力を惜しまないようになる、という理屈です。

つまり、理念は「成長のスイッチを入れるツール」に他ならないのです。

補足「理念なき数値目標」の是非

少し角度を変えて、よくある質問についても触れておきます。

「理念なき数値目標」の話です。

「高尚な理念はないけど、毎期売上2倍!」という数値目標を掲げ、それに向かってチームメンバーはモチベーション高く頑張っているよ!
その結果、みんなドンドン成長してるよ!
だから、堀井さんが言うように「理念」がなくても、人は成長するよ!

「理念はなくても、人は育つ」という意見です。

この話、私は「形が違うだけ」と思っています。

「毎期売上2倍!」というゴールに共感するメンバーが、それを「自分事」として捉え、チーム全員で達成する「快楽」を知っているのです。

「毎期売上2倍!」を持続することは並大抵のことではなく、よく観察すると「言葉にしていない理念」がちゃんとあるやんということも気付きます。「顧客満足度を上げよう!」「もっと当社の商品サービスのファンを増やそう!」と様々な課題解決に向き合い「みんなの役に立つ活動」をしているものです。

「企業理念」というカタチにはしていなくても「暗黙の理念」があり、それが機能していれば「結果オーライ!」です。

ただ、「数字のためなら手段は問わず」と、ダーティーな手法で売り上げを伸ばしている会社があるのも現実です。そのチームメンバーは、ますます「ダーティーなノウハウ」を身につけて。一見「成長」しているようですが、私の「成長の定義」に反するので、ここでは「論外」とします。

(関連記事)中小企業の人材育成|「成長の定義」を共有する大きな効果

共感を呼ぶ魅力的な理念を掲げる

チームメーンバーを「その気にさせる理念」の必要性と効果を整理しましたが、そもそも「共感を呼ぶ魅力的な理念」をどうすれば掲げることができるのか?

その結論は「経営者が、自分のホンネと向き合うこと」です。

「関わる人たちを持続的に幸せにする経営とは?」について、自己内観することで、自問自答を繰り返し「答えを導き出すこと」が大切です。

他社の企業理念も大いに参考にすればいいのですが、間違っても「コピペ」するようなことが無いように注意しましょう。

詳しくは、下記の記事を参考にしてみてください。

(必読記事)必修経営スキル【理念創造力】理念で人を惹きつけるチカラ

まとめ

さて、どうですか?「理念と人材育成」について整理しました。

関連記事も含め参考にしてみてください。

もし、サポートが必要であれば、いつでも気軽に連絡ください!→「お問い合わせフォーム

以上、お役に立ちますように!